胡蝶蘭

ラ・メールコラム > 胡蝶蘭 > 胡蝶蘭の植え替え、何を注意すれば良い?植え替えの準備や手順を詳しく解説!

胡蝶蘭を貰ったものの、水をあげるだけで良いのかな?とどう管理をしていいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。胡蝶蘭の鉢植えを長く楽しむためには、植え替えが必要になります。

せっかく貰った贈り物ですから、正しいお手入れをして長く楽しみましょう。今回は、胡蝶蘭の植え替えのタイミングやポイントについて紹介をしたいと思います。

 

胡蝶蘭の花とは

東南アジアを中心として、熱帯~亜熱帯に生息するランの花の胡蝶蘭。

胡蝶蘭の花は、蝶が宙を舞うイメージから胡蝶蘭と名がついたとされています。そのため華やかなイメージがあり、「幸福が飛んでくる」と言った花言葉や長く楽しめることから、お祝いなどのギフトとして贈られる機会も多い花です。

 

鉢物であれば管理も比較的楽で飾りやすいことから、多くのシーンで特に贈られるギフトとして人気です。鉢物では、花の数に比例して値段が異なってくるとされています。

お店の開店時や、病院の個室などに胡蝶蘭の花が並ぶシーンもテレビなどでよく見かけますよね。胡蝶蘭はさまざまなシーンで喜ばれるギフトとなっています。

 

胡蝶蘭の管理方法

胡蝶蘭の鉢物ギフトをもらうと、綺麗にラッピングされていることが多いと思います。

鉢を覆うようにラッピングされている胡蝶蘭の状態では、根腐れや株にカビの発生などを起こしてしまう可能性があります。通気をよくして、株に細菌が増殖するのを防ぐようにしましょう。

また、長く水遣りがされていない状態の可能性もあるためにギフトで貰ったら、まず十分な水遣りがされているのか確認をして、必要であれば水やりを行うようにしましょう。

 

胡蝶蘭の鉢物を長く楽しむために必要な「植え替え」

胡蝶蘭の鉢物を長く楽しむためには、植え替えが必要です。

胡蝶蘭は、手入れも比較的容易で長生きできる植物です。うまく育てることで、10年以上育てることができますし、さらに長いものでは50年近く花を楽しめることもあります。

その要となるのが、株の状態です。株の状態をよくしてできるだけ長く胡蝶蘭の花を楽しみたいですよね。そのためには、植え替えは必須です。

 

植え替えをする際には、「どのタイミングで植え替えを行ったら良い?」「植え替えの注意点は何?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

今回は、植え替えについて解説していきます。

 

植え替えはなぜ必要なのか

胡蝶蘭が大きく元気に育つためには、植え替えは必要です。胡蝶蘭の植え替えが必要な理由や注意点について詳しくみてみましょう。

 

  • 株の細菌を予防して成長を促進させる

胡蝶蘭の鉢物の用土として最適で利用されている水苔ですが、長くそのままの状態だと最近やカビなどが発生しやすく、株の成長を妨害して胡蝶蘭の成長を妨たげる原因となります。株が清潔に成長できるように用土の環境を保つ目的で植え替えが必要です。

 

  • 株が大きく成長し花を咲かせるための鉢増し

花数が増えると、株も多くなっていくことで鉢のサイズが窮屈になり、株の成長を妨げることがあります。そうなると、花が十分に咲かなくなってしまうのです。

綺麗な花を楽しむためには、余裕を持った鉢へ植え替えを行う鉢増しが必要となっています。

胡蝶蘭は着生蘭のために、根を張り成長する植物のために鉢の中で新芽を持ち、鉢に対して株が大きくなりすぎることがあります。

株が大きくなると、適切な成長を妨げることで花を咲かせなくなることもあるでしょう。株の大きさに合わせた鉢の選択のためにも、植え替えは必要です。

 

植え替えのタイミング

胡蝶蘭は繊細な植物です。適切なタイミングでの植え替えを行うことで、次の開花のための花株の成長を阻害することなく、楽しむことができます。その植え替えのタイミングについて下記に述べたいと思います。

 

植え替えにお勧めの季節

胡蝶蘭は寒さに弱い植物のために、冬場や温度の低い時期は避けて植え替えを行う必要があります。寒い時期の胡蝶蘭は、成長をストップして株のダメージを避けて、春に向けて栄養を貯蓄する時期と言われています。その時期に、植え替えを行うと不要なエネルギーを消費してしまい、成長の妨げとなったり花を咲かせないなどの悪影響を及ぼしてしまうのです。

暖かくなる時期に合わせた植え替えを行うようにしましょう。

 

1番よいとされているのが4月ですが、遅くても6月までには植え替えを終わらせるようにしておきましょう。

胡蝶蘭の生育期は7~9月です。この時期は、根や葉が大きく成長する時期であり、それまでに植え替えを終わらせて新しい環境で落ち着いた状態でいることで、成長を促進します。

暑い時期に植え替えを行うと、植え替え後の株は1番ダメージを受けている状態であり、水腐れや株の成長の妨げを起こしてしまう恐れがあります。

 

花が咲いていたら、花が先終わってから植え替えを行うことが大切です。花が終わったに植え替えすることで、株へのダメージを最小限に抑えることができます。

 

植え替えの頻度

植え替えは、2~3年に一度くらいが目安になります。これ以外にも、株がダメージを受けたと感じる時にはその都度での植え替えが必要です。

株が弱った時には、植え替えを行うことで鉢の環境を改善し、株の回復をさせるために有効です。株の中の様子の観察のためにも2~3年おきには植え替えを行うようにしましょう。

 

どんな植え替えでも、少なからず株にダメージを与えてしまい、回復するのに1年くらいの時間を要します。

頻繁に植え替えを行ってしまうと花が咲かない原因になったり、株へのダメージで成長を遅らせてしまう可能性があります。おおよそ2年を目安に植え替えを行うのがおすすめです。

植え替えにも必要な材料の準備と手順を理解してから植え替えを行うようにしましょう。

 

植え替えの目安

上記で2〜3年おきに植え替えをした方が良いと記述しましたが、植え替えの目安は他にもあります。

 

  • 2~3年以上植え替えを行っていないこと
  • 植え込み用土が弱っている(水はけが悪い、カビが生えている)
  • 株が大きくなって、鉢からはみ出てきている
  • 根腐れがある
  • 病気になっている

 

以上のような症状がある場合は、2~3年を待たずに植え替えが必要です。

 

胡蝶蘭の植え替えをする際に

胡蝶蘭の植え替えは、必要な材料の準備と、手順を理解しておけば簡単に行うことができます。用土と鉢の組み合わせには決まりがありますので、必ず用土にあった鉢を準備して、植え替えを行うようにしましょう。

 

植え替えに必要な材料

胡蝶蘭の植え替えに必要な材料は、まず用土になります。

胡蝶蘭に最適とされている用土は、水苔やバークがほとんどです。ギフトとして貰った時に水苔だったものをバークに植え替えても問題はありません。

※バーク:赤松・黒松などの樹皮を小さく砕いたものをチップ状とした排水性に優れている資材

 

用土の準備ができたら次は、鉢の準備が必要です。胡蝶蘭の大きさに合わせた鉢の準備が必要になりますので、花の大きさを配慮して4~5号の鉢を選んでみましょう。

また、水苔の場合は素焼き鉢、バークの場合はポリポット鉢を準備をしてください。

 

鉢の準備が済んだら次は、肥料とハサミを準備しましょう。ハサミはできるだけ清潔なものを使用するようにしてくださいね。

ライターで刃の部分を炙ってから使用したり、予め綺麗に洗ってから乾燥したものを使用することも有効。最近の増殖を防ぐ目的で、清潔なハサミを使用することが大切です。

作業開始時には、手を清潔に消毒してから植え替えを行うか綺麗な手袋を使用して作業を始めるようにしましょう。

 

植え替えの手順

材料の準備が済んだら次は、実際の植え替えです。手順を見ながら植え替えを行ってみましょう。水苔とバークでは鉢が異なってきますので、それぞれに合わせた植え替えを行うようにしましょう。

 

  • 1.植え替えを行う手を綺麗に消毒し、ハサミを清潔にします。(必要あればライターを使って炙り消毒を行いましょう)

清潔なハサミで花芽を切り除きましょう。剪定時に傷ついた根や花芽をハサミで取り除く際に切り口を不潔にしないようにすることがポイントです。

 

  • 2.もともと植えられているポットや鉢から株を取り出す。

根を痛めないように、古くなった用土や傷んでいる根や葉を取り除きます。無理に引き抜こうとすると根を傷つけてしまうために、ゆっくり慎重に行いましょう。

ポリポットは、下部を押し込むことで植え込み資材が出しやすくなりますよ。それ以外では、鉢の縁に隙間を作るようにして無理なく取り出すようにしましょう。

 

  • 3.植え込み次第を取り除く

胡蝶蘭の株についている植え込み用土を丁寧に取り除きます。

胡蝶蘭の根が絡んでいるので、1本ずつ根を軽く持ち上げるようにして、株の隙間の用土やバークを取り除きましょう。

ここで古いものが残っていると根腐れや害虫発生のリスクとなるため、できるだけ丁寧に取り除いてください。

 

  • 4.健康な根以外は取り除く

健康ではない根(根腐れしている・カビている・病気がある)は、ハサミで取り除きます。絡み付いていることが多いので、丁寧に1本ずつカットを行うようにしましょう。

健康かどうか不明瞭の根は、念の為切り落としておきます。

 

以降は、水苔とバークで異なります。

 

【水苔の場合】

  • 残った根に苔を巻きつける

あらかじめ、乾燥している水苔を少量のぬるま湯に浸して戻しておくようにしましょう。

もしくは一晩ぬるま湯に浸した状態で作業を始める場合は、硬く絞らないようにして使用してください。

水苔は肥料成分が含まれており、硬く絞ることで肥料成分が流出して胡蝶蘭が根付かなくなることもあります。

水苔の順次ができたら、胡蝶蘭を逆さにして、水苔を根の下側から押し当てて付けます。

胡蝶蘭の根全体がしっかりと水苔で覆われるように、内側の絡み合っている根にも水苔を巻き付けておきましょう。

 

  • 水苔を巻き付けた株をそのまま鉢に入れる

胡蝶蘭を鉢に入れたあとに、鉢の縁をグルっと押さえつけて株が固定するようにします。

その後に、鉢の上を2cm程度残して水苔を敷き詰めましょう。

 

【バークの場合】

  • 鉢底にバークを敷く。
  • 鉢の中心に株を置いてから、周りにバークを入れる。

 

水苔とバークの植え替えの違い

水苔とバークでは、植える鉢の選択が異なります。それぞれの特徴を理解しながら、自分が管理しやすい環境はどちらの用土なのかを考えて植え替えの準備を行うようにしましょう。

 

  • 水苔と素焼き鉢

水苔は保湿性が高く、吸水作用がとても強いです。そのため植える鉢が通気性がよい素焼きでなければ根腐れの原因となってしまいます。プラスチックの鉢ではなく、通気性のよい素焼きの鉢を合わせて使うようにしましょう。

※茶色の鉢は「素焼鉢」と「駄温鉢」があります。

「駄温鉢」とは、よく目にする鉢の上部の鉢巻の部分が暗い茶色の鉢です。こちらの鉢は通気性が良くないので、水苔のにカビが発生しやすくなったり環境が適していません。

 

特徴として、パークよりも安価で手に入れることができることと保水機能が高いために水やりの頻度もバークよりも少なくて済みます。

使用の準備にはバークよりも乾燥している水苔の準備が必要だったり、コツが必要となることがあるでしょう。また、根腐れしないように水やりの調整が必要です。

 

  • バークとプラスチック鉢

バークは通気性が良いために、プラスチックの鉢での植え替えでも問題がないとされています。

通気性の良さから、根腐れもしにくくて植え替えの頻度も水苔に比べると少なくて済むでしょう。

また、土同様の植え方と同様に簡単に植え替えを行うことができますし、素材の木は本来の蘭の生息環境と同じために、自然な状態での成長を見ることができます。

注意点としては、通気性が良いために、夏場や暑い時には乾燥も早く、水やりの頻度が増えてしまうこと。

また、内部の様子がわからないために乾燥しているのかどうか分かりづらいのもデメリットです。ナメクジが発生しやすいとも言われています。

 

植え替え後のケア

胡蝶蘭の植え替え後は、管理がとても重要です。

植え替え後の管理を間違えてしまうと、せっかく植え替えたのに更に株を弱めてしまう可能性があります。

以下のことを注意しながら、植え替え後もケアを行いましょう。

 

  • 肥料

胡蝶蘭にとって肥料は、株の状態を改善するための作用はありません。花が咲いている時期には基本的には肥料は与る必要はないので、夏の暑い時期になってから新しい根があるかどうかで追肥の有無を決めましょう。

新しい根を見つけたら、9月頃までは1週間に1回は、ラン用の適正濃度に薄めた液体肥料を与えてください。元気な株を更に元気にするのに有効です。

肥料は根腐れや葉焼けなどに対して改善のために使用するものではないので、もし株の状態に問題があるようであれば、肥料で状態を改善するのではなくて植え替えを検討するようにしましょう。

本来、あまり栄養のない状態で育てる植物である胡蝶蘭は、植え替え直後の肥料はNGです。株に大きな負担を与えてしまい、株のダメージが大きくなるために、植え替え直後は肥料を与えないようにしましょう。

 

  • 水遣り

胡蝶蘭の植え替えのあとは水やりは不要です。水やりを休止することで、胡蝶蘭が水を必要と発根の促進に繋がります。

具体的な目安で水苔であれば、15日程度水やりをやめましょう。バークであれば、7日程度は水遣りをお休みします。

時々霧吹きで葉の表面を湿らせる程度で問題ないでしょう。

根が成長し始めたら、200mlの水を水苔栽培では10日に1度、バーク栽培の場合は7日に1度与えるようにしましょう。

 

  • 害虫や病気対策

植え替え直後の胡蝶蘭は、病気や害虫の被害を受けやすくなりがちです。しっかり観察をしながら害虫対策を行いましょう。

 

注意しておきたい根腐れや病気の見分け方

植え替えの時期のポイントについて前記しましたが、根腐れや病気の時には早急な植え替えが必要です。

本来の植え替えのベストシーズンの4~6月以外でも早急に植え替えを行う必要があります。植え替えで株の根腐れ部分を取り除くことで、株の環境を改善するようにしましょう。

 

根腐れ・病気の見分け方

根腐れをしていたり病気にかかってしまった胡蝶蘭は下記のような症状が見られます。

 

  • 葉にしわがみられる
  • 茎にしわがみられる
  • 開花しない
  • 開花の期間が短い(普通であれば1~3カ月は開花する)
  • 植え込み用土に白カビがある

 

胡蝶蘭の葉は健康であれば、肉厚で大きくふくらんでいる状態。その葉にシワがあるのは何かしらの問題があります。

根腐れが起きれば、栄養を吸収できなくなることから、葉に栄養不足を起こしシワがでるようになります。

胡蝶蘭の葉を観察することで株の健康状態を観察することができるので、葉のシワを見つけたら、植え替えが必要です。

同じように茎にしわを見られる場合も、植え替えが必要になります。葉に比べてしわを顕著に見つけることが難しいために、茎よりも葉の方がわかりやすいですが、時には茎のしわの観察も必要です。万が一、茎のしわを見つけるようなことがあれば、早急に植え替えを行うようにしましょう。

花が開花しないことも、栄養の問題があることが考えられます。こういった症状を見かけたら、早めに植え替えを行うようにしてくださいね。

 

まとめ

胡蝶蘭の植え替えは、胡蝶蘭の綺麗な花を長く楽しむためには欠かせないものです。

植え替えに必要な時期やタイミングやポイントについて理解しながら、胡蝶蘭の花を綺麗に楽しむために適切な時期に植え替えを行うようにしましょう。

用土を水苔にするのか、バークにするかで植え付ける鉢も異なってきますし、管理も異なってきます。自分の生活スタイルも配慮しながら、植え替えを行いましょう。

また、植え替え時にはしっかり株や葉を観察しながらしっかりと自分の胡蝶蘭の状態を観察しながら、綺麗な花を毎年楽しめるように植え替えをして管理をしてくださいね。