室内グリーン向きのエバーフレッシュを育てよう。
近年インテリアグリーンとして人気が高い、エバーフレッシュという観葉植物をご存じでしょうか?
清涼感のある姿が魅力的なエバーフレッシュは、夜に葉を閉じる性質を持つネムノキの仲間です。繊細な葉からやさしげな雰囲気も漂うエバーフレッシュは、室内でも育てられるインドアグリーン向けの観葉植物になります。
ナチュラルテイストの部屋にも、スタイリッシュな雰囲気の部屋にも似合う室内向きのエバーフレッシュについて、今回は基本的な育て方や特徴についてご紹介したいと思います。
エバーフレッシュの基本情報
科・属 | マメ科・コヨバ属 |
和名 | 赤莢合歓木(あかさやねむのき) |
英名 | Pithecellobium confertum ever fresh |
学名 | Cojoba arborea var. angustifolia |
原産地 | 熱帯アメリカ |
エバーフレッシュの特徴
ブラジルやボリビアなどの熱帯アメリカを原産地とするエバーフレッシュは、マメ科・コヨバ属に分類される樹木です。
幹は華奢でスタイリッシュな雰囲気があり、つやつやとした深緑色が美しい葉を持っています。葉の形状は鳥の羽のようで、細かな葉がきれいに整って並んでいる繊細な姿も、エバーフレッシュが人気の理由のひとつだとされています。
エバーフレッシュのほっそりとした柔らかい幹の性質を利用して作られた、曲がり幹の鉢植えはさらにインテリア性に優れており、人気が高いです。
観葉植物を育てるのにまだ不慣れな方でも比較的育てやすいため、初めて育てるインテリア用の観葉植物として、エバーフレッシュを選ぶ人も増えていますよ。
観賞用のエバーグリーンは、大きなものでも部屋のシンボルツリーになるほどのサイズ感ですが、自生するエバーフレッシュは樹高が30メートル以上に及ぶこともあります。
夜に葉を閉じる「就眠運動」
エバーフレッシュの最たる特徴ともいえるのが、「就眠運動」です。
エバーフレッシュの葉は、葉柄の両側に細い葉がいくつも連なる「羽状複葉(うじょうふくよう)」と呼ばれる形状をしていますが、この鳥の羽のような左右の葉を、夜になるとゆっくりと閉じていき、まるで眠るような姿を見せます。反対に、朝になれば葉がゆっくりと開いていきます。
自生するエバーフレッシュは、水分の少ない環境下で日中に蓄えた水分が蒸発しないよう、夜の間に葉を閉じているのです。
昼と夜で異なる表情が見られるエバーフレッシュは、この珍しい性質によって人気が高まったといっても過言ではないでしょう。
朝に起きて、夜になると就寝する私たち人間の一般的な生活リズムに似ていて、なんだか親近感が湧きますよね。植物は生きているものだと分かってはいますが、こうして朝夕の動きがあることにより、同じリズムで一緒に生活していると愛着が湧いてきます。
マメ科の植物には多い性質
この就眠運動ですが、実はマメ科の植物には多く見られる性質です。
同じマメ科のオジギソウも、葉に何かが触れると、その刺激によって葉が閉じる性質を持ちます。ただし、ゆっくりと葉を閉じたあとすぐに、また元のように開いていきます。これは外敵から身を守るための機能であり、1日のサイクルによる就眠運動ではありません。その様子がおもしろいからと頻繁に触って遊んでいると、オジギソウの株が弱っていってしまうのでほどほどにしましょう。
名前の由来
エバーフレッシュは、春から秋の初め頃の間に、ふわふわとした綿毛のような乳白色の花を咲かせることがあります。直径は3センチほどにもなり、開花が終わるとマメ科の植物なので鞘を作り出します。この鞘の色が赤いため、和名では「赤莢合歓木(あかさやねむのき)」と呼ばれています。とても個性的な花なので、お世話をがんばって開花の様子を見てみてくださいね。
花言葉「胸のときめき」「歓喜」
エバーフレッシュはネムノキの仲間なので、ネムノキの花言葉が適用され、エバーフレッシュ独自の花言葉は持っていません。ネムノキの花言葉は「胸のときめき」「歓喜」です。
これは、中国に伝わる昔話が由来となっており、いつも不機嫌だった夫に、家族がネムノキの花入りのお酒を飲ませてみたところ、たちまち上機嫌になり夫婦関係や家庭が円満になったいう逸話に基づきます。
このエピソードから、中国ではネムノキが夫婦円満のシンボルと考えられ、縁起物とされています。
エバーフレッシュの選び方のコツ
さて、自宅で育てていくエバーフレッシュを選ぼうとなったときに気になるのが、健康な株の選び方ですね。
育て方に慣れていない初心者の方は特に、健康的な元気いっぱいの株を選んでおきたいところです。また、室内で育てるのでしたらサイズも気にしておきたいポイント。部屋の広さや高さに不釣り合いなものを選んでは、日光が十分に当たらないこともあり、生育上良くありません。
続いては、エバーフレッシュの株を選ぶうえで確認しておきたいポイントをご紹介しましょう。
葉の色つやが良いもの
まずはエバーフレッシュの葉に注目しましょう。エバーフレッシュの葉は、目に見えて分かりやすい健康のバロメーターとも言える部分です。
葉が萎びていたり変色していたり、触ってみてパリパリと乾燥しているものは避けましょう。葉につやがあって若々しく、明るくみずみずしい爽やかなグリーンのものを選んでください。
置く場所に適したサイズを
ホームセンターなどの広さのある売り場では、実際の大きさよりも小さく感じてしまいがちです。「まあこのくらいかな」と購入して家へ持ち帰ると、思っていた以上に大きかった…という失敗は観葉植物を購入するうえでよく起こりがちです。
こうしたミスマッチを防ぐためには、あらかじめエバーフレッシュを置く場所を決めておき、だいたいのイメージとして幅や高さなどを測っておきましょう。もしネットショップでオンライン購入する場合には、この採寸作業がとても大切になってきます。
エバーフレッシュの生長速度はそれなりに速いものなので、生長することを見越して一回り小さいサイズ感で購入するのも良い手です。
お気に入りの個体をじっくり探す
観葉植物に丹精込めてお世話をするには、お気に入りの植物であることが大切です。お気に入りだからこそ毎日気に掛けますし、眺めていて楽しくなります。日々の些細な成長を感じられれば、さらに愛おしさが増すものです。
私たち人間の顔や体のパーツがそれぞれ異なるように、観葉植物にもひとつとして全く同じという株はありません。個体によって表情が違うので、自分のお気に入りの一鉢をじっくり選んでみましょう。
エバーフレッシュの幹は曲げられたデザインの株も販売されていますので、お部屋のインテリアによく馴染むお気に入りの株を見つけてみてくださいね。
エバーフレッシュの基本の育て方
あなたのお気に入りのエバーフレッシュは見つかりましたか?
続いては、エバーフレッシュの育て方について、基本的な部分からご説明していきます。
丈夫な性質のエバーフレッシュですが、寒さや水不足に弱いといったウィークポイントはあります。育て方のコツを抑えて、エバーフレッシュの美しい葉をよりつややかに育てていきましょう。
置き場所
まず鉢を置く管理場所ですが、必ず風通しの良い場所に置き、通気性を確保してください。
鉢が蒸れてしまうと株がダメージを受け、根腐れを起こす原因になります。部屋の間取りや構造上、風の通りが難しい場合には、扇風機やサーキュレーターなどで風の流れを作ってあげるのも効果的です。
室内で管理する場合には、季節によっては窓を閉め切っていて風通しが悪くなりがちですので、意識して風の流れを作りましょう。
また、エバーフレッシュは明るい光を好む観葉植物です。ある程度の耐陰性は持っていますが、なるべく明るい場所で管理してください。
日光が好きなのですが、直射日光などの強すぎる日光は苦手です。窓際に置くときには、日光で葉焼けを起こさないようにレースカーテン越しやブラインド越しに太陽の光が柔らかく差し込むよう調節しましょう。
水やり
エバーフレッシュは水が大好きな観葉植物です。水が不足していると、葉の異変として水が足りないサインが表れますので、日頃からよく葉を観察していると早いうちに気づけるでしょう。
春から秋の間は、鉢土が乾いていることを確認したら、鉢底から水が流れ出てくるほどにたっぷり水を与えていきます。このようにたくさん水を与えることで、鉢内の空気を入れ替えることにもなりますよ。
水が足りずに乾燥すると葉や株が弱ってしまうので、夏や冬などの冷暖房を使用して乾燥しがちな室内では、霧吹きなどでこまめに葉水を行いましょう。葉水をすることにより、葉の表面についている埃や汚れが落ちて光合成がしやすくなる他にも、乾燥を防いで病気や害虫を予防することにもつながります。
また、鉢の下に設置している受け皿に、水やりの後に流れ出てきた水を放置したままだと、鉢内が蒸れる原因になります。水やりの際は、受け皿の処理もセットで行うことを忘れないよう癖づけておきましょう。
肥料
エバーフレッシュには、肥料を適量与えれば、より美しく育てていくことができますよ。
エバーフレッシュに肥料を与えるのは、生育期である4月から10月の間が適しています。置き型の緩効性肥料か、即効性が期待できる液体肥料がありますが、どちらを使っても構いません。
緩効性肥料を与えるには1ヶ月に1回ほどのペースで、液体肥料であれば2週間に1回ほどのペースで与えていきます。元気に育てたいからと過剰に肥料を与え過ぎたり、決められた濃度以上のものを与えてしまったりすると、栄養分が過多になった株が肥料焼けを起こして、かえって弱ってしまいますので、必ず用法と用量を守って、適量を与えるように注意しましょう。
冬越し
本来の自生地が熱帯地域であるエバーフレッシュは、最も生長しやすい温度は20度前後と比較的高めです。
日本の厳しい寒さは苦手なので、室内で育てる分にはそこまで神経質にならなくても良いかと思いますが、最低でも鉢の周辺が8度以上を保てるように温度管理をしましょう。
冬の間は暖かい窓際などで管理するのがおすすめですが、夜間になっても窓際に置いたままだと、隙間から入り込んでくる冷気で株が冷えてしまいます。冷え込む夜には窓から離したり、部屋の奥のほうへ鉢を移動させるなど、寒さ対策を忘れないようにしてくださいね。
剪定
エバーフレッシュの葉は、適した環境で育っていればどんどんと茂っていきますが、葉があまり増え過ぎてしまうと、見た目のバランスが崩れてしまうだけではなく、葉が密集することで風通しが悪くなってしまいます。
枝や葉が混み合って風通しが悪くなると、病気や害虫を引き寄せる原因にもなりますので、適度な剪定作業で樹形や葉を整えていきましょう。
剪定の適期としては春頃なのですが、健康的なエバーフレッシュの株はそれ以外の季節に剪定を行なっても元気をなくすことはありません。
内側へと伸びてしまった枝や、混み合ってぶつかる枝などは切り落としていきましょう。
植え替え
鉢植えで育てている観葉植物は、定期的に新しい鉢へと植え替え作業が必要です。いつまでも古い鉢で育て続けていると衛生的に良くないばかりか、土に含まれていた養分がなくなってしまいます。
また、観葉植物は枝や葉を伸ばしていくだけではなく、根も生長させます。したがって、根が生長しているのに対して鉢が小さいままだと、根が鉢の中で詰まってしまうのです。
この状態を根詰まりと呼びますが、根詰まりが起きると水分や養分を根から吸い上げにくくなり、水やりの際にもまんべんなく水が行き渡りにくくなります。放置しておくと根腐れを引き起こし、株が枯れてしまう原因にもなるので、2年に1回ほどのペースで新しい鉢と土に植え替えましょう。
植え替え作業の適期は春から夏を迎える前までがベストですが、根詰まりの症状が見られる場合には適期外であってもなるべく早く植え替えてあげましょう。
【植え替え手順】
- 古い鉢から株を取り出して、古い土を落としていきます。
- やさしく根をほぐしつつ、傷んでいる根や腐っている根などがあれば取り除きます。
- 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷いたら、土を入れましょう。
- 土の上に株を置き、周りを埋めるように土を足していきます。
- 株を安定させたら、たっぷりと水を与えましょう。
- 植え替え後は、風通しの良い半日陰で2週間ほど管理して、株を休ませます。
エバーフレッシュの増やし方
エバーフレッシュは生命力が強い植物なので、比較的簡単に株を増やしていけます。
観葉植物を育てる楽しみのひとつが、お気に入りの植物を増やしていくことです。お世話に慣れてきたら、ぜひ株を増やす楽しみを味わってみてくださいね。
エバーフレッシュは、基本的に「挿し木」と「種まき」の2つの方法で繁殖させることができます。
挿し木
まずは「挿し木」の手順からご説明していきます。
挿し木では、枝を切り落とした挿し穂を使用しますが、これは剪定のときに切った枝を使用するのもおすすめです。
【挿し木の手順】
- 10〜15センチほどの健康な挿し穂を用意し、切り口は斜めにカットしておきます。
- 葉からの蒸散を防ぐために、葉を数枚だけ残して切り口付近の葉は除いておきます。
- さらに残った葉を半分にカットしておきます。
- ポットなどに挿し木用の土を用意して、挿し穂を挿したら水をたっぷりと与えます。
- 2〜3ヶ月ほど風通しが良い半日陰で、水切れに注意しながら管理します。
- 発根が確認できたら、通常の鉢などへ植え替え、普段と同じお世話をしていきます。
種まき
個性的な花を咲かせるエバーフレッシュは、開花後に赤い鞘を作り、熟した鞘の中には黒い種が入っています。この黒い種を採取して、種まきからエバーフレッシュを育てていくことができます。
エバーフレッシュの発芽率は高いので、初めて種まきから栽培に挑戦する方でも成功しやすいのが嬉しいですね。
エバーフレッシュの種まきの適期は春頃ですが、もし採取後から種まきまでに期間が空いてしまう場合には、種のぬめりをきれいに洗い流してから保管してください。
【種まきの手順】
- 種まき用に、育苗用の土などを用意しましょう。
- 土を指先で押し、種と同じ大きさのくぼみを作って、1粒ずつ種を置いていきます
- エバーフレッシュの種は土をかけなくても発芽するので置くだけで構いません。
- 風通しの良い半日陰の場所で管理して、種が流れないよう霧吹きで水やりをします。
- 5〜10日ほど経ち、発芽して葉が見えたら、鉢に植え替えて育てていきましょう。
発芽を成功させるコツとしては、種や土が乾燥しないようこまめに気を配って水やりをすることです。鉢植えなどのお世話のようにジョウロで水やりをすると、せっかく並べた種が流れていってしまうので、霧吹きで全体を湿らせるように水やりしてくださいね。
まとめ
今回は、室内向けの観葉植物、エバーフレッシュの育て方などを詳しくご紹介してきました。
マメ科の植物に多い就眠運動の性質を持つエバーフレッシュは、私たちの生活リズムと一緒に生きているようで、育てているとだんだん愛着が湧いてくる観葉植物です。
繊細そうな見た目をしていますが、実は育てやすく丈夫な植物で、初心者の方でもチャレンジしやすい点もおすすめです。ただし日本の寒さと水切れは苦手としますので、温度管理と水やりには注意してお世話していきましょう。
初心者でも育てやすい観葉植物について知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。