皆様は花束とアレンジメントの違いをご存知でしょうか。花束は文字通りお花を束ねたものを保水しラッピングしたものです。アレンジメントとは、陶器やカゴに給水性のスポンジを入れ、そこにお花を挿したものです。どちらもお祝いの際には贈られますが、花束の場合はラッピングを外して花瓶に活ける必要があります。お花を飾りなれている方にとってはどの花瓶にどのようにいけようか考えたり、水替えや切り戻しの作業をすることでお花と触れ合い楽しむ癒しの時間となります。お花を飾りなれていなかったり、花瓶の用意がなかったり、お花のお手入れの時間が取れない方には、アレンジメントがおすすめです。アレンジメントは数日に一回スポンジにお水を足すだけで楽しむことができます。フラワーギフトを贈る際はこのようなことも考慮して花束とアレンジメントを選ぶと良いかもしれません。

アレンジメントの歴史は意外と古く、古代エジプト時代に発祥したといわれています。エジプトの人々が当時既にお花を暮らしの中に取り入れていたことが壁画などの歴史遺産からうかがい知る事ができます。当時はロータスの髪飾りや花のネックレス、葬儀用のリースなどを作っていたようです。その後ヨーロッパを中心に、様々な形でその時代の生活様式や美術様式とともに様式化され、発展していきました。２０世紀前半にはドイツやアメリカで花の学校が設立され、１９５４年アメリカで吸水性スポンジの代名詞であるオアシスが誕生しました。日本では、第二次世界大戦後、欧米の暮らしや衣服が取り入れられ始めたことに伴い、フラワーアレンジメントが広く一般に普及し始めました。

それより以前から日本に存在していたのが「生け花」という文化です。生け花は日本発祥の花の活け方であり、文化の発展と共に日本に広がった花です。生け花の起源は一般に、仏教とともに伝来した仏前の「供花」にあるとされています。平安時代から室町時代、仏教の渡来、普及と同時に花を供えたり花を挿すという習慣が生れました。室町時代に床の間がある書院作りの建築様式が完成したことから決められた方向に従って花が活けら床の間に飾られる「生け花」が確立しました。その為生け花はアレンジメントの四方見などとは異なり、１つの方向から見て美しいとされるように活けられます。

人間は植物やお花などの自然を愛し楽しむ心から、様々な文化と共に形を変え楽しんできたのですね。