退院祝いにはお花のプレゼントでお祝いを。知っておくべきマナーは?
親しい方などが体調を崩されたり怪我をされたりして入院すると、自分のことのようにハラハラとしてしまいますよね。無事に退院された日には、ほっと胸を撫で下ろすことでしょう。
大切な方や親しい方の病状の快復をお祝いするには、お花のプレゼントがおすすめです。
今回は、退院祝いに贈るフラワーギフトについて、贈るときのマナーや避けるべきお花の種類などを詳しくご紹介していきます。
マナーを知ってから贈ることで、もっと相手に喜ばれるフラワーギフトになりますよ。
退院祝いにお花のプレゼントがおすすめな理由
退院祝いのプレゼントとしてお花をおすすめするのには、見た目が美しく喜ばれるギフトであること以外にも、もうひとつ理由があります。
切り花などで作られた花束やアレンジメントフラワーは、数日から1週間ほどで枯れてしまいますよね。
この「枯れてしまう」ということこそ、退院祝いにお花をおすすめする理由なのです。
花が枯れる=なくなることを、「病が消える・なくなる」「病を枯らす」といったように、縁起の良い意味として捉えられるため、退院祝いには生花を使った切り花のプレゼントがおすすめなんですよ。
骨折などの目に見えて治るような怪我で入院された方でない場合には、退院されても、しばらく経過観察が必要であったり、受診が必要であったりと、なかなか手放しで喜べないこともあるでしょう。
そんな退院の折に、「病気が完治する・消える」という連想をさせる切り花を贈ることで、病状快復の後押しをしましょう。
退院祝いで贈る花の選び方
では、退院祝いにはどんな花を選べば喜んでもらえるでしょうか。
おすすめの選び方について詳しくご紹介します。
相手の好きな花を選ぶ
とても親しい間柄で、相手の好きなお花や好みを知っている場合には、好きなお花を取り入れたアレンジのお花を贈りましょう。
バラが好きな方にはバラの花束、チューリップが好きな方にはチューリップを主役にしたアレンジメントなど、その方のお好きな花でまとめれば、とても喜んでもらえるはずですし、元気も出るはずです。
気軽に連絡を取れるような相手であれば、好きなお花の種類を前もって聞いておくのもおすすめですよ。
相手の好きな色で選ぶ
お花の種類の好みが分かっていなくても、好きな色であればなんとなく分かりますよね。その人がいつも着ている服の趣味や、持ち歩いている小物などには、自分の好みの色が反映されているものです。
もし、相手の方が白や青といったように寒色系の落ち着いた雰囲気がお好きな場合には、「お好きな色のお花を揃えてみました」と一言伝えておくと良いでしょう。
白や青などの色合いでまとめられたお花の場合は、受け取る方によってはお供えの花やお悔やみの花という受け取り方をされてしまうことも。そのような誤解がないよう、言葉を添えておきましょう。
親しい関係の方でしたら、お花の色やマナーについてはそこまで気にされないでしょう。
明るい色で選ぶ
好きな色が分からない場合や自信がない場合には、明るい花色でまとめたフラワーギフトを贈りましょう。
退院のお祝いには、気持ちが晴れやかになるような明るい色がぴったりです。
黄色やオレンジなどの元気が出るビタミンカラーをはじめ、やさしさを感じられるピンクなどの可愛らしい色合いも取り入れた、エネルギッシュなアレンジをお願いしてみましょう。
ただし、ぎらぎらとした印象になるほど元気な色でまとめすぎると、退院後の全快ではない心で受け取った際には疲れてしまう場合もあります。白い花材で全体を薄めたりぼかしたりしつつ、やや柔らかめの仕上がりになるようにオーダーできると良いですね。
縁起の良い花言葉で選ぶ
お花にはそれぞれ花言葉があり、贈るシーンにマッチした花言葉でフラワーギフト選びをする方も多くいます。
退院のお祝いとして選ぶには、縁起が良い花言葉を持つお花や、ポジティブな意味を持つお花などがおすすめですよ。
下記で、退院祝いにぴったりな花言葉を持つお花をいくつかご紹介します。
退院祝いに選びたい、前向きな花言葉を持つ花
先ほどご紹介したように、退院祝いのお花選びに迷われたときは、良い花言葉を持っているお花で選んでみる方法もおすすめです。
花言葉を添えて贈ることで、よりお祝いの意味合いが強まるでしょう。
前向きな花言葉を持っているお花は、明るい見た目をしていたり、癒される可愛い姿をしているお花が多いです。
受け取った方が明るい気持ちになれる、素敵な花言葉を持つお花たちをご紹介しますので、ぜひ参考になさってみてくださいね。
ガーベラ
科・属 | キク科・ガーベラ属 |
和名 | ガーベラ |
英名 | Gerbera |
学名 | Gerbera |
原産地 | 南アフリカ |
花言葉 | 「希望」「常に前進」 |
まっすぐに伸びた力強い茎先に、花びらを何枚も広げて咲く「ガーベラ」は、明るく爽やかなお花です。
絵に描いたような咲き姿が美しいガーベラは、ポジティブな花言葉がたくさん並んでいるお花です。
花言葉というと、ほとんどのお花にはポジティブな花言葉がありながらも、ネガティブな面も持ち合わせているものなのですが、ガーベラに関してはマイナスイメージの花言葉がないというのが贈り物としておすすめしたい理由のひとつです。
花言葉を添えて贈るフラワーギフトでは、受け取った方も花言葉を気にされることがありますから、誤解を生まないような良い意味の花言葉ばかりであるのはギフトとして選びやすいですよね。
ガーベラ全体としては、「希望」「前進」などの前向きな花言葉がありますが、色別にもそれぞれ花言葉がありますので、気になる方はぜひ調べてみてください。
スズラン
科・属 | キジカクシ科・スズラン属 |
和名 | 鈴蘭(すずらん) |
英名 | Lily of the valley |
学名 | Convallaria majalis |
原産地 | ヨーロッパ・アジア |
花言葉 | 「幸福」「再び幸せが訪れる」「希望」「純粋」「純潔」 |
鈴型の可憐な小花と、みずみずしい緑の葉のコントラストが美しい「スズラン」は、春を代表するお花のひとつです。
ヨーロッパでは聖母マリアを象徴するお花として大切にされています。そのことから花言葉も、「幸福」「再び幸せが訪れる」「純潔」と教会から連想されるような花言葉が多いです。
花色は白以外にピンク色もあり、ピンク色になると可愛らしさがより一層上がりますよ。
スズランにはドイツスズラン・国産のスズランの2種類があり、香料として使われるのはドイツスズランのほうです。
スズランの香りは、爽やかでありながらもほのかに香る甘さがちょうどよく、バラやジャスミンなどの良い香りを代表するお花と並んで「三大フローラルノート」のひとつにもなっています。
春のお花であるスズランは、小さな鈴型の花を連ねて咲く姿がとても可愛らしいお花です。
白以外にピンクの花色もあり、ピンク色には清楚な白とまた少し違った雰囲気があります。
茎や葉は鮮やかな緑色をしていて、花と緑の対比がとても美しいです。
そんなスズランには、「幸福の再来」という素敵な花言葉があります。
ヨーロッパには「スズランの日」というものがあり、この日に大切な相手や家族へスズランを贈ると、受け取った人には幸せが訪れるという素敵な風習があります。
ダイヤモンドリリー
科・属 | ヒガンバナ科・ネリネ属 |
和名 | 姫彼岸花(ひめひがんばな)、ネリネ |
英名 | Nerine, Diamond lily |
学名 | Nerine |
原産地 | 南アフリカ |
花言葉 | 「また会う日を楽しみに」「華やか」「忍耐」 |
ヒガンバナ科の「ダイヤモンドリリー」の花の形は、ユリをそのまま小さくしたような形の小花が集まって、ヒガンバナに似た咲き方をしています。
フリルのように波打つ可愛らしい花びらにはつやつやと光沢があって、花びらが日の光に当たると角度によってキラキラと光るので「ダイヤモンドリリー」という美しい名前があります。学名でもある「ネリネ」の名前で呼ばれることも多いです。
薄めの可愛いピンク色が人気のダイヤモンドリリーですが、ピンク色は温かみがあり、精神的な安堵をイメージさせてくれるカラーでもあるので、退院祝いにはぴったりですね。
他にもヒガンバナのような赤や白、オレンジや紫などの花いろもありますよ。フリルのような花びらも、縁が波打っていない品種も存在します。
ヒガンバナと同じ球根植物であるダイヤモンドリリーは、秋咲きの球根植物で、切り花としても鉢植えとしても多く流通しています。
開花期間が長いので、花が少ない冬でも、キラキラと可愛らしい花でお庭や花壇を彩ってくれますよ。
ネリネは寒さと湿気に弱いので、夏の多湿環境や冬越しに注意すれば、球根を植えたままにしても花を咲かせます。
そんなダイヤモンドリリーには、「また会う日を楽しみに」「忍耐」という花言葉が付けられています。
退院後、まだ直接お会いするまでが先にある場合は、「元気になって会えるのが楽しみです」というお祝いのメッセージを添えてダイヤモンドリリーを贈りましょう。
退院祝いの花を贈るときのマナー
お祝いなどの贈り物で気にしておきたいのが、一般的なマナーや予算の相場です。
退院祝いは、現金などの金品よりもお花や食品といった品物で贈ることが一般的になります。
もし相手の方の入院中に、お見舞いとしてお花などをすでに贈っている場合には、退院祝いは重複してしまうため贈らないほうが良いとされています。というのも、入院のお見舞いも退院祝いもどちらも贈ることで、相手の方の負担になってしまうためです。
もしどうしても退院祝いを贈りたいという場合には、気軽に受け取っていただける手土産のような少額のものを贈りましょう。
退院祝いの相場は3,000円〜10,000円
退院された方との関係性 | 退院祝いの金額相場 |
友人、同僚 | 3,000円~5,000円 |
職場の上司、先輩、目上の方 | 5,000円〜10,000円 |
親戚間 | 5,000円〜10,000円 |
退院祝いのご予算としては、「相手に気を遣わせない」金額を設定するということを覚えておきましょう。高価すぎる退院祝いをいただいてしまうと、相手の方に気を遣わせたり、お返しに困ってしまったりします。
予算の上限は10,000円以内に収めるようにすると、相手の方への配慮になるでしょう。
親戚への退院祝いでしたら、家族や他の親戚の方と相談して予算を決めることをおすすめします。
ここでご紹介しているのは退院祝いのフラワーギフト相場ですが、お見舞いで贈るお花の金額相場についてもほとんど変わりません。
贈るタイミングに配慮する
入院のお見舞いの品は、病室などへ届けるものですが、退院のお祝いは退院後のお祝いの品ですから、自宅へと届けるのが基本です。
退院されてすぐは、慣れ親しんだ我が家でゆっくりと心と体を休めたいものです。
そんなときにお祝いのお花が届くと、お返しは何にしようかなど余計な気を遣わせてしまいます。
退院の報告を聞いてもすぐには贈らずに、退院してから1週間〜1ヶ月以内に届くよう手配しましょう。大安などの暦上の縁起が良い日にあわせて贈ることができればベストですが、そこまで気にする必要はありません。
もし、ご自宅などに直接伺ってお祝いの花を手渡しされる際には、事前に相手の方の体調を確認してから訪ねましょう。
あまり体調がよくなさそうな日や辛そうにされているときには、無理に伺わず日をあらためて出直します。
手間のかからないお花を贈る
退院祝いで贈るお花は、なるべく相手に負担がかからないギフトスタイルで選びましょう。花束だと、毎日水を替えたり茎を切り戻したりする手間がかかりますから、退院後のお体に負担となってしまうこともあります。
お世話の手間がかからない、カゴなどに切り花を生けたアレンジメントフラワーを選べば、花瓶を用意する必要もなく届いてからすぐに飾っていただけるのでおすすめですよ。
アレンジメントフラワーは花束などよりもデザイン性に優れているので、インテリアとしても楽しんでいただけます。
退院のお祝いには避けるべきお花
花の種類やフラワーギフトの中には、退院祝いとして適していないものもあります。
せっかくの贈りものですから、マナーに注意しておきましょう。
鉢植えの花
お見舞いの品としても、退院祝いの贈り物としても、鉢植えのお花は避けてください。
土に根を下ろした鉢植えのお花は、「根付く=寝付く」というように、病床に伏せってしまうイメージに繋がります。
他にも「いつまでも治らない」「病気を繰り返す」といったマイナスイメージがありますので、鉢植えタイプのギフトは必ず避けるようにしましょう。
ただし、胡蝶蘭の鉢植えは縁起物とされているため、贈っても失礼にあたらないケースがあります。
胡蝶蘭はそもそも、地に根を生やしている地生植物ではなく、木や岩などに着生する「着生ラン」ですので、退院祝いとして贈っても良いと考えられているのです。
造花や加工花
お世話の手間がかからず、長く美しい状態を観賞できるプリザーブドフラワーや造花は、手入れは簡単で相手のご負担にはならないものの、「長持ちする=治るまで長い時間が掛かる」といったネガティブなイメージにも捉えられがちですので、少し注意が必要です。
もちろん、相手の方からこういったギフトタイプを希望されれば、その限りではありません。
不吉な連想をさせる花
入退院のシーンで贈るお花については、「死」や「苦」といった不吉なワードを連想させるお花は贈らないというマナーがあります。
例えば、シクラメンの名前には「シク」=「死苦」が含まれており、語呂合わせとして考えたときに「死ぬ」「苦しむ」といった悪い連想をさせてしまうため、お贈りするのは避けるのが無難です。
他にも、ツバキやチューリップも注意が必要です。
ツバキの花は年配の方が多く好まれる傾向にありますが、花が散るときに花びらが一枚一枚落ちるのではなく、花首ごと落ちるという性質があります。
この花首のぼとりと落ちる様子が、死を連想させるためタブー視されているのです。チューリップも同じ散り方をするためタブーとされています。
また、アジサイの花も避けるべきお花です。アジサイは、花が枯れると花の形をそのままに残して、徐々に色褪せていきます。ドライフラワーとしては向いていますが、この枯れていく様子が好ましくないという考え方や、体が朽ちていくようなイメージにも繋がるため、NGなお花だとされています。
供花を連想する花
お見舞いに贈るお花では、白一色のアレンジメントになってしまうと、お悔やみやお供えで使われる仏花や供花を連想させてしまいます。
見た目的にも寂しげですので、受け取った方があまり喜んでいただけるアレンジではありません。
白い花材を取り入れる際には、必ず明るく元気が出るような差し色を入れましょう。
お花屋さんで注文する際には「退院祝い用です」と伝えれば、一般的なマナーに沿ったアレンジメントを作成してくれますよ。
香りが強い花
まだ病み上がりのお体には、強すぎる花の香りはご気分を悪くされてしまう恐れもあります。
ユリやフリージア、スイセン、ストックなどのお花は、とても香りが良いのですが、品種によってはかなり香りが強いので、退院祝いの贈り物としては不向きです。
他にも、花びらが落ちやすいものや、花粉が落ちやすいお花などは、部屋や服を汚してしまいますので避けましょう。
心配な場合には、花屋で注文する際に確認しておくか、花粉を取り除いてもらうと安心です。
まとめ
今回は、退院祝いのお花を贈るうえで把握しておきたいマナーや、元気を届けられる花言葉を持つお花などをご紹介してきました。
一般的に避けたほうがよいとされるお花も、相手の方との関係性や好みによっては贈っても失礼にあたらないこともあります。
「好きなお花だから持ってきましたよ」という相手の好みに配慮したという想いが伝われば、きっと喜んでいただけます。
ただし、あまりネガティブなイメージを持たせすぎるお花は選ばないよう、相手の気持ちに沿ったフラワーギフトを選んで、退院をお祝いしましょう。