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お供えに胡蝶蘭を贈ってもいい?注意すべきマナーやタブーを解説

お祝いのシーンで贈られるイメージが強い胡蝶蘭ですが、その特性や見た目の美しさからお供えの花としても適しています。

しかし、お悔やみの中で贈る花は、贈り方やマナーなどが気になりますよね。

そこでこの記事では、お供えのシーンに胡蝶蘭がおすすめの理由や選び方、贈るときのマナーやタブーなどを解説します。お供えに胡蝶蘭を贈りたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。

お供えに胡蝶蘭が良いとされる理由

胡蝶蘭といえば、ビジネス・プライベート問わずお祝いのシーンで贈られるイメージが強い花ですが、実はお供えの花としてもおすすめなのです。それは、胡蝶蘭の花のタフさや美しさ、そしてお世話のしやすさが関係しています。

まずは、お供えに胡蝶蘭が良いとされている理由から解説します。

花もちが良い

お供えの花は、葬儀や自宅、仏壇などさまざまな場所に飾られ、飾る期間もバラバラです。故人を偲び、遺族の方の心を癒すための花ですから、少しでも長持ちしてほしいと思う方も多いのではないでしょうか。

胡蝶蘭は適切な環境下のもとであれば1ヶ月以上花を咲かせ続けることもあります。夏の暑さにも強いので、お盆の間もしっかりと咲いてくれるでしょう。

また、法事や法要の当日は準備で忙しく過ごされていることも多いので、花もちを気にせず前日までに贈れる胡蝶蘭は、ご遺族の負担も軽減してくれます。

華やかでありながら落ち着いた見た目

お供えに贈る花は、華やかさがありながらも上品で落ち着いたイメージのあるものが好まれます。胡蝶蘭は左右対称の小さな花が、花茎に連なるようにきれいに咲き、豪華な中にも厳かな雰囲気を持ち合わせていることから、お供えの花として最適なのです。その場の雰囲気を優しく包み込んでくれるような花なので、大切な人を失った悲しみをそっと癒してくれることでしょう。

また、四十九日が終わるまでにお供えする花は「白上がり」といって、白い花を贈るのが一般的なので、白い胡蝶蘭はお供えにふさわしいといえます。

香りや花粉が少ない

法事や法要の際には、ご遺族だけでなく多くの参列者も訪れます。香りは人によって好みが違うので、花の匂いが強いと場合によっては不快感を与えてしまうこともあるかもしれません。

また、花粉が飛びやすい花だと、アレルギーの原因になったり飾る場所を汚してしまって、掃除の手間をかけさせてしまったりと、迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。

胡蝶蘭は香りや花粉が少ない花なので、飾り場所を選ばず多くの方に楽しんでもらえます。香りや花粉は花の魅力の1つともいえますが、お供えのシーンでは控えめにするのがマナーです。

管理しやすい

ご遺族の方が悲しみに包まれている中、贈った花の手入れに手間がかかると迷惑がかかってしまいます。お供えに贈る花は、相手の負担にならないように管理しやすいものが理想的です。

胡蝶蘭は、日当たりが良い場所に飾っておけば、あとは週に1~2回程度水をやるだけで構いません。花びらが落ちにくいので掃除の手間も省けるでしょう。管理しやすい胡蝶蘭は、ご遺族の方に負担をかけにくいのです。

前向きな花言葉がある

胡蝶蘭の花の姿は蝶が飛んでいるように見えることから「幸福が飛んでくる」という花言葉となっています。そのため、どちらかというとお祝いのシーンに贈るイメージがあり、お供えの場にはふさわしくないように思えるかもしれません。

しかし、「ご冥福をお祈りいたします」の「冥福」は、「死者の世界(冥土)での幸せ」を意味しているので、死者の世界で幸福が飛んできますように、という意味合いでは、この花言葉も適しているといえるでしょう。

ほかにも、胡蝶蘭には「純愛」や「愛している」といった花言葉もあるので、大切な人を失ったご遺族の気持ちを代弁してくれます。

お供えに胡蝶蘭の鉢植えを贈っても良い?

お祝いのシーンで贈られる胡蝶蘭は、鉢植えが一般的です。しかし、仏教には「鉢植えの土=不浄」という教えもあるので、人によってはタブーにあたります。

また、土を家の中に持ち込むことに抵抗がある人も少なくありません。

個人が胡蝶蘭を好んでいた場合や、ご遺族の方が気にしない場合は鉢植えで贈っても構いませんが、参列された方の中には気にされる方もいるかもしれないので、鉢植えではなくアレンジメントやスタンド花で贈るのが無難です。

故人が胡蝶蘭の鉢植えを好んでいたなど、どうしても鉢植えで胡蝶蘭を贈りたい場合は、念のためにご遺族の方に確認をとっておきましょう。

お供えに贈る胡蝶蘭の選び方

お供えに贈る胡蝶蘭は、花のスタイルや大きさ、色などで選びましょう。

お供えと一言で行っても、故人との関係性や、枕花、仏花、初盆など、どのような法要なのかによっても変わります。

また、適切な相場の花を贈り、ご遺族の方に気を遣わせすぎないことも大切な心配りです。

スタイルで選ぶ

贈答用の胡蝶蘭は、鉢植え、スタンド花、アレンジメントの3つが主なスタイルです。上記で解説したように、鉢植えはどうしても贈りたいときにご遺族の方に確認をとった上で贈りましょう。

「供花」は、通夜や葬儀において祭壇に飾られるもので、故人と親しい間柄だった人や、都合により参列できない人が贈ります。広い会場でも遠くからよく見えるように、スタンド花や大きめのアレンジメントを贈りましょう。

特に仏教の場合は、鉢植えで贈るのは避けた方が無難です。

大きさ・本数で選ぶ

胡蝶蘭は花の大きさが大輪・中輪・ミディサイズとさまざまで、花茎の本数によってもボリューム感が変わります。どんなお供えの花なのかを明確にし、その場に合うサイズ感の胡蝶蘭を贈るようにしましょう。

例えば、通夜や葬儀では飾られる会場が広いことが予想されるので大輪で本数が多く、存在感のある胡蝶蘭が好まれます。故人の枕元に飾る「枕花」は大きすぎるものは避け、ミディサイズの胡蝶蘭を贈りましょう。

葬儀が終わって四十九日までの間にお供えする花は「後飾り」と呼ばれ、自宅に飾りやすいように中輪からミディサイズのコンパクトな胡蝶蘭が一般的です。四十九日が終わり、命日や一周忌には、特に大きさにこだわらなくても構いません。故人を偲び、ご遺族の悲しみを癒せるような胡蝶蘭を贈りましょう。

色で選ぶ

胡蝶蘭の花の色は、大きく分けて白・ピンク・白赤・黄色・青・紫があります。お祝いのシーンで贈られる胡蝶蘭は白が多いですが、お供えでも基本的には白い胡蝶蘭を選ぶようにしましょう。特に通夜や葬儀、四十九日には白い花を贈るのが一般的です。

ラッピングもネイビーやグリーンなど落ち着いた色味のものがおすすめです。胡蝶蘭をメインとしたアレンジメントを贈るときには、白を基調としたもので他の花の色が派手すぎないかを確認しておきましょう。

四十九日が終わったあとの命日や一周忌以降は、白にこだわる必要はありません。優しい雰囲気のピンクや淡いイエローなどもおすすめです。ただし、あくまでお供えの花なので、派手すぎるラッピングやリボンは避けた方が良いでしょう。

価格で選ぶ

お供えで贈る花は、遺族の方に気を遣わせない程度の適切な相場で贈るのも大切です。胡蝶蘭は花の大きさや本数で価格帯がさまざまなので、故人との関係性や目的によってふさわしい価格のものを選びましょう。

故人が知人や友人の場合は5,000〜10,000円、家族や親族には10,000円前後、取引先など会社関係なら10,000〜20,000円が相場になっています。

また、初盆や一周忌、三回忌の法要には10,000〜20,000円の花を贈るようにしましょう。

お供えに胡蝶蘭を贈るときのポイント・マナー

お供えに贈る花は、故人を偲び、ご遺族の方の悲しみを癒すための花です。相手を思いやる心遣いやマナーを抑えた配慮を心がけましょう。

贈るタイミングも相手に負担のないようにし、立札やラッピングなど細かい気遣いも大切です。

宗派やご遺族の意思を確認する

鉢植えの中の土は不浄であるという教えがある仏教では鉢植えの胡蝶蘭を避けることがマナーとされていますが、宗派や住んでいる地域によっては、他にもお供えやお悔やみのしきたりが異なることもあります。お供えの花が決まっている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

また、葬儀会場によっては提携している花屋以外からの花の持ち込みができないところや、持ち込み料がかかるところがあります。式場のスタッフの方やご遺族の方の迷惑とならないよう、確認しておくと安心です。

贈るタイミングに注意する

お供えの胡蝶蘭は、ご遺族の方の気持ちを尊重してベストなタイミングで贈りましょう。あまりに早く贈りすぎると、亡くなることを想定していたという印象になり、失礼にあたります。

通夜にお供えする胡蝶蘭を贈る場合は、通夜当日の午前中までに届けば良いでしょう。直接足を運ぶなら、そのまま持参しても構いません。葬儀に供える胡蝶蘭は、会場設営や準備のことを考えて葬儀前日あたりに届けられるとベストです。四十九日や一周忌などの法要にお供えする胡蝶蘭は、前日までにご自宅や会場に届くようにします。

通夜や葬儀に間に合わせなければという気持ちもあるかもしれませんが、急な訃報の場合は間に合わなくても失礼にはあたりません。告別式が終わってから少し落ち着いたタイミングで贈りましょう。

立札やラッピングにも気を配る

お供えの胡蝶蘭が誰から贈られたものが分かるように、名前を記した立札を添えましょう。立札は、花を購入したお店に依頼すると手配してもらえることがあります。

四十九日前までは「御供」や「御霊前」、四十九日以降は「御供」や「御仏前」と記し、その下に贈り主の名前を記載します。基本的に故人やご遺族のお名前は書きません。親族や会社など団体で贈る際には、「〇〇一同」と記してください。

親しい方へのお供えの胡蝶蘭にメッセージカードを添えて、故人を偲ぶ気持ちやご遺族へのお悔やみの言葉を伝えても良いでしょう。

メッセージカードには、故人との思い出やご遺族の方へのいたわりの思いをつづります。「死」や「苦」など、ネガティブなフレーズは入れないように注意してください。

お供えに胡蝶蘭を贈るときに避けるべきタブー

お供えの胡蝶蘭を贈るときの心配りを解説しましたが、ここからはお供えの花として絶対に避けるべきタブーを解説します。

ご遺族に嫌な思いをさせてしまう可能性があるので、最低限のマナーを覚えておきましょう。

偶数の本数で贈らない

お供えで贈る胡蝶蘭は、3本や5本など奇数本で贈りましょう。古くから伝わる「陰陽五行(いんようごぎょう)」の思想において、奇数は縁起の良い「陽」の数字、偶数は縁起の悪い「陰」の数字だという考え方があるためです。

大輪の胡蝶蘭は、3本や5本で仕立てられていることが多いのですが、ミディサイズだと10本や12本立てもあるので、本数をよく確認しておきましょう。

赤や紅白の胡蝶蘭はNG

白い花びらの胡蝶蘭の中でも、中心が赤やピンク色になっているものは「赤リップ」と呼ばれ、紅白の配色になっていることからお祝い事のシーンで多く選ばれています。華やかで可愛らしい印象なのですが、紅白でおめでたい印象を与えてしまうため弔事で贈るのはマナー違反です。

故人が特に好んでいた配色の胡蝶蘭である場合は、ご遺族に了承を得たうえで贈っても構いませんが、原則として白い胡蝶蘭を贈るようにしましょう。四十九日以降はピンクやイエローの胡蝶蘭を贈っても大丈夫ですが、紅白の胡蝶蘭はできるだけ避けるのが無難です。

アレンジメントに含まれる他の花にタブーがないか

鉢植えやスタンド花ではなくアレンジメントで胡蝶蘭を贈る場合、他の品種の花も一緒に組み合わされていることがあります。胡蝶蘭だけでなく、他の花にもお供えシーンでのタブーがないかを確認しておきましょう。

例えば、バラのようにトゲのある花や、彼岸花のように毒がある花は適していません。また、香りや花粉が多い花もお供えには不向きです。故人と特に親しい間柄である場合は、生前好んでいた花を加える場合もありますが、ご遺族の意思や考え方を優先しましょう。

胡蝶蘭をお供えに贈る前に!法要と法事の違いとは

通夜や葬儀を終えると、定期的に法要や法事を執り行いますが、法要と法事の違いがはっきりと分からない方も多いのではないでしょうか。

まず、法要とはお坊さんによる読経と親族や知人によるお焼香を通して故人の冥福を祈り、供養するものです。そして、法事は法要とそのあとの会食を含めた一連の行事を指します。このときの会食は「お斎(おとき)」とも呼ばれ、故人を供養し、お坊さんや参列者の方に感謝の気持ちを込めたものです。

お供えに贈ることができる胡蝶蘭以外の花

今回は、お供えにおすすめの花として胡蝶蘭にスポットを当てて解説してきましたが、お供えのシーンでは胡蝶蘭以外にも適している花がいくつかあります。

胡蝶蘭が手配できないときには、以下の花を選択肢に入れてみてください。

キク

キクは日本において仏花として浸透している花の1つです。日本の国花でもあり、格式高い印象があるだけでなく、2〜3週間と花もちも良いので、お供えの花として適しています。

花粉や香りも控えめなので飾る場所を選ばず、白や淡いグリーンなど落ち着いた色味も魅力です。

また、キクには「高貴」「高尚」「清らかな愛」など、故人を偲び、ご遺族を思いやれるような花言葉もあります。

ユリ

ユリも、キクと並んでお供えのシーンに多く用いられている花です。1輪でも存在感があり、厳かな雰囲気を演出してくれるため、葬儀や法要のシーンに適しています。

ユリには「純粋」「無垢」「威厳」など、故人を尊重するような花言葉があるので、この意味合いに故人への思いを乗せても良いでしょう。ただしユリは花粉が多い花なので、贈る前に花粉をある程度落としておくと飾る場所を汚さず安心です。

カーネーション

カーネーションといえば母の日に贈る花のイメージが強いです。母の日の起源となったアメリカでは、当時、白いカーネーションを亡き母の墓前へ供えていたという風習がありました。亡くなった人が母親や祖母、家族でなくても子どもがいる人へは、白いカーネーションを贈っても良いでしょう。

白いカーネーションには、「私の愛情は生きている」「尊敬」といった素敵な花言葉もあります。

お供えに故人を偲ぶ思いを伝えられる胡蝶蘭を贈ろう

胡蝶蘭は、華やかさがありながらも落ち着いた見た目で、花もちも良く管理しやすいのでお供えにふさわしい花です。胡蝶蘭をお供えとして贈り、故人を偲んで遺族の方の悲しみにそっと寄り添いましょう。

ただし、お悔やみのシーンだからこそ、相手を思いやるマナーは大切です。今回解説した贈り方のポイントをおさえて、気持ちを正しく伝えられるようにしてくださいね。