花束をもらったあとはどうすれば良い?飾り方や長持ちさせるコツ
誕生日や合格などのお祝い、送別シーンで、花束をもらったことがある人は多いのではないでしょうか。花束は切り花なので、水につけないと枯れてしまうとは分かっていても、実際の管理方法をきちんと知っているという人は意外と少ないかもしれません。花瓶の水に生けておいたのに、あっという間に枯れてしまったという経験をしたことがある人もいるでしょう。今回は、花束をもらったあとに長持ちさせるコツと、おすすめの飾り方を紹介します。誰でも簡単に取り入れられる方法ばかりなので、花束をもらったあとはぜひ、試してみてください。
花束をもらったあとはどうする?
花束は、特別な人から特別な気持ちを込めて贈られる宝物です。しかし、花束をもらったあとは、どうすれば良いのか、戸惑いを感じることも少なくありません。以下では、花束をもらったあとのポイントを解説します。
花束は立てた状態で持つようにする
花束をもらったあとは、持ち帰り方にも気を配りましょう。花束には、水や保水ゼリーがついているので、立てた状態で持ち帰ることが大切です。逆さまにしてしまうと、横から水が漏れて葉っぱや花びらを濡らし、痛めてしまう原因になります。
また、切り花は茎の先端からしか水を吸い上げることができないので、逆さにしてしまうと吸水できずに花が弱ってしまうでしょう。
置き場所に注意する
花束をもらったあと、すぐに花瓶に生けられない場合は、花束を立てかけるようにして、風通しの良い場所に置いておくと安心です。気温の高い夏場は、持ち帰るまで冷蔵庫に保管したほうが良いのかな?と思う人もいるかもしれません。
しかし、冷蔵庫と外気は温度差があるため、花が痛む原因になってしまいます。花が苦手なのは、急激な温度変化です。夏場であっても冷蔵庫には入れないでください。エアコンの風が直接当たらない涼しい場所か、風通しの良くなるべく涼しい場所で保管しましょう。
花の根元を水につけておく
花束をもらったあとは、状況によりすぐに自宅に帰れないこともあります。そのようなときは、根元のラッピングのみを外して水に生けてあげるのがおすすめです。
ラッピングをすべて外して水に生けてしまうと、そのあとに持ち帰りづらくなってしまうので、注意してください。また、保水していた部分の資材はそのまま保管しておきましょう。
ペーパーとアルミホイルで保水されていた場合は、持ち帰り時に、再度ペーパーを濡らしてからアルミホイルでくるみます。エコゼリーと呼ばれるゼリー状の保水がされていた場合は、再びエコゼリーの袋に戻して持ち帰ると良いでしょう。
再度、茎の先端を包むときもしっかり水に触れるようにしておくことが大切です。
花束をもらったあとの生け方の手順
自宅に花束をもらったあとは、以下の手順で花瓶に生けましょう。
- すべてのラッピングを外す
- 茎を切り戻す(水切り)
- 余分な葉やつぼみを外す
- 花の種類に合った水の量で生ける
花束をもらったあとは花瓶に生ける前に、ひと手間加えることで、花が長持ちします。自宅で花瓶に花を生けるゆったりとした時間も楽しんでみてください。
①すべてのラッピングを外す
花束をもらったあとは、自宅に帰ったらなるべく早く、すべてのラッピングをほどいてあげましょう。きれいにラッピングされているので、外すのはもったいなく感じるかもしれません。しかし、セロファンや包装紙の中は蒸れやすく、長い間そのままにしておくと花が傷む原因になるため注意しましょう。
花束は、セロファンや包装紙の上にリボンを巻いてラッピングされていることが多いです。以下の手順のように丁寧にラッピングを外しましょう。
- テーブルに花束をそっと置いた状態でリボンをほどきます。
- ほどいたら、セロファンや包装紙を外側から順番にゆっくりと外していきましょう。
- ラッピングをすべて外したら、根元を保水しているペーパーやアルミホイルを外します。ゼリーで保水されている場合は、流水で洗い流してあげましょう。
また、花束の根元は美しい形を保つために、輪ゴムなどで束ねられていることがあります。束ねている部分をそのままにしておくと、留めているところから腐りやすくなるので、輪ゴムも外しましょう。
②茎を切り戻す(水切り)
ラッピングを外したら、それぞれの花の茎の先端を1〜2cm切り落とします。
このとき、導管をつぶしてしまわないように切れ味の良いハサミを使って切ることが大切です。導管とは花が水を吸い上げるための通り道のことです。
茎の先端を切り落とすことで新しい導管が現れ、より水を吸い上げやすくなります。導管に空気が入ると吸水を妨げてしまうので、水切りは水中で行うのがおすすめです。
③余分な葉やつぼみを外す
水に浸かる部分についている葉は、腐りやすくなるので外しましょう。葉が多すぎる場合や大きすぎる場合は、バランスを見て間引いてあげても良いです。
切り花は根がないので、使えるエネルギーが限られています。咲きそうにない小さなつぼみや、固いつぼみは、外してあげると花の開花にエネルギーを使うことができるので、美しい状態を長く楽しむことができるはずです。
また、芍薬などはつぼみの状態で花束に入っていることがあります。あまりにも硬いつぼみで咲きそうにない場合は、濡らした柔らかい布でまわりについた蜜を拭き、そっともんであげることで開花を助けてくれるでしょう。
④花の種類に合った水の量で生ける
切り戻した花は、花の種類にあった水の量を入れた花瓶に生けましょう。
切り花は先端から水を吸い上げることしかできないので、花瓶の5〜10cmほどに水が入っていれば大丈夫です。あまりにも水が多いと、茎や葉が水に浸かって腐りやすくなります。
以下の花は特に浅水、深水を好む花です。浅水を好む花が、他の花と混じって花束になっている場合は、深水を好む花に合わせた水の量に生けても問題ありません。
浅めの水を好む花 |
たっぷりの水を好む花 |
ガーベラ、ひまわりなど
茎に細かい毛が生えている花 |
バラ、アジサイ、ライラックなどの枝もの |
チューリップ、アネモネ、ヒヤシンスなど茎が柔らかく吸水しやすい花 | アジサイなど水を好む花、葉が多く水の蒸散が激しい花 |
浅めの水を好むひまわりやチューリップは、たくさん吸水する花でもあります。特に夏場、ひまわりを飾っていると、朝入れた水が夜には空っぽになってしまうこともあるでしょう。
浅水にした場合は花瓶の中が空っぽになっていないか気を配り、減っていた場合には水を足してあげてください。
花束の寿命はどのくらい?
花束をもらったあとは花の種類にも寄りますが、1週間から長いと10日ほど楽しむことができます。花瓶に生けていると、枯れているのか見分けがつかず、捨てるときが分からないという人もいるようです。
寿命の目安は、花の色を見て花びらが茶色く変色し始めていたときです。花びらが多い花は、花の裏側を見て、痛んでいる花びらがあればそっと引き抜いてしまいましょう。
また、茎が柔らかくなっていたり、溶けてきたりしたときも寿命のサインです。枯れた花を残しておくと、エチレンガスという植物を老化させる物質が発生して、まわりの花の寿命も短くしてしまうので、早めに取り除くことが大切です。
もらった花束を長持ちさせるコツ
大切な人からもらった花束は美しい状態をより長く楽しみたいものです。簡単にできるお手入れで、花を長持ちさせることができます。以下でもらった花束を長持ちさせるコツをご紹介します。特に特別な道具は必要ないので、ぜひ試してみてください。
飾る場所に気を配る
もらった花束は、直射日光が当たる場所を避けた風通しの良い場所に飾ってください。
夏場であれば、エアコンの風が直接当たらない、なるべく涼しい場所がおすすめです。一方、冬場は、暖房が効いた部屋は花の成長が進み、寿命を縮めてしまうので廊下や玄関などを選びましょう。切り花は観葉植物とは違い、日光を当てても光合成することはできません。強い日差しは花を傷めてしまうので、飾る場所に注意しましょう。
花の量に合わせた花瓶を選ぶ
もらった花束の大きさや量に合った花瓶のサイズを選ぶことも大切です。花瓶の大きさに対して花の量が多いと、花同士が当たって花びらが傷ついてしまい、花を傷める原因になりかねません。また、花瓶の高さに対して花の茎が長すぎる場合は、花の頭が下がりやすくなるため、茎を適度な長さに切りましょう。
花の頭が大きなダリアや芍薬を飾る場合は、小さい花瓶では頭の重さに耐えきれず倒れてしまうこともあります。豪華な花束をもらったけれど、大きな花瓶がないという場合には、2つに分けるなどして、花瓶のサイズに合った量の花を飾ることが大切です。
頭が下がったら水あげをする
飾っているうちに花の頭が下がってくると、枯れてしまったのかな?と思いますが、花が水を吸い上げられなくなっている可能性があります。花の頭が下がってきたら、先述した水切りを行って、新しい導管を出してあげるか、新聞紙に巻いて吸水を助けてあげましょう。
新聞紙で吸水する方法は以下の通りです。
- 茎の先が少しだけ出るように花を新聞紙にセットし、花の茎をまっすぐになるように整えながら、きつめに巻きつけます。
- バケツなどに茎の半分が浸るくらいの水をはり、花を立てた状態で浸水させます。
- 1時間〜数時間、そのままの状態で水あげします。
茎が細く水が下がりやすい花は上記の方法で、しっかり花の先端まで水が届き、元気になることも多いです。花びらが水に濡れると痛みやすくなるので、花の部分に水がかからないように気をつけて、作業を行ってください。
また、アジサイやライラックなどの枝ものも頭が下がりやすい花です。枝の先端に斜めにナイフを入れ、枝の中に綿がある場合は、取り除いてあげると吸水しやすくなるでしょう。
水替えをする
もらった花束を長持ちさせるためには、花瓶の水を新鮮なものと入れ替える水替えが欠かせません。花瓶の中の水をそのままにしておくと、雑菌が繁殖してしまうためです。切り花は花瓶の中の水を吸水するため、こまめに清潔な水に交換してあげることが大切です。
以下では水替えの際のポイントを解説します。
花瓶を洗浄する
花瓶洗浄は、水替えのたびに行うのが理想です。花瓶に雑菌が残っていると、せっかく水替えしても、すぐに水が濁ってしまいます。
花を取り出したら、花瓶を花瓶洗浄剤でしっかりと洗浄します。花瓶がぬめぬめしている場合は、ぬめりをしっかり落としましょう。
痛んだ花や葉は取り除く
花の中に痛みのある花や葉がないか観察し、あれば取り除きます。痛んだ花や葉から出るエチレンガスで、まわりの花や葉が枯れるのを早めてしまうのを避けるためです。
茎にもぬめりが残っている場合は、流水で優しく洗い流してあげましょう。
季節に合わせて回数を工夫する
花は水を新鮮に保つことで長持ちするため、水替えは大切です。水替えの回数は、季節によって異なります。季節に合わせて、以下の回数を目安に水替えを行うと良いでしょう。
季節 | 水替えの回数 |
春・秋 | 1~2日に1回 |
夏 | できれば毎日
水が腐りやすいひまわりなどは朝と夜2回変えても良い |
冬 | 2~3日に1回 |
ただし、上記の回数はあくまでも目安なので、無理のない範囲で行いましょう。
また、水替えの水は、水道水を汲み置きしたものか浄水器を通した水を使うと良いです。水道水は塩素やカルキなどの不純物が含まれているためです。汲み置きすることで、塩素やカルキが自然に抜ける程度まで減少するでしょう。
栄養剤を利用する
もらった花束と一緒に、切り花用の栄養剤の小さな小袋が付いていることがあります。栄養剤には、開花に必要な糖分や抗菌成分、エチレンの発生を抑える成分などが含まれているので、水に溶かすことで花持ちを良くする効果が期待できます。
水に溶かす希釈量が決まっているので、正しい分量で使用してください。
栄養剤を使用すると、水が濁りづらくなるので、水替えの頻度を減らすことができます。
特に、つぼみの状態のバラを開花させたいときなどには優れた効果を発揮してくれるはずです。
もらった花束を美しく飾る方法
花束をもらったあとは、そのまま飾っても素敵ですが、せっかくなら飾り方を工夫して、より美しい花の姿を楽しんでみませんか。以下で、もらった花束を美しく飾る方法を詳しく解説します。ぜひ、花を飾る時間も楽しんでみてください。
分けて花瓶に飾る
大きな花束をもらったら、複数の花瓶に分けて飾るのも良いでしょう。
たとえば、花束の中にある同じ種類の花をもとめたり、同系色の花を集めて飾ったり。
小さな花瓶であれば、洗面所やキッチンなど小さなスペースにも花を飾ることができます。
花瓶がない場合は、グラスや深めの小皿に花を生けてみるのもおすすめです。
普段生活するスペースに花があるだけで、暮らしがより豊かになり、眺めるだけでも心がリフレッシュさせるはずです。
季節のディスプレイと一緒に飾る
花を飾った花瓶は、お部屋や季節のディスプレイと一緒に楽しみましょう。
たとえば花瓶の下にシーズンに合ったテキスタイルを敷いたり、花の雰囲気に合わせたオブジェと合わせて飾るだけでも雰囲気が出ます。
キッチンに眠っている普段は使っていない小皿や深めの器を組み合わせ、水を入れて花を飾れば、おしゃれなディスプレイの出来上がりです。
花の頭をお皿に浮かべる
水あげをしても茎に水が行き届かず、花の頭が下がってきてしまうことがあります。茎を短くしても水が上がらないようであれば、思い切って花の頭だけを切り落としてしまいましょう。カットした花の頭をお気に入りのお皿に浮かべると、フローティングフラワーと呼ばれる華やかでおしゃれな飾り方ができます。大きな花なら、花びらだけを浮かべても素敵でしょう。
ドライフラワーにする
ドライフラワーは、水に生けなくてもおしゃれに飾ることができます。残念ながら、枯れてしまったあとでは美しい状態で残すことはできませんが、ドライフラワーにすることで長く楽しむことができます。
しかし、ドライフラワーにしやすい花と、そうでない花があります。ドライフラワーにしやすい花は、バラやアジサイ、センニチコウやネイティブフラワーなどです。
ドライフラワーでもらった花束を楽しみたい場合は、花が元気な状態で風通しの良い場所に飾り、素早く水分を抜くことがコツです。水分量の多い花を避け、逆さにした状態で風通しの良いところに吊るしておくと良いでしょう。
花束をもらったあとは長持ちさせて楽しもう
今回は、花束をもらったあとに長持ちさせるコツや飾り方を紹介しました。
花束をもらったあとは、それぞれの花に適した水の量や水上げ方法、飾り方を工夫して、1日でも長く楽しみましょう。花は生き物なので寿命はあるものの、世話をすればその分美しい状態を保ってくれるはずです。忙しい日々の中で花に触れ、水を替え、花瓶に生ける時間は、心を落ち着かせリラックスできる時間にもなります。
お手入れの時間も楽しみながら、大切な方からもらった花束をより長く楽しみましょう。