多くの美しいお花のなかでも、特に人気が高いバラの花。幾重にも重なる花びらが豪華な印象で、その佇まいから「花の女王」とも称されるほどです。特に赤いバラの花は、情熱的な雰囲気を持つため、強い愛情を表現するときに用いられています。プロポーズのときに、赤いバラの花束を贈るというシーンを映画などで見たことがあるという方は多いかもしれません。実際、ヨーロッパの国々ではバラの花束を差し出してプロポーズするシーンはよく見られます。

では、なぜ、赤いバラはプロポーズのときに使われるのでしょうか。諸説ありますが、一つは、ギリシャ神話に由来します。ギリシャ神話に登場する愛と美、性を司る女神ヴィーナス（アプロディーテ）は、白いバラとともに海の泡から生まれました。ヴィーナスは、武神・マルスという愛人がいましたが、美少年アドニスにも恋をします。すると、マルスは嫉妬心から野生のイノシシを放ち、アドニスを殺してしまいました。そのとき、ヴィーナスがアドニスを助けようと裸足で岩場を走って駆け付けたため、出血し、彼女が踏んだ白いバラが赤く染まり、赤いバラになったと言われています。また、アドニスの死を悲しんだヴィーナスが赤い涙を流したため、白いバラが赤く染まったという説もあります。この神話から、赤いバラは愛を象徴する花となりました。

このように、赤いバラは愛情を表す花として知られ、人々は、恋人に赤いバラの花を贈って自分の愛情を示すようになりました。赤いバラに関するエピソードで有名なのが、ヨーロッパの黒海沿岸の国・ジョージアの画家であるニコ・ピロスマニのエピソードです。貧しい画家であったピロスマニは、マルガリータという女優に恋をし、自分の家具や絵の具を売り払い、町中の赤いバラを買い占めて彼女に贈りました。このエピソードは歌手の加藤登紀子さんが歌ってヒットした「百万本のバラ」という歌のモデルとなりました。

赤は「情熱」を表す色であることも、赤いバラは情熱的な愛情を表現するのに、適しているのかもしれません。また、赤いバラには「愛情」「あなたを愛します」といった花言葉のほかに「熱烈な恋」という花言葉も持っています。プロポーズはもちろんのこと、愛する女性に赤いバラの花をお贈りしてみてはいかがでしょうか。奥様のお誕生日にプレゼントするのもおすすめです。愛情を示す言葉をなかなか口にできないという方でも、赤いバラの花束をお贈りすれば、相手の方に対する愛情が伝わるかもしれません。