花の寿命はどのくらい?長持ちするお手入れやポイントを解説
花の寿命は1週間前後が目安ですが、切り花の処理の仕方や毎日のお手入れによって寿命を最大限に引き延ばすことができます。花瓶での生け方やアレンジメントのお手入れ方法、寿命の長い花などを解説します。
お祝いや記念日にきれいな花束やアレンジメントをいただいたけど、すぐに枯れてしまった……。そんな経験のある方も多いのではないでしょうか。
花の寿命は種類や季節によって変わりますが、正しい生け方やお手入れをすることで長く花を楽しむことができます。
この記事では、花の寿命を最大限に引き延ばせる生け方やお手入れの方法、ポイントなどを解説します。寿命が長いとされている花もご紹介しているので、花を少しでも長く楽しみたい方は参考にしてみてください。
花の寿命は季節によって変わる
花の寿命は種類や季節、管理方法によって大きく変わりますが、だいたい1週間前後が平均となっています。
具体的には、春や秋は7〜10日、夏は4〜5日、冬は10〜15日程度が目安です。このように、花は気温が高いときよりも涼しい季節の方が長持ちしやすいという傾向があります。
切り花が弱ってしまう主な原因は、水をうまく吸い上げられなくなることや、花器の中の水中にバクテリアなどの雑菌が繁殖することです。切り花は暑さに弱く、花器の水も傷みやすいため、夏は花の寿命が短くなります。
花の寿命を延ばすためにまずやるべきこと
花束をもらったり、切り花を買ったりしたときには、できるだけ早い処理が大切です。速やかに花を生けることで花への負担を減らせます。
まずは、花の寿命を延ばすためにまずやるべきことを解説します。
ラッピングを外す
花束はペーパーやビニールでラッピングされています。せっかくきれいに包まれているのでもったいない気もしますが、花を生ける準備が整ったらすぐにラッピング材を外しましょう。
花がばらけないように輪ゴムなどで束ねられていることもありますが、それらも取り除いて構いません。生けるときにバラバラになってまとまりが悪くなりそうならそのまま束ねておいても問題はありませんが、花は水を吸い上げやすくなるように少し緩めておきましょう。
水切りする
切り花を生ける前に、水切りを行うことで水をより吸い上げやすくなります。花の寿命を延ばすために水は必須なので、この工程を行うことで花持ちが良くなるのです。
水切りの手順としては、茎の先端を水に浸け、そのまま水中で切り口の少し上をカットします。そうすることで、水圧によって水の吸い上げ方が良くなるのです。このとき、切り口を斜めにすることで表面積が大きくなり、より効率的に吸水できるようになります。
余計な葉を取り除く
花瓶に生けたときに水に浸かりそうな葉やつぼみは取り除いておきましょう。水に葉などが浸かったままになるとその部分が腐敗しやすくなり、花瓶の中の水が汚れてしまいます。
水に浸からずとも、花瓶の中に入ってしまう部分の葉も取り除いておいた方がすっきりと生けることができます。
清潔な花瓶に生ける
花を生ける前に花瓶をチェックしてみましょう。汚れやカビなどが発生していませんか。せっかく切り花の処理をしても、花瓶が汚れているとそこから細菌が発生しやすくなり、花の寿命を縮めてしまう原因になります。
不安なら、事前に花瓶を食器用洗剤で洗って清潔な状態にしておきましょう。花瓶の口が小さくてブラシなどが入らない場合は、少量の洗剤とともに卵の殻を細かくしたものを入れて花瓶をよく振ってみてください。卵の殻には研磨作用があるので、ブラシでこすらなくても花瓶の内部がきれいになります。
切り花に適した場所に飾る
切り花は直射日光と高温多湿を避けられ、風通しの良い場所に飾りましょう。
花は太陽の光に当ててあげたいという方もいるかもしれませんが、土に根差している花と違い、切り花はそれほど日光を必要としません。むしろ、直射日光に当たりすぎると水温が上がって水が汚れる原因になるので注意が必要です。
切り花は蒸れると萎れやすくなってしまうため、風通しの良い場所に飾ります。ただし、エアコンの風が当たる場所だと乾燥しすぎるので、そのような場所も避けましょう。
すぐに生けられないときは?
一般的に花束は、茎の根元に湿った新聞紙を巻いているなどの保水処理がなされているので、すぐに生けられなくても枯れることはありません。しかし、出先で花束などを受け取って帰宅するまでしばらく時間がある場合などは、切り花に負担を与えない環境を意識しましょう。
持ち帰るまではできるだけ涼しい場所に寝かせた状態で置いておき、持ち帰るときは茎の先を下にして抱えると、水が浸み出さずに花を保護できます。
花の寿命を延ばすためのお手入れのコツ
花は生けたら終わりではありません。毎日正しいお手入れを継続することで、花の寿命を最大限に引き出すことができます。また、花を元気にしたり水が傷みにくくなったりするアイテムも活用してみましょう。
こまめに水替えする
花を飾るときのお手入れの基本は、花瓶の水をこまめに替えることです。花の寿命を縮めてしまう主な原因の1つに、水中の雑菌の繫殖があります。
秋から冬にかけては水が傷みにくいので2〜3日に1度でも構いませんが、春から夏にかけてはできるだけ毎日水を替えるようにしましょう。
水替えのときに花器にぬめりが出ていたら、きれいに洗うことで、花持ちが良くなります。
水揚げをする
最初に花を生けるときに水切りをしますが、水替えのときにも茎先を切って水揚げをすることで、水の吸い上げ方を維持できます。
茎に傷みがない場合は1〜2cm程度、ぬめりや黒ずみなどの傷みがある場合は3〜5cm程度で水切りしましょう。
適切な水量で生ける
花瓶に入れる水の量は、花の種類によって調整しましょう。
例えば、バラやシャクヤク、アジサイ、大きな枝ものなどは水をよく吸うので深めにたっぷりと水を入れます。茎に細かい毛が生えているガーベラや、茎が柔らかいものは傷みやすいので浅めの水で生けましょう。
夏に飾ることが多いヒマワリは、水をぐんぐん吸い上げるのでたっぷり水を入れても構いませんが、茎が傷みやすいのでこまめに水を替え、定期的に水切りして清潔な状態を保つと長持ちします。
花粉を落とす
花を生ける際にやっておいた方が良いのが花粉の除去です。花粉が残っていると花器の中に落ちて水が傷んだり、花瓶の周りが汚れたりしてしまいます。また、花同士で受粉が成立すると種子を作ろうとして花が早く枯れてしまうのです。
特に花粉が多い花は最初の時点で取り除いておきましょう。
枝ものは切り口を割る
桜や梅などの枝ものを飾るときは、枝の根元を割ることで水をより効率的に吸い上げることができます。まず、枝の先端を斜めに切り、先端から2〜3cmほどの深さでハサミで十字の傷を入れましょう。こうすることで、枝の内部の表面積が広がり、水を吸い上げやすくなるのです。
また、枝の先端の外側の皮をはぐという方法もあります。十字の切り込みに加え、皮をはぐことで、より効果的になります。
咲き終わった花は取り除く
花を複数本まとめて生けていると、花の種類や1本1本の花のコンディションにより、寿命を迎えるタイミングは異なります。咲き終わった花が出てきたら、少し寂しいですが思い切って抜いていきましょう。枯れた花をそのままにしていると、バクテリアの発生につながり、他の元気な花にも悪い影響を与えてしまう可能性があります。
寿命を延ばすアイテムを活用する
花の寿命を延ばすためには、毎日水を替えて清潔に保っておくことが大切です。しかし、花に栄養を送ったり水が悪くなるのを防いだりできる便利なアイテムを活用すると、さらに花の寿命を延ばすことができます。
延命剤・栄養剤
市販の切り花用の延命剤や栄養剤には、花に必要な養分を補給し、水中のバクテリアの繁殖をおさえる働きがあります。花が傷みやすい夏や、忙しくてこまめに水を替えられない方におすすめです。
延命剤の中には、花瓶の水替えが必要ないと記載されているものもありますが、それでも少しでも清潔な状態を保つためには、数日たったら水を替え、再度延命剤を入れると良いでしょう。
10円玉
身近なものであれば、10円玉を花瓶の中に入れておくという方法もあります。10円玉には殺菌作用があるとされる銅イオンが含まれており、水の中のバクテリアの繁殖をおさえてくれるとされています。
砂糖
砂糖に含まれる糖分は、花がきれいに咲き続ける栄養になります。栄養剤がすぐに手に入らなければ、少量の砂糖を入れて養分を補給してあげましょう。
ただし、砂糖を入れすぎるとバクテリアが繁殖しやすくなるため、目安として200mlの水に砂糖小さじ1程度までにとどめます。また、水替えの際に花瓶などの花器をしっかり洗浄することも大切です。
漂白剤
水の中に漂白剤を入れることで雑菌が繁殖しにくくなり、水をきれいに保てます。殺菌作用の強いキッチン用塩素系漂白剤を水300mlに対して1〜2滴ほど落としましょう。
漂白剤が多いと逆に花を痛めてしまう原因になるので、入れる量には注意してください。
フラワーアレンジメントの寿命を延ばす方法
生花を用いたフラワーギフトでは、花束のほかにアレンジメントも人気です。切り花と違って花瓶に生ける必要がないので、気軽に飾ることができます。
基本的には受け取ってそのまま飾れますが、少しのポイントをおさえることでアレンジメントの花も寿命を延ばすことができます。
ラッピングは外す
アレンジメントには、見た目を華やかにし、持ち歩く際に花を保護するために、ラッピング材が覆われています。
オアシスに水を足す
アレンジメントの容器の底には吸水スポンジが敷き詰められており、そこに切り花を挿すことで持続的な吸水が可能になっています。この吸水スポンジを指で触り、乾いているようなら水を足してあげましょう。
このとき、花や葉に直接水がかかると傷みの原因になるので、手で優しくよけながら底に静かに注ぎ入れるようにします。
枯れた花は抜き取る
アレンジメントはたくさんの花を集めて挿しているので、傷んだ花や枯れ始めた花があると、そこから他の花にも傷みが広がります。ときどき様子を確認して、咲き終わった花があれば速やかに抜き取りましょう。
抜いたことで隙間が空いてしまったら、目立たないところから引き抜いて挿し直すことでバランスを調整できます。
花が少なくなってきたら花瓶に生ける
咲き終わって引き抜いた花が多くなってくると、アレンジメントが少しずつ寂しくなります。残った花の本数と容器のサイズのバランスが悪くなったら、小さめの花瓶に生け直しましょう。
残った吸水スポンジや容器は、自治体の分別方法に従って処分してください。
花が弱ってきたらどうする?
花がうまく水を吸い上げられなくなると、寿命を迎える前に弱ってしまうことがあります。枯れてしまったと思って処分する前に、以下の方法を試してみてください。
対処が早ければ花が元気を取り戻す可能性もあります。
湯あげ
花を水切りしたら花部分を新聞紙で覆って保護し、切り口を2cmほど80度くらいのお湯に浸けましょう。切り口から気泡が出てきたら空気が抜けた合図なので、すぐにお湯から引き上げ冷水に浸けて2時間ほど休ませます。
花が元気を取り戻して来たら通常通り花瓶に生けて様子を見ましょう。
深水法
深水法とは花を深く水に浸け、その水圧によって水を吸い上げやすくする方法です。
まず水切りを行い、茎先を20cmほど残してそれより上の花部分を新聞紙で巻いて保護しましょう。花が真っすぐになるように強めに巻きます。
バケツに深く水を張り、新聞紙で包んだ花を水に浸けましょう。水面から出ている新聞紙で包んだ部分は、乾燥しないように霧吹きをして湿らせておきます。そのまま半日から1日置いておくと、花が水をしっかり吸い上げて元気を取り戻すかもしれません。
花を水に浮かべて飾る
花はまだ咲いているものの、茎がだらんとして復活しない場合は、花首部分を切り取って水を張った小皿に浮かべて楽しみましょう。花が水を吸い上げやすくなるので、花の寿命を延ばすことができます。
切り花の茎が折れてしまった際にもおすすめの飾り方です。
花が寿命を迎えたタイミングとは
花の咲き終わりは判断が難しいものです。明らかに枯れている場合は分かりやすいですが、少しでもきれいな状態が残っていると、すぐに捨てるのはもったいない気がしますよね。
処分すべきタイミングはいつなのか見ていきましょう。
花が下を向いている
花がまだ咲いていても、茎が曲がって花が下を向いていれば花が寿命を迎えたサインです。ガーベラやヒマワリなど大ぶりの花は深水法によって復活することがありますが、対処をしても元気を取り戻さない場合は処分するのが良いでしょう。
花が乾いている
花びらを触ってかさかさしているようなら、花が水をうまく吸い上げられていないのかもしれません。完全に乾燥しているようなら、見た目には分かりにくくても既に枯れてしまっている状態です。いずれ花びらが落ちて周囲を汚してしまうので、早めに片付けましょう。
枯れた花はどうやって捨てる?
意外と悩む方が多いのが、咲き終わった花の捨て方です。花などの植物は、基本的には生ごみとして処分します。茎が袋を突き破ってしまわないように、短く切って新聞紙や広告などに包んで捨てましょう。
フラワーアレンジメントは、容器やスポンジ、金具などを分別し、自治体のルールに従って処分します。
寿命が長い花は?
適切な飾り方やお手入れを続けることで、花の寿命を最大限に生かすことができます。しかし、どうせなら寿命が短い花よりも、最初から寿命が長い花を飾りたいという方も多いのではないでしょうか。花をより長く楽しむためには、花持ちの良い花を選ぶのもおすすめです。
一般的に寿命が長いとされる花には、トルコキキョウ、カーネーション、マム系の花などがあります。ほかにもヒマワリなど大ぶりな花も、水をたくさん吸い上げられるので寿命が長いとされています。
また、胡蝶蘭などのラン系の花も長持ちするので、すぐに花が枯れるのは寂しいという方は選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
対して、ガーベラやデルフィニウム、スイートピーなど茎が細い花は寿命が短い傾向にあります。
まとめ
花の寿命は短いものですが、せっかく飾るなら少しでも長く花を楽しみたいものです。花の寿命を最大限に生かすには、最初の処理や毎日のこまめなお手入れが欠かせません。花持ちを良くするための便利なアイテムも活用しながら、花を最後まで楽しんでみてください。
花が弱っているように見えても、早めに対処すれば復活することもあるので、今回ご紹介した方法を試してみましょう。