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アンスリウムを水耕栽培で育てよう!土を使わないハイドロカルチャーや水挿しでの育て方

アンスリウム水耕栽培

アンスリウムは、耐陰性があり丈夫な植物であるため、室内で水耕栽培することができます。

水耕栽培は、切り花のように水に挿して植物を育てたり、土の代わりに人工植え込み材を使用して育てる栽培方法のことで、土を使わないので清潔を保って栽培を楽しめるのが魅力です。

今回の記事では、アンスリウムの水耕栽培について解説します。アンスリウムの基本的な育て方や、水耕栽培の際に気をつけたいポイントについてもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

アンスリウムを水耕栽培で育てるメリット

水耕栽培は、土を使わずに植物を育てる栽培方法です。

アンスリウムは土を使って栽培することもできますが、水耕栽培で育てる方法には以下のようなメリットがあります。

  • 清潔を保つことができる
  • 虫がわきづらい
  • 水分管理が目に見えて分かりやすい

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

清潔を保つことができる

水耕栽培では、土を使って育てる一般的な栽培方法に比べ、清潔を保つことが可能です。

土を室内に持ち込むのは抵抗があるけれど植物を育てたいという人や、キッチンや寝室など、清潔に保ちたい場所で観葉植物を育てたい場合におすすめしたい方法といえるでしょう。

また土の代わりに使うことの多いハイドロボール(人工植え込み材)は、繰り返し洗って使用することができるので環境に優しい点もメリットです。

虫がわきづらい

水耕栽培は土を使わないので虫がわきづらく、子どもやペットがいる室内でも安心して育てることが可能です。

また、水耕栽培なら有機材を使用せず、無菌状態のハイドロボールを使用することで、土のようにもとから虫が混入しているというリスクを防ぐことにもつながります。

水分管理が目に見えて分かりやすい

透明の容器を使って水耕栽培を行えば水分量が一目で分かり、水分管理がしやすいです。

また、普段鉢植えで育てるときには見ることができない根の様子も見れるので、植物の成長をより実感できる栽培方法といえるでしょう。

植え込み材には、ハイドロボール以外に色のついたゼリーや砂、石などもあるので、インテリアとしてもおしゃれに楽しむことがかのうです。

アンスリウムの基本情報

アンスリウム

アンスリウムを元気に育てるためには、基本情報や特性を知っておくことが大切です。

アンスリウムの育成に関わる基本データや特性は以下の通りです。

植物名 アンスリウム
科・性 サトイモ科・アンスリウム属(ベニウチワ属)
原産地

自生する環境

熱帯アメリカ、西インド諸島(気温25~30℃程度)

樹木に着生して育つ

開花時期 5~10月頃

(20℃以上の環境を保てれば、通年開花させることが可能)

耐寒温度 13~15℃程度

(10℃以下になると株が弱ってしまう)

 

アンスリウムの花びらのように見えている部分は仏炎苞と呼ばれる葉の一部であり、これはサトイモ科特有の部位です。本来の花は、中央に伸びている天狗の花のような箇所で、よく観察すると小さな花が集まっている様子が観察できます。

また、自生地でアンスリウムは大きな樹木に着床して育ちます。気根と呼ばれる根っこから空気中の水分を吸水して育つ植物なので、土や水耕栽培で育てる際は根腐れしないよう乾燥気味に管理することが大切です。

水耕栽培を始める時期

アンスリウムの水耕栽培は、生育時期である5~8月頃までに行います。

ただし、近年日本の夏の気温は上昇しているので、株を弱らせないためにも猛暑日の植え替えは避けましょう。

水耕栽培を始めるための株分けなどは、生育環境にできるだけ近くなる気温25℃程度の良く晴れた日が適しています。

アンスリウムを水耕栽培で育てる方法は?

アンスリウムを水耕栽培で育てる方法は、主に2種類あります。

ここでは、それぞれの育て方について紹介するので参考にしてみてください。

土から植え替えてハイドロカルチャーで育てる

ハイドロカルチャーは水耕栽培の中でも、土の代わりにハイドロボールなどの人工的な植え込み材を使用して植物を育てる方法です。植物を固定できるので、水挿しよりも大きく育てたい場合におすすめです。

大きく育った植物は土から人工植え込み材に植え替える際の環境変化に適応しづらいので、小さな苗を選ぶと良いでしょう。

苗の準備の流れは以下の通りです。

  1. ポット苗や株分けしたアンスリウムの子株を使う場合は根を良く洗って土を落とします。シャワーノズルなどを使うと、根元の土が落としやすいです。
  2. 傷んだ根や伸びすぎた根がある場合は切り落としましょう。
  3. 土がついたままの状態で水耕栽培に移行すると、水が腐りやすくなります。できるだけしっかり土を洗い流すことが大切です。

根のついた状態の苗が準備できたら、以下の手順で植え替えを行います。

  1. ハイドロボールを使う場合は洗って乾燥させます。一度洗っておくと、水が濁るのを防げます。
  2. 植え込み材を容器の1/4程度まで入れましょう。
  3. 容器に根のついた状態のアンスリウムを入れ、隙間を植え込み材で埋めていきます。
  4. ピンセットや細い棒を使って隙間を埋めながら、アンスリウムの苗が真っすぐな状態になるように固定しましょう。容器の上は数センチ残した状態が管理しやすいです。
  5. 苗がしっかり固定されたら、水を容器の1/4~1/5程度まで入れます。根腐れを防ぐために水は入れすぎないように注意してください。 

ハイドロカルチャーの植え込み材

ハイドロボール以外にも、植え込み材として使われることの多い種類があります。主な種類としては以下の2つが挙げられます。

  • クリスタルボール:水を加えると膨らむゼリー状の植え込み材で、容器の中に隙間ができにくく安定感がある素材です。
  • セラミス:顆粒状の粘土で、多少根に土が残った状態でも植え込めるのが特徴です。

クリスタルボールは、ハイドロボールに比べると容器の中が乾燥しづらいという特徴があります。できるだけ乾燥気味に育てたいアンスリウムには、ハイドロボールのほうが良いかもしれません。

一方、セラミスは多少土が残っている状態でも使用できるため、初めて水耕栽培をする方でも安心です。

水耕栽培は、植え込み材の上に化粧砂と呼ばれる色のついた砂を敷いたり、透明のガラスの中を自分の思い思いに彩ったりするといった楽しみ方ができるので、自分好みの一鉢をつくってみると良いでしょう。

切り取った茎から水挿しで育てる

鉢植えで大きく育ったアンスリウムを手軽に増やしたいときにおすすめしたい方法です。

また、剪定で切り取ったアンスリウムの茎からでも増やせるので、植物を有効的に活用できます。

水挿しの方法は以下の通りです。

  1. 太く元気なアンスリウムの茎を10cmほど切り取ります。
  2. 乾燥を防ぐために上の葉を2枚程度残し、根元を斜めにカットしましょう。
  3. 切り取った茎を水に挿して根が出るのを待ちます。
  4. 2~3日に一度水を替え、清潔を保ちましょう。その際、発根促進剤を使用すると元気な根を出す手助けをしてくれます。
  5. 2~3週間程度で新しい根が生えてきます。根がある程度成長するまで水替えをしながら育てます。

水耕栽培でのアンスリウムの育て方

アンスリウムが育つのは、大きな木に守られた柔らかい日差しが当たる場所です。

根が水にすべてつかった状態だと根腐れしやすくなるので、水に触れていない部分をつくって水やりは控えめにすることを心がけましょう。

ここでは、水耕栽培でのアンスリウムの育て方を詳しく紹介します。

日当たり

直射日光が当たると葉焼けを起こしてしまうので、優しい日差しのもとで管理します。

また、直射日光は藻や苔を増やす要因にもなるので避けましょう。カーテン越しに柔らかい日差しがたっぷり当たるような場所がおすすめです。

水やり・水交換

ハイドロカルチャーで育てる場合は、季節に応じて水替えを行いましょう。

  • 春・夏は植え込み材が乾いてから2~3日後
  • 秋は、春夏よりさらに頻度を減らす
  • 冬は月に1~2回、霧吹きで水を与える程度

ハイドロボールなどの人工植え込み材は、表面が乾いていても中は湿っていることが多いです。アンスリウムは樹木に着床して育つため、根が常に湿った状態を嫌います。

根腐れを避けるためにも、水切れを起こさない程度に乾燥気味に育てましょう。

水の量は、容器の底から1cm程度、鉢全体の1/6程度が目安です。分かりづらい場合は、水位計を使えば水切れのタイミングと適正水位を知ることが可能です。

水を入れすぎてしまった場合には、植物を抑えた状態で鉢を傾けて水を排水します。

一方、水耕栽培で育てる場合も季節に応じて水替えを行います。中の水が白く濁っていたら、水替えを行う目安です。

  • 春・秋は2~3日に1回
  • 夏は水が腐りやすいので、基本的に毎日交換
  • 冬は3~4日に1回

水替えのタイミングは時期によって異なるので、あらかじめ理解しておくことが肝心です。

特に、夏の時期は水の温度が上がりやすく汚れやすくなるので、水が濁ったらその都度きれいな水に交換しましょう。

水替えの際は、容器も洗剤を使ってきれいに洗浄します。苔などがついていると細菌が繁殖しやすくなるので、発生した場合はきれいに洗い落とすようにしてください。

また、植物が元気に育つためには、水だけではなく酸素を取り込むことも大切です。水耕栽培で育てる場合、土やハイドロカルチャーで育てる場合に比べて、酸素を取り込みづらくなるので水の量には気をつけましょう。

水位は根の半分~1/3程度がつかる程度で管理し、根元は空気に触れる部分を残しておきます。

葉水

アンスリウムにとって理想的な湿度は50~60%とされています。植物の葉の裏には気孔と呼ばれる小さな穴があり、そこから水分を吸水できるので、乾燥が気になるときには葉水を行いましょう。

葉水を行うことで葉を乾燥から守り、害虫の予防にも効果的です。葉水は柔らかい水圧の霧吹きを使い、葉から少し離した状態で水を与えれば良いので、比較的簡単にできます。

室内で行う際はシンクなどの濡れても問題ない場所に移動し、葉から水が滴るくらいにたっぷりと水分を与えると良いでしょう。

水耕栽培に肥料は必要?

本来、樹木に着生しているアンスリウムは水だけで発根しますが、以下のような場合は発根促進剤の使用が有効です。

  • なるべく早く発根させたい場合
  • 太く丈夫な根を発根させたい場合

水耕栽培は土と違い、水や人工植え込み材から栄養を吸収できないので、発根し植え込んだあとは肥料を使って育ててください。

ハイドロカルチャーで育てる場合は、水に溶けた肥料成分がダイレクトに根に触れてしまうので注意が必要です。

また、土用の肥料を溶かして使うと根が肥料を吸収しきれず、肥料焼けを起こすことがあるので、必ずハイドロカルチャー専用の水に溶かして使うタイプの肥料を選ぶのがポイントです。

肥料を与える時期

肥料を与えるのに適した時期は5~8月の生育期に規定量を使用します。その一方で、休眠期に肥料は与えません。

水耕栽培で清潔を保つためには、有機肥料よりも化成肥料がおすすめです。

有機肥料は自然の素材を使用してつくられた肥料のことであり、植物にとっては自然な状態に近い肥料です。しかし、水が濁りやすく、腐りやすくなるという特徴があります。

土で育てる場合には非常に有効ですが、水耕栽培のメリットを生かすためには水を汚しにくい化成肥料がおすすめです。

また、水耕栽培で肥料を使用すると藻や苔が発生しやすくなります。発生したら早めに取り除き、清潔な状態を保ちましょう。

さらには、肥料を与えすぎると肥料焼けして根が弱ってしまう原因になりかねません。複数の肥料を混ぜて使用すると効果が薄まったり、組み合わせによっては植物に良くない影響が出たりする可能性もあるので避けるようにしてください。

水耕栽培で枯れる原因になる根腐れを防ぐコツは?

水耕栽培は植物が水につかった時間が長くなるため、根腐れを起こしてしまうケースが多いです。一度根腐れを起こしてしまうと回復が難しく、株ごと枯れてしまう原因になることも少なくありません。

水耕栽培で根腐れを防ぐコツとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 水を少なめにする
  • 水が完全になくなってから水を足す
  • 水の温度にも気をつける

最後に、アンスリウムの水耕栽培で根腐れを起こさないためのコツを紹介するので、自分で育てる際に役立ててください。

水を少なめにする

ハイドロカルチャーで育てる場合、容器に入れる水は少なめにしましょう。具体的には、植物の根の先端が水に少し触れる程度、少し水が少ないかなと感じるくらいが水量の目安です。

ハイドロボールを使用する場合は水を保持できるため、見た目では水がほとんどないように見えても容器の湿度は高い状態になります。

本来、アンスリウムは気根と呼ばれる空中に伸びた根から吸水する植物なので、湿度の高い状態を保てれば水切れを起こすことはありません。

水が完全になくなってから水を足す

容器の中の水を循環させるために、水が完全になくなってから水を足します。古くなった水が乾かないまま次の水を足してしまうと、根が酸素に触れる時間が少なくなり、根腐れを起こす原因になりかねません。

常に茎や根が水につかった状態を避け、根を酸素に触れさせることで乾燥を促し、根腐れを防ぐ効果が期待できます。

水の温度にも気をつける

急激な温度変化は、根を傷める原因になります。季節や室温に合わせて、水の温度にも気を配りましょう。

特に、冬場の水道水は冷たくなるので、そのままの温度で水やりを行うと植物が驚いてしまいます。あらかじめ水をコップなどに取っておいて常温にするか、お湯を足して温度を調整してから使用するのをおすすめします。

水耕栽培でおしゃれにアンスリウムを育てよう

土を使わずに育てる水耕栽培は、見た目がおしゃれなだけではなく寝室やリビングの清潔を保ちながら植物を楽しめる方法です。

アンスリウムを水耕栽培で育てる際は、根腐れしないように茎が空気に触れる部分を残し、乾燥気味に育てるのが大切です。できるだけ植物の呼吸を妨げない工夫を施しながら育てることを意識すると良いでしょう。

保水性があればどんな容器にも植え込めるため、インテリアとして楽しみながら自分だけのアンスリウムを育ててみてはいかがでしょうか。