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ラ・メールコラム > 胡蝶蘭 > コツを押さえれば難しくない!美しく咲く胡蝶蘭の増やし方


美しい花を咲かせる胡蝶蘭は贈答用の高給花として人気です。出産や入学、お店のオープンなど大切な記念日にいただくことの多い胡蝶蘭は花そのものを長く楽しめるだけでなく増やすこともできます。

植物は美しい花や枝ぶりはもちろん育てたり増やしたりするのも楽しみのひとつです。胡蝶蘭は育てるのが難しい花ですが、正しい知識と技術があれば数を増やすことは可能です。

 

増やすには株分けという方法が用いられ多少のコツは必要ですがポイントさえ抑えれば難しいものではありません。美しい胡蝶蘭の数を増やせばさらに楽しみは広がります。また

いただきものなら贈った人にも喜んでもらえます。今回は、胡蝶蘭の増やし方のポイントと注意点を紹介します。

胡蝶蘭を増やそう

胡蝶蘭は、贈り物でもらうことが多いですが、大切に育てれば自宅でも増やすことが可能です。胡蝶蘭の増やし方は、他の植物とは少々異なりますが、正しい知識と手順を守れば難しいことはありません。大切な胡蝶蘭を増やすためにまず、正しい知識と技術を知るところから始めましょう。

株分けで増える胡蝶蘭

胡蝶蘭は一般的な植物のように種を撒いたり挿し木をしたりといった増やし方はしません。胡蝶蘭の増やし方は「株分け」という方法で増やします。

株分けとは、新芽が出た植物の一部を本体から切り離して大きく育てる方法です。胡蝶欄の場合は、子株と呼ばれる新芽を含む部分を根っこごと切り分け、新たな株として育てる方法と、胡蝶蘭の花が咲く茎部に根と葉が出てきた「高芽」と呼ばれる部分を株分けする方法の2つがあります。

一般的に用いられるのは子株を分ける方法ですが、高芽の株分け方法の実践も多く、作業の難易度的にはほとんど同じです。

初心者には、子株や株分けをする方法が条件が整いやすいのでおすすめです。

なぜ胡蝶蘭に子株ができるのか?

なぜ胡蝶蘭には子株ができるのでしょうか?子株はできる理由は、まだ明確になっていないのですが、胡蝶蘭が弱っているとき、あるいは成長が鈍っているときほど新芽ができやすいことから、親株が死んでしまうまえに、次の代へと種をつなごうとする本能によって子株ができるといわれています。

「子株を自由に増やせるのなら、いくらでも胡蝶蘭を増やせるのでは?」と思う方もいると思いますが、子株ができやすい環境とは胡蝶蘭にとって命の危機がある過酷な環境です。

そのような環境は、親となる胡蝶蘭の生命力も低下してしまい、新芽を増やすどころか枯れてしまう恐れもあります。

胡蝶蘭を株分けする

ここでは胡蝶蘭の株分けの流れを説明していきます。

 

①胡蝶蘭をチェックする

胡蝶蘭の株分けの大前提として、胡蝶蘭が株分け可能かどうかを確かめる必要があります。株分け可能かどうかは、胡蝶蘭の状態にもよるので増やしたからといって必ずしも株分けできるものではありません。

株分け可能かどうかを見極めるポイントは、子株の場合は葉の枚数、高芽の場合は根の長さです。子株は葉が2~3枚になったとき、高芽は根の長さが5センチを超えたものが株分けの対象です。

株分けは、早過ぎても遅過ぎてもいけません。

早過ぎると分けた株が枯れやすく、遅過ぎると親の胡蝶蘭が弱ってしまいます。

しかし、親株が枯れてしまいそうな場合は、すぐに植え替えをするようにしてください。

また、そろそろ株分けできそうだなと思った場合は、こまめに胡蝶蘭の様子を確認し、タイミングが来たら時期を逃さず作業するのが成功のコツです。

 

②株を切り分ける準備をする

株分けできる条件が整ったら、親株から株を切り分けます。株分けは鋭い刃物できれいに切断するほど、痛みが少なく成功の確率が上がります。園芸用のハサミを使うのが一般的ですが包丁やナイフを使う人もいます。しっかり手入れして十分に切れる刃物を用意してください。

 

③子株の切り分け

子株の切り分けは、鉢から親株となる胡蝶蘭を抜き出して水苔を除去します。切断面に水苔が付着すると痛みの原因になるのでピンセットを使って、きれいに取り除きましょう。黒ずんでいたんだねがあったら水苔と一緒に取り除いてください。

水苔をとったら、子株を刃物で切り離します。切断面がきれいなほど状態がいいのでできるだけ一息で切断してください。切り離すことができたら根を水苔で包んでそれぞれ鉢に移して切り分け完了です。

 

④高芽の切り分け

高芽は親株から3~5センチ程度残して切り離します。根を傷つけると傷んでしまうので注意してください。

切り分けた高芽は、素早く根を水苔に包んで鉢に移します。安定するよう鉢をしっかり水苔で埋めてください。高芽を切り離した親株には特別な処置は必要ありません。

 

株分けの注意点

株分けは手順を守って作業すれば難しいことはありません。

ただし、胡蝶蘭は非常に弱い植物なので手順通りに作業してもちょっとしたミスで失敗してしまう可能性があります。大切な胡蝶蘭の株分けを成功させるためにも気をつけて作業する必要があります。ここでは胡蝶蘭の株分けをするときの注意点を紹介します。

温度管理に注意

胡蝶蘭はもともと熱帯の植物ですが気温が高すぎると枯れてしまいます。暑さと同じく寒さにも弱いので室温は20度前後がベストです。

株分け直後はさらに繊細なので一般的に胡蝶蘭に良いとされる室温でも衰弱原因になる可能性があります。特に日の光が当たる場所は温度が変化しやすいので僅かでも異常が見られたらすみやかに温度を見なおしてください。日中と夜との温度差にも注意が必要です。

株分けは1回につき一株まで

株分けは1回の作業で一株までにしてください。

大きな胡蝶蘭だと二株以上取れるサイズになることもありますが、過剰な株分けは親株となる胡蝶蘭の体力を削ります。上級者の中には一度に複数の株分けに成功する人もいますが通常は1回につき一株だけを切り分けるようにしてください。

植え替えはしない

切り分けた株を新しい鉢に植えたら少なくとも1カ月はそのままにして植え替えはしないでください。植え替えは植物にとって大きな負担となります。ただでさえ株分けで体力が落ちているところに植え替えしてしまうと環境変化によるストレスで枯れる恐れがあります。植え替えをするなら最低でも1~2カ月は様子を見て、十分葉が増え体力がついてからにしてください。

 

株分けした胡蝶蘭から株分けできる?

株分けされた親株の胡蝶蘭から再び株分けすることは可能です。

株分け後に再び成長して大きく育ってからなら再び株分けで増やすことができます。株分けした子株や高芽の胡蝶蘭についても十分に成長して条件が整えば株分けで増やせます。正しい知識と正確な技術、十分な生育環境を整える必要がありますが腕さえあればたったひとつの親株から数十もの胡蝶蘭を増やすことも可能です。

親株の手入れも忘れずに

株分けするとついつい子株のことばかりに頭がいきがちですが元となる親株のことも忘れてはいけません。株分けされた側の親株は体の一部を切り取られ弱っている状態です。

雑菌による病気のリスクが高まっているので清潔な水を与えて安定した環境におき、落ち着くまでしっかり管理してください。きちんと管理すれば再び美しい花を咲かせて楽しませてくれます。

株分けした後の胡蝶蘭の管理方法

株分け後の胡蝶蘭はとてもストレスがかかり、切断後の管理が重要です。

刃物で切断するというのは、手術をするのと同じです。術後のケアが悪いと感染症のリスクがあるように、胡蝶蘭の株分けでも切断面は非常に弱く病気や生命力低下のリスクが高くなります。子株に余計なストレスをかけないように丁寧に管理するようにしてください。

ここでは株分け後の胡蝶蘭の管理方法を紹介します。

根の定着が最優先

株分け後は、根の定着が最優先課題です。しっかりと根が定着すれば栄養や水分を吸い上げて胡蝶蘭の体力もつきますが、根が弱っていると必要な栄養や水分を十分に吸い上げられず弱った体力が回復しません。

根がしっかり定着するまでには、約2週間程度かかります。定着をするまで、2週間は水やりをしないようにしてください。

場所は、日当たりが良く、風通しの良いところに置いてください。直射日光は避けるようにしましょう。

2週間は、こまめに様子を確認して、2週間を過ぎて根が定着したら通常の胡蝶蘭と同じように扱うことができます。

環境を整える

植物の成長に必要なのは光、水、空気の3つです。株分け後は3つの条件が整う場所において世話をしてください。

日光は成長に重要な要素ですが、直射日光が当たり続けると温度が上がりすぎてしまうので注意が必要です。温度が上がりすぎないよう適度に風が抜ける場所を選びましょう。

水については切り分け時に包んだ水苔に含まれる水分で十分まかなえます。

新しく水やりをすると、そこから雑菌が切り口に触れてしまい、病気の原因になります。2週間程度なら水苔の水分で十分持つので水やりは不要です。

肥料や薬は与える必要はない

株分け直後の胡蝶蘭に肥料や薬を与える必要はありません。

肥料は十分に成長した胡蝶蘭に対して与えるものであって、株分け直後の弱い状態で与えても意味がありません。

薬についてもきちんと衛生的に管理している状態であれば不要です。

肥料や薬のやりすぎはかえって胡蝶蘭を弱らせてしまう恐れがあり、おすすめできません。専門知識があるなら別ですが初心者が不十分な知識で与えると害になる可能性が高いので与えないのが正解です。

胡蝶蘭を管理する際の注意点

株分け後に根が定着したらとりあえず一安心ですが、まだまだ油断はできません。一番弱い時期を過ぎたとはいえ株分け後の胡蝶蘭はとても脆弱です。ちょっとした変化のせいで一晩で枯れてしまうこともあります。大きく育つまで健康状態を確認し以上が発見されたときはすみやかに対処してください。ここでは胡蝶蘭を管理するときの注意点をお話していきます。

健康状態は葉でチェック

胡蝶蘭の健康状態は葉の様子でチェックできます。葉の色が変わったり、萎れていたりするのは弱っているサインです。早期発見なら対処もできますが見逃すと回復不能なまでに体力が低下してしまいます。見落としがないよう毎日きちんと観察し健康状態を把握してください。元気で正常な状態の胡蝶蘭は葉の色が深緑色をしています。

葉そのものも上に向かって力強く伸びしっかりとしたハリとツヤがあります。

 

根元から葉がたるみ、全体的に葉が広がって、横に伸びていたり、まちまちの方向に向いていたりするのは日光が不足しているサインです。

その場合は、もっと日が当たる場所に移動させてください。

白または黒の変色には注意

葉の変色は色によって原因が異なります。葉が白または黒に変色しているのは、直射日光が強すぎることで起きる「葉やけ」の状態です。

カーテンの陰などもう少し日の当たらない場所に移動しましょう。一度葉やけしてしまうと変色した葉の色は戻りませんが、環境を変えれば胡蝶蘭の健康は取り戻せます。

白斑点は害虫に注意

歯の表面が斑点状に白くなっているのは害虫による被害が原因です。

胡蝶蘭は害虫にとても弱く放置するとあっという間に枯れてしまうので白斑点を見つけたらすぐに対処してください。

害虫対策には、市販の害虫駆除剤を使います。害虫の種類にもよりますが基本的に幼虫の方が駆除しやすく、成虫になると駆除剤を使っても駆除しきれないことがあるので早めの対処が重要です。

駆除剤と合わせて目視確認による駆除も効果的です。

ピンセットや爪楊枝で害虫をひとつずつ丁寧に取り除いてください。力を入れすぎると表面を傷つけてしまうので、先端の丸いピンセットや柔らかめの歯ブラシなど胡蝶蘭にやさしい道具を使いましょう。

黄色や赤の変色は病気によるもの

黄色や赤の変色は病気によるものです。株分け後の胡蝶蘭は病気に弱いので変色は珍しいことではありません。

黄色や赤の変色を目にすると驚いてしまいますが、きちんと対処すれば健康を取り戻せるので安心してください。

病気の対処には消毒剤が効果的です。園芸店やホームセンターで売られている植物用の消毒剤を使って消毒してください。

胡蝶蘭専用の消毒剤があればそちらが、おすすめです。ハサミや人の手など胡蝶蘭に触れるものをあらかじめ消毒しておくと、病気予防になるので対策として事前消毒を徹底すると安心です。

葉を増やすには

胡蝶蘭は葉の数が多いほど体力があり健康的です。葉を増やすには土台となる根の成長が重要です。根をしっかり張らせるには水やりを控えるのが効果的です。

与えられる水分が少なくなると胡蝶蘭は限られた水分をできるだけ吸い上げようと根をしっかり張ろうと成長を促します。

根が十分に成長するとたくさんの葉をつけても維持できるだけの体力がつくので、それから水分を与えると葉がどんどん出てきます。

 

胡蝶蘭を増やして楽しもう

胡蝶蘭は株分けすることでどんどん増やせます。簡単ではありませんが手順を守れば作業そのものは難しくありません。成功すれば胡蝶蘭に囲まれた生活も実現します。

大切な胡蝶蘭を長く楽しむのにも限度がありますが、株分けで増やせば長い期間胡蝶蘭の美しさを楽しめます。

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