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ラ・メールコラム > 豆知識 > 観葉植物として人気のバオバブの木とは?主な種類や育て方などを紹介

独特の形と数千年を超える長い寿命、神秘的なイメージのあるバオバブの木。サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」にも登場し、育ててみたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。

アフリカやオーストラリア、マダガスカルに自生し広大な大地に生えている巨木ですが、一般家庭でも育てることができます。

この記事では、日当たりや温度管理など、日本で上手に育てるための基本情報をご紹介します。

観葉植物のバオバブの木の基本情報

科・属 アオイ科・バオバブ属
和名 バオバブ
英名 Baobab
学名 Adansonia
原産地 アフリカ・オーストラリア

バオバブは、アオイ科バオバブ属の多肉植物で、樹高は20cm〜30mまでになります。幹が直径10mになることもあり、世界で最も幹が太くなる植物ともいわれています。

地中から吸い上げるなどして幹には10トン前後の大量の水分を蓄えており、この水分によって乾季を生き延びます。

8月ごろに白く淡い花を咲かせ、実をつけます。

たくさんの呼び方があり、別名は「さかさまの木」「逆さの木」「生命の木」などです。または「ボアブ」、「ボアボア」と呼ばれることもあります。アフリカ・マダガスカル・オーストラリア各地で聖霊の宿る神聖な木としても扱われています。

バオバブの木の特徴

バオバブの木はとても特殊な樹形をしており、生長するにつれて肥大化する太い幹と地中に根のように見える枝を持っていることが特徴です。

樹齢は2000年から、長いものでは5000年を超えるものもある長寿の木となっています。絶滅危惧種にも指定されており、近年アフリカでは樹齢千年を超えるバオバブの有名な個体たちが次々と枯死していくことが問題視されています。

一方で、種によっては観葉植物としても流通しており、育てやすさと特徴的な見た目のために人気です。有名な木であり、その珍しさからギフトにもおすすめですが、意外なことにバオバブの木には花言葉がついていません。しかし風水効果や長寿・子孫繁栄の縁起のよさがある植物のため、そうしたメッセージを込めて贈ってみてもいいかもしれません。

バオバブの木の名前の由来

バオバブの木は現地では元からたくさんの名で呼ばれていましたが、「バオバブ」という名前の由来には諸説あります。

有力なのは、アラビア語で呼ばれていたブー・フブーブ(種がたくさんあるものの意)という名前を元に16世紀にイタリア人の植物学者が「バオバブ」と記したことです。

また、セネガル語で一千年の木という意味のあるバ・オバブからついたという説もあります。

学名のAdansoniaはフランスの植物学者であるミシェル・アダンソンの名前からついています。また、別名の「生命の木」「逆さまの木」は、神話で神が天地創造の際に逆さまにバオバブを植えたという言い伝えからついた名前です。

バオバブの木の実は危険?

バオバブの木の実に危険性はありません。アフリカなどでは栄養価の高い食用フルーツとして食べられています。

バオバブの木は8月ごろに淡い白色の花を咲かせます。深夜に花が咲きますが花の寿命は短く、次の日の昼〜夕方には枯れてしまいます。花の後、固いヘチマのような大きな実がつきます。ビタミンCとカルシウムが豊富で、アフリカやオーストラリアでは古くから食用として利用されてきました。また保湿性があるため保湿剤としても用いられています。

大きな実のとれるバオバブの木になるまでには数十年〜数百年かかるといわれており、日本で園芸用に育てたバオバブから食用の実を収穫することは難しいかもしれません。バオバブの実を食べてみたいという方はアフリカ食材のスーパーやネットショップで購入ができますよ。

アフリカバオバブの場合は、葉も食用野菜として食べられています。

バオバブの木の風水効果 

上へ上へと伸びていく植物には、風水面から見て陽の気があるとされており、幹が真っすぐ育つバオバブの木には活動的なエネルギーである陽の気の効果が期待できます。

またバオバブは長寿の植物のため、子宝運など子孫繁栄の風水効果も期待できるでしょう。

玄関やリビングの入り口など人の出入りのある場所、または寝室に置くのがおすすめです。

バオバブの木が登場する作品

フランスの作家サン=テグジュペリの「星の王子さま」にバオバブの木が登場します。とても印象的な登場の仕方なので、この作品でバオバブを知った方も多いかもしれません。

放っておくと星を覆いつくしてしまうバオバブの木の芽を、王子さまが毎朝抜いていきます。手遅れになるほど「星を壊してしまう」かもしれない恐ろしい木として、王子さまの不安の種として登場します。

その数千年にもなる樹齢や形など、人間がイメージする「普通の木」を遥かに超えたバオバブの木。そんなさまざまな意味で驚異の存在としてサン=テグジュペリの目に映ったが故の描かれ方なのかもしれません。 

観葉植物として人気のあるバオバブの木の種類

アフリカの大地に生えている巨大なバオバブの木の写真を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。そうした写真に写っているのは多くの場合絶滅危惧種でもあるアダンソニア・グランディディエリなどです。

バオバブには11種(または12種)の種が存在しておりアフリカ、マダガスカル、オーストラリアの固有種があります。観葉植物としての印象が薄いバオバブの木ですが、小さく育つ種は世界的に観葉植物として人気です。日本でも代表的な種が流通しています。

アダンソニア・ディギタータ

バオバブ属のうち観葉植物として広く流通しており、星の王子さまに登場するバオバブの木のモデルともいわれています。

栽培が簡単で管理しやすいことでも知られており、日本で見ることできるバオバブの木のほとんどはこのアダンソニア・ディギタータです。自生地では30mまで育ちますが、観葉植物として小さく育てることもできます。

アダンソニア・フォニー

別名でアダンソニア・ルブロスティパ、またはフィニとも呼ばれます。小型で、一定の大きさになると成長が止まります。枝分かれが多いことも特徴で、マダガスカルに自生しています。

アダンソニア・ザー

アダンソニア・ディギタータなどはアフリカ大陸原産の種ですが、アダンソニア・ザーはマダガスカル原産の種です。ボトル型で葉が細いのが特徴です。アフリカのバオバブは食用にも用いられますが、マダガスカルのバオバブは食べるとえぐみがあります。 

観葉植物用バオバブの木の購入方法と料金相場

絶滅危惧種にも指定されるバオバブは珍しい・希少な木というイメージがあるかもしれません。しかし観葉植物として流通しているアダンソニアディキターターなどは安価に入手することができます。

他の観葉植物と比べればまだまだ少ない流通量ですが、取り扱いのある園芸店などで通常の植物と同じように購入ができます。

ここからは、バオバブの木の購入方法と料金相場についてご紹介します。

主な購入方法

苗や種を扱っている街の花屋・園芸店・ホームセンター・インターネットなどで購入が可能です。しかし流通量はまだまだ少ないため、どこでも必ず売っているというわけではありません。花屋や園芸店などに実際に行く場合は問い合わせをしてから行くことがおすすめです。確実に、そして手軽に手に入れたい方は園芸店のネットショップなどインターネットで購入するのがいいでしょう。

平均的な料金相場 

種の場合は1粒数10円から数100円で購入ができます。苗の場合は1000円前後です。また、成長した鉢植えや盆栽を購入する場合は1万円〜2万円が平均的な料金です。鉢植えの場合は大きさや珍しさなどによってさまざまで、10万円を超える商品も存在します。

観葉植物用のバオバブの木の選び方

バオバブの木を選ぶ際は、葉裏を確認してハダニやアブラムシなど病害虫のついていないものを選びましょう。幹が太くしっかりとしているもの、芽や緑の芽がたくさんついているものがおすすめです。 

種から育てる場合

バオバブは苗よりも種から育てるのがおすすめです。インターネットで袋詰めのものを500円前後で購入できるので、ぜひ挑戦してみてください。

種は肉厚でしっかりとしているもの、傷などがないものを選びましょう。また、選定する場合は発芽した葉が緑色でしっかりとしたものを選びます。

鉢などで発芽させるためには発芽処理が必要です。殻を削る手法、熱湯をかける手法、濃硫酸につける手法があります。撒くのは25℃〜35℃になる7〜8月、真夏の熱帯夜が続く時期が適しています。

苗から育てる場合

日本では2、3年育った中苗が出回っています。

苗の場合は5月〜8月までに植え付けを行います。幹の太さ、幹がしっかりしているかなどを確認して購入しましょう。

バオバブは育て方次第ではひょろひょろと弱った状態で育ってしまいます。幹を育て上げるためには元々幹が強く健康的なものを選ぶのがポイントです。芽数が多く健康な緑の葉が多くついているかも重要です。ハダニやアブラムシがついていないかもしっかりと確認しましょう。

バオバブの木の育て方

バオバブの木で観葉植物として出回っているアダンソニア・ディギタータは、基本的には育てるのが簡単で管理しやすいといわれています。

バオバブには乾季に休眠期に入り、雨期に生育期に入るというサイクルがあります。日本では冬を休眠期、夏(または春〜秋)を生育期と考えて管理します。最盛期は真夏です。

寒さに弱く、沖縄などの温暖地を除いて日本の気候では屋外の冬は耐えられません。日当たり管理や温度管理をしっかり行いましょう。 

日当たり

バオバブは日差しが好きです。太く大きく育つためにはたくさんの日光が必要です。自生地で樹高を高くし遮るもののない環境で日光を浴びて生きています。

種や環境によりますが真夏の直射日光にも耐える場合があります。しかし葉焼けを起こす場合もあるため、室内などではカーテン越しによく日のあたる窓辺などで管理するのがおすすめです。屋外では真夏は半日陰に移動させましょう。

置き場所

よく日の当たる場所、風通しのよい場所で育てましょう。バオバブは日光が大好きで、湿度の高さや蒸れが苦手です。春〜秋は可能なら室内よりもよく日の当たり、風の通る屋外で管理するのが好ましいでしょう。

室内の場合もなるべく日当たりのいい場所に置きます。日光が足りていない、風通しが悪いと病害虫にかかりやすく、ひょろひょろとした株に育ってしまいます。

水やり 

バオバブは幹に水分をため込む性質があるため、乾燥には強く、逆に湿度は苦手です。基本的には乾燥気味に管理します。

春〜秋は表面の土が乾いたら、鉢底から水が流れ出るぐらいたっぷり水を与えます。鉢皿に水が溜まると蒸れてしまいます。鉢皿を置かないか、水が溜まったらすぐに捨てましょう。一方で冬は落葉後から徐々に水を少なくしていきます。まだ株が小さい場合を除き、休眠期にあたる真冬は1月ほど完全に水をやるのをやめるか、月1度程度の水やりにします。根腐れを避け、耐寒力をあげることができます。

用土・肥料 

水はけ、通気性のよい土を使います。市販の園芸用の培養土が利用できます。鉢底に軽石ひき排水性を高めましょう。

自分で配合する場合は、観葉植物用の土2:赤玉土1:鹿沼土:1の割合などで配合するのがおすすめです。バオバブは肥料がなくても十分に育ちますが、大きく育てたい場合などは5月〜9月の生育期に与えます。緩効性の液体肥料を2週間に1度、または置き肥を2か月に1度与えます。休眠期にあたる冬には肥料は与えないようにしましょう

植え付け 

苗の場合、植え付けは5月〜8月の生育期に行います。苗が小さいまま冬を迎えると越冬が難しくなるため、8月までには植え付けを行うようにしましょう。植え付け後は土を乾燥させないように管理します。

植え替え 

バオバブは成長するにつれて株が肥大化し大きくなっていくので、根詰まりを起こしやすい植物です。鉢の場合は2、3年に1度は1回り大きな鉢への植え替えを行いましょう。

植え替えも5月〜8月までに済ませます。休眠期は株が弱っているので植え替えは行わないでください。

剪定

剪定は必ずしも必要というわけではありませんが、傷んだ葉、茂りすぎた枝などを剪定する場合は5〜9月の生育期に行います。

また10月〜11月ごろ、黄ばんできた葉は園芸用ハサミなどで切り取りましょう。剪定を上手に行うと、幹を太く仕立てることができます。

増やし方

基本的には種まきで増やします。種から育てて徐々に生長していくのを見守っていくのがバオバブを育てるだいご味です。殻が固いため、熱湯につけるなど発芽処理を行いましょう。種まきは真夏の8月に行います。

冬越し・夏越し

バオバブは寒さに弱いため、冬も5℃以上で管理します。鉢の場合、冬は屋内に入れましょう。また室内でも窓辺など温度の下がる環境は避けます。秋の終わりから水を徐々に少なくしていくと耐寒力が増します。

人間が参ってしまうような真夏が最も元気な最盛期です。夏の日差しも大きく育てるために必要ですが、葉焼けを起こしてしまう場合もあります。様子を見て、葉焼けの心配がありそうな場合は半日陰に移しましょう。

病害虫

バオバブはハダニとアブラムシがつきやすい植物です。白い斑点がついているとハダニがいるサインです。市販の殺虫剤を撒くか、水で洗い流すなどして駆除します。放っておくと株全体が枯れてしまいます。日ごろから葉に霧吹きをかけ、よく拭き取るなどして葉を綺麗に管理してください。

アブラムシもスス病など菌類の病気を誘発するため、見つけたらすぐに殺虫剤などで駆除しましょう。屋外で育てている場合、ナメクジによる食害にも注意が必要です。 

バオバブの木の幹を太くするためには?

バオバブの最大の魅力は美しく太く育った幹です。そこまで育てるのは園芸の初心者には大変ですが、年数をかけること、環境管理を正しくすること、適切な剪定をして形を仕上げていくことがポイントです。

年数をかける

バオバブは生長が遅く、太い幹になるためには何年もかかります。写真で見るようなアフリカの太く大きなバオバブになるまでにはそれこそ数百年もかかる植物です。園芸で育てる場合も根気よく育てることが基本です。徐々にですが幹は太くなっていきます。株が大きくなるごとに鉢を植え替えてあげることも大切です。

正しく育てる 

日光によく当て、適切な温度管理をし、正しく育てることが必要です。バオバブに合った環境で正しく育ててあげると、ひょろひょろと徒長せず、病害虫もつかない、太くて綺麗な幹に育てることができます。また、バオバブは大きく剪定を行うことで幹を太く育てていくことができます。剪定を行う場合は株が元気な、5〜9月の生育期に行いましょう。 

まとめ

地球の自然の神秘や独自の進化を遂げた樹木としてロマンを感じるバオバブの木。今回はあまり知られていない観葉植物としてのバオバブの育て方についてご紹介しました。

栽培はそこまで難しくはありませんが、育てるのが大変そうだという方はある程度育った盆栽もおすすめです。バオバブは育て方によってさまざまな印象を与えてくれる幹の形になっていきます。個性的なものから綺麗なものまで、個体によって大きく違う幹の形を楽しんでみてはいかがでしょうか。