プリザーブドフラワーとは?メリットやデメリットはなに?正しい保管方法とは?
プリザーブドフラワーとは、生花の美しさを長期間楽しめるように特殊な加工を施したものです。生花よりも長持ちするだけでなく、人工的な染料により、自然界には見られない色を再現できるのが大きな特徴です。正しく保管すれば5〜10年ほど美しさを保ち続けますよ。
花の美しさが長持ちするフラワーギフトとして人気を博しているプリザーブドフラワーですが、実際にはどのようなものなのか知らない人も多いのではないでしょうか。
プリザーブドフラワーは、よく間違われやすい造花やドライフラワーとは全く異なる花材です。
とても繊細で美しいプリザーブドフラワーですが、正しく保管すれば5〜10年ほど美しさを保ち続けることも可能となっています。
この記事では、プリザーブドフラワーのメリットやデメリット、長持ちさせる保管方法などを詳しくご紹介しましょう。
プリザーブドフラワーとは
プリザーブドフラワーを日本語で表すと「保存された花」という意味になります。
生花に特殊な加工を施して作られるものなので、造花とは違ったリアリティを再現できるのです。
生花よりもお手入れしやすく花の美しさが長持ちすることから、フラワーギフトとしても人気があります。
まずはプリザーブドフラワーとはどういったものなのか詳しく見ていきましょう。
プリザーブドフラワーの歴史
プリザーブドフラワーの歴史は浅く、1991年にフランスのヴェルモント社が初めて作りました。
ヴェルモント社はつくりあげたプリザーブドフラワーを「長寿命の切花製法」とし、世界特許を取得した後、生産工場を設立して本格的に生産を開始したのです。
しかし、それを機に他のメーカーも続々とプリザーブドフラワーを作りはじめ、花の美しさやクオリティを競うように大量に生産されるようになりました。
現在は日本においてもプリザーブドフラワーを取り扱うメーカーが増えてきて、フラワーギフトやアレンジメントなどで活躍しています。
最近ではプリザーブドフラワーの習い事教室も人気になっていますよ。
プリザーブドフラワーの特徴
プリザーブドフラワーは、生花から色素を抜いて人工的な染料で着色を施したものです。
花を乾燥させて作られたドライフラワーとは異なり、色鮮やかな見た目や瑞々しさが特徴的で、手触りもまるで生花のようなので、柔らかく温かい雰囲気をかもし出します。
造花は使いたくないけれど、できるだけ美しさを維持したいという場合にぴったりです。
生花のような香りや花粉がないので、自宅だけでなく飲食店などの店舗にも飾りやすいですね。
プリザーブドフラワーのメリット
特殊な加工が施されたプリザーブドフラワーには、生花とは違った魅力やメリットがたくさんあります。
生花にしかない美しさもありますが、保存期間や使用用途を考えると、時にはプリザーブドフラワーの方が便利かもしれません。
まずは、プリザーブドフラワーのメリットをご紹介します。
現実にない色を再現できる
プリザーブドフラワーは、生花から色素を抜き、人工的な染料で着色して製造されます。
そのため、自然界では現れにくい特別な色を再現することも可能なのです。
生花よりもより鮮やかな発色にしたり、グラデーションにしたりと、カラーバリエーションはとても豊富です。
めったに市場には流通しない、幻の花といわれる青いバラや、夢のようなレインボーカラーの花もプリザーブドフラワーでなら再現できるでしょう。
長期間保存できる
生花の場合、気温や湿度にもよりますが、1週間前後で花は萎れてしまいます。
しかし、プリザーブドフラワーであれば、1〜2年ほどは美しい状態を維持できるのです。
適切な保存ができていれば5年以上も楽しむことができるので、思い出として残しておきたいプレゼントや、記念日などの贈り物としてもおすすめですよ。
ドライフラワーも、長期間楽しめる花として人気がありますが、ドライフラワーの寿命は3ヶ月〜1年ほどのものが多いので、プリザーブドフラワーの方が長期間花を楽しめることになります。
自由なアレンジが可能
プリザーブドフラワーは加工の段階で茎をカットすることが多いため、花茎はワイヤーで作られたものです。
そのため、生花とは違って茎を自由自在に曲げたり切ったりして、幅広い表現が可能になります。
また、水を必要としないので、水分吸収を考える必要がなく、レイアウトやバランスの良さを優先したアレンジができるのです。
プリザーブドフラワーの花材を購入し、自分の好きなように生けたりアレンジするのも楽しそうですね。
お手入れ不要
切り花の場合は美しさを少しでも維持するために、花瓶の水を毎日替えたり葉水を与えたりしなければなりません。また、直射日光が当たると切り花は痛んでしまうので、置き場所も考えなければならないでしょう。
しかし、プリザーブドフラワーは水やりの必要がなく、日光も必要としないので置き場所も自由に決められます。
花を飾りたいけれど、花の扱いに慣れていなかったり忙しくてこまめなお手入れができない方にもおすすめです。
土や水を使用しないので害虫が繁殖する恐れもなく、衛生的に飾ることができます。
香りや花粉がない
本物そっくりに見えるプリザーブドフラワーですが、生花のような香りや花粉がありません。
そのため、花の匂いが気になる人や花粉アレルギーの方でも安心して花を楽しむことができます。匂いが混ざりやすいキッチン周りにも飾ることができるので、衛生面が大切な飲食店などの店舗にもおすすめです。
開業祝いや開店祝いの贈り物としても喜ばれるでしょう。
プリザーブドフラワーのデメリット
プリザーブドフラワーには生花にない魅力がたくさんありますが、それゆえに生じるデメリットも忘れてはなりません。
特殊な加工が施されることにより、生花よりも値が張ったり、選べる花の種類が少ないなどの欠点があるのです。
プリザーブドフラワーにおけるデメリットを3つ解説します。
価格が高い
プリザーブドフラワーは、生花から色素を取り除き、人工的な染料で着色するという、高度な技術で製造されています。
そのための道具や材料、人的コストがかかる分、同じ花でも生花よりも高額になってしまう傾向にあるのです。
そのため、プリザーブドフラワーで作られたフラワーアレンジメントなどは、生花のものよりもサイズが小さいと感じることが多いでしょう。
しかし、プリザーブドフラワーは生花よりもずっと美しさが長持ちするので、全体的なコストパフォーマンスは決して悪くはありません。
花材が少ない
プリザーブドフラワーは特殊な加工を施して花に負担を与えるので、それに耐えうる花でなければなりません。
例えば、花びらが厚くしっかりしていることや、バラバラと散りにくい花がプリザーブドフラワーには向いています。
どの花もプリザーブドフラワーに加工できるわけではないので、希望の花が揃えられない可能性もあるでしょう。
しかし、プリザーブドフラワーの人気が高まり、高度な技術が次々に生まれている現在では、新しい花材がどんどん登場してい。
欠けや割れが発生する
プリザーブドフラワーは、花に含まれる水分を可能な限り保存液や染料に入れ替えることで長期間の保存が可能になるものです。
見た目は瑞々しく見えるかもしれませんが、実は水分自体はとても少ない状態になっています。
そのため生花のような柔軟さはなく、保管の環境や扱い方次第では、欠けやひび割れなどの破損を招く可能性もあるのです。
せっかくの美しいプリザーブドフラワーも、欠けたりひび割れたりしては台無しになってしまうので、保管場所や取り扱いには注意しましょう。
プリザーブドフラワーの使い方
花を長期保存する方法として開発されたプリザーブドフラワーですが、現在ではその特徴を生かしてさまざまなシーンで活躍しています。
本来は生花を使いたいような場面でも、すぐに枯れたり萎れたりすることのないプリザーブドフラワーは、生花の代替品として選ばれることが多いのです。
あなたが街で見たお花は、もしかしたら生花ではなくプリザーブドフラワーかもしれませんよ。
フラワーギフト
フラワーギフトといえば生花のイメージが強いかもしれませんが、花の美しさをできるだけ長く楽しんでほしい場合は、プリザーブドフラワーを贈るのも良いでしょう。
吸水を考えなくていいので、バスケットやガラスケースなど、好きなアイテムと組み合わせることができます。
また、生花のように花瓶の水を替えるなどの手間がかからないので、相手の方の負担にもなりません。
大切な人の特別な記念日やお祝いとして、思い出に残るようなプリザーブドフラワーを贈ってみましょう。
フラワーインテリア
インテリアのアクセントとして花を取り入れたいと思う人も多いですよね。
理想としては季節感のある生花を飾りたいところですが、毎日の水替えや葉水、落ちた花びらや花粉の掃除など、意外と手間がかかるものです。
そこで、好きな花器にプリザーブドフラワーを生けることで、お手入れがほとんど不要なインテリアフラワーになるでしょう。
花の扱いに慣れていない方や、こまめなお手入れが難しい方でも気軽に花のある生活を取り入れることができますよ。
香りもないので、キッチンや食卓に飾っても食材の香りを邪魔しません。
季節に合わせていくつかの種類の花材を持っておくことで、毎回新しい花を買わずに済み、経済的にもお得になるでしょう。
アクセサリー
プリザーブドフラワーの本物のような繊細な質感を生かして、多くのアクセサリーにも使用されています。
コサージュや髪留めなどの大きめのサイズのものから、ネックレスやピアスなどの可愛らしいサイズのものまでバリエーション豊かです。
まるで、ついさっき花畑から摘んできたようなリアルでみずみずしいプリザーブドフラワーのアクセサリーは、お呼ばれやフォーマルのシーンにぴったりですね。
自分でプリザーブドフラワーのアクセサリーを作れるキットのようなものも販売されていますよ。
イベント装飾
屋内や野外でのイベントや展示会の装飾としてもプリザーブドフラワーがおすすめです。
イベントや展示会は、その日だけでなく数日間開催されることもありますよね。
その場合、生花を飾っていると、最終日までに花がもたず、途中で萎れたり枯れたりしてしまうこともあるでしょう。
特に、夏場の屋外での装飾だと、1日で花の元気が無くなってしまう可能性もあります。
その点プリザーブドフラワーは、暑さや寒さに関係なく飾ることができるので、いつでもきれいな状態で来場客を迎えることができるのです。
水替えなどの手間もかからないので、花のメンテナンスのコストもかからないというメリットもあります。
ウェディングシーン
人生の中でも大切な1日となる結婚式でも、プリザーブドフラワーは活躍しています。
花嫁さんが持つブーケは、置いたり持ち歩いたりすることから、その日1日でかなりのダメージを受けます。結婚式後の二次会くらいの時間になると、朝よりも花の元気が無いなんてこともあるかもしれません。
プリザーブドフラワーであれば、式当日もずっときれいな状態を維持し、さらに結婚式が終わった後も思い出として残しておくことができるでしょう。
プリザーブドフラワーを長持ちさせる方法
長期間にわたり生花のような美しさを保てるプリザーブドフラワーですが、保管方法が適していない場合、花びらが欠けたり色が抜けてしまうこともあります。
プリザーブドフラワーが初めて作られたヨーロッパとは違い、日本の気候はプリザーブドフラワーの管理にあまり適していません。
しかし、工夫次第でプリザーブドフラワーを長持ちさせることもできるので、以下の点に注意してみてください。
高温多湿や過度の乾燥を避ける
プリザーブドフラワーにとって適切な環境は、気温が18〜25度、湿度は30〜50%ほどです。
湿度が高すぎると、吸い上げた着色料が染み出し、花びらの色が抜けて斑点が出てきたり透明になったりしてしまいます。
湿度が上がる梅雨時期などには、乾燥材と一緒に保管しておくと、プリザーブドフラワーの劣化を防ぐことができるでしょう。
寒さにはある程度強いですが、乾燥しすぎても花びらが欠けたりひび割れたりすることもあるので注意してください。
直射日光とエアコンの風を避ける
花なので日光に当ててあげたくなりますが、プリザーブドフラワーにとって直射日光は大敵です。直射日光に当たり続けると、着色料が少しづつ抜けていき、最初のような鮮やかさが失われていきます。
また、エアコンの風が直接当たる場所に置くと、乾燥しすぎてしまい、花びらが硬くなってひび割れなどの原因になります。
もし乾燥していても、花びらがパサついている程度であれば、湿気のある場所にしばらく置いておくとしっとりとした質感に戻りますよ。
ケースなどに保管する
プリザーブドフラワーを、湿度や乾燥、直射日光などから守るためには、ケースに入れて保管しておくのが一番です。
アクリルやガラスなどの透明なケースに保管すれば、飾りながらでも外部の影響から守れます。
大切な人にプリザーブドフラワーを贈るときでも、最初からケースに入っているものであれば安心ですね。
プリザーブドフラワーの注意点
プリザーブドフラワーにとって適切な環境になるように注意していても、気付かないうちに汚れてしまったり色が抜けてしまうこともあるかもしれません。
そのような場合は、適切な処置を施すことで、元のような美しさを取り戻せる可能性もあります。
せっかくのプリザーブドフラワーを少しでも長い期間楽しめるように、できるだけこまめに状態をチェックしておくことも大切です。
最後に、プリザーブドフラワーを扱う上での注意点について解説します。
汚れてしまったら
プリザーブドフラワーを飾っていると、ホコリや汚れが付着してきます。
そのままでは花の美しさが半減してしまい、衛生的にも良くありません。
プリザーブドフラワーはとても繊細なので、化粧ブラシなど柔らかい素材でできるだけ優しく丁寧に掃除してあげましょう。花びらは特に壊れやすいので、力を入れすぎるとひび割れる恐れもあります。
色が抜けてしまったら
湿度の高い環境下に置いていると、プリザーブドフラワーが空気中の水分を吸収して、花びらの色が抜けて透明になってしまうことがあります。
その場合は、空気中の湿度を安定させることで元の色に戻ることが多いので安心してください。
色が抜けてしまったプリザーブドフラワーは、ケースに入れたり狭い空間に収納し、乾燥材のシリカゲルなどを一緒に置いておきましょう。
数日くらいすると、元のきれいな状態に戻っているはずです。
布に色移りすることも
高い湿度によりプリザーブドフラワーの色素が抜ける過程で、その着色料が隣接している他の花材や布などに色移りすることもあります。
プリザーブドフラワーをコサージュとして身に着けている場合、衣服に染み出る可能性も考えられるため注意しましょう。
湿度が安定していない時期は、プリザーブドフラワーが布などに接触しないようにしてください。
また、プリザーブドフラワーを窓際に飾っている場合、カーテンに色移りすることもあるので、置き場所にも注意しましょう。
まとめ
今回は、プリザーブドフラワーについて詳しくご紹介しました。
特殊な製法で作られているプリザーブドフラワーは、生花よりも多少高額になることが多いのですが、生花にはないような色合いや、長期間の保存が可能になるなどの魅力がたくさんあります。
水や土を使用しないので害虫がつくことなく、衛生的に花の美しさを維持できるでしょう。忙しくてお世話をする時間がない、でもお花を飾りたい……という方でも負担なく美しいお花を楽しめます。
自宅に飾って気軽に花を楽しむだけでなく、大切な人への贈り物としてもおすすめですよ。
プリザーブドフラワーを活用して、花の新しい楽しみ方を発見してみませんか。