電報と一緒にお花を贈ろう。郵便局からの送り方やおすすめのギフト種類
電報というとどういったシーンを思い浮かべるでしょうか。
結婚式の披露宴で行われる、祝電披露のシーンや、卒業式や入学式で読まれるものという印象が強いのではないでしょうか。
電報は、結婚式などのお祝い事のシーンや、お悔やみのシーンなどで主に用いられる手段です。電話が普及していなかった時代には、緊急時の重要な連絡手段として使われていました。
そんな電報ですが、現在ではお祝いの言葉と共にお花や華やかなバルーン、ぬいぐるみなども一緒に送ることができるんです。
お祝いの気持ちを伝える電報や、お悔やみの気持ちを表す電報には、お花を添えて送ることで、より気持ちが伝わりやすくなります。
今回は、電報を送ることになった際に役立つ知識や、電報の歴史、一緒に送りたいお花の種類などをご紹介していきます。
日本の発展と共にあった電報
電報とは、明治2年に日本に登場した、電気通信によって文書が配達されるサービスです。郵便も鉄道も発達していない時代では、電報が最も新しいサービスでした。
当初は東京-横浜間だけで使えるサービスでしたが、次第に全国で利用できるように発達していきます。
まだ一般家庭に電話が普及する前の連絡手段として用いられており、家族や親戚の危篤を知らせるなど、緊急を要する場面でも多く使われました。
初期の電報は、モールス信号から変換されたカタカナの文章を印字して届けられていました。戦前や戦後を時代設定とした映画やドラマなどで、電報が届くシーンをよく見かけますよね。宮崎駿監督によるジブリ映画の「となりのトトロ」でも、サツキがお母さんの入院する病院から送られた、カタカナ書きの電報を受け取る有名なシーンがあります。
当時は専用の用紙でしか送れなかった
現在での電報のサービスは、電話やオンラインからでも申し込める便利さがありますが、当時は専用の用紙にメッセージを記入しなければ申し込めませんでした。
電報を送信する際に使われたのは「頼信紙(らいしんし)」という紙で、電報発信紙とも呼ばれています。
この頼信紙にカタカナで送る文章を記入することで、やっと電報を送ることができたのです。ちなみに初期のうちは、電報の文面にはカタカナと一部の記号しか使えませんでした。
電話の普及によって常用されなくなった
日本では、1960年代から電話が一般的に普及するようになり、1980年代の後半には家庭で画像や文書を受信できるファクシミリ機(FAX)が普及するようになりました。やがて、PHSやポケベル、パソコン、携帯電話が各家庭に普及するようになると、インターネットによる電子メール、ショートメッセージなどのサービスが使われるようになっていきます。
第三者を介する電報サービスよりも、直接相手へ連絡が取れる電話サービスが使われるようになり、電報の必要性がだんだんと薄れていきました。
近年では緊急連絡手段として使われることがほとんどなくなった電報ですが、サービス自体がなくなることはなく、現在では冠婚葬祭における特別な思いやメッセージを送る慶弔電報として用いられています。
関東大震災で無事を伝えた被災電報
現在、震災時には「災害用伝言ダイヤル」や「安否確認サービス」などが使われますが、電報も1923年に発生した関東大震災において、同様の役割を果たしていました。
遠くに住んでいる家族や親族などに、自分の無事を伝える手段として、被災者の方々が無料の被災電報を利用したのです。
ニーズに応じた電報の多様化
電報のサービスは日本電信電話公社によって提供されていましたが、民間企業の自由参入が認められるようになってからは、他社との差別化を図るために多様なサービス形態が展開されていきます。申し込み方法も選択肢が増えましたし、お花と一緒に送る電報をはじめ、お菓子を添えて送るもの、ぬいぐるみを添えて送るもの、ボックス入りの電報など、用途に応じてさまざまな電報が送れるようになりました。
電報サービスを利用するメリット
携帯電話が普及している現在でも、電報は廃れずに利用されているサービスです。
電話やメールに比べると利便性に劣る電報ですが、いまだに使われ続けているのはなぜでしょうか。
まず第一に、手紙よりも手軽に届けられるというメリットがあります。便箋や封筒、ハガキなどを揃えておく必要はなく、特にインターネット上での申し込みであれば、希望台紙とメッセージ、届け先や送り主の情報などを記入するだけで発送が完了します。また、当日中に届けられるオプションなどもありますので、相手先へ早く届けたい場合にはとても便利なのです。
会社によっては、国外へ届けてくれるサービスを提供しているところもあります。
また、おしゃれな台紙のデザインや、ギフトと一緒に届けることで、手紙とは異なる高級感があり、特別なシーンでの特別なメッセージを相手へきちんと伝えることができますよ。
電報が主に使われるシーンは?
電報を送る機会というのはあまりありませんから、具体的にどんなシーンで使われているのかと聞かれても、なかなか思い浮かびませんよね。
電話やメールの発達した現代においては、電報はどのようなシーンで人々の元へと届けられているのでしょうか。
次は、電報が用いられているシーンについて、代表的なものをいくつかご紹介します。
結婚式での祝電
現代の電報の有名な利用シーンとしては「祝電」が第一に挙げられます。
結婚式で読み上げられることが多く、結婚式に参加できない親族・友人・同僚・取引先などの関係者がお祝いのメッセージを新郎新婦に伝えるための手段として活用されています。
記事の最初でも言及しましたが、現在はお祝いのメッセージと共に華やかなバルーンや可愛いぬいぐるみも一緒に届けることができます。
パーティーにぴったりの華やかなものがたくさん用意されているので、どうしても結婚式に参加できない場合は、そんな電報を送ることで相手の思い出に残るギフトになるでしょう。
お悔やみの弔電
次にご利用が多いのは「弔電」です。
お葬式に参列できない人が、お悔やみのメッセージを伝える手段として用いられており、弔電には専用の質素で落ち着いたデザインの電報台紙を使用します。
通夜や葬儀・告別式も、電報を利用する代表的なシーンです。
祝電とは異なり、お悔やみ用に質素なデザインの電報が用意されているので、お葬式に参列できない場合は弔電を手配しましょう。
入学・卒業祝い
入学祝いや卒業のお祝いにも、電報でのメッセージが使われます。
新生活が始まる方を応援するメッセージや、卒業と門出をお祝いする気持ちを込めて、お花などと一緒に電報が届けられるのです。
余談ですが、昭和30年頃から平成の初め頃までは、大学入試の合否を伝える連絡手段として「合格電報」が使われていました。
希望校への合否を伝える「サクラサク」「サクラチル」の有名な文面の合格電報は、早稲田大学から発祥したものだと言われています。現在では、合否の発表は、ホームページ上での掲載や個人へのメール連絡が主になっています。電報に比べると味気ない気もしますが、誤った合否連絡が減ったメリットもあるのです。
他のお祝いシーン
他にも、知人や友人の誕生日のお祝いや出産祝い、成人のお祝い、母の日や父の日、敬老の日のお祝いメッセージとしても電報が使われています。
また、電報はきちんとした丁寧な印象がありますので、ビジネスシーンにおいても多用されます。上司の方への昇進のお祝いや就任祝いなど、目上の方へのお祝いメッセージとしても電報は活躍してくれます。
電報と一緒に送れるお花のギフト
大切な人の大切な日に、心を込めたメッセージを届けられる電報サービスですが、最近では、電報とお花のギフトがセットになっている商品が多く販売されています。
お花の贈り物は、冠婚葬祭のどんなシーンでも活躍してくれますし、特別な日を演出するアイテムとしても喜ばれるもの。電報と一緒に、ぜひお花も一緒に贈ってみませんか?
お花のギフトと一口に言っても、その形態はさまざまです。
続いては、電報と一緒に送るお花としておすすめしたい、フラワーギフトのタイプをご紹介していきましょう。
花束
お花のプレゼントの王道でもある花束ですが、花束にも2種類に分けることができます。
茎を長くして束ねたフォーマルシーン向きの「ワンサイドブーケ」と、全体的に茎を短く切り揃えられた丸いフォルムの「ラウンドブーケ」です。
それぞれ贈る相手の雰囲気や届け先などに応じて選んでみてくださいね。
お花にはそれぞれ花言葉がありますので、メッセージに合わせて花選びをしてみるのも良いかもしれません。
お祝い事には縁起の良い花言葉を持つお花を、感謝の気持ちを伝えるときには感謝の花言葉があるお花を電報に添えて送ってみてはいかがでしょうか。
アレンジメントフラワー
生花で作られたアレンジメントフラワーは、大切な日を彩る贈り物としてぴったりです。
特にアレンジメントフラワーは、カゴなどの容器に給水スポンジを入れて、そのスポンジに花材を生けていくアレンジメント方法ですので、かなりデザイン性が高まります。
高さや動きを付けたアレンジができますので、華やかな場面にはぴったりです。
シーンに応じてアレンジメントの花材や容器のデザインを選べるので、場面に適した贈り物を添えることができます。
胡蝶蘭
胡蝶蘭の鉢植えは冠婚葬祭のフォーマルなシーンにおいても、お祝い事の贈り物としても選ばれている定番の贈り物です。丁寧に揃えられた花は高級感があり上品なので、ビジネスシーンでも使いやすいお花です。
花の姿が蝶のようにも見える胡蝶蘭には、「幸福が飛んでくる」という縁起の良い花言葉が付いています。お祝いのメッセージを伝える電報と一緒に贈るのにはぴったりのお花ですね。
プリザーブドフラワー
「プリザーブドフラワー」はあまり聞き慣れない名前かもしれませんが、生花を特殊な保存液で加工することによって、長期的な観賞を可能にした加工花です。生花ならではの色鮮やかさやみずみずしさを残しながらも、状態が良いものは5年以上も観賞できると言われています。
このプリザーブドフラワーは水やりが不要ですので、花の手入れに不慣れな方や、生花がぐったりしやすい夏場でも気にせずに贈ることができます。
生花の状態よりもアレンジの幅が広がりますので、雑貨品のような気軽さも持っているフラワーアイテムです。
ソープフラワー
ソープフラワーとは、厳密に言えばお花ではありません。石鹸を素材として花の形に作られた造花です。
メリットとしては、プリザーブドフラワー同様に水やりが不要なことや、生花では楽しめない色合いを作り出せることなどが挙げられます。
素材が石鹸ですから、ほんのりとシャボンの香りが漂います。ただし、石鹸の用途としては使えないことは覚えておきましょう。
花粉によるアレルギーを持っている人へ贈る場合でも、ソープフラワーは造花ですから安心してプレゼントすることができますね。
アロマの香りがするものも販売されていますので、見た目と香りの両方を楽しんでもらうことができます。
ハーバリウム
「植物標本」の意味を持つハーバリウムは、近年ではインテリア雑貨品として親しまれており、花屋さん以外にもインテリアショップや雑貨店などでも販売されています。
瓶などの容器に専用のオイルを入れて、ドライフラワーやプリザーブドフラワーなどを漬け込んだハーバリムは、オイルの中でゆったりと揺れる花が美しく、幻想的な雰囲気のあるアイテムです。
こちらも水やりなどのお手入れが不要で、インテリアグッズとして飾って楽しむことができますので、相手の方の負担になりません。
値段もお手頃な価格帯のものばかりなので、些細な贈り物としても手軽に贈ることができるのが嬉しいですね。
電報を送る2つの方法
電報を送る方法として、オーソドックスなのは電話での申し込み方法ですが、インターネットでも申し込むことができます。
インターネットでの申し込みは、24時間365日、いつでも自分が都合の良いときに申し込めるのでとても便利です。
【電話(115番)】
最も知られている電報らしい方法としては、局番なしの115番に電話して申し込む方法です。オペレーターの指示に従い、宛先や氏名、文章を伝えて申し込みます。
FAXで申し込める場合もあります。
【インターネット】
電報サービスを提供している各社のサイト上から、送りたい電報のデザインや宛先などの必要情報、メッセージを伝えて申し込みます。
会社によって電報と一緒に送れる花などのギフトサービスがありますので、送るメッセージに適したサービスを探してみましょう。
郵便局で電報を送る方法
電報というと、NTTからしか送れないのでは……というイメージが強くありますが、実は郵便局からも送ることができます。
郵便局では、現在「レタックス」という電報に類似したサービスを取り扱っており、このサービスを利用して電報を送ることができますよ。
最後に、レタックスの送り方について解説いたします。
レタックスの申し込み方
郵便局の窓口で、レタックス専用の用紙にメッセージを記入して申し込むことができます。また、この用紙を封筒に入れて料金分の切手を貼ることで、投函による申し込みも可能です。投函で申し込む際には、封筒の表面に宛名を記入せずに「レタックス」もしくは「電子郵便」と赤ペンなどで書き込みましょう。
他にも、FAXや電話による申し込みが可能ですが、依頼する郵便局へレタックス専用の承認請求書を提出する必要がありますので、詳しくはお近くにある郵便局へ問い合わせてみてくださいね。
オンラインで完結する「WEBレタックス」
「WEBレタックス」とは、日本郵便が提供しているオンラインから電報を申し込めるサービスです。
窓口まで来局する必要がなく、24時間いつでもオンライン上での申し込みができます。オンラインから申し込むと、窓口での申し込みよりもいくらか料金が安くなるのでおすすめですよ。
WEBレタックスには追跡サービスが付いているため、大切な電報の配達状況を自分で確認することができます。
また、自分で撮影した写真やオリジナル画像なども入れることができるので、メッセージの幅が広がりますよ。
地域にもよりますが、15時半までに申し込めば当日中に相手先へ電報を届けてくれます。
手紙よりも急いでメッセージを送りたい場合には、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、電報と一緒に送りたいフラワーアイテムや、電報の歴史や送り方について詳しくご紹介してきました。
日常的にはなかなか触れる機会のない電報ですが、特別なシーンにおいて大切なメッセージを伝えてくれるメッセンジャーとして、便利な連絡手段が数多く普及した今でも利用されています。
手紙よりもきちんとしていて、特別感のある電報には、戦前・戦後からの長い歴史があり、日本の復興と発展を支えてきたひとつの文化でもあるのです。
昔は文書しか送れなかった電報ですが、今では電報と一緒にプレゼントを添えられるサービスも各社で普及しています。
スペシャルなシーンにこそ喜ばれるのは、お花の贈り物です。
便利な世の中になった今だからこそ、昔ながらの連絡手段である電報を利用して、大切なメッセージを素敵なお花と一緒に届けてみてはいかがでしょうか。