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ラ・メールコラム > 豆知識 > 春に楽しめる枝ものとは?人気の種類や長持ちさせる方法をご紹介

春は生け花やインテリアに使うことができる枝ものが多く流通する季節です。生け花やインテリアをしたいけれど、どういった春の枝ものを飾ればよいのかわからない人や迷っている人は多いのではないでしょうか?。春の枝ものといっても様々な種類のものがあるため、本記事では早春と春の枝ものについて代表的なものをご紹介します。また、春の枝ものをインテリアとして飾る方法や長持ちさせる方法、お手入れについても紹介します。春に流通する枝ものに関する疑問もご紹介するのでぜひ、参考にしてください。

枝ものとは

枝ものとは、自然の木や木の枝を切り取り、生け花やインテリアに使うアイテムを指します。枝ものは、日本の伝統的な生け花「華道」でもよく使われており、季節感や自然の美しさを感じることができます。

流通期と開花時期の違い

枝ものは、生花店で購入できる時期(流通期)と実際の開花時期が異なります。流通期と開花時期の違いは、開花調整がされているかどうかがポイントです。商品として生花店に並ぶ枝ものは、多くが開花調整がされていて、戸外での開花時期と異なることがほとんどです。

特に梅や桃などは、屋外で花が咲く頃には生花店での流通は終わっていることが多いため、開花時期よりも先駆けて購入しておく必要があります。

早春に人気な枝ものの種類

早春は文字通り春の始まりのころの季節を表す言葉で、2月初め〜3月初めと言われています。早春に人気の枝ものを紹介します。

流通期 12月下旬~1月下旬
開花時期 1月中旬~3月上旬
科/属 バラ科/サクラ属
英名 Japanese apricot,Ume
和名
別名 春告草(はるつげぐさ)、好文木(こうぶんぼく)、風待草(かぜまちぐさ)、香散見草(かざみぐさ)、匂草(においぐさ)など
原産地 中国
樹高 3~5m程度

梅は、お正月の縁起物として促成栽培された切り花が12月から出回ります。関東の平野部の屋外では早い品種でも咲き始めは1月中旬頃で、遅い品種は3月上旬頃に開花します。実をつける品種の実梅(みうめ)は、花梅(はなうめ)よりも開花が遅い傾向です。梅は、香りの良さでも知られますが、白梅と紅梅では少し匂いが違うことも面白い点でしょう。

流通期 12月下旬~4月中旬
開花時期 1月中旬~4月中旬
科/属 バラ科/サクラ属
英名 Cherry blossom
和名
別名 曙草(あけぼのそう)、徒名草(あだなぐさ)、夢見草(ゆめみぐさ)、手向け花(たむけ)など
原産地 日本、中国、朝鮮半島、ヨーロッパ、北米
樹高 3m~10m以上

品種改良が盛んに行われた桜は、早咲き〜遅咲きのものまでさまざま品種があるので、長い期間花を楽しむことができる枝ものです。染井吉野(そめいよしの)が有名ですが、さらに早くから咲く啓翁桜(けいおうさくら)や東海桜(とうかいざくら)は、12月から生花店で見かけることができ、2月には河津桜、3月は染井吉野や陽光桜(ようこうざくら)4月には八重桜が店頭に並びます。

流通期 2月上旬~3月上旬
開花時期 3月中旬~4月上旬
科/属 バラ科/桃属
英名 Peach blossom
和名
別名 ピーチ、三千年草、三千代草、御酒草など
原産地 中国中北部
樹高 2m~8m程度

桃は、花や実が邪気を払う効能のあるものとされ、桃源郷や不老長寿の伝説などさまざまな古事をもつ植物です。そのような理由から、桃の花がひな祭りに飾られるようになりました。関東の平野部での桃の開花は3月中旬以降です。先駆けて生花店に並ぶ桃は、ひな祭りの需要に合わせて生産者が促成栽培したものになります。

ユキヤナギ

流通期 1月上旬~3月中旬
開花時期 3月下旬~4月下旬
科/属 バラ科/シモツケ属
英名 Thunberg’s meadowsweet
和名 雪柳
別名 小米花(コゴメバナ)
原産地 中国
樹高 1~2m

ユキヤナギは、1本の細い枝にたくさんの小さな白い花を次々と咲かせるバラ科の落葉低木です。名前に雪と付いていますが、開花時期は3月~4月で、満開になると枝が雪をまとった花の姿になることから、花の名前がつけられたようです。生育がよく丈夫なので、公園などでも見かけるほか、生花店でもさまざまな用途で使用されています。

蝋梅(ロウバイ)

流通期 12月上旬~1月中旬
開花時期 1月上旬~2月中旬
科/属 ロウバイ科/ロウバイ属
英名 Winter sweet
和名 蝋梅
別名 唐梅 (カラウメ) 
原産地 中国
樹高 2~4m

ロウバイは、他の花が少ない冬の寒い時期に、蝋(ロウ)を塗ったような質感の黄色い花を咲かせます。正月の花材としても古くから愛され、クセのない爽やかな香りも魅力の1つです。ロウバイの香りが好きな方も多く、庭木として植えられているのもよく見かける比較的ポピュラーな枝ものです。

木蓮(モクレン)

流通期 1月中旬~2月中旬
開花時期 2月上旬~2月下旬
科/属 モクレン科/モクレン属
英名 Lily magnolia、Mulan magnolia
和名 木蓮、木蘭
別名 紫木蓮(シモクレン)
原産地 アジア、北米一帯
樹高 ~5m

木蓮のうち、白い花を咲かせる種を白木蓮(ハクモクレン)と言い、パープルピンクの花を咲かせる紫木蓮(シモクレン)や園芸種の烏木蓮(カラスモクレン)などもあります。木蓮と木肌やつぼみの見た目が良く似た花に辛夷(コブシ)があります。見分け方は、全ての花芽が上に向かっているのが木蓮で、花芽が上下左右ランダムに向いているのが辛夷と覚えると良いでしょう。

青文字(アオモジ)

流通期 12月上旬~2月下旬
開花時期 3月上旬~4月上旬
科/属 クスノキ科/ハマビワ属
英名 May chang
和名 ショウガノキ、コショウノキ、ソロバンノキ
別名 ショウガの木、卒業花
原産地 日本、台湾、中国、インドネシア
樹高 3m~5m

青文字は、黄緑色のつるっとした実のようなものをつけた枝で、実のように見えるつぼみから淡い黄色の花を咲かせます。日持ちが良い春の枝物として重宝されており、熟した果実は爽やかな香りがあることからショウガの木とも呼ばれます。同じクスノキ科の黒文字(クロモジ)は枝が黒いですが、青文字は緑のためこの名前がつけられたようです。

春に人気な枝もの種類

春の季節は節切り(せつぎり)によると2月4日から5月4日までとなります。節切りとは、1年を春夏秋冬の4つに分けた二十四節気(にじゅうしせっき)から考えられたもので、さらにそれぞれを6つに分けています。以下では春におすすめの枝ものを紹介します。

山吹(ヤマブキ)

流通期 3月上旬~4月中旬
開花時期 4月上旬~5月上旬
科/属 バラ科/ヤマブキ属
英名 Japanese kerria
和名 山吹
別名 面影草(おもかげぐさ)
原産地 日本
樹高 1~2m

ヤマブキは、自生種の一重のヤマブキや八重咲きのヤエヤマブキ・白い花が咲くシロバナヤマブキがあります。ヤマブキは、古くから枝ぶりの美しい花材として愛されてきました。

里山で咲く黄色い花を見かけた際は、ヤマブキと同じく枝が垂れて花が咲くレンギョウと混同しやすいですが、開花期が遅いことと、山吹色の濃い黄色の花色で判別可能です。

ツツジ

流通期 2月上旬~5月上旬
開花時期 4月中旬~5月中旬
科/属 ツツジ科/ツツジ属
英名 Azalea
和名 躑躅
別名 テキチョク、アザレア
原産地 東アジア
樹高 50cm~2m

ツツジは、4月〜5月に道路脇にピンクの花を咲かせるオオムラサキツツジやサツキツツジの印象が強いですが、ヤマツツジやミツバツツジなど、さまざまな品種があります。どの品種も枝に動きがあり花色も幅広く、特に活け込みの材料として使うと映えるでしょう。

生け花の花材としては2月頃から促成栽培の品物が流通します。

花蘇芳(ハナズオウ)

流通期 2月下旬~4月上旬
開花時期 4月上旬~4月下旬
科/属 マメ科/ハナズオウ属
英名 Chinese redbud
和名 花蘇芳
別名 蘇芳花(スオウバナ)
原産地 中国
樹高 2~5m

ハナズオウは、濃いピンク色の小さな花を枝に密着するような独特な姿で花を咲かせます。染料の「スオウ」に似た色に似ていることから名付けられました。枝は直線的ですが、この時期に少ない濃いピンク色のため、生け花の花材で需要が多い枝で、庭木としても見かけます。

ビバーナム(ガマズミ)

流通期 2月下旬~3月
開花時期 4月~5月
科/属 レンプクソウ科/ガマズミ属
英名 Viburnum
和名 西洋テマリカンボク
別名 セイヨウガマズミ、ビブルナム
原産地 ヨーロッパ、北アフリカ
樹高 1m~5m

ビバーナムは、落葉あるいは常緑の低木で、観賞価値のある花を咲かせ、大きくなっても3~4m程度と小ぶりのため庭木としても好まれています。ビバーナムの名前は、ガマズミ属の総称のように使用されており、主に園芸種や外来種ではビバーナムと名付けられているのを見かけます。

ビバーナムの仲間でもビバーナムと呼ばれることも和名で呼ばれていることもあり、統一されていないため、分かりづらいこともあります。

ミモザ(アカシア)

流通期 2月~3月
開花時期 3月~4月
科/属 マメ科/アカシア属
英名 mimosa
和名 房アカシア、または銀葉アカシア
別名 ミモザ
原産地 オーストラリア南部
樹高 5m~

ミモザはふわふわとした黄色の花がかわいらしく、花が咲いた状態の枝ものは2月頃から出回り始めます。ミモザは水落ちしやすい花なので、生花のふわふわの花が楽しめるのは数日程度です。きれいなドライフラワーにできる特徴があり、ドライフラワーのミモザは長い間楽しむことができます。

キイチゴ

流通期 周年
開花時期 3月~5月
科/属 バラ科/キイチゴ属
英名 Bramble
和名 木苺(キイチゴ)
別名 木苺, Bramble, Rubusなど
原産地 日本、北アメリカ
樹高 100cm

キイチゴは、別名ベビーハンズという名前でも呼ばれる枝ものです。明るいグリーンの葉が印象的で通年流通していますが、春から夏にかけて瑞々しいグリーンを楽しむことができます。

ヒュウガミズキ(姫水木)

流通期 1月下旬~3月中旬
開花時期 3月上旬~4月上旬
科/属 マンサク科/トサミズキ属
英名 buttercup winter-hazel
和名 日向水木
別名 イヨミズキ
原産地 日本
樹高 2~3m

ヒュウガミズキは、細く華奢な枝に小さなクリーム色の花をたくさん咲かせる花木です。

空間に小さな花が舞っているようなかわいらしさがあり、枝が細く華奢なため重さもあまりないため、生けやすい枝ものです。開花前の芽吹き枝としても出回り、部屋の中で次々と花を咲かせます。

春に旬を迎える枝ものをインテリアとして飾ろう!

枝ものはボリュームがあるので、1本でも存在感を持ちそれぞれに個性があるため、空間の雰囲気をがらりと変えてしまう効果もあります。インテリアを変えなくても、枝ものを生けるだけで部屋の雰囲気が変わるでしょう。枝ものをインテリアの一部と考え、季節や気分に合わせて飾れば模様替えをしなくても気分転換を味わうことができます。また、室内に枝や葉があるだけで、自宅に居ながら森林浴を楽しんでいるような気分になるのも魅力です。以下では、枝ものをインテリアとして飾るための方法をご紹介します。

花瓶で飾る

枝ものの大きさや重さはさまざまなため、それぞれのサイズに合わせた花瓶が必要となります。高さのある枝ものを生ける場合は深さのある花瓶、重い枝ものを生ける場合は花瓶も重くて安定感のあるものが必要です。花瓶と枝のバランスが悪いと倒れてしまう危険性があるため、枝ものを購入する際には手持ちの花瓶を考慮しながらサイズ選びをしましょう。また、口が広く不透明な花瓶の場合は、中に石やレンガを重しとして仕込むと安定させることができます。

生け花として飾る

枝ものは空間の雰囲気を大きく変えるような存在です。せっかく飾るのであれば部屋のよく見えるところに飾りたいものです。生活動線に配慮した邪魔にならず、視界に入りやすい場所を選びましょう。本棚やテレビボード、リビングの片隅、サイドテーブルの上、ダイニングテーブルの上に低く生けても素敵です。

春の枝ものを長持ちさせる方法

花器やおしゃれなガラスの瓶などに飾るだけで、空間の雰囲気を変える枝ものは、気軽に植物を取り入れてみたい方にもおすすめです。枝ものは、切り花よりも長持ちするため季節感を味わえるでしょう。春の枝ものを少しでも長く飾るために長持ちさせる方法を紹介していきます。

水をきれいに保つ

枝ものを入れている花器の水はきれいに保ち、濁る前に取り替えましょう。もし、枝ものにぬめりが付いている場合は、水を替えるときに洗い流してください。雑菌を増やさないためには、塩素系の洗剤などを数滴入れるのも効果的です。ただし、洗剤を入れ過ぎると逆効果になるので気をつける必要があります。また、市販の切り花用の延命剤を使用しても良いでしょう。

葉水をする

葉水とは、葉に水を吹きかけることです。枝ものに霧吹きで葉水をしてあげることで、植物は葉から水分を吸収することができます。葉の表面だけではなく、裏側にも葉水を施すとより効果的です。葉水を行うことで、長い期間みずみずしい葉を保つことができます。枯れてしまった葉や乾燥してしまった葉はこまめに取り除いてください。

切り戻しをする

切り戻しとは、伸びすぎた枝や茎を切り取ることです。カッターなどで木の枝をそぎ、根元に十字(細い枝の場合は一文字)に切り込みを入れると植物は水を吸収しやすくなります。枝が固くて切りにくい場合は、少しだけカットし、少しずつ切れ目を入れると良いでしょう。無理に切り戻しをすると枝が折れてしまうので注意してください。この作業は刃物を使うため危険を伴う作業なので、必ず軍手を着用して行います。

春に流通する枝ものに関する疑問

春の枝ものに関する疑問をいくつかまとめました。質問に対する回答も解説しているため、ぜひ参考にしてください。

春の枝ものはどこで購入できる?

春の枝ものは園芸ショップの他、通販サイトでも購入することができます。通販のメリットは品揃えが豊富で自分で持ち運ぶ手間が省けることです。特に大きなサイズの枝ものを購入する際は、通販が便利でしょう。

枝ものの寿命はどれくらい?

枝ものの植物は、生花などと比較すると比較的長く楽める上に、手入れも簡単なことです。種類によっては1ヶ月以上鑑賞できる枝ものもあります。そのため、生花に比べると枝ものはコスパがいい植物と言えるでしょう。

春の枝ものはどんなシーンで贈ることができる?

春の枝ものは、自然の美しさを取り入れることができる素敵なインテリアです。それぞれに花言葉を持っているので、贈る相手に合った花言葉を確認し、メッセージとして添えると贈る相手の心に響くでしょう。

まとめ

今回は、春に楽しめる人気の枝ものやインテリアとして飾る方法・お手入れ・長持ちさせる方法・春に流通する枝ものの疑問をご紹介しました。春の枝ものは、自然の美しさを取り入れることができる素敵なインテリアです。早春や春には人気の枝ものが多く流通し、どの枝ものも個性をもっており、魅力的なものばかりです。この機会にぜひ、春の枝ものをインテリアとして飾ってみてはいかがでしょうか。また、春の枝ものは親しい人やお世話になっている方へ感謝の気持ちを込めて贈るのも素敵でしょう。