初心者でも大丈夫!失敗しないサボテンの胴切り
皆さんは、育てているサボテンに水をあげすぎて、根を腐らせてしまった経験はないでしょうか?
もう元気にならないかな…と諦めてサボテンを処分する前に、試してみてほしい「胴切り」という方法があります。
元気をなくしたサボテンでも、胴切りをすれば復活してくれるかもしれません。
今回は、サボテンの胴切りを初めて行う方でも失敗しないよう、その手順を詳しくご紹介します。
サボテンの「胴切り」とは
サボテンの「胴切りとは、根腐れを起こしてしまったり、元気をなくしてしまったりした株に、元気を取り戻させる方法です。
この胴切りは、応急処置以外にも、サボテンの株を増やす際や、徒長して崩れた形をきれいに整えるためにも使える方法ですから、覚えておいて損はありません。
ただし、胴切りという名のとおりに、サボテンをすっぱりと切ってしまうので、初めて挑戦するには勇気が要ります。
失敗したらどうしよう…と不安にもなりますね。
ですが、胴切りのポイントやコツを抑えてしまえば失敗しにくくなります。
これからご紹介する手順を踏んで、安心してチャレンジしてみてくださいね。
なぜサボテンの胴切りをする?
サボテンの胴切りは、
- 根腐れを起こしている
- 徒長している
- サボテンの株を増やす
このような場合に行なうと効果的です。
まず、根腐れしている場合ですが、株のまだ健康な部分を、腐った部分と切り離すことで、元気な株を回復させて持ち直すことができます。
まだ元気な株は、新しい鉢に植え替えれば新芽を出す力が残っています。
サボテンの株を増やしたい場合にも、根腐れの対処方法と同様に、胴切りによって子株を作り植え付け、増やしていくことができるのです。
サボテンの茎がひょろひょろと細長く伸びている徒長は、隅々まで栄養が行き渡っていないために起こる症状です。
徒長しているときも、胴切りによって株の回復力を高められます。
サボテンの胴切りのタイミング
さて、サボテンが根腐れしているときには胴切りが有効だと分かりました。
根腐れを起こしている場合にはどんな症状があるのでしょうか。
サボテンを育て始めたばかりだと、いまいち見極め方やタイミングが分かりませんよね。
次は、胴切りの必要があるタイミングとなる、サボテンから読み取れるサインについてご紹介しましょう。
根腐れのサイン
そもそもサボテンの根腐れとは、水の与え過ぎが大半の原因になります。
根腐れを起こしているということは根元が腐っていますから、根の色が黒く変色していたり、ふやけたようにやわらかくなったりします。
そして、根から充分な栄養を行き渡らせることができないため、茎は萎びてぐったりしてしまいます。
このようにサボテンの異変に気が付いたら、早急に胴切りを行ないましょう。
対処が早いほど、早く元気になってくれますよ。
徒長のサイン
サボテンの茎がひょろひょろと細長く伸びてしまっているときは、徒長しているサインです。
徒長しているときにも、根腐れと同様に胴切りで株のバランスを調整することで、全体に栄養を行き渡らせやすくなります。
徒長は、サボテンに日光が不足しているときにも起こりがちです。
置き場所の見直しも必要かもしれません。
サボテンの胴切りに必要な道具
胴切りの効果やタイミングが分かりましたね。
ではさっそく、作業に必要となる道具を準備していきましょう。
どれも入手が難しい物はありませんから、簡単に用意できますよ。
- 新しい土・鉢
- 鉢底ネット・鉢底石
- 厚手の手袋
- 切れ味の良い刃物
- アルコールウェットシート
- 新聞紙
では、各道具について、どんな物を使えば良いのかひとつずつ補足していきます。
土と鉢など
根腐れの処置として胴切りする場合は、雑菌の繁殖を少しでも防止するために、土や鉢は新しく用意してください。
胴切りといった植え替え作業は、植物にとっては大変負荷が掛かる作業です。
胴切り後はサボテンが弱っていますから、清潔な土と鉢に植え替えましょう。
鉢については、通気性の良い素焼き鉢を使うと、水分が蒸発しやすいのでサボテンの生育環境に適しています。
鉢底ネットと鉢底石を使い、排水性をアップさせましょう。
土に関しては、サボテンなどの多肉植物用に配合された土が販売されていますので、そちらを使うのがおすすめです。
サボテン用の土には、ある程度の肥料もあわせてブレンドされています。
そのため、肥料を追加して与える必要はありません。
育てていて元気がないときに与えるくらいで充分でしょう。
肥料を与える時期としては、生育期の間のみで、株が休眠する冬季には与えないようにします。
厚手の手袋
胴切りは、サボテンの茎を手でしっかりと押さえて作業することにかります。
皮膚にサボテンの棘が刺さって怪我をする恐れがありますので、厚手の手袋やゴム手袋、皮手袋などを着用して、安全に作業しましょう。
ちなみに軍手ですと、棘が軍手の生地を破ってしまい、簡単に刺さるため不向きです。
厚手の手袋は、他の植物のお手入れや、手を保護しつつ作業するようなシーンでも役立ちますから、この機会にひとつ用意しておくと便利ですね。
切れ味の良い刃物
胴切りの作業では、切れ味の良い清潔な刃物を使うことで、サボテンへのダメージを極力抑えられます。
切り口とは、サボテンにとっては傷口です。
ダメージが最小限であるほど、回復も早まりますので、サボテンの銅周りのサイズに合わせた刃物を選びましょう。
胴切りは、土から出したサボテンの株を横向きに置き、手で押さえながら刃物で切断します。
イメージ的には、人参や大根などを調理するときに、包丁で切る作業と似ています。
小さいサボテンならハサミやカッターでも事足りますが、大きなサボテンにはナイフやノコギリを使用するなど、サイズに合わせることが大切です。
アルコール入りウェットシート
胴切りの作業でポイントとなるのが、切り口から雑菌を侵入させないことです。
使用する刃物が不潔だと、サボテンの切り口、つまりは傷口から雑菌が入ってしまいます。
刃物は、作業前に火で炙ったり、消毒したりして清潔さを保つのが大切です。
アルコール入りのウェットシートや消毒剤で、胴切り前にきちんと刃物を消毒しておきましょう。
作業中も、刃物を使用する都度、消毒が必要です。
こうしたこまめな消毒で、サボテンへの雑菌侵入を防止できます。
サボテンの胴切りの方法
必要な道具が揃ったら、次はいよいよサボテンの胴切り手順についてです。
すっぱりサボテンを切る作業は、初めてだととても緊張しますよね。
失敗しないか不安ですが、それぞれの手順でのポイントを抑えれば、胴切りは成功しやすくなります。
作業の際には、ご自身の手や指先をしっかりと保護して、怪我にはくれぐれも注意してくださいね。
胴切りする日を選ぶ
サボテンの胴切りは、温度や湿度が高すぎず、日光が強すぎない日に行なうのがベストです。
真夏の炎天下や、湿度の高い梅雨に行なうと、胴切り後にサボテンが回復しきれず、切り口から腐ったり枯れてしまったりします。
季節としては春か秋がおすすめで、からりと晴れた日の午前中を選んで行うようにすると良いでしょう。
春や秋はサボテンの生育期ですから、胴切り作業の後も根が出やすく、回復力も充分に備わっている時期なのです。
サボテンをカットする
刃物をしっかりと消毒して、手袋を準備したら、いよいよサボテンをカットしていきます。
カットする部分は、サボテンの中央辺りを目安にして、胴を切り離します。
この際に、恐々カットしてしまうと、サボテンの株が余計に傷つきダメージを受けてしまいます。
できるだけ思い切りよく、大胆にすっぱりカットしましょう。
株が根腐れを起こしている場合は、菌が付着してしまいますので、変色して腐った部分よりも上からカットしましょう。
胴切りした後は、新しい土へ植え付けやすくするために、切断した面を尖らせて整えます。
尖らせ方は、鉛筆の芯などをイメージすると分かりやすいかと思います。
このように尖らせることで、土に植え付けると安定しますし、発根しやすくなるのです。
切り口を整える前にも、刃物の消毒は忘れずに行ってくださいね。
切り口を乾燥させる
胴切りが済んだら、サボテンを風通しの良い場所に置き、切り口を日光によく当てて乾燥させます。
置き場所の湿度が高いと、雑菌の増殖を促進させてしまうので、風通しの良い涼しい場所で乾かすのが重要なポイントです。
このとき、強い直射日光に当てすぎるとサボテンが傷んでしまうので注意してください。
30分ほど日光に当てたら、サボテンを新聞紙でやさしく包み、もう一度風通しの良い場所に置いて、1週間から10日ほど乾燥させましょう。
新聞紙で包むことによって湿気が吸収されるので、サボテンを裸のままで乾燥させるより効果的になります。
ちなみに、サボテンの切り口が乾く前に、切り口を保護して発根を促す園芸用の薬品を塗布すると発根を助けることができますが、これは必須ではありません。
土に植え付ける
充分に切り口を乾燥させたら、切り口を下にして新しい土に植えます。
植え替えた後は、2週間程度は水やりをせず、風通しが良く、直射日光の当たらない明るい日陰に置いて管理しましょう。
サボテンの胴切りは、大きな傷口を作ることと同じですから、傷口に雑菌を侵入させないことが最も重要です。
そのため、しっかりと根付いてくれるまでは、サボテンにカビが生えないよう切り口の様子はこまめに観察してください。
切り口の乾燥が生乾き状態だと、カビの発生に繋がりますから、植え付ける前の乾燥させる工程は念入りに行ないましょう。
胴切り後の水やり
胴切り作業を行う前には、土を乾燥させた状態で鉢から出すと良いため、サボテンの水やりを控えます。
植え替えた後には、サボテンの株を養生させる期間が必要です。
きちんと切り口から根付くまでの1~2週間ほどは、水を与えずに管理しましょう。
発根していない状態で水やりすると、切り口から入った水によって根腐れを引き起こします。
根腐れしているサボテンを助けるために胴切りしたのであれば本末転倒ですので、発根を確認できるまでは我慢です。
サボテンを軽く持ち上げてみると、株が根付いたかどうかが分かりやすいですよ。
水やりのタイミングについては、サボテンの品種によっても多少異なります。
大半のサボテンでは、季節に応じて下記のように水やりを行なってみてください。
春・秋 | 土が乾いてから、たっぷり水やり |
夏 | 土が乾いてから、2〜3日後に水やり |
冬 | 休眠期に入るので水やりをしない |
胴切り後の温度・湿度管理
乾燥地帯が原産であるサボテンは、暑さにも寒さにも大変強い植物です。
基本的には、気温が5℃以下にならなければ株が枯れることはありません。
乾燥や温度管理に関しては神経質になる必要のない強い植物ですが、湿度に対してはとても弱いのがサボテンの特徴です。
胴切りした後は特別デリケートなので、風通しの良い日陰でしっかりと乾燥させましょう。
もし冬場に胴切りを行ない、管理温度が5℃を切る場合には、暖かい室内に入れ、段ボールやビニール袋で覆って保温するなど防寒対策をしましょう。
胴切りのコツのまとめ
①刃物をこまめに消毒する
②カットは思い切りよく大胆に
③切り口を念入りに乾燥させる
切り口から雑菌が入るのを極力防ぐこと、切り口はすっぱりとカットしてサボテンの負担を減らすこと、植え付ける前には念入りに切り口を乾燥させて、カビの発生を防ぐこと。
以上の3点を意識すれば、胴切りは成功しやすくなります。
胴切りは株にとって大きな負担の掛かる作業ですから、正しい手順で行なって、できる限り負担を減らしてあげましょう。
サボテンの胴切りでよくある失敗例
もしもサボテンの胴切り後に、根が生えてこなかったり、カビが発生していたりしたら、作業の段階でどこか不足があったのかもしれません。
よく失敗してしまう理由を前もって知れば、それを頭に入れながら注意して作業に取り掛かることができます。
続いては、サボテンの胴切りを行った際によくある失敗の一例をご紹介します。
発根しない
新しい土へ植え替えた後、1ヶ月ほど様子を見ているけれど、いまだに根が出てこない…
サボテンがなかなか発根しない場合には、土を霧吹きで湿らせてから、サボテンの切り口を1cmほど埋めて土に挿してみましょう。
このとき、切り口がしっかりと乾いているのを確かめてから、土に挿すよう注意してくださいね。
発根は、土に触れている部分の切り口から根が出てきますが、株によっては長く時間が掛かる場合もあります。
心配だからと株をいじりすぎずに、気長にのんびりと発根を待ってみましょう。
カビが発生した
サボテンを胴切りした後に、カビが発生してしまうことがあります。
先ほどもお伝えしたように、これは切り口が完全に乾ききっていない状態で植え付けたり、刃物から入った雑菌が繁殖したりして、カビが発生している状態です。
株を植え付ける前には、念入りに切り口を乾燥させておくこと。そして刃物を使う前には、その都度消毒をして切り口を清潔に保つよう注意することが、カビを防ぐ最大のポイントになります。
胴切りでサボテンを増やす
ご紹介したサボテンの胴切り方法は、根腐れの応急処置以外にも、サボテンの株を増やす際にも使える方法になります。
株を切り分けて増やす際でも、子株の切り口を清潔に保つことや、乾燥させるのが重要であるのは同じです。
サボテンの株を切ること自体は、比較的難しい作業ではありません。
消毒や乾燥を丁寧に行えるかどうかが、銅切りの成功や株を増やすうえで、とても大切なポイントとなってきます。
手順を守って丁寧に株を管理すれば、生命力の強いサボテンは回復して元気に育ってくれるはずですよ。
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まとめ
今回は、サボテンの胴切り方法について詳しくご紹介してきました。
サボテンをすっぱりと切断する胴切りは、初めてだと緊張する作業で、失敗しないかとても不安に思います。
ですが、清潔に保つこと、切り口を乾燥させることをポイントに、手順を守って丁寧な作業をすれば失敗を防げます。
サボテンはもともと過酷な環境下で生きてきた生命力の強い植物です。
根腐れを起こしても、胴切りで早くに対処すれば、再び元気になってくれることでしょう。
胴切りの手順でサボテンをどんどん増やして、インテリアグリーンとしてお家を賑やかにしてみてくださいね。