プリザーブドフラワーの作り方とは?成功のコツや長持ちするポイントを紹介
しっとりとしたやわらかい質感と華やかな姿。まるで生花のような状態を長く楽しませてくれるのが、プリザーブドフラワーです。特殊な加工が施されているのですが、自宅で手軽に作れるのをご存じでしょうか。好きな花や記念日にもらった大切な花を、プリザーブドフラワーに加工して長く飾ってみませんか。今回の記事では、プリザーブドフラワーの作り方をはじめ、成功させるコツや長持ちさせるポイントも紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
プリザーブドフラワーとは?
プリザーブドフラワーとは、みずみずしい花の姿を長期間楽しめるように特殊な加工した花のことです。フラワーアレンジメントでよく取り上げられるドライフラワーは、乾燥させて花の水分を抜いたものになります。しかし、プリザーブドフラワーは、水分を抜いた後に代わりとなる成分を浸透させます。そのため、花びらの形状や質感をそのまま活かし、まるで生花のような状態を維持させることができます。また、プリザーブドフラワーでは、着色するという工程も加わります。
着色することでドライフラワーにはない鮮やかな色を保つことができるほか、自然界には存在しない色の花も楽しむことが可能となります。
プリザーブドフラワーを作るときに必要な材料
プリザーブドフラワーは、材料と道具を揃えることができれば、自宅で簡単に作ることが可能です。以下で詳しく解説します。
溶液・薬液
プリザーブドフラワーを作る専門の溶液や薬液は、インターネット通販を利用すると簡単に手に入れられます。しかし、専用の溶液や薬液と同じような効果を期待できる以下のような代用品もあります。薬局などで簡単に手に入るのでおすすめです。
消毒用エタノール
(溶液の代替え) |
花材の脱水と脱色を行う |
精製グリセリン
(薬液の代替え) |
花材の保湿と着色を促す |
着色料
プリザーブドフラワーの着色に使用するインクは、文具店のほか100均などでも手に入ります。万年筆用の補充インクやプリンター用のインク、食紅でも良いでしょう。プリザーブドフラワー専用の溶液をインターネットで購入する際に、専用の染色液を一緒に揃えるのも良いでしょう。
乾燥材
乾燥材は薬局やホームセンターや100均でも手に入ります。プリザーブドフラワーの仕上げを行う際に使用すると、乾燥するまでの時間を短縮でき、しっかり水分を飛ばすことができるため用意しておくと良いでしょう。
花材
花材は鮮度が重要です。そのため、ほかの材料や道具が揃ってから最後に花材を調達するのがおすすめです。プリザーブドフラワーに使う花材には、以下のようなものを選びましょう。
- 6~7分咲き(満開ではないもの)
- 花全体の色が鮮やかで、ふっくらしている
- 葉にもハリがある
- 花材全体に変色や傷がないもの
- 花材の切り口がみずみずしいもの
プリザーブドフラワーに向く花は、花びらが厚く散りにくく、花の色が薄い花を選びましょう。例えば、バラやカーネーション、カスミソウ、ガーベラなどがおすすめです。初めてプリザーブドフラワーを作る場合は、扱いやすい大きさの花や購入しやすい価格の花などを選んでみてください。
道具
プリザーブドフラワーを作る工程で必要となる道具は以下となります。
透明な容器 | 液体を入れて花を浸すために必要です |
手袋 | 薬剤を使うため、手を保護します |
ハサミ | 茎を切るために必要です |
ピンセット | 花を加工すると壊れやすくなるため、花を扱うときに必要です |
プリザーブドフラワーの作り方をご紹介!
プリザーブドフラワーは、自宅で簡単に作れます。以下では、消毒用エタノールと精製グリセリンを使ったプリザーブドフラワーの作り方をご紹介します。
1.花材の処理
花材をプリザーブド加工に適した状態にします。ハサミで切り口が大きくなるよう茎を斜めにカットし、茎を水に浸してください。そのままの状態で水にさらし30分放置します。
すると、花材が茎から水をたくさん吸い上げて生き生きとした状態になります。
2.脱水・脱色処理
プリザーブドフラワーを長持ちさせるために、脱水・脱色処理を行う必要があります。
透明な容器の中に花材を入れ、エタノールを浸します。エタノールは蒸発しやすいので、フタつきの容器を利用するのがおすすめです。花材とエタノールを容器に入れたら、ピンセットで茎をつまんで優しくゆすり、花びらの間に溜まりやすい空気を抜いてください。
密閉して日の当たらない場所に1日~3日ほど置きます。花を浸す時間はあくまで目安なので、様子を見ながら調整してください。
3.着色する
色が抜けた状態を確認できたら、着色を行います。色を抜いてから着色することで、生花のように見せることができるのです。容器に精製グリセリンと水を2:1の割合で液体を作り、好きな色の着色料を足します。花に色を着色しやすくするために、グリセリン溶液を35℃程度まで温めてください。プリザーブドフラワーにする花の茎を浸し、日の当たらない場所に置いて24時間以上様子をみます。
4.乾燥させる
最後に着色した花を乾燥させます。好みの色に染まったことが確認できたら、容器の中に乾燥剤を入れ、その上に花を置きましょう。花材と乾燥材を密閉容器に入れておけば、1日~2日でプリザーブドフラワーが完成します。
プリザーブドフラワーを作るときの注意点
プリザーブドフラワーを作るときには、花に特殊な加工をしますが、専門的な技術は必要ありません。材料さえ揃えておけば誰でも簡単に行えます。ただし、プリザーブドフラワーを作るときは以下のような注意点があります。
- プリザーブド加工に適さない花がある
- イメージ通りの色に仕上がらないことがある
- 花びらにヒビが入ったり花姿が崩れたりすることがある
注意点をあらかじめ把握しておくことで、成功につながりやすいです。また、万が一失敗したときにモチベーションが下がることも少ないです。以下で注意点を詳しく解説します。ぜひ、プリザーブドフラワーを作るときの参考にしてください。
プリザーブド加工に適さない花がある
プリザーブドフラワーは生花を使用しますが、花の特徴によってはプリザーブド加工に不向きな花もあります。例えば、以下のような特徴を持つ花は、プリザーブドフラワー作りに向いていません。
- 花びらが薄い
- 花びらの接続部分が細い
- 花びらが散りやすい
プリザーブドフラワーは液体に浸したり出したりと、花に負荷がかかる工程が多いため、花びらが薄く散りやすく、接続部分が細い花は壊れやすいです。
イメージ通りの色に仕上がらないことがある
プリザーブドフラワーでは、鮮度の悪い花やプリザーブドフラワーに向いていない花を選んだ場合は、イメージ通りの色に仕上がらないことがあります。脱色や着色、発色に影響を及ぼすためです。そのほかにも、湿度や気温などの要因が仕上がりに大きく影響することもあります。プリザーブドフラワーは手間がかかる分、ショックは大きいものですが、イメージ通りにならない場合もあることを頭に入れておきましょう。
花びらにヒビが入ったり花姿が崩れたりすることがある
プリザーブドフラワーを作るときは、生花を液体に浸したり、液体がついた花を乾かしたりと、作業を慎重に行わなければいけません。花は繊細な生き物ですが、プリザーブド加工をすることにより、よりデリケートな質感になります。そのため、扱いに気をつけないと花びらにヒビが入ったり花姿が崩れる可能性もあるのです。
プリザーブドフラワー制作の作業を行うときは、十分なスペースを確保し、一つ一つの工程を丁寧に行うようにしてください。
プリザーブドフラワーを長持ちさせるためのポイント
プリザーブドフラワーにした花は、1年~3年ほどはきれいな状態が続きます。しかし、プリザーブドフラワーを飾る場所によっては劣化が早くなる恐れもあります。プリザーブドフラワーを長持ちさせるためのポイントを見ていきましょう。
直射日光や高温多湿を避ける
プリザーブドフラワーは、直射日光や高温多湿に弱いです。直射日光が当たると、色あせや退色の原因になります。また、高温多湿な環境ではカビや変色の原因になるでしょう。
プリザーブドフラワーの置き場所は、直射日光が当たらない涼しい場所を選びましょう。 特に、エアコンの風が直接当たる場所は避け、風通しの良い場所に置くのがおすすめです。
埃をこまめに払う
プリザーブドフラワーは、埃が溜まりやすいです。埃が溜まると、見た目が悪くなるだけでなく、カビや変色の原因にもなります。やわらかいハケや布を使って、埃をこまめに払いましょう。 特に、花びらや葉の裏側などは埃が溜まりやすいので、注意が必要です。
水分を与えない
プリザーブドフラワーは、水やりの必要がありません。万が一、水を与えると花びらが傷んだり、色が落ちたりする可能性があります。もし、誤って水がかかってしまった場合は、すぐにやわらかい布で水分を拭き取りましょう。
衝撃を与えない
プリザーブドフラワーは、デリケートな素材です。落としたり、ぶつけたりすると、花びらが傷んだり、形が崩れたりする可能性があります。取り扱いには十分注意しましょう。
プリザーブドフラワーのアレンジ方法
プリザーブドフラワーを作る際は、色を決めるだけでなく、どのようなアレンジメント作品を作りたいのかも決めておくのがおすすめです。ここからは、さまざまなプリザーブドフラワーのアレンジ方法をご紹介します。プリザーブドフラワーにアレンジを加えることで、とても素敵なインテリアアイテムとなったり、贈り物にもなったりします。ぜひ、オリジナルのプリザーブドフラワーのアレンジメントを作ってみてください。
プリザーブドフラワーのボックスアレンジ
ボックスにプリザーブドフラワーを入れるアレンジは、簡単でおしゃれに飾れる方法です。
例えば、100均で購入できるフタの部分が透明のウッドボックスを手に入れ、発泡スチロールを敷き、ワイヤーをつけたプリザーブドフラワーを挿してみましょう。グルーガンを利用するとより簡単に固定することが可能です。
また、円柱型のキャニスターであれば、プリザーブドフラワーを固定せず、無造作に入れてもかわいい仕上がりとなるでしょう。
プリザーブドフラワーのリースアレンジ
リースとなるベースを購入し、ワイヤーやグルーガンを使ってプリザーブドフラワーを敷き詰めれば、存在感抜群のおしゃれなリースアレンジができます。リース全体が完成したら、リボンで飾りつけましょう。
飾る花の種類によって雰囲気が変わるため、5月はバラ、6~7月はアジサイ、8月はカスミソウなど季節に開花期を迎える花を取り入れながら、アレンジを楽しんでみてはいかがでしょうか。
プリザーブドフラワーのフレームアレンジ
フレームアレンジは、プリザーブドフラワーを額縁に飾ったアレンジメントです。フレームを使ったアレンジは、茎を短く切ってしまったプリザーブドフラワーをそのまま活用できます。フォトフレームやアートパネルのフレーム、置き時計のフレームを、好きな色に染めたプリザーブドフラワーで彩ってみてはいかがでしょうか。グルーガンやワイヤー、接着剤を使って、プリザーブドフラワーをフレームに固定します。
フレームを覆うようにつけたり、フレームの一角に束ねるようにつけたりするのも素敵な仕上がりとなります。ぜひ、いろいろと試してみてください。
プリザーブドフラワーのブーケアレンジ
プリザーブドフラワーにワイヤーをつけて竹を長くすることで、ブーケアレンジができます。プリザーブドフラワーを束ねれば、ボリュームが出るため、とても華やかで豪華な雰囲気になります。ブーケの根元にリボンを結ぶと、より華やかな印象になるでしょう。
リボンは、ブーケ全体の雰囲気に合わせて選んでください。
プリザーブドフラワーのスワッグアレンジ
丈を長くしたプリザーブドフラワーは、スワッグにアレンジするのもおすすめです。リボンや布を使ってラッピングして壁に飾るのも素敵ですし、小さなスワッグをフォトフレームと組み合わせて飾るのもおしゃれに見えます。
プリザーブドフラワーのよくあるトラブル
プリザーブドフラワーは、水やり不要で長持ちする美しいアイテムとして近年人気が高まっています。しかし、適切な取り扱い方をしないと、色あせ、カビ、虫食いなどのトラブルが発生してしまうことがあります。以下では、プリザーブドフラワーのよくあるトラブルとその対処法をご紹介します。
虫がつく
大切なプリザーブドフラワーに虫を見つけてしまった場合、慌てずに虫がどこにいるのか確認します。花びら、葉、茎など、虫が潜んでいる可能性のある場所をくまなく調べましょう。虫が発生している部分は、その部分をハサミなどで切り落とし、廃棄します。ほかの花に虫が移るのを防ぎましょう。高温多湿な環境は虫が発生しやすいため、プリザーブドフラワーを風通しの良い場所に移動しましょう。
カビの発生
ハサミなどでカビが発生している部分を切り落とし、廃棄してください。カビは湿度の高い場所を好むため、風通しの良い場所に移動しましょう。直射日光を避け、涼しい場所で保管してください。また、カビが発生していないか定期的に状態を確認しましょう。
色移り
プリザーブドフラワーの色移りを見つけた場合は、すぐに洗剤を使って色移りした部分を洗います。もし、壁や棚に色移りしてしまった場合は、インク汚れに適した専用の洗剤を用意して対処するのが効果的です。使用方法を確認し、霧吹きや綿棒、コットンなどを使って色を落としてください。
色抜け
プリザーブドフラワーの色抜けは湿度が高い場合におこるトラブルの一つです。対処法としては場所の移動が効果的です。湿度が低い場所に移すことで色が戻ってくる可能性があります。ドライヤーの弱温風を当てる方法も同様の効果を得られますが、同じ場所に飾っている場合は根本的な解決とはなりません。色抜けは、梅雨や夏のジメジメとする時期に起きやすいトラブルなので、置き場所に注意してください。
まとめ
今回は、プリザーブドフラワーの作り方や注意点、長持ちさせるポイントを解説しました。
プリザーブドフラワーの作り方はとっても簡単です。鮮度の高い花を用意して、脱水・脱色し、着色を行い、乾燥するだけで作ることができます。プリザーブドフラワーは、1年~3年もの長い期間、しっとりとした質感と鮮やかな色合いを保ってくれるため、空間を明るくしてくれるアイテムです。制作したプリザーブドフラワーは、部屋に飾るのはもちろん、大切な方へのギフトにもおすすめです。今回ご紹介したアレンジを参考に、オリジナルデザインのプリザーブドフラワーを作って大切な方に贈るのも素敵ですね。この機会にぜひ、プリザーブドフラワーを作ってみてはいかがでしょうか。