観葉植物

ラ・メールコラム > 観葉植物 > バオバブの木ってどんな木?特徴や生態、気になるアレコレを解説

アフリカのサバンナに生息するバオバブの木は、その独特な姿と巨木ぶりで、古くから人々の注目を集めてきました。まるで根を上に向けて生えているようなその姿から、別名「逆さまの木」とも呼ばれています。

太い幹は水を蓄え、生命力あふれるその姿は、アフリカの人々にとって神聖な存在として崇められてきました。本記事では、そんなバオバブの木の魅力に迫り、特徴や生態、文化、そして育て方まで詳しく解説していきます。

バオバブの木とは

科・属 アオイ科・バオバブ属
英名 Baobab
学名 Adansonia
別名 さかさまの木、逆さの木、生命の木、ボアブ、ボアボアBottle tree, Monkey-bread tree, Upside-down tree
原産地 アフリカ、オーストラリア
耐寒性/耐暑性 普通/強い
開花時期 7〜8月

バオバブの木は長寿で、南アフリカ共和国にあるバオバブの木は樹齢6000年とも言われていました。しかし現在は絶滅危惧種に指定されています。

バオバブの特徴

バオバブは、アフリカ、マダガスカル、オーストラリアなどの乾燥地域に自生する、ユニークな姿をした木です。その特徴は、なんといっても、太く短い幹と、枝が水平に広がった独特のシルエットにあります。まるで根っこが空に向かって伸びているかのような、逆さまに生えているように見える姿は、一度見たら忘れられないインパクトを与えてくれます。幹の直径は最大で10メートルにも達し、その容積は、大きな家やバスの数台分にも匹敵するほどです。バオバブは、その巨大な幹に大量の水を蓄えることができるため、厳しい乾燥地帯でも生き抜くことができるのです。

「星の王子さま」での描写

フランスの作家、サン=テグジュペリによる児童文学作品「星の王子さま」では、バオバブの木は、星の王子さまが住む小さな惑星を飲み込んでしまう危険な存在として描かれています。バオバブの根は深く、成長が早く、放置すると星全体を覆い尽くしてしまうため、王子さまは毎日根気強くバオバブの芽を抜き、星を守る努力を続けるのです。

星を覆いつくすバオバブの木の挿絵は少し恐ろしく見え、バオバブは危険なものと思えますが、実際のバオバブの木はアフリカでは神の宿る木とされています。成長スピードもゆっくりのため、星を壊すようなことにはなりませんので、安心して育ててくださいね。

バオバブの生態

バオバブは、アオイ科バオバブ属に分類される落葉樹です。アフリカ大陸、マダガスカル、オーストラリアなど乾燥地域に広く分布し、その生育環境に合わせて多様な種に分化しています。寿命は非常に長く、樹齢数百年から数千年にも達する個体も存在すると言われています。成長が遅く、花を咲かせるまでに数十年かかる場合もあるようです。

バオバブの木の名前の由来

バオバブの名前は、アラビア語で「大きな果実」を意味する「ブーヒバブ」に由来するとされています。その名の通り、バオバブは大きな果実をつけることで知られており、果実は食用や薬用としても利用されています。また、バオバブは、アフリカの多くの言語で、それぞれ独自の呼び名を持っていることも特徴です。

バオバブの花言葉

バオバブの木には花言葉はありません。しかし、バオバブの木の由来とされるセネガル語の「一千年の木」や、アラビア語の「種がたくさんあるもの(ブー・フブーブ)」などから、縁起の良いものとして贈ることができます。

星の王子さまでは星を壊す恐ろしい木とされていますが、実際のバオバブには怖い意味はありません。

バオバブの木の風水効果

バオバブの木は、その巨木としての風格や生命力から、風水では「金運」や「健康運」をもたらす縁起の良い木とされています。特に、幹が太く、根がしっかり張っているバオバブは、安定したエネルギーを持つとされ、家庭や職場に置くことで、生活基盤を安定させ、金運や健康運を向上させると考えられています。

バオバブの木の品種

バオバブの木には、約12種類もの品種があります。

最も樹形が美しいバオバブの品種は、マダガスカルに自生する「アダンソニア・グランディディエリ(Adansonia grandidieri)」です。絶滅危惧種に指定されている希少品種でもあります。

一方、日本国内で観葉植物として流通しているのは、「アダンソニア・ディギタータ(Adansonia digitata)」という品種です。「星の王子さま」に登場するバオバブの木のモデルにもなった品種だそうです。

他にも小型品種の「アダンソニア・フォニー(Adansonia fony)」は、マダガスカル原産の一定の樹高で生長が止まる性質を持っています。肥大化した幹が途中で枝分かれするのも特徴的です。

オーストラリア原産の「アダンソニア・グレゴリー(Adansonia gregorii)」は、樹高20メートルにまで生長し、徳利のように幹の下部だけが膨らむ品種。マダガスカル原産の「アダンソニア・ザー(Adansonia za)」も、ボトル型に膨らんだ幹が特徴的です。

このようにバオバブの木には、それぞれ生育地や樹形の特徴が異なるユニークな品種が数多く存在するのです。

参考:バオバブの木は観葉植物として育てられる!魅力や育て方のコツ | 胡蝶蘭・スタンド花のプレミアガーデン

バオバブの木の花と実

夜咲く大輪の花バオバブの花は、夕方から夜にかけて開花し、甘い香りを放ちます。花は白色やクリーム色で、直径は15cmほどにもなり、その大きさと美しさは、まさに夜空に輝く星のようです。

花が咲き終わると、へちまに似たような大きな実を付けます。この実は木になったまま乾燥します。ラグビーボールほどの大きさで、硬い殻に覆われています。中には、酸味と甘みを兼ね備えた白い果肉が入っており、ビタミンCやカルシウムなどの栄養素が豊富です。そのまま食べたり、ジュースやジャムに加工したり、乾燥させて粉末にして食用に用いられます。また、種子は油を採ったり、コーヒーの代用品として利用されたりもします。

実の特徴と利用

バオバブの実は、ラグビーボールほどの大きさで、硬い殻に覆われています。中には、酸味と甘みを兼ね備えた白い果肉が入っており、ビタミンCやカルシウムなどの栄養素が豊富です。そのまま食べたり、ジュースやジャムに加工したり、乾燥させて粉末にして食用に用いられます。また、種子は油を採ったり、コーヒーの代用品として利用されたりもします。

バオバブの木にまつわる伝説と文化

アフリカの民話に登場アフリカでは、バオバブの木は神聖な木として崇められており、多くの民話や伝説に登場します。例えば、以下のような伝説や文化があります。

  • 神様に逆さまに植えられた
  • 悪魔または巨人が木を逆さに植えた
  • バオバブの樹皮に含まれる水で沐浴すれば強くなれる
  • バオバブの木の下で集会をすると良いアイデアが生まれる
  • バオバブの花を抜くとライオンに体を引き裂かれる
  • バオバブの木は死者の魂が霊界に向けて旅立つときに通る門

バオバブは根のように広がる枝の姿から、神様に逆らったために逆さまに植えられてしまったという言い伝えがあります。また、アフリカではバオバブが貴重な水資源だったため、水源として使われていました。そのため、力や知恵、健康、長寿のシンボルとなっています。

バオバブの花は夜に花が咲くため、夜に出歩く(=花を抜く)とライオンに襲われるなどの言い伝えがうまれたのでしょう。

また、いくつかの国では部族の重要な人物が死んだときの埋葬の儀式で、水源として使われなくなったバオバブの木の空洞に死体を安置するという風習があります。そのため、死者の魂が霊界に向けて旅立つときの門と考えられているようです。

バオバブの木の利用と恩恵

バオバブの木は、ユニークな姿から観賞用として愛されただけでなく、食用としても使われています。ここでは、バオバブの木がどのように活用されているかを紹介いたします。

地域の人々の生活を支える

バオバブの木は、アフリカの人々にとって、生活に欠かせない存在です。果実は食用として、葉は野菜として、樹皮は繊維として、種子は油として、そして幹は住居や貯蔵庫として、様々な用途で利用されてきました。

バオバブの木は、まさに、アフリカの人々の生活を支える生命の木と言えるでしょう。

薬用や食用としての利用

バオバブの果実は、ビタミンCやカルシウム、鉄分など、様々な栄養素を豊富に含んでおり、そのまま食べたり、ジュースやジャムに加工したりして食用にされています。また、果肉は、咳止めや下痢止めなどの薬効があるとされ、伝統的に民間薬として利用されてきました。葉は、スープや炒め物などの料理に使われ、栄養価の高い野菜として珍重されています。

樹皮は、繊維を採取してロープや布などに加工され、種子は油を絞って食用油や化粧品などに利用されています。バオバブは、その様々な部位が活用できることから、アフリカの人々の生活を支える貴重な植物として、古くから大切にされてきました。

観葉植物としてのバオバブの魅力

バオバブの木は、その独特のシルエットと力強さから、観葉植物としても人気が高まっています。部屋に置くだけで、南国情緒あふれる雰囲気を演出してくれるでしょう。また、バオバブは比較的育てやすい植物としても知られており、初心者の方でもチャレンジしやすい点が魅力です。

バオバブの購入方法

バオバブの苗木は、園芸店やオンラインショップなどで購入することができます。近年人気が高まっているため、比較的入手しやすいと言えるでしょう。購入する際は、生育状況や価格などを比較検討し、自分に合った苗木を選びましょう。

バオバブの木の育て方

日当たりバオバブは、原産地であるアフリカのように、日当たりの良い場所を好みます。一年を通して、直射日光が当たる場所に置くようにしましょう。特に、生育期には、十分な光を当てることが重要です。ただし、真夏の強い日差しは葉焼けの原因となるため、直射日光が長時間当たる場合は、レースカーテンなどで光を遮るように工夫すると良いでしょう。

水やり

バオバブは乾燥に強い植物ですが、成長期には適切な水やりが重要です。土が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。ただし、水のやりすぎは根腐れの原因となるため注意が必要です。水やりの目安は、土の表面が乾いてから、指を2〜3cm差し込んでみて、土が乾いていることを確認してから行うとよいでしょう。

一方、冬は休眠期に入るため、水やりの回数を減らす必要があります。冬の間は、土が完全に乾いてから水を与えるようにしましょう。目安としては、2〜3週間に1回程度の水やりで十分です。また、冬の間は低温にも注意が必要です。10℃以下の環境では、水やりを控えめにして、植物体が凍らないように protecting することが大切です。

また、バオバブは水はけのよい土を好むため、鉢底の穴から水が流れ出るような鉢を選ぶことが重要です。土は、赤玉土やコーヒーかすを混ぜたものがおすすめです。水はけが悪い土や、水を与えすぎると、根腐れを起こしやすくなるので注意しましょう。

このように、バオバブは乾燥に強い植物ですが、適切な水やりと管理が重要です。成長期には土が乾いたらたっぷりと水を与え、冬は水やりの回数を減らすことで、健康的に育てることができるでしょう。

肥料

バオバブは、生育がゆっくりなため、肥料は控えめにするのがおすすめです。生育期の春から秋にかけて、緩効性肥料を月に1~2回程度与えましょう。ただし、肥料を与えすぎると根腐れの原因となるため、注意が必要です。

剪定

バオバブは成長が遅いため、剪定はあまり必要ありません。ただし、徒長枝や枯れ枝など、樹形を乱す枝は、生育期に切り戻すと良いでしょう。剪定を行う際は、鋭利な刃物を使用し、切り口を傷めないように注意してください。また、剪定後には、切り口に癒合剤を塗布すると、病気や害虫の侵入を防ぐ効果があります。

植え替え

バオバブの植え替えは、生育が遅いことから、あまり頻繁に行う必要はありません。鉢のサイズが小さくなって根が詰まっていると感じたら、一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。植え替えの適期は、生育期の春から初夏です。植え替えの際は、根を傷つけないように注意し、新しい土には、水はけの良い土を使用しましょう。

冬の管理方法

バオバブは寒さに弱いため、冬は室内で管理するのがおすすめです。日当たりの良い窓際などに置き、10℃以上の温度を保ちましょう。冬は休眠期なので、水やりは控えめにして、土が完全に乾いてから水を与えるようにしましょう。また、乾燥を防ぐために、葉水を与えるのも効果的です。

注意すべき害虫

バオバブは比較的害虫に強いですが、まれにカイガラムシやハダニが発生することがあります。特に乾燥した環境では発生しやすいので、定期的に葉裏などをチェックし、見つけたら早めに駆除しましょう。

バオバブの木の増やし方

バオバブの木の増やし方 バオバブの木を増やすには、種から育てる方法と挿し木による方法があります。

種から育てる方法

バオバブの種は非常に硬い殻に包まれているため、発芽させるためには殻を削ったり、ヤスリで擦ったりして傷をつける必要があります。その後、水に浸けて24時間ほど置いておくと発芽しやすくなります。発芽適温は25〜30℃です。発芽後は日当たりと水はけの良い場所で育てましょう。

挿し木による方法

バオバブの枝を切り取り、挿し木用の土に挿して育てる方法です。挿し穂は10〜15cmほどの長さで、葉は2〜3枚残して切り取ります。切り口には発根促進剤を塗るとよいでしょう。挿し木後は日当たりの良い場所で管理し、土が乾いたらたっぷりと水を与えます。発根には1〜2ヶ月ほどかかります。

バオバブの成長は遅く、種から育てた場合、発芽から2〜3年程度で30cmほどの大きさになります。挿し木の場合は成長が早く、1年ほどで30cmほどに育ちます。ゆっくりと成長する樹木ですが、愛情を込めて育てることで、ユニークな姿を楽しむことができるでしょう。

ユニークな生態と姿を持つバオバブの木を育ててみませんか

バオバブの木は、そのユニークなシルエットと力強さから、お部屋に置くだけで南国リゾートのような雰囲気を味わえます。太い幹と独特の枝ぶりは、まるでアフリカの大地に立つ巨人のよう。生命力に溢れたバオバブを育てることで、自然の力強さや美しさを間近に感じられるでしょう。

日々の世話を通してバオバブと向き合い、その成長を見守る喜びを体験してみませんか?水やりや剪定など、愛情を込めて育てることで、バオバブもきっとあなたに応えてくれるはずです。年月を重ねるごとに味わい深さを増す姿に、育て手冥利につきるのではないでしょうか。

ユニークな生態を持つバオバブの木と暮らせば、日常にちょっぴり非日常的な彩りが加わります。観葉植物としてのバオバブを育てて、自宅にアフリカの風を運んでみてはいかがでしょう。