植物の植え替え直後は水を与えて大丈夫?植え替えのタイミング、やり方について詳しく解説
鉢植えを育てる際には適したタイミングで植え替えを行う必要があります。この記事では植え替えが必要な理由や植え替える際の注意点、植え替え後のお手入れ方法まで詳しく解説しています。特に植え替え後の水やりはその後の生育を左右する注意点がいくつかあるため、しっかり確認しましょう。
植替えはなぜ必要なのか
観葉植物のようにインテリアとして飾ってある植物は植え替えのイメージがありませんが、鉢植えになっている植物はどんなものでも植え替えが必要です。植え替えは数年に1度の頻度で行いますが、植物の状態によってはもっと早く植え替えを行わなければなりません。植え替えのタイミングやなぜ行うのか分からない状態だと、上手に植物を育てることが難しいため、まずは植え替えが必要な理由を確認しましょう。
根の環境を改善するため
植替えを行う目的として根の環境を改善する目的があります。同じ鉢植えに長く植物を植え続けると徐々に根が育ち窮屈な状態になってしまいます。また、時には部分的に根腐れが起きている、カビが生えている、病害虫がついているなど根の状態が悪い可能性もあります。こういった状態を長く続けると植物が枯れてしまう原因になるため、環境改善を目的として植え替えを行います。
根詰まりを防ぐ
根詰まりは鉢の中で根が成長しすぎることで、根が回って窮屈になってしまうことです。特に春から夏の暖かい時期は、葉や茎の成長と同時に根も成長します。根は土に中に生えているため成長を感じることはほとんどありませんが、気づかないうちに鉢の中が根でいっぱいになっている可能性があります。根詰まりを起こすことで水分の吸収が悪くなり、通気性も悪くなります。それによって生育が衰え、葉が萎れる、花が咲かないなどの影響が生じます。最悪の場合、枯れてしまう可能性もあるため、根詰まりを防ぐためにも植え替えは必要なのです。植え替えを行う際に、根詰まりしそう、又はすでに根詰まりしている場合は適切な対処をとりましょう。植え替える際に鉢の大きさを変える、株分けをすることで根詰まりを解消することができます。
劣化した土を取り換える
長く植物を育てた土には雑菌や、病害虫が繁殖している場合が多いです。特に根の養分や茎の樹液を吸って繁殖する病害虫が繁殖すると、植物が枯れる原因になってしまいます。また、植物の栽培に適した土には養分やミネラルが豊富に含まれています。しかし、養分やミネラルは植物が育つ過程で徐々に吸収されるため、減っていき最終的には無くなってしまいます。そういった状態の土は植物を育てる環境としては不適です。土は徐々に劣化していきそのまま放置すると植物の生育に問題が生じます。こういったことを防ぐためにも植え替えは重要なのです。
植替えのタイミング
植物の植え替えのタイミングは品種によって異なりますが、多くの植物は暖かい環境を好むため、植え替え後の生育を考えると春から夏が適したタイミングといえます。しかし、この時期を待たずに植え替えが必要な場合もあります。植え替えが必要なサインとして次のような異常が見られます。以下のような状態を確認した場合は、すぐになるべく早めに植え替えを行いましょう。
根が鉢から飛び出している
鉢植えのそこには穴が開いていますが、根の生育が進んでいるときには、この穴から根が飛び出しています。根のはえるスペースが狭くなっていき「これ以上鉢の中では生育できない!」という場合は鉢の外まで根が飛び出してくるのです。また、鉢の外に飛び出すだけではなく中からの強い圧力で鉢やプランターが割れてしまうこともあります。こういった場合は、根詰まりを起こして水分や栄養の吸収が悪くなっているため、一回り大きな鉢に植え替えを行う、又は株分けを行って対処ししましょう。
植物の生育が悪くなった
根詰まりを起こして水分や栄養の吸収が悪くなっている、土の養分が少なくなっている場合には植物の生育が衰えます。生育の衰えは普段の様子をしっかり観察することで、すぐに発見することができます。緑だった葉の色が薄くなっている、花が萎れているといった異常は生育の衰えが影響しています。こういった状態の場合は植え替えして新しい土にかえるなど適切な対処を行うことで、元の生育状態に戻ることがほとんどです。完全に枯れてしまった後では、手遅れですがまだ改ざんする見込みがある場合には、あきらめずに植え替えを試してみましょう。
水を与えても浸み込まない
状態のよい土は水の吸い込みがいいですが、古くなって鉢の中で土が固まっている、根詰まりを起こして水分の通り道がなくなっている場合には水を与えた際の水分の吸収が悪くなります。水を与えてもなかなか水が浸み込んでいかない、土の上で水が溜まっているなどの状態を確認した時は植え替えの時期かもしれません。
バランスが悪い
鉢の中で根が絡まり、内側から外側に向かって根の力が加わることで鉢の形が変形し、バランスが悪くなって傾くことがあります。バランスが悪くなると勝手に倒れる、最終的には鉢自体が割れてしまうこともあります。また、屋外に置いていた場合には、傾いた状態で地面まで根が生育してしまうこともあります。この状態になるまで数年はかかりますが、3~4年ずっと同じ鉢で植物を育てている場合は、早めに植え替えや株分けを行いましょう。
植替えの手順
植え替えを初めて行う方は準備物や詳しい植え替えの方法が分からない方も多いはずです。ここでは必要な準備物から植え替えの手順について詳しく解説していきます。また、次の項目では植え替えの際の注意点について詳しく説明していくので併せて確認しましょう。「植え替えに失敗して植物を枯らしてしまうのではないか…」と心配している方は安心してください。植え替えは正しい手順を踏むことで比較的簡単に行うことができます。どうしても一人で植え替えできないという場合は、ガーデニングや植物に詳しい人にアドバイスを求めても良いでしょう。
必要物品を準備
植物の植え替えを始める前に、まず以下のような必要物品を準備しましょう。
・植え替え後に使う、現在の鉢より大きい鉢(理想は1回りか2回り大きいもの)
・植物に適した新しい土
・移植ごて
・根をほぐす際に使う割りばし、又は園芸用のピンセット
・水で濡らした新聞紙
植替えの際には土や植物の樹液が手に付着します。肌が弱い人はかぶれてしまう可能性があるため、軍手を付けて作業を行いましょう。また、屋外で上替えを行う場合は土がこぼれても問題ありませんが、屋内で行う場合は掃除が大変になるのでビニールシートを敷いて植え替えを行いましょう。
鉢から植物を抜く
植替えを行う際には、まず初めに鉢から植物を抜く必要があります。この時移植ごてで植物付近の土を徐々にほぐしていき、ある程度深く掘ったら簡単に抜くことができます。移植ごてを使う場合は、根や茎を傷つけないように注意しながら作業を行うと良いでしょう。
鉢に新しい土を準備する
新しい鉢に土を準備します。この時、軽石を敷きその上に土を敷くことで水はけがよくなります。また、使う土は植物に応じて変えましょう。一般的には園芸用の土で大丈夫ですが、特殊な土や水苔を使う場合もあります。植え替える植物に適した土台づくりをすることが重要です。
根を整える
鉢に移す前に根の状態を確認しましょう。根が黒くなっている、病害虫が付着している、カビが繁殖している場合はそのまま植え替えを行うのはNGです。せっかく新しい土に植え替えても環境改善が不十分な状態になってしまいます。根が黒くなっている場合はその部分を切りとり、病害虫やカビはが付着している部分も取り除きましょう。無理に取り除くと健康な状態の根まで傷つけてしまうため、園芸用のハサミで切り取りとるなど丁寧に扱うことが重要です。
植物を鉢から取り出してここまでの工程に至るまで時間がかかりそうなときは、乾燥を防ぐため根を濡れた新聞紙で包む、又は日陰に根を置いて作業を行いましょう。
植物を移す
根を整えたらいよいよ植物を新しい鉢に移します。この時できるだけまっすぐ垂直になるように植物を植えます。また、土をかぶせる際にも傾かないように根と土の間を埋めるようにして土をかぶせていきます。鉢を移植ごてでたたき振動を与えながら土をかぶせることで隙間ができにくくなります。押し固めるように土を入れると土が固まって水の浸透が悪くなってしまいます。軽く抑えながら土を重ねていきましょう。土を入れる高さは鉢のふちぎりぎりではなく、3~4㎝ゆとり作ります。ぎりぎりまで土を入れると、土がこぼれる、水を与えた時にあふれる原因になるので注意が必要です。鉢植えはこの移す作業が最も重要になるため、適当に行わずできるだけ丁寧に行うように心がけましょう。
多めの水を与える
植替えが終わったら、普段のお手入れよりやや多めに水を与えましょう。植え替え直後は鉢から土を含んだ茶色い水が流れてきますが、この茶色の水が透明になるまで水をまんべんなくかけ続けます。水を多めに与え土全体に水分を浸透させることで根の隙間に入り込めなかった土が隙間を埋めていきます。水やり後に、水の浸透が早く表面からすぐに水がなくなる状態であれば、植え替えは成功です。
植替えの注意点
正しい植え替えを行うことで根や土の状態を改善し、生育が良くなります。植え替えには正しい手順と併せて注意すべきポイントがいくつかあります。そのポイントを抑えることでより植物を良い状態で保つことができるため、事前に確認しましょう。主な注意点として以下のことが挙げられます。
適したサイズの鉢を選ぶ
植替えの際に使う新しい鉢は適したサイズを選びましょう。根の量が多くなっているにもかかわらず同じサイズの鉢に植え替えてしまっては植え替えを行う意味が全くりません。理想は1回り、又は2回り大きいものを選んでほしいところですが、場合によってはそれ以上大きな鉢が必要になることもあります。どうしても大きいサイズの鉢が用意できなかった時は、鉢を複数用意して株分けを行いましょう。根が多くなってしまった植物は株分けして1つの鉢を2つの鉢に分けることも可能なのです。
部屋に置いている観葉植物を植え替える場合は、インテリアとして鉢にはこだわりたいところです。自分が使いたい鉢がどうしてもサイズ的に不適だった場合は、他のものを探す、または株分け用に複数準備しましょう。
根を傷つけないようにする
植替えを行う手順の中に根を整える工程があります。これは植物をいい状態に保つために必要なことであり悪い部分を取り除くものですが、この時に正常な状態の根を傷つけないように注意しましょう。また、植え替え直後も不必要に鉢を揺すったり倒したりすると根が傷ついてしまうことがあります。根が傷つくことで水分が十分吸収できなくなり、葉からの蒸散量とのバランスが不均等になることで「植え痛み」が起こる場合があります。植え痛みとは、植物が植え替え後に弱っている状態です。一時的に生育が止まる、葉が落ちてしまうなどの異常が見られ最悪の場合植物は枯れてしまいます。根の状態を整えることで環境改善を目的としたはずなのに、こうなってしまうのはもったいないですよね。十分注意しながら植え替えを行いましょう。
植え替え前には土を乾燥させる
植替え直前に水を与えると、根に泥がついた状態で植え替えを行うことになり、周りを汚してしまう原因になります。屋外であれば特に問題ありませんが、観葉植物を室内で植え替えたいという方は、ビニールシートを敷いて汚れ対策をしていても周辺に泥が飛んでしまう可能性があります。泥を掃除するのは手間がかかるため、なるべく植え替え前は土を乾燥させ、泥がつかないようにしましょう。根が泥だらけで、つい洗いたくなる人は多いと思いますが、根を直接洗うことは根を傷つけてしまう可能性が高いため、直接水洗いをするのはやめましょう。
根の乾燥
古い鉢から新しい鉢へ植物を移す前には、土を準備するなどほかの作業が入ります。その間、根がむき出しの状態の植物を日の当たる場所に放置すると、根が乾燥してしまいます。根は乾燥させないほうが良いので、鉢から取り出した時点で根の部分を濡れた新聞紙で包む、又は日陰に植物を置いておくことが重要です。長い時間その状態なのもよくありません。なるべく手際よく作業を進めましょう。
植替え後の水やりについて
植替え直後は水をたっぷり与え、その後も早期の生育を目的として水や肥料をたくさん与えたくなりがちです。しかし、植え替え直後は敏感な状態になっているため、1~2週間養成の時間が必要です。水は与えず、置き場所も日陰においてその場から動かさないようにしましょう。
直後の水やりは普段より多めでOK
植え替え直後の水やりは茶色の水が流れなくなるまで、多めにまんべんなく水を与えると前述しました。土と根の隙間を埋める目的以外にも、余分な土を落とすという役割もあるため、たっぷり水を与えましょう。
植替えてから2週間の水やり
植え替え直後の2週間は敏感な状態の植物を休める時期なので、水を与えないようにしましょう。土の状態を確認し乾燥してきたら再び水を与えます。土が乾く前に水を与えてしまうと、水分過多で根腐れを起こす可能性があります。せっかく植替えを行ったにもかかわらず、すぐに根腐れが原因で枯れてしまってはもったいないです。たくさん水を与えたいところですが、そうしないことが根の生育を早くし早めの定着につながるのです。
植替え2週間経過後の水やり
植替え2週間が経過したら、通常通りのお手入れを再開しましょう。これまでのお手入れで水受けの交換を頻繁に行っていなかった方は、植え替えを機に交換頻度を見直しましょう。水が溜まった状態の水受けを放置してしまうと湿気が原因でカビが発生することがあります。特に梅雨のような湿度の高い時期は1日交換を忘れただけでカビが生えることもあるほどです。根にカビが繁殖した場合はその部分を取り除き、葉や茎まで広がっている場合は剪定の必要があります。植え替えた後にまたすぐ植替えを行う、大規模な剪定を行うことは、植物にストレスを与えてしまいます。こうならないように十分注意しましょう。
まとめ
ここまで植物の植え替えに関する細かい情報を説明してきました。目的が分からないと間違った植え替え方法をとってしまうこともあるため、これから植え替えを考えている人は注意が必要です。また、植え替え直後の敏感な状態の植物をどのように手入れするかが今後の生育状況を大きく左右します。特に水の与え方が重要になり、それに関しても詳しく解説しています。ぜひ参考にしていただければ幸いです。