胡蝶蘭

ラ・メールコラム > 胡蝶蘭 > 胡蝶蘭の花がしおれたらどうすればいい?原因を踏まえた対処法を紹介

胡蝶蘭の花がしおれる原因としては、主に適切な環境が維持できていないことや水のやりすぎが考えられます。また葉や茎に何らかの症状がみられる場合は細菌やウイルスに感染している可能性がありますし、これらの原因に当てはまらないのであれば肥料を与え過ぎてしまっている場合があります。

このように胡蝶蘭の花がしおれてしまう原因はいくつか考えられるため、それぞれの原因に応じた対処法を講じることが必要です。特に胡蝶蘭は乾燥と寒さに弱いデリケートな植物なので、温度や湿度などの適切な環境を整えてあげること、水や肥料を与え過ぎないことが主な対処法として挙げられます。ほかにもしおれるタイミングによっても原因や対処法が異なるので、きちんと原因を究明して対処することが大切です。

 

胡蝶蘭の基本的な情報

胡蝶蘭はラン科コチョウラン属の植物で、東南アジアが原産となっています。数万種以上の品種の中には改良されたものもいくつかあり、大輪の花を咲かせるものもあれば中輪または小輪など小柄な花を咲かせるもの、咲き始めの時期と終わりの時期では色が異なるという変わり種のものまで多種多様です。

基本的には4月から5月が開花の時期とされているものの、温室栽培の技術が進化したことで年中花を咲かせているため、いつでも花を楽しむことができます。

そんな胡蝶蘭が日本に持ち込まれたのは明治以降と言われており、当時は上流階級の間で親しまれていました。東南アジアという暑い国が原産であったことから日本との気候差にすぐに枯れてしまうイメージが強かった当時と違い、温室栽培が主流になった現在では上流階級だけではなく一般の人たちにも親しまれています。ただ上流階級の人たちが愛でていた経験から、高級な花としてお祝い事の際に贈る花として定着しているようです。

そんな胡蝶蘭は非常にデリケートな側面を持っており、水やりだけではなく空調管理や置場所、季節別のケアなど気を付けるポイントが多く見受けられます。そのため初心者の方にとっては育てにくい部分があるものの、ポイントを押さえて正しい育て方やケアを身に着ければ長く楽しむことができるところが魅力です。

 

胡蝶蘭の花がしおれてしまう原因

折角購入した、またはお祝い事でいただいた胡蝶蘭の花がしおれてしまうと、がっかりしてしまいます。場合によっては届いて間もないのにしおれてしまうこともあるため、どうすればいいのかわからないと悩んでいる人も少なくありません。

胡蝶蘭の花がしおれる原因としては、温度・湿度・水やりの3つでミスをしてしまっている可能性が考えられます。

胡蝶蘭は環境の変化に弱く、一定の環境を維持できなければ弱ってしまいます。一定の環境というのが、温度は10度以上かつ35度以下、湿度は40%以上が理想だとされています。これは胡蝶蘭の原産地が赤道に近い地域であることが理由で、原産地となる東南アジアは高温多湿の環境であることが多いです。

このため胡蝶蘭は特に乾燥に弱い植物となっており、冷暖房が効きすぎている環境下ではすぐにしおれたり枯れてしまうケースが目立ちます。ただ高温と言っても風通しが悪い場所や35度以上の環境だと逆効果になってしまうため、適切な環境が維持できないとしおれてしまう可能性が高くなるのです。

また乾燥に弱い胡蝶蘭ではありますが、実は水をやり過ぎてしまうのもしおれてしまう原因となっています。乾燥に弱いならたくさん水をあげればいいのではないかと思われがちで、水やりの頻度が多くなってしまっていることもあります。

ただ実際には胡蝶蘭はそこまで水を好まない植物なので、あげすぎてしまうと根腐れを起こしてしまいがちです。このため水を沢山あげていたのにしおれてしまったという人は、水やりの頻度が多すぎたことが原因として考えられます。

ほかにも胡蝶蘭がしおれてしまう原因として考えられるのは、細菌やウイルスによるものです。前述したように胡蝶蘭は非常にデリケートな性質の植物で、ちょっとした小さな傷があるとそこから細菌やウイルスに感染してしまうことがあります。そのまま放置してしまうとしおれてしまうだけではなく、病気が原因で枯れてしまうことも珍しくありません。

細菌やウイルス感染によってしおれている場合、株や葉の部分に斑点ができたり、府は異臭がしてくることがあります。このような症状が見られた場合は、環境や水やりによるものではなく、感染症を疑うことが必要です。

 

花がしおれたらどのように対処すればいいのか

何らかの理由で胡蝶蘭の花がしおれてしまった場合、原因によって対処法が異なります。

例えば温度や湿度など、胡蝶蘭にとって適切ではない環境が原因でしおれているのであれば、最適な環境を整えてやることが急務です。特に夏場は風通しの悪い場所に置いてしまうとしおれやすい傾向にあるので、風通しの良い場所に移動してあげましょう。

ただ胡蝶蘭は直射日光に弱いので、風通しの良い場所の中でも直射日光の当たらない場所を探してあげることが大切です。そして加湿器などを設置して、常に40度以上の湿気を保つようにします。部屋の温度や湿度がわからないと調整することは難しいため、温度計や湿度計を設置して定期的にチェックしてあげることもおすすめです。

また水のやりすぎでしおれてしまっている場合は、水やりの頻度を少なくしましょう。胡蝶蘭の水やりの指標としては、根を覆っている苔の乾燥具合です。苔が湿っているようであれば問題ないので、苔が乾いている時にたっぷりと与えてあげます。ちなみに冬は1か月以上水をあげなくても問題ないことが多いため、しばらく水やりをしていないと焦る必要はありません。

そして細菌やウイルスが原因でしおれている花に対しては、病気を発症している根や茎、葉の部分を切除することが必要です。その上で病気に応じて園芸用の農薬を塗り、感染が広がっていないかどうか観察します。この時病気の部分を切除したハサミやカッターは、そのまま他の部分に使ってしまうと切った部分から感染してしまう恐れがあります。このため一度病気の部分を切除したら消毒して、他の部分に感染を広げないようにすることも大切な対策です。

また胡蝶蘭の世話をする時、素手で触っていると自分の手を介して細菌やウイルスを付着させてしまう恐れもあります。特に見えないような小さな傷が胡蝶蘭にできてしまっていると、そんな小さな傷からでも感染してしまう可能性があるのです。そんな事態を防ぐためには、必ず胡蝶蘭の世話をする前には手洗いを行い、素手ではなく軍手などを使って直接触れないようにすることも必要となります。

 

肥料のあげすぎにも注意

ほかにも花がしおれた時の意外な対処法として挙げるのが、肥料の調整です。実は胡蝶蘭がしおれてしまう要因として、肥料のあげすぎも問題になっています。植物にとって肥料は大切な栄養分であるため、胡蝶蘭にもたくさん肥料をあげている人は少なくありません。

ただ胡蝶蘭は初夏から秋の中頃までが成長期となっていて、その頃はたくさんの肥料を必要としています。特に液体肥料と固形肥料を併用することで効率的に成長を促すことができるため、成長期であるこの時期が花を綺麗に咲かせることができるか重要なタイミングとなっているのです。

ですが成長期を終えた秋の後半からは成長のスピードが徐々に遅くなり、冬に入ると休止期に入ってしまいます。そこからは次の成長期までほとんど栄養を必要としなくなるため、肥料を与える必要はありません。逆に肥料を与えてしまうと根の部分に大きな負担をかけてしまうので、結果としてしおれてしまったり枯れてしまう事につながります。

このように胡蝶蘭は一定の時期以外は肥料を必要としない植物となっているため、肥料を常に与えてしまうことはNGです。もしも肥料を常に与えていてしおれてしまったという人は、成長期以外は肥料を与えないようにすることが対処法となります。

 

それ以外のタイミングでしおれてしまう原因と対処法

育てている最中に不規則なタイミングでしおれてしまう場合は、環境や水やり、肥料など自分たちの育て方に問題があることがほとんどです。ただそれ以外にも胡蝶蘭がしおれてしまうタイミングはいくつかあり、それによっては自分たちではなくほかのところに原因があることも珍しくありません。

例えばお祝い事などで胡蝶蘭をいただいた際、既にしおれてしまっていたというケースがあります。お祝い事ではなく自分で購入した場合も、購入してすぐにしおれてしまうこともあるのですが、このような場合は自分たちの管理が原因ではなく、ショップ側に原因があると考えられます。

フラワーショップは花に関する知識や技術をしっかり持っているので、花ごとの管理方法も熟知しています。ただそれでも何らかの原因で管理方法や環境に不備が出てしまうこともあるため、それが原因で胡蝶蘭がしおれてしまうこともあるのです。

残念ながらこの場合、しおれた花を元に戻すことは難しくなります。ただしおれてしまったからとそのまま鉢に植えるよりは、しおれてしまった花の茎を剪定することがおすすめです。実は剪定した後に適切な環境で育ててあげることで新しい花をつけてくれるので、2番花と呼ばれる次の花を楽しみにしてみるのも良い対処法となっています。

また順調に育てていたのに、根元に近い花がしおれてしまったというケースもあります。せっかく長いこと育てていたのにしおれてしまったとショックを受ける人も多いのですが、これは無事に開花期間が終了した胡蝶蘭の花がしおれてしまっただけなのです。

花には開花期間と呼ばれるものがあり、種類によってどの程度の期間開花するのかは異なります。ただ開花期間を終えたものはしおれてしまうという点は共通しており、胡蝶蘭も例外ではありません。胡蝶蘭の場合は根元に近い花から開花していくという特徴があって、徐々に花の先端の方が開花していきます。

つまり根元に近い花がしおれてしまっているのは順調に育ち終えた証拠であり、決して管理に問題があったわけではないのです。

そんな開花期間を終えてしおれた花はもう一度開花することはないので、次に咲く花のために花の茎を切ってあげることが対処法になります。そうすることでまだ蕾の状態のものやこれから開花していく花に栄養や水分を行き渡らせることができ、新しい花を咲かせることができるので、剪定という意味で重要な対処法だと言えます。

なお切った花はそのまま捨ててしまうのは勿体ないので、押し花にするなど加工してあげるのも有効です。

 

胡蝶蘭がしおれた場合の注意点

このように胡蝶蘭の花がしおれたら、原因に応じた対策をすることで元気になってくれる可能性が高いです。ただ、きちんと対応するためには何が原因でしおれてしまったのか特定することが大切になります。

何が原因でしおれてしまったのかもわからないままに適当な対処法を実践してしまうと、結局原因を解決できていないのでどんどん花がしおれてしまう恐れがあります。特に胡蝶蘭はデリケートなので原因がわからないまま対処してしまうと、最終的に全体が枯れてしまう可能性もあるのです。

そのためまずは育てる環境が適切なものになっているのかどうかを確認し、水やりの頻度や肥料を与える量やタイミングも合っているのかひとつひとつをチェックしていきます。それでも原因がわからない場合は胡蝶蘭の状態を確認することで、病気にかかっていないかどうかを確認することが可能です。

またどんなに正しい方法や環境で育てていたとしても、開花時期を終えた花はどうしてもしおれてしまいます。これに関しては植物である以上致し方ない現象なので、開花期間を終えてしおれてしまった花は素直に剪定しましょう。

ある程度しおれていても楽しむことはできますが、そのまま放置してしまうとまだ咲いていない花に十分な栄養を与えることができなくなる可能性があるのです。そうなってしまうと他の咲いていない花や蕾がしおれてしまうリスクが出てくるので、開花期間が終わっているものは早めに剪定して他の花がしおれないように対策をすることも重要になります。

 

まとめ

胡蝶蘭の花は乾燥や寒さに弱く、適切な環境と正しい方法で育てていかないと、気づかないうちにしおれてしまうことが少なくありません。そのためこれから胡蝶蘭を育てていく人やいただいた胡蝶蘭を長く楽しみたいと思っている人は、どのような環境で育てていけばいいのか、水やりや肥料に関する知識を身につけていただくことが大切です。

デリケートな植物ではあるものの、きちんと適切な環境を守って正しい方法で育てていけば剪定を繰り返していくことで長く楽しむことができますし、しおれた花も押し花にするなど新しい楽しみ方ができるところが胡蝶蘭の魅力となっています。

それでも花がしおれてしまったり、病気になっているかもしれないけれども判断ができないという場合は、胡蝶蘭を購入したフラワーショップや胡蝶蘭に詳しい方が近くにいれば相談してみるのもありです。