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春に甘く香るフリージア|特徴や花言葉、品種は?

華やかなフリージアは、花壇を彩る存在としてガーデニングでも人気があります。

品種も豊富に存在しているため、花色など豊かなバリエーションを楽しめるのも人気のポイントです。

今回は、お花の見た目だけではなく、甘い香りにも癒される、フリージアの特徴や品種、花言葉などについて詳しくご紹介していきます。

フリージアの基本情報・特徴

 

科・属 アヤメ科・フリージア属
和名 浅黄水仙、香雪蘭、菖蒲水仙
英名 Freesia
学名 Freesia hybrida
原産地 南アフリカ

 

フリージアはアヤメ科の植物で、40cmほどの草丈になる多年草です。

南アフリカのケープ地方が原産地で、1800年代に植物学者によって発見されました。

原種は全部で16種類あり、強く甘い香りを放つのが特徴です。

日本には江戸時代にやってきた植物ですが、一般的にフリージアが広まったのは、昭和に入ってからでした。

今では豊富なカラーバリエーションで、フラワーギフトシーンを華やかに彩ってくれるフリージアですが、初めは白いフリージアしかありませんでした。

その後、品種改良がぁ実られた結果、現在のようにさまざまな色合いのフリージアを楽しめるようになったのです。

フリージアは、剣のように尖った細長い葉が並んで生えるのが特徴的です。

しな垂れるように曲がった茎先にいくつか花を咲かせ、花の形はアサガオに似た筒状です。

注ぎ口が小さい容器に、零さないよう液体を注ぐ際に使う、漏斗(ろうと)のようなフォルムになっているので、漏斗状とも例えられる形です。

フリージアの開花時期

球根植物であるフリージアは、秋に球根を植えると、早ければ2月頃には咲き始めてくれるお花です。一般的な開花時期は2〜6月頃までになります。

一足先に開花するフリージアは、まるで私たちに春を連れてきてくれるようですね。

冬に休んでいる間の球根を見ると、らっきょうによく似ている美味しそうな形ですよ。

フリージアの名前の由来

春先に甘い香りを運んでくるフリージアその花の名前の由来は、いったいどのようなものなのでしょうか。また、フリージアには「浅黄水仙」の呼び名を含めた3つの和名があります。これらの和名が付いた所以も含め、ここからはフリージアの名前が付いた由来や語源などについて、詳しくお伝えしていきましょう。

学名・英名の由来

フリージアの原種は、18世紀中頃に発見されました。原種を発見したのは、デンマークのエクロンという植物学者です。大抵のケースでは、新種を発見した植物学者は自分の名前を学名に付けるものですが、エクロンは違いました。

エクロンは、自分の植物研究や活動を応援し、励まして支えてきてくれた親友であるドイツ人医師、フレーゼの名を付けたのが、フレージアの由来です。

エクロンは、かけがえのない友人であり、尊敬する人物でもあるフレーゼの名にちなみ、「Freesia(フリージア)」という学名を付け、英名であるフリージアの名称が定着しました。

和名の由来

エクロンが発見したフリージアが日本へ持ち込まれ、栽培が本格的に行われるようになったのは昭和初期からです。その当時は、オランダから輸入された品種である「バター・カップ」が主に栽培されていました。

和名である「浅黄水仙(あさぎすいせん)」は、当時主流であったバター・カップ品種が、黄色い花であったことと、黄色い花や葉の形状がスイセンに似ていたことから、淡黄色の水仙として付いた名前です。他にも、フリージアの特徴的な甘い香りが、ランのように良い香りであることから、香りが良い清らかな蘭という意味を指す、「香雪蘭(こうぜつらん)」とも呼ばれました。

菖蒲水仙(あやめすいせん)の由来

3つ目の「菖蒲水仙(あやめすいせん)」は、アヤメ科のフリージアがスイセンの花に似ている様子から付けられた名前です。

しかし現在はフリージアの名称がすっかり定着しているので、和名で呼ばれることはほとんどありません。

フリージアの花言葉

可愛らしい見た目と併せて、甘い香りも楽しむことができるフリージア。

せっかくですからお花の旬である春先に、誰かへ贈って喜んでもらいたいですね。

春を代表する花のひとつでもあるフリージアは、いったいどんな花言葉を持っているのでしょうか。

フリージアは色別にも花言葉を持っていますので、それぞれ詳しくご紹介していきましょう。

「あどけなさ」「純潔」「無邪気」

フリージア全般には、「あどけなさ」「純潔」「無邪気」という花言葉があります。

「あどけなさ」「純潔」といった可愛らしい花言葉は、フリージアの明るいイメージから連想されたのでしょう。

「無邪気」の花言葉は、花茎にきれいに並ぶ漏斗状の小花が、元気いっぱいの子どもたちが仲良く手を繋いでいる姿に見えることが由来だとされています。

「友情」「親愛の情」「感謝」

全般の花言葉として、「友情」「親愛の情」「感謝」の花言葉もあります。

これは、先ほどご紹介したフリージアの学名の由来にまつわる話が由来です。

フリージアを発見した植物学者が、新種の花に自分の名前でなく、自分を支えて励ましてくてくれた友人への感謝の気持ちを込めて、友の名を名付けたことから、「友情」や「感謝」の花言葉が付けられました。

他にも、「純白」「潔白」「優雅」「天真爛漫」の花言葉があります。

色別の花言葉

カラーバリエーションが豊富なフリージアには、色別にも花言葉があります。

 

「純潔」
「あどけなさ」
「無邪気」
「あこがれ」

 

花言葉を多く見ていると、「純潔」の花言葉は主に白色の花に添えられていることが多い傾向にありますが、フリージアは赤色に「純潔」の花言葉があります。

赤いフリージアは、情熱的な色でありながらもどこか落ち着いていて、真摯で清らかな雰囲気があるため、この言葉が付いたのかもしれませんね。

英語の花言葉

英語圏においては、フリージアには「innocence(純潔)」「friendship(友情)」「trust(信頼)」の花言葉があります。

こちらも、学名の由来にまつわる友情から連想された花言葉です。

日本語での花言葉とほとんど変わらない内容ですね。

 

もうひとつ、英語では「sweetness(優しさ、愛らしさ)」という花言葉もあります。

「甘い」「甘味」といった意味もあるsweetnessは、フリージアが放つ魅力的な甘い香りに由来している花言葉です。

フリージアの香り

花言葉にもなるほどのフリージアの魅惑的な香りは、原種に近い品種であるほど、強く香るのが特徴的です。

香りを例えるとすると、キンモクセイの甘い香りに近いとされています。

そのため、色によって香りが違うともされますが、詳しく解明されておらず定かではありません。

フリージアの天然香料はとても貴重

バラ・ジャスミン・スズランの三大フローラルノートに加えられてもいいほどの魅力ある香りを持つフリージアですが、お花が繊細であるがゆえに香料としては抽出するのが大変難しいのだそうです。

ですので、天然物のフリージア香料は、非常に希少であり、一般的には流通していません。

私たちが手に取ることのできるフリージアの香りは、ほとんどが人工的に作られた香料です。天然の香料ではありませんが、技術により再現されたフリージアの香料はとても良い香りで、高い人気があります。

さまざまな色が生まれた改良種は、原種である白や黄色の花と比べると、やや香りが弱くなっているため、色によって香りが異なるとされているようです。

フリージアはビールと同じ香り?

フリージアの香りには、リナロールというモノテルペンアルコールの一種である香り成分が含まれています。

このリナロールは、三大フローラルノートのひとつでもあるスズランや、ベルガモット、ラベンダーなどにも含まれており、華やかな香りのある成分です。

実はこのリナロールは、ビール醸造では欠かせないホップにも含まれているのです。

フリージアとビールに同じ香り成分があると聞くと驚きですよね。

ちなみに、原種の白いフリージアはキンモクセイに近い香りで、黄色いフリージアはアンズのような甘さの中にも酸味がある香りがすると言われます。

フリージアの花の種類・品種

原種が10種類以上も存在しているフリージアは、その原種を利用して品種改良が多く行われてきました。

現在では、150種類以上にも及ぶ園芸品種が存在しています。

ここからは、フリージアの品種について、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

ムイリー

「ムイリー」はフリージアの原種のひとつです。

花丈は10〜15cmと低く小ぶりで、白い花びらに絵筆で色を足したような薄い黄色のアクセントが入っています。小型で扱いやすい品種ですので、寄せ植えなどにぴったりなサイズ感です。

アラジン

フリージアの代表品種である「アラジン」は、花色が鮮やかな黄色です。

鮮やかな黄色というよりは、黄金色といったほうが近いかもしれません。

日に透かせて輝くと、より美しい色に見えますよ。

繊細な花びらで形作られた花は、小さいユリにも似た姿です。

ハネムーン

「ハネムーン」は、過去にオランダで開催されたフリージアコンテストで、見事優勝を果たした品種です。

淡いピンク色の花は八重咲きで、とても豪華な花姿になります。

カシス

「カシス」は、先述したハネムーンと同じ八重咲きですが、ハネムーンよりも大輪で、もっと濃いピンクの花色です。

ふんわりとした優しげな雰囲気のハネムーンと比べると、色味がはっきりして花姿もさらに豪華であり、印象に残る品種です。

レッドリバー

一重咲きの品種である「レッドリバー」は、ややオレンジがかった濃い赤色が花のベースカラーです。

花の中心は黄色くグラデーションがかっていて、赤と黄色のコントラストが鮮やかなバイカラーを楽しめる品種です。

 

香りが魅力のフリージアを育てよう!

球根植物のフリージアは、ガーデニングでも人気の高いお花です。

鉢植えや地植えで栽培を楽しめます。

置き場所・植え場所

フリージアを植える場所や鉢の置き場所は、通気性と日当たりの良い場所を選んでください。水はけが良い土を好みますので、鉢植えの場合には市販されている草花用の培養土を選べば問題ありません。

地植えの場合には、パーライトや川砂などを混ぜて、水はけを良くしておきましょう。

植え付け時期

フリージアの球根栽培は、秋植え球根のため9月〜11月に行なうのが適期です。

寒さには弱いお花なので、冬の寒さを迎える前に球根を植えましょう。

鉢植えであれば、暖かい室内などに移動することができるので、植え付け時期は上述の期間内であれば問題ありませんが、地植えの場合には注意が必要です。

9月の早いうちに植えてしまうと、本格的に冬を迎える頃には茎が生長して寒害を受けます。寒害を受けると、フリージアの葉は黒く変色して傷んでしまうのです。

地植えで栽培する場合には、冬本番を迎える手前、11月中旬までに植え付けておくのがおすすめです。

フリージアの球根を購入する際には、大きくずっしりとしていて、球根の皮に艶があるものを選び、球根を触ったとき、柔らかいものや傷ついているものは避けます。

らっきょうのような形をしている球根の、細いほうが上になるようにして植えましょう。

 

【鉢植え手順】

①鉢底ネット、鉢底石を敷き、土を10㎝ほど入れます。

②球根1個分ほどの深さの土に球根を並べ、土で覆います。

③鉢底から水が流れ出てくるまで、たっぷり水を与えます。

 

【地植え手順】

①球根を埋めて3㎝ほど土がかかるぐらいの深さに土を掘ります。

②間隔を10㎝ほど空けて球根を埋めたら、土で覆います。

③たっぷりと水を与えます。

水やり

フリージアの球根を植えたら、発芽するまでは土が乾いてからたっぷりと水を与えてください。

見た感じでは変わった様子が見られなくても、土の下では順調に根付いてきていますよ。

発芽して葉が伸びたら、水やりを控えめに抑えていきます。

あまり水を与え過ぎると、茎が弱々しく育ってしまい、ひょろひょろと茎が伸びる徒長も起こりやすくなってしまいます。発芽後は、乾燥気味になるよう意識して育てていきましょう。冬の間は、暖かい日中に水やりをするのがおすすめです。

夕方以降、冷え込む時間帯に水やりをすると、与えたお水が凍る可能性もあります。地植えの場合には、雨に任せておいても大丈夫です。

肥料

フリージアは、地植えでも鉢植えでも、元肥として緩効性の肥料を与えるのがおすすめです。いよいよ開花を控えた3月頃には、液体タイプの肥料か、速効性の化成肥料を与えましょう。肥料を与え過ぎると、根に養分が詰まって根詰まりや肥料焼けを起こしてしまいますので、必ず適量を与えるよう心がけてくださいね。

 

花がら摘み

春になり、無事にフリージアのお花が咲いたら、咲き終えてしおれたお花を順に摘んでいく「花がら摘み」を行ないましょう。すべてのつぼみが咲き切ったら、花穂を切り取りましょう。このとき切り取るのは花穂のみで、茎葉までは切り取らないでくださいね。

フリージアのお花を長く咲かせておくと、香りや開花、種を付けることに膨大なエネルギーが必要なので、球根が肥大するために必要な養分が足りなくなってしまいます。

次の春もフリージアを楽しむためにも、こまめな花穂摘みを行なうことは大切です。

剪定

フリージアのお花は、特に剪定作業は必要ありませんが、つぼみを余すことなく咲かせられるよう、先ほどご説明した花がら摘みの作業は、しっかりと行なってくださいね。

フリージアを寄せ植えで楽しむ

フリージアは他の草花と組み合わせやすいお花です。

同じくらいの花丈の花を組み合わせてみたり、フリージアがメインになるよう、低い丈の花を配置してみたりするのも楽しいですね。

寄せ植えの注意点としては、必ず特性や性質が似通っている植物を組み合わせることです。開花時期が重なるお花、風通しと日当たりの良い環境を好むお花を選びましょう。

フリージアの魅力でもある香りにフォーカスして、ハーブなどの香りが良い草花で仕上げてみるのもおすすめです。

寄せ植えの鉢は、同系色のカラーのお花でまとめたり、反対色のツートンを持ってきたり、カラーデザインをあれこれ考えて楽しめるのがいいですね。

お花のご相談はフラワーギフトラボへ

花の良い香りを届けてくれるフリージアは、春先に花開く人気のあるお花です。

ダリアやユリのようにアレンジメントの主役となる機会は少ないものの、アレンジの彩りや香りを担う欠かせない存在です。

フリージアの香料がお好きでしたら、ぜひ一度生花のフリージアをお家へ飾って、その甘い香りを楽しんでみてくださいね。

フラワーギフトラボでは、フリージアを使用したフラワーギフトを数多く取り揃えております。さまざまなシーンに合ったものを用意しているので、ぜひお買い求めください。