地球上に生息するお花のなかでも、最も美しいと言われているバラ。「花の女王」とも呼ばれており、古くから多くの人々の心を捉えてきました。贈り物の花束やフラワーアレンジメントに用いられる以外にも、プロポーズや恋人へ愛を伝えるときも贈られています。これは、バラ全体に「美」「愛情」という花言葉が付けられていることが影響しているかもしれません。よって、バラはロマンスを彷彿するお花というイメージをお持ちの方は多そうです。しかし、バラには平和への願いが込められていることをご存知でしょうか。

例えば、ドイツでは白いバラを平和の象徴と考える人は多いのです。これは、第二次世界大戦のドイツ・ミュンヘンで行われた反ナチス運動「白バラ運動」「白バラ抵抗運動」に由来します。白バラ運動は、ミュンヘン大学の学生たちが戦争終結を呼びかけるチラシを作成し、ドイツ国内やオーストリアで配布したというものです。残念なことに、この運動は失敗に終わりましたが、戦後、多くのドイツ人に知られることとなりました。現在でも、白バラ運動の記念日である2月22日には、多くの人々が主要メンバーの写真と白いバラの写真をSNSにアップしています。

また、平和の祈りを込めた名前が付けられたバラもあります。日本でよく知られている品種は「アンネの思い出」「アンネのバラ」という名前を持つバラで、第二次世界大戦中にナチスの迫害から逃れるべく隠れ家に身を潜めた少女アンネ・フランクに捧げられました。彼女の父親であるオットー・フランクによって、1975年に東京都杉並区の中学校に贈られましたので、日本にとっても縁のあるバラと言えるでしょう。

アンネのバラからは、品種改良によって「プレイ（pray、祈りという意味）」「セント・コルベ」というバラも生まれており、アンネのバラとともに「平和のバラ3姉妹」と呼ばれ、平和活動の一環として育てられています。ちなみに「プレイ」は平和を祈るという意味で、「セント・コルベ」は第二次世界大戦中にユダヤ人を収容していたアウシュビッツ収容所において、あるユダヤ人の身代わりとなって殺害された神父です。セント・コルベは長崎でキリスト教を宣教していたこともあります。

このように、バラには平和への思いが込められていますから、平和に関する式典やイベント、講演会などではバラの花束をお贈りしてみてはいかがでしょうか。争いのない関係性を築けるよう、お仕事関係やご家族、ご友人にお贈りするのもおすすめです。平和な関係性を築ければ、世の中から争いごとが減るかもしれませんね。