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「幸せを呼ぶ花」スズランの魅力|特徴や花言葉は?

甘い香りを漂わせるスズランは、春の訪れを知らせてくれますね。スズランの清楚でみずみずしい花の香りは、香水などの香料としても人気です。

今回は、そんなスズランの花について、その魅力や特徴、花言葉や名前の由来などについて詳しくご紹介していきます。

 

スズランの基本情報・特徴

まずはスズランの基本情報から見ていきましょう。

科・属 キジカクシ科・スズラン属
和名 スズラン(鈴蘭)、君影草
英名 Lily of the valley
学名 Convallaria majalis
原産地 北半球、温帯

 

和名に「蘭」の字が入りますが、ランには属さないスズラン属です。

暑さには弱く、寒さに強い花なので、涼しい高原などを好んで自生しており、日本では北海道などに多く自生するお花です。

細長い葉が特徴的で、白い小花と鮮やかな葉のグリーンのコントラストがみずみずしい印象を受けますよね。

春の訪れとともに咲き始めるすずらんは、「幸福の再来」「再び幸せが訪れる」といった幸せを象徴する花言葉を持ち、その可愛らしい花姿で多くの人々を魅了してきました。

 

細く長い葉は10cm程度になりますが、茎は葉の長さの倍まで伸び、1つの茎に10個前後の花を咲かせます。1cm程度の釣鐘状の花を俯きがちに咲かせる、慎ましやかな咲き姿です。

 

聖母マリアが流した涙が、スズランの花になったという逸話もあり、ブライダルフラワーとしても大変人気の高い花です。

イギリスのキャサリン妃やモナコのグレース王女も、自身のブライダルブーケにスズランを用いたことで有名です。清純なスズランの白い花は、ウェディングシーンを彩るのにぴったりですね。

 

スズランの開花時期

スズランの開花時期は、4〜5月が主になっています。

開花時期がちょうど春を迎える頃なので、春の訪れと共に咲く春告げ花でもあります。

花が咲くには暖かい環境が必要なので、低温の地域では6月頃が見頃となる場合もあります。

開花の季節柄、卒業祝いや入学祝い、歓送迎会といったシーンのフラワーギフトにも選ばれやすいお花です。

 

実は毒を持つスズラン

見た目がとても可愛らしいスズランですが、実は強い毒性を持っているお花です。

主に花や根に、コンバラトキシン、コンバラマリン、コンバロシドが含まれ、これらの毒には強心作用があります。

 

触れるだけでは無害ですが、もし体内へ摂取されると嘔吐や頭痛、眩暈、血圧の低下、最悪の場合、心臓麻痺といった症状も起こり得ます。

小さいお子さまやペットが誤って口にしてしまうと、命の危険に及ぶ可能性もあるのです。

中でもコンバラトキシンは、たった18mg前後で致死量に至る強力な毒性を持ちます。

スズランを飾っている花瓶の水なども、小さな子が誤って飲んでしまうと、最悪の場合亡くなってしまう可能性が充分にあります。

実際、過去にスズランを活けていた水を誤飲して亡くなった事故があったようです。

ペットなどを飼っている方も、水切り後はしっかり手を洗うなど、普段のお手入れ時に注意して、スズランの花を安全に管理しましょう。

 

スズランの名前の由来

日本でポピュラーな呼び名である「スズラン」は和名ですが、他にも「君影草」という和名もあります。

また、英名では「Lily of the valley」とも呼ばれています。

次は、スズランの名前にはいったいどのような由来があるのかを詳しくご紹介していきましょう。

 

和名の由来

スズランは、小さな鈴がいくつも連なるような花姿であることと、葉の形がランに似ていたから「鈴蘭(すずらん)」と名付けられました。

別名である「君影草(きみかげそう)」は、葉の影にひっそりと隠れるように花が咲く姿から付けられた呼び名です。

 

また、変種のひとつである日本の原産種は、「Convallaria majalis var. keiskei」と呼ばれており、「keiskei(ケイスケイ)」は明治初期の植物学者である「伊藤圭介」の名から付けられたものになります。

 

英名の由来

スズランは、英名では「Lily of the valley(リリー・オブ・ザ・ヴァリー)」と呼ばれています。

直訳すると「谷間の百合」になりますが、これはスズランが高原地などを好んで自生していることから名付けられました。

学名の「Convallaria」は、ラテン語の「Convallis(谷)」と「leirion(百合)」から付けられた名前で、こちらも英名と同様に「谷間の百合」という意味を指しています。

 

スズランの花言葉

スズランがブライダルやお祝いのシーンに好んで使われる理由には、素敵な花言葉があるのも関係しています。

次は、愛らしいスズランが持っている美しい花言葉についてご紹介しましょう。

スズランには、全般の花言葉と色別の花言葉がありますので、順にお伝えしていきます。

スズランを贈る際には、ぜひこれらの素敵な花言葉を添えて贈ってみてくださいね。

 

スズラン全般の花言葉

スズラン全般には、「純潔」「純粋」「謙遜」の花言葉があります。

この清楚なイメージの花言葉は、イエス・キリストの処刑時に聖母マリアの流した涙が、スズランの花の姿になったという言い伝えが関係しているのでしょう。

マリアの持つイメージや、白い花の雰囲気から「純潔」「純粋」の花言葉が添えられました。

「謙虚」の花言葉は、葉の影に隠れるように花を咲かせる、慎ましく控えめなスズランの姿からイメージされた花言葉でしょう。どの花言葉も、可憐で清楚なスズランにぴったりな言葉ばかりですね。

スズランといえば、真っ先に白を思い浮かべますが、ピンク色のスズランも人気があります。女性的な印象を受けるピンク色は、スズランの持つ可愛らしさを一層際立たせてくれるカラーです。

想いを寄せる女性や、日頃からお世話になっている女性へプレゼントするお花に、ピンク色のスズランを選んでみてはいかがでしょうか。

英語の花言葉

スズランの英語での花言葉には、「innocence(純潔)」「sweetness(優しさ、愛らしさ)」「humility(謙遜、謙虚)」「purity(純粋、無垢)」「return of happiness(再び幸せが訪れる)」があります。

 

フランス語の花言葉

「スズランの日」があるフランスでも、「Retour du bonheur(幸福の再来)」という、英語での「return of happiness」と同じ意味合いの花言葉があります。

スズランの開花と共にやってくる、春の訪れと自分に訪れる幸せを重ねたのでしょう。

他にも「Je vous aime depuis longtemps(ずっと前から好きでした)」「Raccommondons-nous(仲直りしましょう)」「coquetterie discrete(さりげないお洒落)」「Rien ne vous pare mieux que votre beaute(あなたの美しさ以上にあなたを飾るものはない)」といった情熱的な言葉があります。

 

「仲直りしましょう」の花言葉は「もう一度幸せな関係に戻りましょう」といったニュアンスになります。

フランスの花言葉は、他にも「ずっと前から好きでした」「あなたの美しさ以上にあなたを飾るものはない」など、どれも相手への愛情に溢れた花言葉ばかりですね。

英語の花言葉と比較してみると、フランス語での花言葉は、特に恋愛に関するものが多くあります。

 

スズランの花言葉は怖い?

スズランの花言葉が怖いのではないかとイメージされることがあるようです。

ご紹介したように、スズランの花言葉は素敵なものばかりです。

しかし、スズランが持っている毒性、コンバラトキシン、コンバラマリン、コンバロシドなどの毒が、怖いイメージに繋がっているのかもしれませんね。

 

また、スズランの小さい白いお花と似ている「スノードロップ」という花がありますが、こちらのお花にはイギリスに古くから伝わる、悲しくも少し怖い話があります。

この話は「亡くなった恋人の遺体にスノードロップの花を置いたら、雪のしずくになってしまった」という内容なので、この話が伝わる地方では死の象徴とされることもあるようです。

 

ただし、スノードロップはヒガンバナ科・ガランサス属のお花で、スズランとは全く異なる植物で、怖い花言葉があるという噂には無関係です。

スズランの花言葉は良い意味ばかりですので、フラワーギフトに選ぶ際には安心して贈っていただいても問題ありません。

 

スズランの種類・品種

スズランといえば白色のイメージが強くありますが、白以外にも赤、ピンク、紫など、さまざまなカラーバリエーションがあることをご存知でしょうか。

スズランは大きく分けると2つの品種に分けられます。

他にも珍しい品種がありますので、次はスズランの品種や特徴、見分け方などについて、詳しくご紹介していきましょう。

 

ドイツスズラン

一般的に流通しているスズランは、ドイツスズランと呼ばれるヨーロッパが原産の品種。

ドイツスズランはニホンスズランよりも耐暑性があり、ニホンスズランよりも花丈が大きく、葉の幅が広いのが特徴です。

花がやや大きく、花が強く香るのも特徴のひとつで、この香りは香水などの香料としても使われています。

園芸品種として多く出回っているのは、ほとんどがドイツスズランです。葉の下側に花をつけるニホンスズランと比べ、ドイツスズランの花は葉とほぼ同じ高さの位置に咲きます。

 

ニホンスズラン

日本国内に自生する日本原産のスズランはニホンスズランと呼ばれ、ドイツスズランとは別の品種になります。

ニホンスズランは暑さが苦手で、日本国内では本州より北の地域に自生します。中でも北海道では自生するニホンスズランを多く見ることができますよ。

葉とほぼ同じ高さで咲くドイツスズランと比べて、ニホンスズランは葉の下側に隠れるように花をつける、奥ゆかしい花姿です。

 

ピンクスズラン

ピンク色のベル型の花がとても可愛らしいピンクスズランは、ドイツスズランの園芸品種になります。

ドイツスズランと比べると花の大きさは小ぶりになりますが、ドイツスズランの耐暑性を受け継いだ、丈夫に育ちやすい品種です。

 

その他のスズランの品種

別名「縞斑鈴蘭(しまふすずらん)」とも呼ばれるアルボストリアータという品種は、葉に黄色いストライプ模様が入っているのが特徴です。

葉に縦縞が入ることで、全体的にカジュアルさやナチュラルさが増す印象になります。

 

「ドリーン」という品種は、ドイツスズランの長所を掛け合わせて交配された品種です。ドイツスズランと比べると花丈や花径が大きく、たくさん花をつけてくれます。

 

もうひとつ、「ボルドー」という品種もドリーンのようにドイツスズランの良い性質を組み合わせて作られた品種になります。

ひとつの茎からたくさん花を咲かせる、見応えのある花姿です。

5月1日は「スズランの日」

皆さんは、フランスに「スズランの日」があることをご存知でしょうか?

フランスでは「our de muguet(ジュール ドゥ ミュゲ)」と呼ばれています。

5月1日に愛する人や家族、感謝を伝えたい相手に、スズランの花を贈るという風習です。

チョコを贈るバレンタインデーの、スズランバージョンとイメージすると分かりやすいでしょう。

19世紀末頃から始まった風習ですが、今も強く根付いており、現在でもフランスでは5月1日になると町中の花屋さんにスズランの花が溢れます。

 

日本でもだんだんと認知が高まっているので、バレンタインやクリスマスなどのように、「スズランの日」の風習が浸透していくかもしれませんね。

 

スズランの日の由来

それでは、いったいなぜスズランの日ができたのか、由来について紐解いていきましょう。

スズランの日の始まりは、1500年代のフランス国王であった、シャルル9世へスズランの花束が贈呈されたところから始まります。

当時、ヨーロッパではスズランの栽培が始まったばかりで、その愛らしい花姿から「幸せを呼ぶ花」とされていました。

国王はスズランを大変気に入り、「この幸せを周りにも分けたい」と思い、宮廷に仕える女性たちへスズランを贈ったそうです。

王が花束を手にしたのが5月1日であったことから、5月1日がスズランの日として定着しました。

「幸せを分け合いたい」という優しい王の想いから生まれたこの風習は、19世紀末頃になると庶民へも浸透し、宮廷の人間だけではなく一般の人も大切な人へスズランの花を贈るようになりました。

 

感謝の気持ちや愛情を込めて、恋人や家族、大切な人へ、スズランの花を贈ってみてはいかがでしょうか。

フランス語でありがとうの意味である「Merci」や、スズランの素敵な花言葉を書き添えたメッセージカードと一緒に贈るのも良いかもしれませんね。

 

スズランの香りは「三大フローラルノート」のひとつ

香りの良い樹木を指す「三大香木」は有名ですが、香りの良い花が「三大フローラルノート」と呼ばれていることをご存知でしょうか。

フローラルノートとは、香料などにおいて、フローラル系、つまりお花の香りを表した総称です。

良い香りの代表格ともいえるバラ、ジャスミンと並び、スズランも三大フローラルノートのひとつなのです。

 

バラやジャスミンは香りを思い浮かべやすいですが、スズランはどんな香りだっけ……?という方もいるでしょう。

スズランの香りは、爽やかでみずみずしく、清楚さや清潔さがありながらも、ほのかに感じられる甘さが特徴的です。

香りがきつすぎず華やかすぎず、落ち着きや気品が感じられる香りのため、女性にとても人気があり、身に着けると清楚な女性らしさを上げてくれる香りですよ。

香料として使われるのは、強く香る品種のドイツスズランになります。

 

スズランの群生が見られる名所

スズランが群生している様子を見たい方は、山梨県にある「芦川のすずらん群生地」がおすすめです。

黒岳と釈迦ヶ岳に挟まれた、標高約1300mと高い谷合にある群生地には、たくさんのニホンスズランが咲く姿を見ることができます。

これだけのニホンスズランの群生が見られることは珍しく、可愛らしいスズランを眺めながらゆったりと散歩を楽しめる遊歩道も人気です。見頃は5月下旬から6月上旬にかけてになります。

 

北海道にも、「平取すずらん群生地」という場所があります。

その広さは約15ヘクタールにも及び、自生するスズランが群生する場所としては国内一の広さです。

春に東北方面へ旅行へ行かれる際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

今回は、スズランの魅力についてご紹介してきました。

幸せを呼ぶ花として世界で愛されているスズランには、素敵な花言葉がたくさんありましたね。

また、香料としても人気のスズランのお花は、清楚でみずみずしい甘い香りを持っています。スズランを購入した際には、ぜひその香りにも注目してみてくださいね。