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蘭の植え替えの方法は? 種類ごとのポイントや注意点も紹介

贈り物として日本で最も人気の花のひとつとして、蘭が挙げられます。
贈り物などでいただくことも多いですし、季節になるとお花屋さんにもたくさんの種類が並びますから、気に入った鉢を買ってみたという方も多いでしょう。

この記事では、蘭の基本的な情報をはじめ、植え替えの方法、種類ごとのポイント、植え替え後の管理のコツをご紹介して行きます。

蘭の植え替えについて詳しく知りたい方はもちろん、これらから蘭を育ててみようと考えている方にも有益な情報を提供していきますので、最後までお楽しみください。

蘭の基本的な情報

はじめに、基本的な情報として、蘭の代表的な種類や特徴をご紹介します。

この記事では以下に挙げる種類を中心に蘭の植え替えについて述べていきますが、その他の種類にも応用が可能な方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

蘭のグループ分け

蘭の管理方法について知る前に、お手元の蘭がどのグループに属するのかを把握しておきましょう。

蘭は、「着生蘭」と「地生蘭」のふたつのグループに大別されます。

「蘭」とひとくちに言っても、その管理方法はどちらのグループに属するかで大きく異なりますので、十分注意しましょう。
まずはそれぞれのグループについて、基本的な知識をお伝えして行きます。

着生蘭

着生蘭は、主として熱帯から亜熱帯にあたる地域を原産とし、木や岩の表面にしがみつくように根を張って成長する蘭のグループです。

人気の高い西洋蘭の多くはこのグループに属し、コチョウランをはじめ、デンドロビウムやオンシジウム、カトレアなどがそれにあたります。

乾燥しがちで貧栄養な環境に対応するため、水分や養分を貯蔵できるよう、根や茎・葉などの組織が肉厚に発達しています。

これらの着生蘭は、土に根を下ろす植物ではないため、通常の園芸用土に植えてはいけません。

一般的には、用土の代わりに水苔を用いた栽培方法がよく用いられます。

他にも、本来の生態に則してコルクやバーク等の樹皮に着生させる方法や、ハンギング可能なバスケットに着生させる方法も人気があります。

地生蘭

地生蘭は、温帯から熱帯にかけて広域に分布するグループで、多くの植物と同様に土に根を下ろして成長します。

西洋蘭に加え、日本にも自生するポピュラーな東洋蘭の一部も地生蘭にあたります。

シンビジウムやパフィオペディラムなどの西洋蘭、そして、エビネランやシュンランなどの温帯性の蘭がこのグループに属します。
種類によって生息する場所の土壌環境が異なるため、それぞれに適した用土を選び植える必要があります。

着生蘭の種類

蘭の種類として一般的にイメージされるものの多くは、着生蘭のグループに属します。

樹木や岩などに「着生」するという特徴は奇妙に感じられるかもしれませんが、ポイントさえ押さえれば、通常の花や観葉植物などとさほど変わらない管理で育てていくことが可能です。

ここではまず、着生蘭の代表的な種類をご紹介しましょう。

コチョウラン

着生蘭の代表種であるとともに、蘭全般の中でも最も有名でポピュラーな種類と言えるのがこのコチョウラン(胡蝶蘭)でしょう。

コチョウランは、本名をファレノプシス・アフロディテ(Phalaenopsis aphrodite)といい、存在感溢れる大きな花を数十個並べて咲かせる様子が圧巻の蘭です。

属名のファレノプシスは「蛾のような」という意味で、花の形状から連想してつけられたものであり、また種名のアフロディテは、ギリシャ神話の美と愛の女神にちなんだものです。

和名のコチョウランは、花の形状が蝶のようであることからつけられたものですが、属名の由来と比較すると面白いですね。
原種は白い花をつけますが、現在出回っているものにはファレノプシス属の他の種類などと交配させた美しい品種が豊富に存在し、花の色彩も多様になっています。

その高級感から、祝い事の際の贈り物としても大変人気が高く、さまざまな場面で目にします。

東南アジアを中心に生息するこの仲間は、熱帯気候がふるさとですので、日本の冬場の低温には注意しましょう。

デンドロビウム

デンドロビウムは、デンドロビウム属(Dendrobium)に分類される蘭の総称です。

古代ギリシャ語をで木を意味する「dendron」と、生きることを意味する「bios」を組み合わせた名前になっており、デンドロビウムが樹上などに根を張り生きる着生蘭であることにちなんでいます。

多くの種類が、「偽鱗茎」や「バルブ」などと呼ばれる肉厚な茎を伸ばし、その先に品種ごとに十人十色とも言うべき様々な色・形の花を複数つけます。

コチョウランなど他の着生蘭に比べてコンパクトであることから、自宅での栽培用としても手を伸ばしやすく、多くの園芸家に親しまれています。

なお、デンドロビウム属には日本に自生するセッコクも含まれます。

オンシジウム

オンシジウムは、オンシジウム属(Oncidium)に分類される蘭の総称です。

古代ギリシャ語で塊や腫れを意味する「onkos」が名前の語源であり、多くの種類が卵型のバルブを備えていることからつけられました。

黄色い小さな花を数多く咲かせる品種がよく普及していて、切り花をはじめ、園芸店などで苗が売られている様子も頻繁に見られます。

原種の種類が豊富なことに加え、品種改良も盛んに行わてきた歴史があり、バリエーション豊富な色彩の花を楽しむことができます。

カトレア

カトレアはカトレア属(Cattleya)に属する蘭の総称で、中南米を中心に生息する、日本でも非常に人気の高い蘭のひとつです。

紫色を中心に気品あふれる色彩の本種が多く出回っており、栽培用として支持を集めています。

切り花としても利用可能ですが、花茎はそれほど長くないため使用できる場面が少々限られることから、栽培する楽しみ方がより一般的であるようです。

蘭の中では比較的コンパクトで育てやすく、園芸初心者からベテランまで広く人気のある種類です。

花は大きめですが、同時に咲く数は比較的少なく、切り花としてもコンパクトで可愛らしい印象を与えます。

地生蘭の種類

地生蘭は、土に根を下ろすという点では、一般的な植物と同様で管理方法や植え替えの仕方もおおまかにイメージできるかもしれません。

ただし、通常の花や観葉植物と比較して、少々異なる管理方法が要求される部分ももちろんあります。

ここではまず、地生蘭の一般的な種類を確認しておきましょう。

シンビジウム

シンビジウムは、厳密には半地生蘭とされるシンビジウム属(Cymbidium)に分類される蘭の総称です。

属名のシンビジウムは、ラテン語で「小さなボート」または「小さなボウル」という意味で、花に見られる唇弁という箇所がまるで小さな入れ物のような形状をしていることに着目した命名になっています。

一般に園芸用に出回っている品種は厳密には半地生蘭といって、着生蘭と地生蘭の中間的な生態を持つものが多いとされますが、育成する上では地生蘭の管理方法をベースにすると良いでしょう。

みずみずしく存在感のある花をたくさん咲かせることで好まれる品種が多く、花の大きさや色彩も品種によって様々です。

パフィオペディラム

パフィオペディラムは、ユニークな花の形からコアなファンからの支持が高い、代表的な地生蘭のひとつです。

パフィオペディラム属(Paphiopedilum)に分類される蘭の総称で、多くの種が共通して袋のような形状をした唇弁を持っていることで人目を引きます。

属名はキプロスの都市「Paphos」と、スリッパを意味する古代ギリシャ語「pedilon」に由来します。

また、英語圏では「Venus slipper(ヴィーナスのスリッパ)」と呼ばれることもあり、その花の形状の独特さに世界中が着目していることを示しています。

切り花として見かける機会はあまり多くありませんが、蘭がお好きな方にはぜひ手にとってみてもらいたい種類です。

シュンラン

シュンラン(Cymbidium goeringii)は、シンビジウム属に分類される蘭ですが、日本をはじめ中国、台湾、韓国などに自生していることから、古くから親しまれている地生蘭です。

西洋蘭のような華やかさやとは異なり、野趣あふれる風貌で根強い人気のある蘭です。

花を鑑賞する品種、特徴的な葉を鑑賞する品種などがあり、また日本庭園などに字上されて栽培されている例もあることから、古くから多様な楽しみ方が編み出されてきた種類と言えるでしょう。

切り花として見かける機会はほとんどありませんので、楽しみたい場合は園芸用に販売されている苗を入手して育成してみましょう。

番外編・クンシラン

一般に「蘭」という名前で流通しているものの、実際には蘭に分類されない植物は少なからずあります。

その一例が、クンシラン(君子蘭,Clivia miniata)です。

オレンジ色の大きな花を豪華に咲かせる様子は、確かに蘭のようではありますが、クンシランはラン科ではなくヒガンバナ科の植物です。

クンシランは大変強健で育てやすく、よく花をつけることから園芸植物として明治時代から長い間、日本で親しまれています。

そのため、蘭の一種であると誤解している方が多い植物のひとつでもあります。

クンシランは地生の植物であるため、植替えの際は適した用土を使用しますが、通常の管理は蘭とは少々異なる点もありますので、十分注意しましょう。

蘭の植え替え

お祝いの品などでもらった蘭の多くは、水苔を使って鉢に植えられています。

しかし、水苔はそれほど長持ちする植え込み素材ではないため、蘭と長く付き合っていきたい場合は、しっかり植え替えをすることが大切です。

植え替えの方法を知り、毎年美しい花を楽しめるようにしたいものですね。

ここでは、着生蘭と地生蘭に大きく二分して、植替えの方法を説明していきます。

なお、植え替えは冬季や真夏を避け、春に行うのが理想です。

着生蘭の植え替え

着生蘭にあたる、コチョウラン・デンドロビウム・オンシジウム・カトレアなどを植え替える際に注意すべきは、やはり植え込み素材が特殊なことです。

本来木や岩の上に根を張る生態に合った植え込み素材を用意してあげましょう。

用意するもの

2年に一回程度の植え替え頻度が苦にならない方であれば、水苔を用意しましょう。

水苔は、傷んでしまうまでの期間が少々短いものの、保水性に優れることや、微量な栄養素を含んでいることから、着生蘭の育成に適しています。

水苔に植える場合は、通気性を確保するため、鉢は素焼きのものが最適です。

一方、バークを使う方法もありますが、その場合の鉢は保水性を確保するためにプラスチック製のものを選ぶと良いでしょう。

植え替えの手順

まずは、古い鉢の植え込み素材ごと蘭を引き抜きます。

植え込み素材が傷んでいたり、根が枯れてしまっている部分を丁寧に取り除き、元気な根のみを残します。

水苔を使う場合は、根の周りを取り囲むようにして水苔を巻きつけ、それを素焼き鉢に押し込むようにして植えます。

水苔の量は、水苔が鉢の壁面に隙間なく固く詰め込まれる程度にするのが理想です。

バークを用いる場合は、通常の植物の植え替えとほとんど同じ要領で作業が可能です。

水苔の場合と同じように古い植え込み素材と枯れた根を除去したら、新しい鉢の中央に蘭を据え、周りにバークを敷き詰めていきます。

その後の管理

植え替え後、少しの間は水やりを少なめにして様子を見て、徐々に通常の量まで戻していきます。

また、植え替え直後に肥料を与えるのは避けましょう。

地生蘭の植え替え

シンビジウム・パフィオペディラム・シュンランを始めとする地生蘭は、着生蘭に比べて特別な方法は必要ありません。

ただし、使用する用土は少々変わったものになりますので、選ぶ際には気をつけましょう。

通常の園芸用の用土は地生蘭には合わず、調子を崩してしまったり、最悪の場合枯れてしまう場合もあるので注意します。

用意するもの

植え替える種類に適した用土を用意します。

地生蘭のために配合されたものを購入しても良いですし、軽石・バーク・鹿沼土など、通水性と通気性が良好で貧栄養な用土をブレンドして作ってみても構いません。

鉢はプラスチック製のものや駄温鉢がよく利用されます。

植え替えの手順

まず、古い鉢から蘭を引き抜きます。

古い用土と、枯れてしまっている根を除去し、健康な根だけを残しましょう。

その後、新しい鉢の中心に植え替える蘭を据え、周囲に用土を詰め込んでいきます。

なお、古い鉢の用土が傷んでおらず、まだ使える状態であった場合、根を崩さずに一回り大きな鉢に入れ、その周囲に新しい用土を詰めるという方法もできます。

その後の管理

着生蘭と同様に、植替えの直後は水やりや施肥を控えて管理し、徐々に通常の管理に戻していきましょう。

蘭の購入はflower gift labで

ここまで、蘭を植え替えて長く楽しむ方法をお伝えしてきました。

実際に蘭を購入してみたいと思ってくださった方へ、最後におすすめの通販サイトをご紹介して終わろうと思います。
近年では、蘭はもちろんのこと、様々な園芸植物の鉢植えをインターネットから注文できるようになっています。
ここでは、おすすめの通販サイトであるflower gift labで蘭を購入するメリットをお伝えしていきます。

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まとめ

今回は、蘭の基本的な情報をはじめ、植え替えの方法、種類ごとのポイント、植え替え後の管理のコツなどに焦点を合わせてお伝えしてきました。

蘭は花を楽しむ園芸植物のなかでも特にポピュラーでありながら、その種類の豊富さや生態の多様さから熱狂的なファンも多いという、大変奥深い植物です。

この記事をきっかけに蘭に興味を持ってくださった方には、ぜひ蘭の育成に挑戦してみてほしいと思います。