「ひまわりは太陽に向かって咲く」と言われているのを聞いたことがある方はいらっしゃいますか。なぜこのように言われているのでしょうか。ギリシャ神話では、太陽神アポロンに恋した女性クリュティエが空の道を黄金の馬車で東から西へと駆け抜ける姿を目で追い続けたところ、ひまわりの花になってしまったということが由来とされています。

しかし実際には、茎に含まれる成長ホルモン「オーキシン」によるものであることがわかっています。オーキシンは太陽の光が当たらない茎に多く集まるため、日が当たらないほうの茎の成長が促され、お花が太陽のある方向に曲がるという仕組みです。ただし、お花が咲くタイミングで茎の成長がストップするため、一度お花が咲くとお花の向きが変わることはありません。

このような特性を持つことから、1660年代後半にひまわりが日本へ渡ってきたときには「日輪草」「迎陽花」「日車」そして「日周り」などと名付けられました。その後、ひまわりと同じように太陽の方へ向かって花を咲かせる葵科の植物が存在することから、「向日葵」と表記されるようになったのです。ちなみに、中国語でも日本語同様にひまわりは「向日葵」と書きます。

海外でもひまわりの呼び方は太陽にちなんだものばかりです。英語ですと「sunflower」で直訳すると「太陽（sun）の花（flower」ですし、学術名は「helianthus(ヘリアンサス)」で、ギリシャ神話の太陽神「Helios（ヘリオス）」に由来します。ちなみに、前述したアポロンとヘリオスは異なる神様ですが、紀元前4世紀ごろから同一視されどちらも太陽神とされています。

フランス語では「soleil(ソレイユ)」といい、「太陽」を意味しますが文脈によってはひまわりを指していることがあります。ラテン語を語源とするスペイン語とイタリア語は似た言葉が多く、ひまわりもその一つ。スペイン語では「girasol(ヒラソル)」、イタリア語では「girasole」と呼び、どちらも「向く」という意味の「girar(スペイン語)」「girare(イタリア語)」と太陽を意味する「sol(スペイン語)」「sole(イタリア語)」の組み合わせです。「太陽を向く」という意味では、日本語と共通していますね。

世界的に見ても、ひまわりと太陽の関係性は強いと考えられていることがわかります。そのため、ひまわりは「切っても切れない縁」を表すお花だといわれています。親しいご友人やお付き合いが長いパートナー、重要なお取引先の方など、これからもずっと関係を築いていきたい大切な方には、ひまわりの花束をお贈りしてみてはいかがでしょうか。より一層強い絆で結ばれ、末長いお付き合いができるかもしれません。