数ある花の中でも、ピンクの花は最も人気の高い色。半数以上の方が「ピンクの花が一番好き」と回答したアンケート調査もあるほどです。また、「花」と聞くと、ピンクの花を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。そんなピンクはもともと、色を表す言葉ではなかったことはご存知でしょうか。例えば、16世紀のイギリスでは、「ピンク」は色の名前でなく、「ナデシコ」を意味する言葉でした。のちに、ナデシコの花の色を指す言葉となったのです。また、英語圏以外のヨーロッパ諸国ではピンク色を指すのに、バラを意味する言葉を使っていたと言われています。

現代の日本では英語で「ピンク」と呼ぶことが一般的になっていますが、かつては桃の花が由来の「桃色」やナデシコに由来する「撫子色」と表していました。また、ナデシコ科の植物であるセキチクの花に見立てた「石竹色（せきちくいろ）」と呼ぶこともあったようです。

このようにピンクは「花の色」として認識されてきました。そのため、「花と言えばピンク色」とイメージする方が多いのかもしれません。また、ピンクの花が人気なのは、ピンクが人に与える心理効果も影響しているとも考えられそうです。日常生活においては、色が持つ心理効果はさほど認識されませんが、気づかないうちに人の心理に大きく影響されていると言われています。

例えば、1979年にアメリカの海軍矯正施設にある独房の壁をピンクに塗ったところ、囚人の攻撃性が低下したという結果が得られました。その結果を基に2011年、さらに2013年にも独房の壁一面をピンクに塗るという試みがなされ、その結果、ピンクは人の怒りや攻撃性を抑制する効果があることが判明しました。このピンクの効果は絶大だと評価され、スイスだけでなくドイツやアメリカの刑務所でもピンクが取り入れられるようになりました。刑務所以外でも、警察内にある留置所でもピンクが用いられています。ピンク色に塗った留置所に泥酔した逮捕者を入れると、すぐにおとなしくなり、速く眠りにつくと言われています。

私たちは、このようなピンクの効果を花から得てみてはいかがでしょうか。攻撃的とまではいかなくとも、常日頃忙しくしていらっしゃる方は、心身共に常に緊張状態にあることが多いです。ピンクを見ることで、心が安らかになり緊張が解けることで、凝り固まっていた身体の筋肉が緩み、リラックスしていただけるかもしれません。

お祝いの前後は忙しいという方は多いかと思いますので、ピンクの花でひと休みしていただいてはいかがでしょうか。相手の方を思いやる気持ちが伝わる、素敵なギフトになるかと存じます。