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ラ・メールコラム > 観葉植物 > スモークツリーを育ててみよう!栽培のコツを徹底ガイド

煙のような花びらが特徴のスモークツリー。初夏から秋にかけて色づくその姿は、一度見たら頭に焼き付くほどインパクトがあります。この記事では、スモークツリーの基本情報や人気の品種また栽培のコツを初心者の方にも分かりやすいように徹底ガイドします。

ぜひ最後までチェックして、美しいスモークツリーを育ててみてください。

スモークツリーってどんな植物?

 

煙が立ち上るような姿が特徴的なスモークツリーは、ウルシ科の落葉花木です。

地植えにすると草丈が3m以上になることもあり、その個性的な姿に由来して和名では「煙の木」「」とも言われています。

ではスモークツリーは、どんな植物なのでしょうか。ここでは基本情報や花言葉などを紹介します。

基本データ

科/属 ウルシ科/ハグマノキ(コティヌス)属
タイプ 庭木/落葉
学名 Cotinus coggygria(コティヌス コッギグリア)
英名 Smork Tree(スモークツリー)
和名 煙の木(ケムリノキ)/霞の木(カスミノキ)
別名 Smoke bush(スモーク ブッシュ)/白熊木(ハグマノキ)
原産地 ヨーロッパ/ヒマラヤ地域/中国など
樹形(草丈) 300~400cmくらい
開花時期 6~8月
花の色 赤/緑/黄/白/ピンク
耐寒性/耐暑性 強い/強い
用途 切り花/カラーリーフ
花言葉 煙に巻く/賢明/賑やかな家庭/はかない青春
誕生花 4月28日/6月18日/11月25日

 

スモークツリーは暑さにも寒さにも強いため、非常に育てやすい植物です。

その反面で生命力が強いがゆえに樹形が整いにくく、こまめな剪定が必要になります。

またこの植物は雄木と雌木がありますが、一般的に出回っているのは雌株です。(花が終わった後に煙のような姿になるのは雌株のみ)

フラワーショップでは観賞用となる雌株を主として取り扱っているようですが、気になる場合は問い合わせてから購入してください。

魅力

スモークツリーは初夏に咲く花序(かじょ)だけではなく、葉にも観賞価値があります。

葉色は明るいグリーンから深い紫色までさまざまに展開され、切り花としても楽しめるのが魅力です。また葉の色は気温によっても異なり、晩秋には真っ赤に染まった葉を鑑賞できます。

※雄株・雌株の見分け方は?

初夏に5mmくらいの小さな花を咲かせるスモークツリー。雌花には花の中心に1本のおしべがあるのが特徴です。また雄花には花の縁に5本のおしべがあります。雄花は雌花と比較すると小さいので、フワフワとした見た目にはなりませんが、カラーリーフとしては楽しめますよ。

花言葉

スモークツリーには、その特徴的な外見から「煙に巻く」という花言葉が秘められています。煙に巻くとは真実を隠して、相手の気持ちを別の方向に向ける時に使われる言葉です。

また「はかない青春」は、煙がすぐに消えてしまうことを短い青春に例えた花言葉になります。その他、スモークツリ―の華やかな見た目から「賑やかな家庭」という温かな花言葉も付けられていますよ。

いずれにしても、もしプレゼントなどに活用する場合は誤解を招かないようにメッセージカードを添えると安心です。

スモークツリーの種類5種

フワフワとした見た目が印象的なスモークツリーは、近年シンボルツリーとしても人気があります。でも実はこの花木にはたくさんの種類があることをご存じでしょうか。

ここでは人気の品種を5種類紹介します。

グレース

はじめに紹介する「グレース」は、スモークツリーの中では定番とも言える品種です。

赤紫の穂がたくさん付き、華やかな大人っぽい雰囲気を醸し出してくれます。また葉色の美しさも評判が良く、秋には黄色やオレンジ色に紅葉した姿を見せて、私たちの目を楽しませてくれますよ。

 

ヤングレディ

「ヤングレディ」は、矮性(わいせい)品種になります。(矮性とは樹高や草丈が低いことです)コンパクトながらもピンクに色付く花はモフモフで、観賞価値が高いのが魅力です。

あまり大きくしたくない方や、鉢植えで栽培したい方にもおすすめになります。

グリーンボール

「グリーンボール」は日照の加減によって、花色が透き通るようなグリーン〜淡いピンクに変化します。花付きも良く、耐寒性・耐暑性共に優れていますよ。

樹形もまとまりやすく、花が終わった後に剪定すれば、小さく育てることも可能です。

ベルベットクローク

次に紹介する「ベルベットクローク」は、銅葉と濃い紫色の花がシックな品種になります。

花付きが良いスモークツリーを探している方は、こちらがおすすめです。花の美しさと葉色のバランスが抜群で、若い木でもたくさんの花を咲かせますよ。

可愛らしい印象の小さな葉は、紫〜青みがかった深い緑色に変化します。

ホワイトボール

「ホワイトボール」は、真っ白い花を咲かせる品種になります。この植物はどちらかと言えば赤やピンク系の花が多いので、変わったスモークツリーを探している方におすすめです。

青空の下、初夏の風に吹かれて白い綿毛のような花を咲かせる姿は見応えがあります。

スモークツリーの育て方・栽培の秘訣

スモークツリーは栽培の手間がかからないので、初心者の方にも育てやすい植物になります。思わず触ってみたくなるような「わたがし」のような花序も魅力的です。

オシャレな色合いの葉も、スタイリッシュな庭にピッタリですよ。

ここでは栽培のコツを詳しく紹介しますので参考にしてください。

適した環境

この植物はバイタリティーがあるので地植えであれば、成り行きに任せていても育ちます。

その一方で繁茂(はんも)し過ぎてしまう恐れもありますので、適度なメンテナンスが必須です。

スモークツリーは、風通しと日当たりが良好な環境に植えるのがおすすめ。

ただし根を浅く張る性質があるので、強風の吹くエリアに植えるのは避けましょう。

用土

地植え

植え付ける2週間くらい前までに、50cmくらいの穴を掘り腐葉土や緩効性肥料を混ぜて、よく耕しておきましょう。もしも水はけの悪い場所に植えなければならない場合は、腐葉土や堆肥を多めにミックスして、土壌改良をするのがおすすめです。2週間ほど置くことで、土が熟成します。

スモークツリーは、水はけの悪い場所に植えると根腐れを起こす可能性があるようです。

したがって粘土質(細かい粒子であるため、余分な水分を溜め込みやすい)の土壌に植えるのはできるだけ避けてください。

 

鉢植え

市販の庭木用の培養土を活用しましょう。元肥が配合されていない場合は、緩効性肥料を加えてください。また、排水性を高めるために川砂を混ぜると効果的です。

植え付けの手順

スモークツリーの植え付けの適期は、落葉期である11〜3月になります。しかし寒さが厳しいと株が弱ってしまうので、できるだけ暖かくなってからがおすすめです。

もしも冬に苗木を購入した場合は、3月頃まで待って植え付けてください。

ここでは手順を解説します。

 

地植え

土づくりをした場所に苗木よりもひと回り大きな穴を掘りましょう。次に根鉢を3分の1ほどほぐして植え付けます。この時に根を傷つけてしまわないように注意してください。

鉢植え

鉢で育てる場合は、10号以上の大きな鉢がおすすめです。鉢底には軽石などを多めに敷き、水はけを良くしましょう。庭木用の培養土を鉢の半分ほど入れます。次に苗木を取り出して、優しく根鉢を崩してください。高さを決めたら、少しずつ土を加えて植え付けていきます。倒れるのが心配な時は、根付くまでの間支柱を立ててあげてください。

肥料

スモークツリーは植え付けの際に元肥を施しておきます。その後は特に必要ありませんが、生育が悪い時や春に新芽を出す際に緩効性肥料の置き肥を与えても良いでしょう。

緩効性の固形肥料は、少しずつ成分が溶け出してゆっくりと長い時間効き目が持続します。

水やりの方法

地植え

植え付けた後は、茎葉が元気よく伸びるようになるまで水やりを続けてください。

根付いた後の水やりは必要ありません。

ただし夏場になり乾燥が続く場合は、必要に応じて夕方の涼しい時間に水を与えましょう。

 

鉢植え

他の植物と同じように鉢の表面の土が乾いたら水をあげてください。

ただしスモークツリーは多湿が苦手なので、水の与え過ぎに注意しましょう。

水やりをする時は冬の間は気温が高い昼間のうちに、夏は気温が低い朝や夕方に行います。夏は乾燥しやすいので、朝夕の2回水やりが必要になる場合もあるでしょう。

鉢植えの場合は、土の状態を小まめにチェックすることが大切です。

剪定

スモークツリーは成長のスピードが速いので放置しておくと横に大きく広がってしまい、見栄えが悪くなります。また枝が増えれば風通しも悪くなり、害虫が発生しやすくなるので注意してください。

この植物の剪定の適期は、落葉期である11〜3月です。基本的には伸びすぎた枝や混み合った枝をカットしていきますが、花芽まで落としてしまうと翌年花付きが悪くなるので気をつけましょう。

※皮膚が弱い方はかぶれに注意!

スモークツリーはウルシ科の植物なので、樹液を触るとかぶれてしまうことがあります。心配な場合は必ず手袋を付けて剪定作業を行ってください。

植え替え

地植え

スモークツリーは寒さにも暑さにも強い植物です。そのため、植え替えの必要はありません。地植えの場合はそのまま放任しても大丈夫です。

 

鉢植え

根詰まりを防止するために、2年に1度くらい植え替えを行ってください。適期は落葉期(11〜3月頃)です。植え替えをする際には乾いた状態で行うとスムーズに行えますので、水やりを控えめにすると良いでしょう。

必ず新しい培養土を使い、大きくしたい場合はワンサイズ大きい鉢に植え替えてください。

増やし方

スモークツリーを増やしたい場合は、種まきと株分けで増やすことが可能です。

 

種まき

結実したら種を採り増やすことができます。9〜10月頃実が出来ていたら摂取して、育苗ポットなどを活用して、種をまいてみましょう。

明るい日陰で育て、発芽をしたタイミングで日当たりの良い場所に移します。

ある程度大きく生長したら、好きな場所に植え替えてください。

株分け

スモークツリーは、株分けによって増やすことも可能です。その際は根元から生えてきた「ひこばえ」を活用します。この植物は若木の間に、たくさんのひこばえを出現させるので、それを使用するのです。

ひこばえは本来なら剪定して処分するものですが、根がつくようにカットして他の鉢(土壌)に植え替えれば増やすことができます。

注意したい病害虫

この植物は丈夫で病害虫の心配はほとんどありません。しかし稀に「うどんこ病」や「カイガラムシ」が発生することがあります。

 

うどんこ病

葉っぱなどに生じて、発症すると小麦粉をまぶしたように白くなるのが特徴です。

そのまま放置すると、症状が進んで枯れてしまうことがあるので注意してください。

見つけたらすぐに病気になっている箇所はカットし、殺菌剤をかけて対処しましょう。

この病気は湿気が多いとかかりやすいので、常に風通しを良くすることで防ぐことができますよ。

カイガラムシ

この害虫は、ほとんどの植物に発生する可能性があります。一口にカイガラムシといっても、400種類以上も存在していると言われているのです。カイガラムシは細い口吻(こうふん)を植物の茎や葉に差し込み、養分を吸汁してしまいます。

そのため見つけたらすぐに歯ブラシなどを活用して、駆除してください。

 

スモークツリーがシンボルツリーに向いている理由3つ

シンボルツリーは、自宅の象徴ともなる大切な木です。したがって玄関の周囲や庭に植えるだけで、オシャレな雰囲気が演出できます。スモークツリーは華やかでボリュームがあるので、シンボルツリーにも最適ではないでしょうか。ここではその理由を3つ紹介します。

庭の雰囲気に合わせることが可能

住まいをオシャレな雰囲気にするためには、建物のイメージに合った植物を選ぶことが大切になります。その点スモークツリーには、さまざまなカラーがあるので、必ずお気に入りの色味が見つかるはずです。華やかさもありながら、フワフワと軽やかな印象のスモークツリーは、洋風・和風どちらのお庭にもよく馴染みます。

切り花としても楽しめる

スモークツリーは、切り花としてお部屋に飾ることもできます。ドライフラワーにしても素敵ですし、切り花をお気に入りの花器に挿すだけでもインテリアとして活用できるのです。

例えばデルフィニウムやエルダーフラワーと組み合わせれば、部屋の中に初夏の風を運んで来てくれます。

ふんわりとしたスモークツリーが優しい輪郭を彩り、高級感も演出できますよ。

育てるのが簡単

育成のしやすさもシンボルツリーには必要な要素です。育てやすさのポイントは、さまざまな環境に順応することと、日頃のお手入れが簡単であること。日本は北側と南側で気候に差がありますが、この植物は寒さにも暑さにも強く、どこの地域でも栽培できます。

また日常のお手入れも楽なので、初心者の方でも安心して育てることが可能なのです。

スモークツリーのよくあるトラブルと解決方法

 

スモークツリーはふわっとした見た目がかわいい植物で、庭を彩るシンボルツリーとしても人気です。育て方も簡単で初心者でも扱いやすい植物ですが、時々トラブルが起こることがあります。

それは、ごく稀にスモークツリーに花が咲かないというトラブルなのです。

主な原因は以下の2点です。

 

①剪定の時期を間違えてしまった

スモークツリーの剪定の適期は花の咲かない時期(11〜3月頃)と言われています。

しかしこの時期には、既に翌年に花を咲かせるための「花芽」が出来ているのです。

剪定によって花芽をカットしてしまうと、当然のことですが花は咲きません。

したがって初心者の方で剪定に自信がない場合は、夏場に剪定をするのがおすすめです。

 

剪定は株を若返させるために必要ですが、冬は混み合った枝をすくくらいにして、本格的な剪定は暖かい時季に行うようにすると良いでしょう。

 

②根腐れ

花が咲かない時には、根腐れの心配があります。もし枝や葉っぱにも元気がない場合は、こちらを疑ってみてください。ウルシ科の植物は基本的に乾燥した環境を好みますので、水はけが良くないエリアに植えてしまうと、根腐れしてしまうことがあります。

このような場合は、土壌の改良をするか、植え替えをして対策してみてください。

スモークツリーの育て方は簡単!あなたも挑戦してみよう

 

モクモク立ち昇る煙のような花と、可愛らしい葉っぱが魅力的なスモークツリー。

花の咲いていない時期でも、カラーリーフとして庭を彩ってくれる貴重な存在です。

耐寒性・耐暑性にも優れており、育て方も簡単なので初心者の方にもおすすめですよ。

花も葉も楽しめる素敵なスモークツリーを、あなたも是非育ててみてください。