植物の多くは花を咲かせますが、花を咲かせずに子孫を残す植物がいるのをご存知でしょうか。花を咲かせ、受粉した種によって子孫を残す植物を種子植物といいます。しかしコケ植物、シダ植物、、藻類といった植物の仲間は、花をつけないので種子もできません。このような植物を非種子植物と分類します。これらの非種子植物どうやって子孫を残すのでしょうか。

シダ植物は、種子ではなく胞子によって増える植物です。よくアレンジメントやスタンド花でも用いられるレザーファンや谷渡りもシダ植物にあたります。葉の裏に、胞子が詰まった袋、胞子のうの集まりが並んでおり、 この胞子のうがはじけると中の胞子が飛ばされて地面に落ちた胞子が発芽して、新しいシダが成長していきます。

また面白い繁殖方法をもつ植物があります。バンクシアはなんと山火事を利用して子孫を残しています。バンクシアはオーストラリアに分布している植物で、75種ほどの種類があります。円柱状のブラシのような花を咲かせた後に松ぼっくりのような果実をつけますが、皮が堅すぎてそのままでは種が自然とこぼれることはありません。山火事のような強烈な火で焼かれてようやくパカっと口を開き、種をこぼします。乾燥地で山火事が多く発生する土に適応していった結果、このような繫殖方法が確立されたのですね。

そして身近な植物であるタンポポは綿毛を飛ばして繫殖するのはよく知られていますよね。綿毛を飛ばす植物は他にもアザミなどがありますが、タンポポのまん丸で白くふわふわとした姿は可愛らしく、子供のころからなれ親しんでいる方も多いのではないでしょうか。タンポポの綿毛の部分は正確には「冠毛」といい、風に乗って飛ばされやすいように羽に似た形をしていています。雨の日になると濡れないように綿毛を閉じ、晴れるとまた元通りになって飛んでいくそうです。またタンポポを摘むと、茎から白い液がでますよね。この液は虫が嫌う成分が含まれており、葉や茎など、タンポポの株全体に流れていて、タンポポ自身が虫たちから自分を食べられないようにする防御の役割を果たしているそうです。

こうした植物それぞれの生存戦略はまさに多種多様で、昔から植物達は様々な環境で生き残ろうとしてきたのですね。どんな厳しい環境でも生き残ろうとする知恵は私達も見習っていきたいものです。