世界中で古くから人々に愛されてきたバラの花。贈り物として選ばれているだけでなく、ご自身でバラを育てて楽しむ方もいらっしゃいます。絵画に描かれることもあり、特に、1800年代に活躍した画家のルドゥーテは数多くのバラを描いた作品を残し、「バラの画家」として記憶されています。また、ルネッサンス期のイタリアの画家であるボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」に白いバラが描かれていることをご存知の方は多いのではないでしょうか。白いバラは、ギリシャ神話に登場する愛と美、豊饒の女神・ヴィーナス（アフロディーテ）とともに生まれたと言われているため、この作品に白いバラが描かれたのでしょう。

神話ではヴィーナスとともにバラが生まれたとされていますが、実際には、バラがいつ頃から存在していたかははっきりとはわかっていません。しかし、少なくとも3,000万年前には既に、北半球のさまざまな地域にバラが生息していたようです。また、バラの原種は南半球では見つかっておらず、植物の遺伝的な変異の状況から、ヒマラヤの山の麓や渓谷がバラの生まれ故郷である可能性が高いと言われています。

歴史を覗いてみると、人々は非常に古くからバラに親しんでいたことがわかります。紀元前3000年頃のエジプトにある墓地から、バラの花束の遺物が発見されました。また、同時期に栄えたメソポタミア文明に書かれた「ギルガメッシュ叙事詩」には、バラの棘に関する記述があり、世界史におけるもっとも古いバラに関する記述と言われています。バラの栽培の歴史も古く、紀元前1200～1100年頃にはペルシアで、紀元前500年頃には中国・周王朝の宮殿にてバラの栽培がなされていました。日本においては、平安時代に描かれた「源氏物語」にバラが登場し、読み解くと中国から渡ってきたバラを栽培していたことがわかるという説もあります。

人工交配により、新たなバラの品種が生み出されるようになったのは、1800年代のフランスです。フランス革命の英雄・ナポレオンの妻であるジョセフィーヌによってバラの交配がなされ、現在のバラの基礎を作り上げました。

こうしてみると、非常に多くの人々がバラに魅了されてきたことが見えてきます。現代の日本でも、バラの花の人気は高く、あるマーケティングを手掛ける団体が実施した調査では、バラの花の人気は、桜に次いで2位という結果が得られました。多くの人々に愛されているバラの花をお贈りすれば、相手の方に大変喜んでいただけそうですね。お花をお贈りするときには、バラの花を贈り物に選んでみてはいかがでしょうか。