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ナデシコの花言葉とは?秘められた意味と育て方のコツをわかりやすく解説

「大和撫子(ヤマトナデシコ)」という言葉は、控えめでありながらも芯がしっかりとした日本の女性を讃えていると言われています。この言葉が広く知られるようになったのは、古今和歌集や万葉集が世に出た奈良〜平安時代です。日本の女性の楚々とした美しさを、ナデシコの花に重ね合わせて生まれました。本記事では、素敵な歴史のあるナデシコの花言葉や育て方の秘訣を紹介します。

ナデシコの花言葉とは?色別に紹介

可憐ながらも凛とした佇まいのナデシコは、日本の女性の美しさを讃える「ヤマトナデシコ」という言葉でもよく知られています。ナデシコは和洋どちらのお庭にも似合うので、ガーデニングや寄せ植えにも人気です。

では、ナデシコにはどのような花言葉があるのでしょうか。以下で、ナデシコの色別の花言葉を解説します。

ナデシコ全般の花言葉

ナデシコ全般には「無邪気」「純愛」「貞操」など、可憐に咲く花姿にぴったりの花言葉がつけられています。

無邪気とは、不純な気持ちがなく、まっすぐで嘘のないことを指します。同じような意味の言葉には、天真爛漫やナイーブなどがありますが、どちらも世俗の汚れに染まっていない純粋さを表す言葉です。あどけないイメージのナデシコにぴったりですね。

また、貞操は人としての信念を貫くことで、昔から男女間の純潔を保つという意味で使われていた言葉です。日本人女性の奥ゆかしさと内に秘めたたくましさは「ヤマトナデシコ」と表現されることがありますが、ナデシコのキリッとした美しさの中にたくましさを感じた男性もいたのではないでしょうか。

純愛の花言葉も古風な花姿からイメージされたものです。ナデシコの華奢な外見でありながらも、透明感のある美しさを持つ姿に合っています。

赤いナデシコの花言葉

「純粋で燃えるような愛」

「純粋で燃えるような愛」は、燃えるような真紅の花びらの色からイメージされたものです。燃えるような愛からは、湧き上がるような情熱を感じます。一方、純愛は汚れのない無垢な愛という意味から、静かで控えめな心を感じを表しています。純粋で燃えるような愛とは、ナデシコが持つ妖艶な美しさと清らかさという相反する魅力を讃えた花言葉ではないでしょうか。

「大胆」

「大胆」とは何かを思い切りよくやり遂げることで、大らかであるさまを表現しています。

ナデシコのパッと人目を引く赤色には、火や太陽のような活動的なイメージがあることから、このような花言葉がつけられました。

白いナデシコの花言葉

「器用」

「器用」は、どんなこともスマートにこなす要領の良さを表す言葉です。ナデシコの白は、純白に近いホワイトで澄みきっています。ナデシコは主役を引き立たせる花として花嫁さんが持つブーケに活用されることが多いです。華やかさは控えめですが、繊細な魅力があるからこそ主役がより美しく見えます。

「才能」

「才能」とは生まれつき持った能力のことで、優れた魅力を備えていることを意味しています。清らかな混じりけのない白のナデシコは、ただ咲いているだけで人々を魅了していることから名づけられたと考えられます。

ピンクのナデシコの花言葉

「純粋な愛」

「純粋な愛」は、ピュアで一途な愛情を表す花言葉です。ピンクはやわらかく優しい雰囲気を持ち、女性の美しさを引き立てる色でもあります。また、ピンク色のナデシコの清楚でデリケートなイメージが、ひたむきで変わらない愛情を象徴していると言われています。

海外のナデシコの花言葉

海外でもカワラナデシコの色別の花言葉は、日本とほぼ同じ意味になっています。

しかし、ヨーロッパ原産の「アメリカナデシコ」には、「伊達男(だておとこ)」「勇敢」などの凛々しい花言葉があるようです。アメリカナデシコは、花びらの先端が髭のように長く伸びていることから「ヒゲナデシコ」という別名もあります。

ナデシコってどんな花?

ナデシコは日本では古くから自生する植物の一つで、風に吹かれて揺れる楚々とした雰囲気が可愛らしい花です。万葉集では26首も詠まれており、そのうち11首は「大伴家持(おおとものやかもち)」の歌だと言われています。家持は、ナデシコの花を愛しており、自宅に植えていたことでも有名です。

以下では、古くから日本で愛されているナデシコの基本情報や名前の由来を解説します。

ナデシコの基本データ

科/属 ナデシコ科/ナデシコ属
英語名 Dianthus(ダイアンタス)/fringed pink(フリンジピンク)
和名 撫子(ナデシコ)
別名 大和撫子(ヤマトナデシコ)
原産地 アジア/ヨーロッパ/北アメリカ/アフリカ
花の色 赤/白/紫/複色/ピンク
草丈 10~80cm
開花時期 3~5月/9~11月
出回り期(花屋) 4月~10月
耐寒性/耐暑性 強い/弱い
花言葉 無邪気・純愛・貞節(全般)/燃えるような愛(赤)

器用・才能(白)/純粋な愛(ピンク)

誕生花 7月14日/7月22日/7月28日

 

ナデシコは優しい花色を持つ多年草の植物で、素敵な花言葉が多いことから贈り物にも最適です。環境さえ合えば非常に育てやすく、こぼれ種でも増えていきます。地面を這うように生長する品種もあり、庭のグランドカバーとしても人気です。

ナデシコの名前の由来

ナデシコの名は漢字で書くと「撫子」と書きます。外見が撫でたくなるほど可愛いことから名付けられました。ナデシコは、万葉集の和歌の中にも度々登場している「河原(カワラ)ナデシコ」のことで、秋の七草としても親しまれています。河原ナデシコは、平安時代から珍重されており、別名「ヤマトナデシコ」とも言われている種類です。

英名であるDianthus(ダイアンタス)とは、ギリシア語のDias(神/神聖なもの)とAnthos(花)が組み合わされた造語だと言われています。一方、fringed pink(フリンジピンク)は、ナデシコの花びらのヒラヒラした部分をフリンジに例えたもので、カジュアルな感じで使われているようです。

ナデシコと七夕との関係性

ナデシコと七夕には関わりがあります。

室町時代の古い花伝書によると、七夕の花は仙翁花(センノウゲ)と桔梗(キキョウ)と書かれています。センノウゲは中国原産のナデシコ科センノウ属の植物で、外見はナデシコによく似ており、オレンジ色の花びらを持っています。一方、キキョウはキキョウ科の植物でどちらも秋の七草です。

さらに、平安時代にはナデシコの美しさを競い合うイベント「瞿麦合(ナデシコアワセ)」が行われていたことから、七夕の花と言われるようになりました。現在では、七夕の花として夜空に浮かぶ天の川をイメージしたカスミソウが人気ですが、ナデシコと組み合わせて飾ると、より風情がありそうです。

ナデシコの人気の品種

ナデシコは属の中に約300種類ほどが存在しています。中でも日本で人気のある種類はゴージャスな花を咲かせる「アメリカナデシコ」、グランドカバーとして人気がある「チェダーピンク」、日本で古くから親しまれて来た「カワラナデシコ」などが有名です。

カーネーションもナデシコ科の植物ではありますが、基本的にはカーネーションを除いたものをナデシコと呼んでいます。

以下で、ナデシコの人気の品種をご紹介します。

美女(ビジョ)ナデシコ

  • 花言葉  純粋な愛情/細やかな想い

美女ナデシコは、花茎の上部に小さな花が集うように咲きます。耐寒性多年草ですが、日本の蒸し暑い夏に耐えられないことが多く一年草として取り扱っているようです。ちなみに、マリモのようなフワフワとした外見を持つ「テマリソウ」も、美女ナデシコの園芸品種になります。

河原(カワラ)ナデシコ

  • 花言葉 大胆/可憐

日本では「ナデシコ」と言うと、こちらの河原ナデシコを指していることが多いです。

花びらは5枚で、花の先に細かな切れ込みがあるのが特徴になります。河原ナデシコの繊細な花びらは、風に吹かれるとユラユラと揺れ奥ゆかしいイメージです。耐寒性や耐暑性にも強いため、丈夫で育てやすく初心者の方にもおすすめです。

浜(ハマ)ナデシコ

  • 花言葉 陽気な恋/無邪気/純愛

浜ナデシコは日本の本州から南に分布しており、主に海岸近くに自生しています。

花の色が藤に似ているため、別名では「フジナデシコ」と呼ばれることもあるようです。

浜ナデシコの開花時期は7〜10月で、紅紫色の小花が密に集まって咲きます。清々しい印象のすみれ色の「サマーラベンダー」という品種が人気です。

龍田(タツタ)ナデシコ

  • 花言葉 いつも愛して

ヨーロッパ原産の龍田ナデシコは、明治時代に渡来した植物で、日本の風土にもよく合っています。中でも「スイートネス」という品種は、シルバーがかった草姿と優しげなピンクの花とのコントラストが非常に美しいです。また、バニラのような甘い香りも楽しめますよ。

石竹(セキチク)

  • 花言葉 女性の美/いつも愛して/大胆/あなたが嫌いです

石竹は中国原産のナデシコで、鑑賞用としても人気がある品種です。

別名は「唐(カラ)ナデシコ」で、英名は「China pink(チャイナピンク)」と呼ばれています。石竹の草丈は小さめですが、花色がくっきりと鮮やかなので、花壇の彩りとして活用されることが多いようです。

ナデシコの育て方のコツ

先述した通り、ナデシコは比較的丈夫なため初心者でも育てやすい花です。以下ではナデシコの育て方のコツを紹介します。ぜひ、参考にしてください。

置き場所(日当たり)

多湿が苦手なナデシコは、できるだけ日当たりがいい風通しが良い場所を好みます。

しかし、真夏の直射日光には弱いので、半日陰になるようなエリアで育てるのがおすすめです。寒さには強いですが、何度も雪や霜に当たると株が傷んでしまいます。そのため、鉢植えの場合は、軒下などに移してあげましょう。

種まき

ナデシコは種からでも苗からでも育てることができます。発芽温度は20℃前後なので、種まきをする場合は3〜4月頃、または9〜10月頃が最適です。

寒さに当てた方が丈夫に育つので、できるだけ秋まきをおすすめします。ただし冷涼地では冬越しが難しいので、春に種をまきましょう。

用土は市販の種まき用の土またはピートバンを活用してください。ピートバンとはピートモスを乾燥させたもので、ホームセンターなどで購入できます。

植え付け

ナデシコの苗を植え付ける時期は秋または春になります。適温は15℃前後です。ナデシコは生長に伴い横に広がる性質を持っているので、株間を20cm以上開けると良いでしょう。

土壌

水はけの良い土を好むので、鉢植えの場合は必ず鉢底石を敷いてから植えてください。

市販の草花用の培養土でも良いでしょう。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土を7:3にし、少し川砂土を混ぜるのもおすすめです。

肥料

元肥として緩効性肥料を混ぜます。緩効性肥料とは効果がゆっくりと現れる肥料のことで、作用が長期間持続し、肥料焼けしにくい点が特徴です。

その後、2週間に1度の割合で液体肥料を与えると良いでしょう。ナデシコは、花期が長く肥料不足になると花つきが悪くなるため、注意してください。

水やり

ナデシコは乾燥に強い植物ですが、生長期になる3〜10月は水切れに注意しましょう。一方、過湿には弱いので、土が乾燥してからたっぷりと与えます。ただし、水のやりすぎは根腐れの原因になるので気をつけてください。地植えの場合は特に水やりの必要はありません。

切り戻し

ナデシコの葉っぱは放っておくと密に茂っていきます。そのため、梅雨に入る前に切り戻しを行いましょう。切り戻しとは、伸びすぎた枝や茎を途中まで切り詰める作業のことです。

草丈の高いナデシコは、株元近くで茎をカットします。また、低い草丈のナデシコは、半分ほどの高さ(脇芽の上)でカットしてください。風通しを良くすることが丈夫に育てるコツです。

増やし方

ナデシコは種まき、または株分けや挿し芽でも増やすことが可能です。株が古くなると生長速度が遅くなったり根が傷んだりするので、定期的に増やしていくと良いでしょう。

株分けの方法

適期は9月半ばで、できるだけ元気が良い株を選びます。個々の株に2〜3個芽が付くように分けていってください。その後は、ポットなどに植え、根が育つまでは日陰で管理しましょう。

挿し芽の方法

適期は、春または秋の気温が安定している日が根が丈夫に育つのでおすすめです。

まだ花がついていない若いナデシコの芽を選んでカットし、1時間くらい水に浸して挿し穂を作りましょう。その後、土を入れたポットに挿します。2〜3週間して根が張ってきたらプランターなどに植えてください。

病害虫対策

過湿を苦手とするナデシコは、カビ由来の病気を発症しやすくなります。特に「灰色カビ病」には注意しましょう。また、生育期にはヨトウムシなども発生しやすくなります。

灰色カビ病

灰色カビ病にかかると葉や茎に水が浸みた感じの茶色の病斑ができます。放置するとどんどん広がり、やがて灰色のカビに覆われてしまいます。

雨が多い梅雨の時期に発生しやすくなるため、注意しましょう。土の表面をマルチングすると予防できるので、ウッドチップなどを使用するのもおすすめです。

ヨトウムシ

ヨトウムシとは、蛾の幼虫のことです。夜に活動することから「ヨトウムシ」と呼ばれるようになりました。ヨトウムシは新芽を食べてしまうため、気づかずにいると植物が育たなくなり、最悪の場合は枯れてしまいます。

日頃からナデシコの葉をよく観察することで卵を発見することができます。見つけたらすぐに葉ごとカットしましょう。また、ヨトウムシに効果がある殺虫剤を活用するのもおすすめです。

ナデシコをプレゼントするのにおすすめのシーン

ナデシコは「純粋な愛」「純愛」などの花言葉を秘めているため、初デートや記念日の贈り物に向いています。塊で咲くタイプのアメリカナデシコとテマリソウをアレンジすると素敵でしょう。ナデシコだけでは寂しいと感じる場合は「アルストロメリア」などを組み合わせるとオシャレな雰囲気になります。

さらに、カーネーションやビバーナムスノーボールとミックスさせると豪華に決まります。

ナデシコの花言葉に込められた想いを贈ろう

女性らしく繊細なイメージのあるナデシコは、日本では古くから愛されている花です。

花言葉には「純粋な愛」「純愛」などポジティブなものが多いので、プレゼントにも向いています。ナデシコはさまざまな種類があり、色や形、花びらの数など、選ぶ基準はたくさんあります。優しい花形だけではなく芳香も魅力的なので、ぜひ、大切な人に贈ってみてください。