オリーブに耐寒性はある?耐寒温度と下対策・冬の栽培のコツを解説
オリーブの木は地中海沿岸原産の常緑樹で、寒さに弱いイメージがありますが、実は日本でも栽培できる品種が60種類以上あると言われています。
オリーブの魅力は、1年中美しいシルバーグリーンの葉を楽しめること。また、春から初夏にかけて白やクリーム色の可憐な花を咲かせ、秋には実をつけます。
そこで本記事では、比較的寒さに強く日本で栽培しやすいオリーブの品種や、冬越しのコツなどを詳しく解説します。ぜひ参考にして、オリーブ栽培に挑戦してみてくださいね。
オリーブの基本データ
オリーブは以下のような特徴を持つ植物です。
科/属 | モクセイ科/オリーブ属 |
英名 | Olive |
原産地 | ギリシャ、イタリア、スペインなどの地中海地方 |
開花時期 | 5~6月頃 |
花言葉 | 知恵、安らぎ、平和 |
誕生花 | 5月26日 |
オリーブは非常に歴史の古い植物で、旧約聖書の「ノアの箱舟」やギリシャ神話にも登場します。また、古代エジプト文明のハムラビ法典にもオリーブの木が刻まれていることから、約8000年以上前から人類と関わりのある植物だと考えられています。
シルバーグリーンの葉を1年中楽しめるオリーブは、ハイセンスな見た目からインテリアやガーデニングでも人気があります。品種によって雰囲気が異なるので、好みに合わせて選ぶことができるのも魅力の一つです。樹高は2m以上になるものが多く、中には10mを超える大木もあります。
参考:オリーブの耐寒性は?日本に適している品種や栽培のポイント | 胡蝶蘭・スタンド花のプレミアガーデン
オリーブの耐寒性
オリーブは一般的に耐寒性があり、−5℃程度までの寒さには耐えることができますが、−10℃以下になるとダメージを受ける可能性があります。
寒冷地でオリーブを育てる場合、特に冬の管理が重要です。寒さが厳しい地域では、鉢植えにして寒い時期には室内に取り込むか、地植えの場合は霜よけを行うことが推奨されます。また、オリーブは風に弱いため、強風から守るための対策も必要です。適切な管理を行えば、オリーブも寒冷地で元気に育てることができます。
耐寒性のあるオリーブ品種
オリーブは、世界中に約1500以上の品種があると言われています。ここでは、耐寒性があり、日本でも育てやすいオリーブの品種をいくつかご紹介いたします。
フラントイオ
フラントイオは、イタリアのトスカーナ地方原産のオリーブ品種です。実付きが良く、果実からとれるオイルの含有量も多いのが特徴です。
この品種は環境適応性が高く、世界各地で栽培されています。果実は小ぶりな卵型をしており、主にオリーブオイルの原料として利用されます。
また、フラントイオは自家結実性があるオリーブ品種の一つです。オリーブは一般的に自家不和合性が多く、結実のためには複数品種の植栽が必要ですが、フラントイオは単独でも実をつけることができます。
ただし、近くに他の品種を植えることで、より高い結実性が期待できます。厳しい寒さにも強く、零下10度程度までは耐えられるため、比較的寒冷地でも栽培が可能な品種と言えるでしょう。
レッチーノ
レッチーノ(Leccino)はイタリア原産の希少なオリーブ品種の一つです。
樹形は美しい円錘形に整えやすく、まとまりやすいのが特徴です。花付きがよく、花粉量が多いため、他のオリーブ品種の受粉樹としても適しています。
果実の収量性が高く、たくさんの実をつけやすい品種といえます。
実はオリーブオイル用途が主ですが、塩漬けにも利用可能です。
-耐寒性に関する具体的な情報は参考資料からは得られませんでした。ただし、イタリア原産の品種であることを考えると、ある程度の耐寒性を備えているものと推測されます。
以上のように、レッチーノは美しい樹形と豊産性を兼ね備えた優れたオリーブ品種といえるでしょう。栽培する際は、受粉樹としても活用できる点も覚えておくとよいでしょう。
アルベキナ
アルベキナは、スペイン原産の高級オリーブオイル用品種です。コンパクトな葉が密に茂る樹形が特徴的で、希少価値の高い品種となっています。
この品種の特長は以下の通りです。
・果実は小粒だが、油分含有率が高い ・豊産性で実付きが良く、鈴なりに実る ・観賞価値も高く、低木性で管理がしやすい ・鉢植えや垣根仕立てに適している ・発芽性が良く、刈り込むと密な樹形になる
アルベキナは1本でも結実しますが、より豊かな実りを得るためには異なる品種と近接して植えることをおすすめします。
ミッション
ミッションはアメリカ原産のオリーブ品種です。直立性があり、上へ上へとバランス良く成長するのが特徴です。葉の裏が白いため、遠くから見ると細長い葉が銀色に輝いて見え、とても美しい品種です。
ミッションは樹勢が強いので、シンボルツリーなどの観賞用に適しています。また、実も中粒で晩生の品種なので、オリーブオイルの生産にも使われています。
耐寒性・耐乾性にも優れており、育てやすいオリーブの品種と言えるでしょう。初心者の方にもおすすめの品種の一つです。
ミッションの特徴をまとめると以下の通りです。
・直立性で上へ上へと成長 ・葉裏が白く銀色に輝いて見える ・シンボルツリーに適した品種 ・実は中粒で晩生 ・耐寒性・耐乾性に優れる ・初心者でも育てやすい
コロネイキ
コロネイキは主にギリシャで生産されるオリーブの品種のひとつです。他のオリーブと比べて果実の大きさが小さいのが特徴で、通常1~2gほどしかありません。そのため、果実から搾油できるオリーブオイルの量も少なくなります。
コロネイキから作られたオリーブオイルは希少性が高く、高級品として扱われています。味わいはフルーティーで繊細な香りを持つのが特徴的です。
この品種のオリーブの木は成長が早いのですが、寒さには弱いという性質があります。そのため、栽培には気温が3度以上ある暖かく乾燥した環境が適しているとされています。小ぶりで愛らしい葉をつけるため、観賞用としても人気の品種です。
インテリアグリーンとしてオリーブの木を育ててみるのもおすすめですが、寒冷地では鉢植えにして屋内で管理する必要があるでしょう。
オリーブが冬枯れしているか見分ける方法
オリーブの葉が茶色くなったり、枝が枯れているように見えたら、冬枯れを疑います。しかし、春先まで待ってみると新芽が出てくることも。本当に枯れているのか見極めるポイントは以下の通りです。
- 枝を軽くひねってみる
枝が柔らかく簡単にポキッと折れてしまう場合は枯死している可能性が高いです。一方、しなやかに曲がる場合は生きている証拠です。
- 枝や幹の一部の皮をめくってみる
皮の下が緑色なら生存している可能性が高いですが、茶色くなっていたら枯死のサインです。
- 葉や枝を指で強くこすってみる
生きていれば、こするとみずみずしい緑色が出てきます。一方、枯れていると茶色いままです。
以上の方法で見分けられますが、春まで様子を見るのが確実です。冬の間は過湿や低温に気をつけ、春の新芽を待ちましょう。
オリーブの冬越し対策
暖かい場所で育つイメージのあるオリーブですが、耐寒性の高い品種もあり、日本の冬もある程度は耐えられます。しかし、雪の多い地域などでは雪や霜で枯れてしまう可能性もありますので、冬を越すための対策が必要です。
ここでは、オリーブを冬越しさせるための対策について紹介いたします。
置き場所の選定
オリーブは日光を好む植物なので、冬越しする際は日当たりの良い場所を選ぶことが大切です。理想的なのは、日中は日光に当たり、夜間は霜が降りにくい、風通しの良い場所です。
具体的には以下のような場所が適しています。
・南向きの軒下や塀際 ・ガレージや倉庫の中 ・ビニールハウスや温室 ・日当たりの良い屋内の窓際
一方、以下のような場所は避けましょう。
・日陰になりやすい場所 ・霜が降りやすい低地や窪地 ・強風が当たる場所 ・暖房の風が直接当たる場所
オリーブを健康に冬越しさせるには、できるだけ日光に当てつつ、霜や寒風から守ってあげることが肝心です。置き場所選びの際は、そのバランスを考えながら最適な環境を用意してあげましょう。
参考:オリーブの耐寒性は?日本に適している品種や栽培のポイント | 胡蝶蘭・スタンド花のプレミアガーデン
冬季の水やり
オリーブは冬になると休眠期に入るため、水やりの頻度を減らすことが大切です。
鉢植えの場合、週1回程度が目安。具体的な方法は以下の通りです。
・土の表面が乾いているか確認し、乾いていれば水をあげる ・水やりは日中の暖かい時間帯に行う
一方、地植えの場合は冬場ほとんど水やりは不要。降雨や地中の水分で十分賄えるためです。
ただし、冬でも土が極端に乾燥しているようなら、たまに水をあげると良いでしょう。水のあげ過ぎには注意が必要です。
オリーブは寒さに比較的強い樹木ですが、冬季の水管理を適切に行うことで、春の新芽の成長をサポートできます。また、冬の間も日当たりの良い場所で管理するのが理想的と言えるでしょう。
適切な剪定
オリーブの冬越し対策として、適切な剪定を行うことが大切です。剪定は主に春と秋の年2回行います。
春の剪定は3〜4月頃に行います。枝が混み合っている部分や込み入った枝を中心に切り落とし、風通しを良くしてあげましょう。強めの剪定を行うことで、夏の生育が促進されます。
一方、秋の剪定は9〜10月頃に行います。この時期は弱めの剪定にとどめ、枝の整理や形作りを中心に行います。強めに剪定してしまうと、冬の寒さに弱くなってしまう可能性があるので注意が必要です。
剪定の際は、以下の点に留意しましょう。
・枝が込み合っている部分は思い切って間引く ・胴吹き(幹から直接出てくる枝)は早めに取り除く ・枝の先端から30cm程度を残して剪定する ・剪定バサミは清潔に保ち、切り口を整える
適切な剪定を行うことで、オリーブを美しい樹形に保ち、健康的に育てることができるでしょう。
植え替えの注意点
オリーブを植え替える際には、いくつかのポイントに注意することが大切です。
まず、植え替えの時期は春か秋が適しており、真夏や真冬は避けた方が良いです。気温が穏やかな3〜5月頃や9〜11月頃がベストタイミングです。オリーブは根が弱いため、植え替え作業では根を傷めないように注意深く行いましょう。根鉢を崩さないように丁寧に扱い、万が一土が落ちてしまった場合でも、直接根を触らないよう心がけます。
また、根が乾燥すると枯れるリスクがあるため、作業は素早く進め、根が長時間空気に触れないようにしましょう。
新しい鉢は、オリーブの成長速度を考慮して2〜3号大きめのものを選ぶのがおすすめです。植え替え後は、根が弱っているのでたっぷりと水を与え、その後も水切れしないようにこまめに水やりを行います。
このように、適切な時期の選択と、根を守る丁寧な作業が、オリーブを元気に育てるための重要なポイントです。植物の特性を理解し、最適な環境を整えることが成功の鍵と言えるでしょう。
防寒対策の方法
オリーブは耐寒性がある観葉植物ですが、冬の寒さ対策は必要不可欠です。防寒対策の方法としては以下のようなものがあります。
■鉢植えの場合 ・霜の降りる時期は、こまめに室内に取り込む ・常に日の当たる場所で管理する ・根元にワラなどのマルチングをする
■地植えの場合
・木の周りにワラなどのマルチングをする ・幹に麻袋などを巻いて保温する ・防寒用の不織布などで覆う
いずれの場合も、霜よけ対策が肝心です。霜により葉や枝が凍ってしまうと、枯れる原因となります。オリーブが健康に冬を越せるよう、しっかりと防寒対策を行いましょう。
春に向けて元気に成長してもらうためにも、オリーブの耐寒温度の限界を知り、それに合わせた冬越し対策を講じることが大切です。寒さ対策を適切に行えば、オリーブは十分冬を乗り越えられる丈夫な植物なのです。
人気のオリーブを通販で購入する時のポイント
オリーブの木は人気の観葉植物として通販でもよく売られています。購入する際は以下の点に注意しましょう。
- サイズに気を付ける
- 日光の確保できる場所があるか
- 配送方法にも注意
以下で詳しく紹介します。
サイズに気を付ける
通販では、小さな苗木から大きな鉢植えまでさまざまなサイズのオリーブが販売されています。小さな苗木は成長を楽しむことができますが、耐寒性を考慮すると、ある程度大きく成長したオリーブのほうが寒さに強い傾向があります。寒冷地で育てる場合は、少し成長したサイズのオリーブを選ぶことをおすすめします。
また、設置場所が狭い場合には、オリーブが成長したことも想定して購入する必要があります。冬越しする場合、屋外から室内にオリーブを入れてあげる必要あるため、屋外に置く場合でも、オリーブのサイズは確認しておいた方が良いでしょう。
日光の確保できる場所があるか
オリーブは日光を好む植物です。購入前に、置き場所として十分な日光が確保できる場所があるか確認しましょう。耐寒性のあるオリーブでも、日当たりの良い場所で育てることで、さらに元気に育ちます。さらに、冬場の寒さが厳しい地域では、室内での栽培や寒冷対策を講じることが重要です。屋外で育てる場合は、鉢植えでの栽培を選び、寒さが厳しい時期には室内に移動できるようにしておくと安心です。
配送方法にも注意
通販で購入する場合、配送方法にも注意が必要です。特に寒冷地では、冬の時期に植物を配送すると、寒さによるダメージを受けることがあります。可能であれば、配送時期を春や秋などの穏やかな季節に設定するか、配送中の保温対策がされているショップを選びましょう。
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