飾ったり育てたり、また大切な人に贈ることで、私達を癒してくれる存在である植物ですが、なぜ植物が色鮮やかなお花を咲かせるのがご存知でしょうか。植物が綺麗にお花を咲かせるのも生存戦略のひとつです。お花の色には子孫を残すための受粉活動を促す大切な役割があります。そのためお花の色は遠くからでも目立つ誘目性の高い色であることが多いのです。誘目性とは、特に周りを意識していない人に注目させる、発見させやすくする「人の注意を引きつける度合い」のことを表します。植物は虫に気付いてもらいやすくするため自ら誘目性の高い色を作り出し美しいお花を咲かせます。誘目性が高い色は赤やオレンジ、また黄色などの暖色系と言われており、青や紫などの寒色系の色は誘目性が低いとされています。

お花の色素は細胞液のある液胞に含まれるものと、細胞質と呼ばれる細胞の外側の層に含まれているものがあります。溶液に含まれる色素は水溶性で、細胞質に含まれる色素は油溶性です。植物の葉の色に多く含まれている色素は緑色のクロロフィルです。秋になるとこのクロロフィルが分解され、赤色の色素であるアントシアニンがつくられることで植物は紅葉します。また葉のクロロフィルは黄色の色素であるキサントフィルと共存している場合も多く、秋に紅葉と共に黄葉が見られるのもこのクロロフィルが分解されキサントフィルが残るためです。花や果実に多く含まれているカロチノイドは黄色やオレンジ、赤などの色素です。野菜でいうとニンジンやかぼちゃ、トマトなどに含まれる色素です。

そして青色のお花を咲かせる植物が少ないことを皆様はご存知でしょうか。青色のお花は自然界には少なく、全体の約10%以下しか存在しない言われています。実際に花色の色度分布を見てみると、花色は黄色、赤、紫などに集中し、青色はほとんど見られません。なぜ青いお花が自然界に少ないのはなぜなのでしょうか。青色のお花を咲かせるには花の中にデルフィニジンという青色色素を持つ必要がありますが、このデルフィニジンをつくる遺伝子を持っていないことがほとんどだそうです。しかし一説には、動物や虫から見て、青色が美味しそうに見えないからではないかと考えられているそうです。

最近では最新技術により青いお花も作り出されています。色鮮やかで美しいお花はこれからも沢山の人の心を癒していってくれることでしょう。