空と溶け合う花畑!ネモフィラの特徴や花言葉
空と溶け合うような一面の青い花畑の写真を見たことはありませんか?観光スポットとしても有名なネモフィラの花畑は、SNSでも話題になりました。
今回はネモフィラについて、特徴や花言葉、名前の由来をご紹介していきます。美しい色を持つネモフィラには、素敵な花言葉が付けられているんですよ。
さらに、一面のネモフィラを楽しめる人気スポットも併せてご紹介します。
ネモフィラの基本情報・特徴
まずはネモフィラの基本情報を見ていきましょう。
科・属名 | ムラサキ科・ネモフィラ属 |
英名 | Baby blue eyes |
学名 | Nemophila menziesii |
和名 | 瑠璃唐草(るりからくさ) |
原産地 | 北アメリカ |
北アメリカを原産とするネモフィラは、春に丸く柔らかな印象の花を咲かせます。
草丈は10cm程度と低い丈で、花径も2〜3cmと小ぶりです。
ネモフィラはひとつの株にたくさん花を咲かせ、地面を覆うように横へと広がって群生する性質があり、園芸ではグランドカバーとしてもよく使われます。
日当たりの良い、風通しがある場所を好んで咲くネモフィラは、繁殖力があり、とても生命力の強い丈夫な花です。
ガーデニングでも育てやすい品種で、花壇一面に広がったネモフィラは青い絨毯のようです。一面のネモフィラの花畑は、まるで天国の花畑に来たようにも感じてしまいますよね。
大正時代に日本へやってきたネモフィラは、その美しい瑠璃色から「瑠璃唐草(るりからくさ)」と呼ばれるようになり、人気の園芸種となりました。
今までは比較的認知度の低かったネモフィラですが、茨城県にある国営ひたち海浜公園の、一面に広がる広大なネモフィラ畑が話題になり、一躍脚光を浴びることになったお花です。
ネモフィラの開花時期
ネモフィラの開花時期は、4月中旬〜5月上旬にかけてが見頃です。
満開を迎える頃がちょうどゴールデンウィークと重なるため、ネモフィラの花畑には多くの観光客が訪れています。
その美しさを一目見ようと、海外からの観光客も多く訪れているようです。
ネモフィラに似ているオオイヌノフグリ
ネモフィラの花姿は、春先に道端や草原などによく咲いている野草であるオオイヌノフグリによく似ています。そして、そのどちらも和名が「瑠璃唐草(るりからくさ)」です。
オオイヌノフグリは、ヨーロッパが原産の植物で、明治初期に東京で発見されました。
繁殖力が大変強いため、瞬く間に全国へ広がっていき、今ではあちこちで見かけるようになった身近な植物です。
オオイヌノフグリの花は、3日程で枯れてしまう短命ですが、虫などの力を借りず、自分で受粉を行なう性質を持っています。
花がしぼんだ後には実を作り、熟した実からはじけて飛んだ種が周囲に芽吹き、どんどん繁殖していきます。
花が咲く時期は2〜5月で、ネモフィラの見頃とも重なりますが、オオイヌノフグリの見頃は3月がピークです。
オオイヌノフグリは、その青い小花をじっと眺めていると、イエス・キリストの顔が浮かび上がってくると言われており、「ベロニカ」という別名があります。
ベロニカとは、ゴルゴダの丘へ向かうキリストに、スカーフを差し出した聖女ベロニカという女性のことです。
汗を流しながら十字架を背負ってゴルゴダの丘へ向かうキリストに、聖女ベロニカがスカーフを差し出して、キリストの顔の汗をそっと拭いました。
すると、その差し出したスカーフに、キリストの顔が浮かび上がったと言われています。
この聖女ベロニカの言い伝えから、オオイヌノフグリに「ベロニカ」と名付けられました。
他にも、オオイヌノフグリの別名には「天人唐草」や「星の瞳」という、雅な雰囲気が漂う美しい和名もあるんですよ。
ネモフィラとオオイヌノフグリの違い
オオイヌノフグリはオオバコ科クワガタ属の花で、ネモフィラとは別の品種です。
オオイヌノフグリの花径は5mmほどと大変小さいですし、ネモフィラの花弁が5枚であるのに対して、オオイヌノフグリは4枚という違いがあります。
オオイヌノフグリは、2年以上花を咲かせられる多年草ですが、ネモフィラは蒔いた種から花を咲かせるとその年に枯れてしまう一年草です。
オオイヌノフグリの開花ピークは3月ですが、ネモフィラは4〜5月に花を咲かせます。
葉の形にも違いがあり、オオイヌノフグリの葉は丸い卵形ですが、ネモフィラの葉はぎざぎざとしています。
ネモフィラの名前の由来
日本では大正時代から「瑠璃唐草」と呼ばれていましたが、今ではすっかりネモフィラの呼び名のほうがお馴染みですね。
ここからは、英名では「赤ちゃんの青い瞳」とも呼ばれる所以や、学名の語源などについて、名前の由来を詳しくご紹介していきましょう。
学名の由来
ネモフィラの学名は「Nemophila menziesii(ネモフィラ メンジェシー)」です。
Nemophilaの語源となっているのはギリシャ語で、「nemos=小さな森」、「phileo=愛する」という単語を組み合わせたものになります。
ネモフィラの原種となった品種が、明るい陽だまりに群生する様子が、まるで小さな森のように見えたのでしょう。
和名の由来
和名である「瑠璃唐草」ですが、ネモフィラの最大の特徴とも言えるブルーの花色を瑠璃色に例えたことから由来します。
また、ネモフィラの葉が、唐草模様に似ていたために瑠璃唐草と呼ばれるようになりました。
和名がオオイヌノフグリと全く同じですが、ネモフィラとオオイヌノフグリは別の種類の植物です。
英名の由来
ネモフィラは、英名では「Baby blue eyes(ベイビーブルーアイズ)」と呼ばれています。
直訳すると「赤ちゃんの青い瞳」ですね。
明るく柔らかなスカイブルーとホワイトのグラデーションが、赤ちゃんの青い瞳のような美しさを感じさせたのでしょう。
ネモフィラといえば、一般的には空色のブルーが多く流通していますが、中には白色、黒みがかった紫、青色が濃いものなど、さまざまな品種が存在しています。
ネモフィラの品種についても、後ほど詳しくお伝えしていきます。
ネモフィラの花言葉
草丈が低く、小ぶりな花を咲かせる可愛らしいネモフィラ。
しかし、その控えめな魅力からはイメージしづらいほど、繁殖力や生命力の強さは大変優秀です。
そんなたくましい性質のせいか、ネモフィラにはポジティブな花言葉が多く付けられています。
次は、ネモフィラの持っている素敵な花言葉について、詳しくご紹介していきましょう。
「可憐」
まずは、ネモフィラの愛らしい花姿を象徴する花言葉である「可憐」。
一面のネモフィラ畑ともなると壮観で迫力もありますが、その花のひとつひとつを見れば、丸みを帯びていてとても可愛らしいお花です。
低い花丈で小さく花開くネモフィラを表す花言葉としては相応しいですね。
「どこでも成功」
ネモフィラは強い生命力を持つと先述しましたが、風通しがよく日当たりの良い場所など、ネモフィラにとって好ましい環境であれば、あっという間に根付いて繁殖します。
そのため、「どこでも成功」という花言葉が添えられました。
とても縁起が良い花言葉ですから、歓送迎会の贈り物としてもぴったりですし、転居祝いや開店祝いなどのお祝いシーンにも贈りたい花言葉ですね。
「清々しい心」
清涼感のあるネモフィラのベイビーブルーには、清々しさを感じます。
「清々しい心」は、ネモフィラを眺めているときの、私たちの気持ちを言い表したかのような花言葉ですね。
鮮やかながらも透明感のあるネモフィラの青色は、清楚さや清廉さを感じさせる色でもあります。
「荘厳」「愛国心」「あなたを許す」
ネモフィラには他にも花言葉があり、「荘厳(しょうごん)」という言葉も持っています。
一面を絨毯のように覆って群生するネモフィラたちは、まさに荘厳です。
ブルーカーペットのような花姿もさることながら、ネモフィラの持つ繁殖力にも舌を巻きますね。
「愛国心」の花言葉は、一面に咲き誇るネモフィラが、どれも空を見上げるように咲いている姿から思い浮かべられた言葉でしょうか。
「あなたを許す」という、ちょっとドキッとしてしまう花言葉は、もともとはフランス語の「je vous pardonne(あなたを許します)」に準じており、ギリシャ神話の悲しい恋物語が由来となっています。
この由来については、後で詳しくご紹介していきますね。
他にも、日本語の花言葉と同じく「success everywhere(どこでも成功)」があります。
ネモフィラにまつわるギリシャ神話
お花や花言葉にまつわる由来には、神話が深く関係しているものです。
先述したとおり、ネモフィラの「あなたを許す」という少し意味深な花言葉にも、ギリシャ神話が深く関係しています。
ネモフィラの花言葉には、美しい女性・ネモフィラと、ネモフィラアに恋をした男の逸話が由来しているのです。
ここからは、ネモフィラにまつわる悲恋のギリシャ神話物語をお話ししていきましょう。
美しい女性・ネモフィラ
その昔、ネモフィラという名前の大変美しい女がいました。
美しいネモフィラに恋をした男は、「この想いが叶うなら死んでもいい」と神に願いました。
男の祈りは神へと届き、念願が叶って、ネモフィラと男は愛し合い、結婚します。
しかし神は男の願った約束通り、ネモフィラと結婚式を挙げる夜に、男を冥界へと連れていきます。
愛する夫を突然亡くしたネモフィラは、神を追いかけていき冥界の門へと辿り着きます。
「夫に会わせてほしい」「夫を返して」「できなければ私もそちらへ連れて行って」と懇願するネモフィラですが、冥界の門は死者のみが通れるという掟がありました。
ネモフィラが夫を愛した心は、男の願いを聞き入れた神の力によってもたらされたものなのでしょうか…
しかし、そんな疑問は今はどうでもよく、愛する夫に突然先立たれたネモフィラは、ただただ哀しみに暮れて、開くことのない門から一歩も動かずに泣き明かしていました。
夫をいつまでも想い、門の傍らで待ち続けるネモフィラを哀れに思い、見ていられなかった冥界の王ハデスは、ネモフィラを花の姿に変えたのだそうです。
「あなたを許す」とは、はたして夫を連れ去った神に対してなのか、自分を置いて先立ってまで恋を成就させたかった男の不器用な想いに対してなのか、神に願って恋愛を成就させたことに対してなのか……
許す相手や対象については定かではありませんが、男がネモフィラを一途に強く想うあまりに生まれた切ない逸話が、花言葉の由来になっています。
ネモフィラの花色・品種
ネモフィラといえば、美しい青色がポピュラーですが、品種によっては白や紫など他の色を楽しむこともできます。
青色である代表品種は「インシグニスブルー」です。英名の「Baby blue eye」の由来にもなった、清々しい青色が特徴的な品種ですね。
他にもいくつか品種がありますので、詳しくお伝えしていきましょう。
白系の品種
マクラータは、5枚ある白い花弁のそれぞれ1枚ずつ、花弁の先に濃い紫の斑点が入っている品種です。
5枚それぞれに紫のアクセントが入っているため、別名では「ファイブスポット」とも呼ばれます。白と濃い紫のコントラストは涼しげで、クールな雰囲気もありますね。
「アトマリア」は、白地に濃い紫色の斑点模様が散りばめられている品種です。
別名「スノーストーム」とも呼ばれており、涼しげで爽やかな印象です。
「ブルーベリーアイズ」も白がベースの花色に濃い紫のアクセントが入っていますが、マクラータと違って花弁の縁ではなく、花弁の中心が濃い紫色になっています。
黒・紫系の品種
「ペニーブラック」の花色は、黒と紫の中間のような色合いです。
先ほどご紹介したブルーベリーアイズとちょうど反対になるような色合いで、黒紫色の花びらの縁が白く色付いています。
代表品種であるインシグニスブルーの清楚な雰囲気とはがらりと変わって、どことなくエキゾチックなニュアンスの漂う品種です。
ネモフィラの花畑を楽しめる名所
ネモフィラの花のひとつひとつは可憐で愛らしい姿ながらも、一面に咲き広がった姿はまさしく壮観です。
美しいブルーが広がる花畑は、空との境目が曖昧になるような幻想的な雰囲気も漂いますよね。ここからは、ネモフィラの美しい花畑を楽しめる観光スポットをいくつかご紹介していきます。
ひたち海浜公園(茨城)
まずは、ネモフィラ畑の火付け役ともなったと言える、茨城県にある「ひたち海浜公園」の
「みはらしの丘」に敷き詰められた、広大なネモフィラ畑です。
空との境界線があやふやになって、まるで空と大地が溶け合っているかのような幻想的な雰囲気さえあります。
一面のブルーカーペットを目の前にすると言葉も失ってしまうほど……。まさしく絶景と呼ぶに相応しいでしょう。
遠くから眺めると神秘的な光景ですが、近付いてみると、「赤ちゃんの瞳」と呼ぶに相応しい可愛らしい小花がひとつひとつ健気に咲いています。
ひたち海浜公園のネモフィラ畑は海外でも有名で、多い日では10万人以上の観光客が訪れることもあるそうです。
武蔵丘陵森林公園(埼玉)
森林公園は全国初の国営公園であることでも有名ですが、その魅力は何といっても広大な面積にあります。
なんと、東京ドーム65個分の広さにもなるのです!そんな広大な公園の中、西口ひろば花畑にネモフィラは咲いています。
花畑の前は広場になっているので、テントを張ってくつろぐ人や、駆け回る子どもたちなど、のどかな光景も楽しむことができますよ。
全国にあるネモフィラの花畑
他にも、静岡県の「浜名湖ガーデンパーク」や、北海道美瑛町にある「四季彩の丘」、福岡県の「海の中道海浜公園」や、大阪府の「大阪まいしまシーサイドパーク」など、日本全国にネモフィラの花畑を楽しめるスポットがあります。
大阪まいしまシーサイドパークでは、2021年に「今年こそ、100万株の青に逢いに行こう」というキャッチコピーを掲げた「ネモフィラ祭り」が行われました。
ゴールデンウィークに、いずれかの近くへお出かけの際には、ぜひネモフィラ畑を眺めに立ち寄ってみてくださいね。
まとめ
今回は、美しい青色を持つネモフィラの花について、その特徴や花言葉、花にまつわる神話や、花畑の名所についてご紹介してきました。
ひとつひとつの花は小さいながらも、横広がりに群生することで美しい花畑となるネモフィラは、眺める人々の心を清々しく晴れやかにしてくれます。
生命力が強く、生育環境が整えばぐんぐん育ってくれますから、ガーデニング初心者の方でも育てやすいのが嬉しいポイントですね。
強さと美しさを兼ね備えたネモフィラには、素敵な花言葉がたくさん付けられています。
見頃の春には、ぜひネモフィラの花畑を訪れて、空と花畑が溶け合う幻想的な光景をお楽しみください。