私達を癒してくれるお花の香りは、元々人間のためにあるわけではありません。昆虫などに子孫を残すのを手伝ってもらうためです。昆虫に寄ってきてもらうためにお花は良い香りを放つのです。

バラなどの植えられているお花が時間帯によって香りを放ったり放たなかったりするのをご存知でしょうか。バラの花は日の出とともに香り始め、午前中が最も強くなり、夕方にかけて弱くなるのです。これは花が光を感じることにより香り成分の発散量を変えるリズムをもっているためです。また満開の状態ではなく７～８分咲きのころがよく香り、さらに開花時の湿度や花の水分量でも香りの感じ方が変わります。

またキンモクセイも時間帯によって香りの強さが変わります。キンモクセイの花弁に含まれるカロテノイドがカロテノイド酸化開裂酵素に分解されイオノンという成分を作り出します。イオノンはスミレの精油などにも含まれる甘い香りの精油成分です。その為オレンジ系の橙色が濃い花は香りが強いそうです。この酵素の活動は午前中に活発になり、夕方以降に弱まります。

花粉を運んでくれる虫の活動時間に合わせて午前中や日中に強く香りを出す植物が多いと思われますが、もちろん夜間に活動する蛾などの虫を媒介者とする植物はは夜間に花を咲かせ、香りを放ちます。チューベローズなどがこれにあたり、昼間はあまり香りを出しませんが、夜になると甘く強い香りを放ちます。

花により香りは様々です。「バラの香り」や「ユリの香り」などのアロマなどが存在しますが、実際には品種や環境などでも香りは異なり、多くの成分からなる複雑なものです。中には人間にとってあまり良い香りだと感じないお花も存在します。例えばカスミ草やオミナエシは独特な香りを放ちますが、これもきっと虫にとっては魅力的な香りなのでしょうね。独特な香りを放つお花として一番有名なのはラフレシアではないでしょうか。ラフレシアは受粉活動に必要なハエをおびき寄せるため、強烈な香りを放つそうです。

またお花だけではなく葉や木の香りも私達を癒してくれますよね。ユーカリや、ミント、レモングラス、ひのきなどの香りも普段から私達を癒してくれています。バジルやオレガノなどのハーブは料理でも大活躍しますよね。植物の香りは沢山存在しますので、自分のお気に入りの香りを見つけてみてくださいね。