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鮮やかな夏の花グラジオラス|魅力や特徴、花言葉など

グラジオラスの豪華な花姿はとても鮮やかで、夏の花壇を彩ってくれるお花です。

大ぶりの花は見映えが良くゴージャスですし、花色のバリエーションも豊富なので、ガーデニング以外にフラワーギフトとしても人気があります。

今回はそんなグラジオラスについて、お花の特徴や花言葉、名前の由来や品種などの魅力をたっぷりご紹介していきます。

 

グラジオラスの基本情報・特徴

まずはグラジオラスの基本情報から見ていきましょう。

科・属 アヤメ科・グラジオラス属
和名 グラジオラス
英名 Gladiolus、Sword lily
学名 Gladiolus
原産地 南アフリカ、南ヨーロッパ

 

アヤメ科のグラジオラスの原産地は南アフリカですが、品種改良が重ねられ、日本の環境でも育てやすい園芸品種が多くあります。西アジアやヨーロッパにも自生する姿を見ることができますよ。

グラジオラスは、すらりと伸びる茎に付いた、剣のように先が尖った細長い葉が特徴です。

花を横向きに咲かせ、整然と並ぶ姿は美しくてボリュームがあり、とても目を惹く花姿となっています。

夏咲きの品種は比較的花丈が高いものが多く、花径も大輪です。

一方で、低い花丈に小輪の花を咲かせる品種など、華やかで存在感抜群のものから、落ち着いた雰囲気の品種まで揃っています。

丈夫なお花なので、初心者の方でも比較的育てやすいのも人気のひとつだと言えるでしょう。

 

グラジオラスは「球茎」植物

グラジオラスは球根植物ですが、厳密に言うと「球茎(きゅうけい)」と呼ぶのが正しい呼び方です。

 

そもそも「球根」とは、根がたっぷりと養分を蓄えて大きく肥大した形状ですが、グラジオラスは茎部分が養分を蓄えて肥大した形状であるため、「球茎」と呼び、この球茎の脇に生えてくる小さい芽は「木子(きご)」と呼ばれています。

同じ球茎植物には、アヤメ、クロッカス、サトイモなどが挙げられます。

代表的な品種のグラジオラスは、冬に休眠期に入って春に花を咲かせ、原産地である南アフリカに自生する品種では、夏に休眠期に入る種類もあります。

 

グラジオラスの花色や咲き方

グラジオラスは花色が豊富にあることも魅力のひとつです。

カラーバリエーションには、赤、オレンジ、黄、ピンク、紫、白などの他にも、緑や複色のものまであります。

花径の大きさも、一輪で迫力のある巨大輪や、小花を集めて咲かせる極小のものまであり、品種改良が多く重ねられてきたことが分かります。

さらには咲き方もさまざまで、フリンジ咲き、受け咲き、反転弁咲き、平弁咲きなどがあり種類が豊富なのが特徴です。

このように、花色や咲き方が豊富にあるのも、グラジオラスが人気の高いお花である理由のひとつですね。

グラジオラスの開花時期

グラジオラスは、ポピュラーなものでは6〜10月の暖かい時期に開花します。

夏咲きの品種がほとんどですが、中には秋に球茎を植えて春に咲く品種もありますよ。

グラジオラスの名前の由来

グラジオラスの特徴が分かったところで、次は名前の由来について見ていきましょう。

グラジオラスの花の名前は、学名から由来しています。そしてその学名も、ラテン語が語源となっているのです。

植物の名前の由来を知ることは、その植物の魅力を知ることにも繋がります。

それではさっそく、グラジオラスの英名や和名の由来、学名の語源について詳しく見ていきましょう。

学名の由来

まずは、グラジオラスの学名についてです。

学名である「Gladiolus」は、ラテン語の「gladius(グラディウス)」が語源となっています。

gladiusは「剣」の意味を指し、グラジオラスの特徴のひとつでもある、剣のようにとがった葉の形状から名付けられました。

古代ローマで使われた、短剣グラディウスを模している名前でもあります。

英名の由来

英名では、Gladiolusの呼称以外にも、葉の形状から「Sword lily(剣の百合)」とも呼ばれます。

細長く鋭い葉の形以外にも、すらりと真っすぐに伸びる花姿から剣が連想されるのかもしれませんね。

和名の由来

一方、和名では「オランダアヤメ」と呼ばれています。

グラジオラスは、日本では江戸時代に輸入されて、明治時代からいよいよ本格的な栽培が行なわれるようになりました。

オランダ人から持ち込まれたお花で、アヤメやショウブに花が大変似ていたため、「オランダアヤメ」と呼ばれるようになりました。

他にも、「唐菖蒲(とうしょうぶ)」や「オランダ菖蒲」と呼ばれることもあります。

グラジオラスは「戦士のお守り」

剣のような尖った葉と、すらりと伸びる花姿のグラジオラスは、古代ギリシャにおいては戦における縁起物とされていました。

球茎の形状が網目状であったため、その模様を鎧に見立てて、「戦場へ持っていけば怪我をしない」というお守りにもなっていたようです。

戦士たちの験担ぎとしても大切にされていたお花なのですね。

お守りとして身に着ける以外にも、グラジオラスの球茎を穀物と一緒に混ぜて食べるなど、重宝されていた植物だと言われています。

グラジオラスの花言葉

一輪挿しだけでもとても豪華で、その明るさや華やかさからフラワーギフトとしても人気のグラジオラス。

「小さな剣」とも呼ばれ、日本でも古くから親しまれているグラジオラスですが、いったいどのような花言葉が付けられているのでしょうか。

お花を贈るうえで気になる花言葉について、さっそくご紹介しましょう。

「密会」

やや意味深にも聞こえてしまう「密会」の花言葉は、古代ヨーロッパにおける恋人たちの逢瀬が関係しています。

「密会」という単語には後ろめたい印象もありますが、これは不道徳なニュアンスではなく、人目を忍んで会わなければならなかった恋人たちの密会を指しています。

想い合う者同士が過ごす時間を邪魔されないよう、グラジオラスを人伝に頼んで恋人へ贈り、その花の数で密会の時間を暗号として知らせていた言い伝えです。

西洋でも「sincerity(誠実)」という花言葉がつけられていて、人目を忍んで会っていた古代ヨーロッパの恋人たちの一途さを表しています。

「用心」

「用心」の花言葉も、グラジオラスが密会時間を知らせ合う暗号として使われていた歴史に由来します。

人伝にグラジオラスの花を贈って、花の数で時間を伝えていた用心深さから添えられた花言葉と言えるでしょう。

相手との大切な関係、時間を邪魔されたくないという、一途で切実な想いからくる用心深さが、「用心」の花言葉の由来です。

勝利」

時に訪れる困難を切り開く象徴ともなる剣は、勇気のシンボルです。

「小さな剣」の英名を持つグラジオラスには、戦いにまつわる花言葉もあります。

花言葉に「勝利」とつけられる由来となった言い伝えを簡単にご紹介しましょう。

その昔、ローマに残酷な司令官がいました。

司令官は人を集めて、戦士として鍛え育てようと考えました。

集められた中で、最も勇敢であり美しい顔立ちの2人の男がいました。

仲の良い友人同士だった彼らへ、司令官は戦うように命じました。

勝ったほうが自由を勝ち取り、司令官の娘と結婚できるというのです。

しかし彼らは命令に背いて戦わず、2人で肩を抱き合い、剣を地面に刺したまま動きません。

命令違反の彼らは処刑されてしまいますが、命を落とした彼らの体が崩れたとき、それぞれの剣の持ち手からグラジオラスの花が咲いたのだそうです。

 

剣のような花姿から連想されたであろう「勝利」の花言葉は、戦いにおける勝利以外にも、自身に打ち克つといった勝利の意味合いも込められるため、受験生を応援する贈り物としてもおすすめです。

「思い出」「忘却」

少し寂しげな印象のある「忘却」「思い出」の花言葉は、フランス革命やナポレオン戦争などで苦しんだ、フランスの歴史が背景としてあります。

剣を連想させるグラジオラスを見ると辛い戦いを思い出し、「過去を忘れたい」と願ったことから「忘却」の花言葉が付きました。

一方で、花期がとても長いグラジオラスの特徴から付けられた言葉だという説もあります。

色別・西洋の花言葉

グラジオラスは色別にも異なる花言葉が付けられています。

「用心深い」「堅固」

「exprime avec érotisme la force de l’amour(エロティシズムと愛の表現)」(フランス)

「密会」
ピンク 「ひたむきな愛」「たゆまぬ努力」

「réussite et rendez-vous(成功と予定)」(フランス)

「情熱的な恋」
「愛の招待状」(フランス)
オレンジ 「amour fort et sensuel 」(フランス)

「amor fuerte y sensual」(スペイン)

=「強く官能的な愛」

 

グラジオラスは、西洋での花言葉には、「sincerity(誠実)」「remembrance(記憶)」「preparedness(準備)」「strength of character(人格的な強さ)」があります。

この花言葉は、数多くの戦を乗り越えてきた戦士たちを表しているようです。

 

「preparedness(準備)」とはおそらく戦いへの準備が整っているといった意味合いであり、「remembrance(記憶)」とは、戦争の歴史や記憶を表している花言葉です。

 

日本では馴染みがありませんが、フランスでは黄色いグラジオラスに「愛の招待状」という言葉が付いています。

黄色いグラジオラスは強く香るため、甘い香りに誘われる様子をロマンチックな言葉に例えたのかもしれませんね。

オレンジ色のグラジオラスにも、フランス語とスペイン語で「強く官能的な愛」という情熱的な花言葉があります。

 

フランスやスペインでは、グラジオラスの花は求愛のシンボルとして考えられています。

それに比べると日本の花言葉は、やや控えめというか、奥ゆかしさがありますね。

それぞれの国柄が表れているように違いがあって、花言葉を見るだけでもおもしろいです。

グラジオラスとギリシャ神話

 花と神話には深い関係がありますが、グラジオラスにもギリシャ神話が関係しています。

 

母なる大地の象徴でもある五穀豊穣の女神・デメテルは、テッサリアの近くにある樫の木を大切に育てていました。

しかし、テッサリア地方の領主であるエリュシクトンは神を信じておらず、それどころかデメテルが大切にしていた神聖な木を切り倒し、自身の屋敷を増築するために使ったのです。

  

神々を信じる崇拝者の人々は、「これ以上森を荒らさないでくれ」とエリュシクトンを説得しますが、エリュシクトンは全く耳を貸そうとせず、崇拝者の人々は頭を切り落とされ、粛正されてしまいます。

これに激怒したデメテルは、エリュシクトンに粛正された人々の血を、赤いグラジオラスの花に変えて森を守りました。

 

デメテルは、飢餓の女神・リーモスを遣わせ、愚かな行いをしたエリュシクトンには「飢餓の罰」が与えられました。

食べても食べても飢えを感じ続け、全財産を払って食べ物を買いますが、どれだけ食べても飢えは満たされません。

とうとう愛娘をも売ろうと考えたエリュシクトンは、愛する妻と娘から見捨てられます。

食べるものがなくなったエリュシクトンは、最後には自分の体を食べ尽くして消えていきました。

 

女神・デメテルは、エリュシクトンに粛清されてしまった悲しい人々の流した血を集め、剣のようなグラジオラスの花を作ったのですね。

グラジオラスの種類・品種

古くから人々に愛されてきたグラジオラスは、品種改良が重ねられ、現在では1000種以上もの品種が存在しています。

一般的に流通しているグラジオラスは、春に球茎を植えて夏頃に開花する夏咲き品種ですが、秋に球茎を植えて春に開花する春咲き品種もあります。

春咲きの品種は、夏咲きの品種に比べて、花径が小ぶりなものが多いです。

 

それでは、多様にあるグラジオラスの品種について、ポピュラーな夏咲き品種から春咲きのものまで含めて、詳しくご紹介していきましょう。

赤・ピンク系の品種

「トゥルーラブ」は、花穂が長く、花がぎっしりと咲くボリューム感満載の品種です。とても丈夫な品種なので育てやすいのもポイントのひとつです。

「マスカーニ」は発色の良い鮮やかな赤が特徴的です。見映えの良い花は大輪で、やや重厚さや存在感がある美しい品種になります。

鮮やかな発色が好みでしたら、「ヘクター」もおすすめです。鮮やかな赤い大輪の花に目を奪われるでしょう。茎は堅く、しっかりとしているので、切り花として飾るのにも向いています。 

「ナナス」は、マスカーニよりも小ぶりな花径にはなりますが、耐寒性が強い品種です。花壇やガーデニングの強い味方と言えるでしょう。

「トラベラ」は、淡いラベンダーピンクの美しい花色が魅力です。やさしくてやわらかい雰囲気の色合いは、贈り物にも喜ばれるでしょう。

紫系がお好きな方には、「ビザンティヌス」という品種がおすすめです。気品のある紫色は、大人っぽく落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

ホワイト系の品種

続いてホワイト系の品種ですが、まずは「トリスティス」です。

トリスティスは春咲きの品種で、4月下旬頃に良い香りの漂う花を咲かせてくれます。

花弁はやや尖った形状で、やさしいクリーム色の花びらの中心に黄緑色のラインが見えるのが特徴です。

華やかで豪華なイメージのあるグラジオラスですが、トリスティスはやさしく儚げな印象を受けます。

「ピュアベール」は、ほとんど白に近い淡いピンク色のお花になりますが、こちらも優しげでふんわりとした雰囲気の品種です。

トリスティスと同じクリーム系の花色では、「富士の雪」という品種もあります。こちらは花数が多くボリューミーで、かつ大輪のお花が咲くのが魅力です。

 

他にも、白い花弁が赤く縁どられている「ピンクレディー」や、パンジーなどによく見られる赤いブロッチ模様の入った「コロラド」という品種もあります。

イエロー・グリーン系の品種

イエロー・グリーン系のグラジオラスは、華やかなピンク系や優しいホワイト系の雰囲気とはまた違った、爽やかで清々しい印象を受けるカラーです。

 

中でも、「グリーンスター」という夏咲きの品種は、黄色い花びらの縁が、まるでフリルのように波打って緑色で縁取られている美しい花姿です。夏の炎天下でも、木陰のような涼しさを感じる色合いですね。

黄色いグラジオラスの中でも、「トパーズ」は取り分け美しい発色を持つ品種です。その名前のとおり、宝石のようなみずみずしい鮮やかな発色です。

一方「リリアセウス」は、やや茶色がかっている、くすんだ色合いの品種になります。

花びらが途中で裂けており、星型のようなもみじ型のような花姿が特徴的で、やや希少性の高い品種にとなっています。

まとめ

今回は、グラジオラスの特徴や花言葉、品種などについて詳しくご紹介してきました。

人気の高いお花は、数多くの品種改良が重ねられます。

グラジオラスもそのひとつで、改良によって豊富な花色や咲き方が楽しめるようになったのですね。

グラジオラスの花は、色によって雰囲気が変わりますから、ぜひ贈りたい相手に合わせて、気に入る色を見つけてみてください。

「勝利」や「自分に打ち克つ」といった意味合いも持っているグラジオラスは、受験生を応援するプレゼントとしてもぴったりですよ。