ご友人やご親戚、お知り合いなどの人生と節目となるようなお祝いや記念日には、赤いお花をお贈りしてみてはいかがでしょうか。なぜなら、日本では赤い色はお祭りやお祝いのときに用いられている縁起が良い色だからです。

では、なぜ赤い色は縁起が良いとされているのでしょうか。古くから、赤い色は血をイメージすることから、生命の象徴と考えられ、悪霊や邪気を払う魔除けの効果があると考えられてきました。例えば、日本最古の書である「古事記」には、魔除けのために床に赤い土を撒いたという記述が見られます。また、赤い色は病気にも効果があると考えられていました。江戸時代には疱瘡（天然痘）が大流行し、多くの人々が犠牲になったという記録があります。そのとき、人々が買い求めたのが、「疱瘡絵（ほうそうえ）」と呼ばれる赤一色で刷られた木版画です。この赤い絵を飾れば、病魔が逃げると考え部屋に飾っていたと言われています。当時は、天然痘の治療法が確立されていなかったため、人々は治癒を祈願するしかなかったのでしょう。

このように赤い色は悪霊や病気を祓う縁起の良い色と考えられ、節目の行事には赤い色が取り入れられるようになったのです。赤ちゃんが生まれたばかりのときには、おくるみの上部の端を赤く染める習慣がありましたし、七五三のときには女の子は紅染めの赤い晴れ着を着て神社でお祝いしていました。

中国や台湾などの中華圏でも赤い色は縁起が良い色と考えられています。旧正月には、自宅に「一家団欒」の象徴である赤い灯篭を飾ってお祝いをしますし、お年玉は「紅包（ホンバオ）」と呼ばれる真っ赤な袋に入れて渡します。日本と同じように中国の人々は赤い色は魔除けの効果があると考えていたほか、赤は太陽と火の色で人々に暖かさを与えてくれるので、幸福や喜び、楽しみを象徴するものとしていたのです。

このように日本だけでなく海外でも赤い色は縁起の良い色と考えられてきました。現代は医学も化学も発達し、魔除けや病気平癒といった信仰文化が薄れつつあります。とはいっても、お祝いのときには縁起を気にする方は少なくありません。そのため、お祝いのときには古くから縁起が良いとされてきた赤い色のお花をお贈りしてみてはいかがでしょうか。日本人はもちろんのこと、中国や台湾の方にお花をお贈りすることがありましたら、赤い色のお花を選べば、大変喜んでくださるのではないかと思います。赤は縁起が良いだけでなく豪華で目を引く色ですので、飾っていただけば空間を華やかに彩り、多くの方に眺めて楽しんでいただけるのではないでしょうか。