胡蝶蘭

ラ・メールコラム > 胡蝶蘭 > 初心者でも簡単!幸せを運ぶ花、胡蝶蘭の育て方

お祝いのシーンで贈られることの多い胡蝶蘭の鉢植え。贈り物で貰った経験があるという人もいるかもしれません。

しかし「お祝いで胡蝶蘭の鉢植えを貰ったけれど、育て方がわからないままお花が終わってしまった」という人や「咲き終わった鉢植えが残っているけれど、もう一度お花を咲かせることはできるのだろうか」と疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

実は、胡蝶蘭はとてもお手入れが簡単な鉢植えです。基本的には水やりだけで育ち、上手に育てれば2〜3ヵ月という長い期間、美しいお花を楽しむことができますよ。

今回は、初心者でも育てやすい胡蝶蘭のお手入れ方法と、開花後の取り扱いについてわかりやすく解説します。

上手に育てるために胡蝶蘭について知ろう

胡蝶蘭はラン科の植物で、もともとは熱帯、あるいは亜熱帯地域に生息する植物です。

野生の胡蝶蘭は東南アジアや熱帯地域のジャングルを中心に自生していて、土ではなく岩や木に根っこを張って生息しています。

そのため、販売されている胡蝶蘭のほとんどは、土の代わりにバークや水苔を使用して、なるべく自生している環境に近い状態で仕立てられています。

日本で胡蝶蘭を上手に育てるためには、生育環境や温度を本来の環境に近づけてあげることがとても大切です。

高温多湿だが風通しの良い場所を好む

胡蝶蘭の鉢植えを置く場所を選ぶ際には、人が心地良いと感じるような風通しの良い場所を選ぶことが大切です。

強すぎる直射日光を避けた、カーテン越しのやわらかい日差しが当たる場所が良いでしょう。

胡蝶蘭が多く自生している東南アジアや熱帯地域のジャングルは、高温多湿な気候です。

平均湿度は60〜80%程度。日本の梅雨の平均湿度が78%程度なので、常にジメジメとした環境に生息していることがわかります。

日本では夏場は湿度が高いので問題ありませんが、冬場は乾燥しない程度に、加湿器や霧吹きで湿度を補ってあげましょう。

しかしその反面、水分を蓄える機能を備えた根を持つ胡蝶蘭は「蒸れ」に弱く、根腐れを起こしやすいので、適度な湿度を保ちつつも通気性の良さが欠かせません。

胡蝶蘭の管理は室内が基本

胡蝶蘭を管理するのに適した気温は、15度〜25度程度で、22度前後が最も理想的な気温とされています。

日本では5〜9月頃であれば気温15度〜25度の環境を維持することができるため、この時期に限って屋外で育てることもできるでしょう。しかし、生育環境が変わることは胡蝶蘭にストレスをかけることになりかねないので、基本的に室内での管理がおすすめです。

夏場はエアコンで室温を調整し、冬場は15度を下回ることがないように暖かい室内で育てるのが理想的です。

開花中の育て方

胡蝶蘭は、蕾が開いた後も上手に管理すると2〜3ヵ月という長い間美しいお花を楽しむことができます。

開花中の管理の基本は、温度管理と水やりです。

もともと栄養の少ない環境で育つため、肥料は必要ありません。肥料を与えすぎてしまうと根ばかりが成長し株が弱くなってしまうこともあります。

花付きを良くしたい場合や成長を促したい場合に限り液体肥料を与え、通常は与えずに管理しましょう。

また、室内で管理していても、冬場の窓際などはかなり温度が下がります。段ボールや発泡スチロールなどで覆い、防寒対策をしてあげると安心です。

ラッピングは貰ったらすぐに外しておこう

ギフトでいただく胡蝶蘭は美しくラッピングされています。

綺麗なのでそのまま飾りたくなりますが、そのままにしておくとラッピングの中でお花が蒸れてしまいます。貰って数日くらいならそのままでも問題ないので、綺麗な状態で楽しみ、初めて水やりをするタイミングで外すと良いでしょう。

綺麗なラッピングを外すのはもったいないと感じる人は、鉢より上の部分のペーパー類やビニールを外せば、鉢に巻かれているリボンはそのままでも大丈夫です。ラッピングの上からリボンがかかっているようであれば、一度外して付け直してあげても良いでしょう。

胡蝶蘭を飾る場所を決めよう

胡蝶蘭を含めた植物は環境の変化に弱い生き物です。一度置き場所を決めたら、その環境に慣れるまでに時間がかかります。なるべく動かさず定位置を決めてあげた方が環境に適用しやすいです。

直射日光が当たらず、風通しの良い、明るい日陰を選びましょう。カーテン越しにやわらかい日差しの当たるような場所が好ましいです。冬越しも考えると、エアコンで調節できる環境が最適と言えます。

胡蝶蘭の水やりのコツを覚えよう

胡蝶蘭の水やりは「控えめにする」のが基本です。

日本には四季があり、夏と冬では気温も湿度も違います。人間が四季に合わせて着るものを調整するのと同じように、水やりの頻度も季節に合わせて調整してあげましょう。

胡蝶蘭が植え込まれているバークや水苔を触って、乾燥しているようであればそこから2〜3日開けてから水やりをするくらいがタイミングの目安です。

  • 春・秋:1週間~10日に1回
  • 梅雨:1週間~10日に1回程度、自然の雨に当ててあげる(ミネラルが豊富なため)
  • 夏:室内であれば、3~4日に1回
  • 冬:3週間~1ヵ月に1回(気温が下がるので夜の水やりは避ける)

水やりは胡蝶蘭を育てる上で最も大切な作業です。注意点を更に詳しく見ていきましょう。

水やりの際は鉢底からこぼれるくらいたっぷりと

水やりにはメリハリが大切です。毎日少しずつ水をあげても、バークや水苔の表面が湿るばかりで、根から水を給水することはできません。

水やりを行う際は、鉢底から水がこぼれ出るくらいにたっぷりと行います。

バークや水苔が湿ったままの状態だと根腐れを起こしてしまうので、水やり後は風通しの良い場所で水を切ります。

また、受け皿に水が溜まったままの状態はカビや雑菌が増殖する原因です。受け皿に溜まった水は、必ず捨てましょう。

乾燥している時には霧吹きで湿度を保つ

胡蝶蘭が自生する環境に近づけるため、湿度にも気を配ります。

エアコンを使用している冬場や、夏場でも空気が乾燥していると感じるようであれば、霧吹きで湿度を保ってあげるのと良いでしょう。

霧吹きをすることで葉に虫が付くのを防ぎ、葉の色つやを美しく保つ効果も期待できます。

葉がほこりをかぶってしまっている場合も同様に、霧吹きで葉を湿らせた後にやわらかい布で表面を優しく拭き取ってあげましょう。

花が終わってからの育て方

胡蝶蘭は切り取ったところからもう一度花芽を出す性質を持っています。

もう一度お花を楽しみたい場合は、花茎の根元から2〜3節残して茎をカットし、一株ごとに分けて、株を育てます。

家庭で2度咲きさせるのは難しいとされていますが、上手に管理できれば2〜3ヵ月で新しいお花を咲かせることができるはずです。

お花が終わった後の詳しい育て方について、更に詳しく見ていきましょう。

剪定の時期

新しく出てくる芽を「脇芽」と言います。この脇芽が発芽するためには18度〜24度の温度が必要です。

そのため、剪定は4月〜9月の暖かい時期に行いましょう。

植物は冬に休眠に入り、生育を止めてしまいます。この時期に植え替えを行ってしまうと、お花が咲かないだけでなく、株自体も枯れてしまう原因になりかねません。

お花が終わった後の剪定方法

咲き終わったお花はその都度、花首から摘み取ります。古いお花をそのままにしておくと胡蝶蘭の株自体が痛むので、なるべく早く摘み取ってあげることが大切です。

お花が大きい大輪の胡蝶蘭であれば、花ばさみをつかって花首からカットしてあげましょう。

胡蝶蘭全体のお花の2/3程度が咲き終わったら剪定のタイミングです。

支柱の留め具を外し、支柱を抜き取ります。剪定方法はさまざまですが、なるべく早く2度目のお花を楽しみたい場合、茎の根元から2〜3節残しその上2cm程度のところでカットする方法がおすすめです。

なるべく強い株に育てたい場合は、根元からカットして時間をかけて株を休めてから、じっくりお花を育てるという方法もあります。

剪定後の管理

剪定後は、生育中の胡蝶蘭を管理するのと同じ環境で、温度管理水やりを行います。

うまく育てば2〜3ヵ月くらいで、2度目のお花を楽しむことができるはずです。

同じ水苔やバークを何年も使っていると雑菌が繁殖しカビが生えてしまったり、蒸れやすくなったりする原因になるので、2度目のお花を楽しんだ後は、2〜3年を目安に植え替えを行いましょう。

贈答用の胡蝶蘭は、いくつかの株を一緒に一つの鉢に仕立てていることが多いです。植え替えのタイミングで株ごとに分けて管理しても良いでしょう。

分けた胡蝶蘭は、水苔やバークを使用して鉢に植える以外にも、流木に着生させることもできるので、さまざまなアレンジ方法で胡蝶蘭を楽しんでみてください。

胡蝶蘭の植え替えはどうする?

胡蝶蘭は2〜3年を目安に植え替えを行うことで、株が長生きし、より長く美しい胡蝶蘭を楽しむことができます。

植え替えは、真夏をのぞいた4〜9月の暖かい時期に行うのが基本です。しかし、根腐れを起こした場合などは、この時期以外でも管理する環境を整えた上で植え替えを行いましょう。

胡蝶蘭の植え替えパターン3選

胡蝶蘭は、主に以下の3種類の素材を用いて植え替えが可能です。

  • 水苔
  • バーク
  • 流木やコルク

水苔はバークに比べやわらかいので、根を傷つけずに胡蝶蘭が長持ちします。

保水性が高いので、水やり頻度が低いのも水苔のメリットです。しかし、水分をため込む性質を持っているため、カビが発生しやすく水苔が腐りやすいので、良く注意して管理しましょう。保水力と排水性のバランスが良いので初心者におすすめの素材です。

 

木の皮を細かく砕いたバークは、水苔とは対照的に水はけに優れています。

バークは胡蝶蘭の本来の生育環境により近いとされているので、水苔に比べ花をたくさん咲かせやすいのが特徴です。

根が空気に触れる面積が広い分、本来の環境で育つ場合同様、水中の水分も取り込むことができます。根腐れしづらいですが、水や栄養素をこまめにあげる必要があり、水苔に比べ手間がかかる素材です。

 

流木やコルクに着生させたい場合は、ワイヤーを使用し、間に水苔などを挟みながら仕立てます。流木やコルク、木の板など、使用する素材によってさまざまなインテリアグリーンとして活用できますが、鉢に比べると水やりの管理が難しいです。

株も乾きやすいので、こまめにお世話をして健康な状態を保つ必要があります。

実際の植え替え手順

流木やコルクに着生させたい場合に限り、最終的な仕立て方法が異なりますが、基本的な植え替え前の処理は同じです。

 

  1. まずは胡蝶蘭を鉢から取り出し、古い水苔やバークなど植え込み資材を取り除きます。この時に複数株が一緒に植えられているようであれば、株ごとに分けても良いでしょう。

根が乾燥していると折れやすいので、水の中でほぐしながら行うとスムーズです。

 

  1. 傷んで細くなった根はハサミを使って切り離します。雑菌が付かないように消毒した道具を使用しましょう。あまり長い根は、植え替えの時に折れてしまうので、ある程度のところで切っておきます。

 

  1. 【鉢を使用する場合】

鉢を使用する場合は鉢底にネットを敷き、素材が底の穴からこぼれ出ないようにしておきます。水はけを良くするために、大きい鉢なら底に軽石を敷いておきましょう。

 

  1. 鉢の中央に胡蝶蘭の株を入れ、隙間を埋めるように割りばしなどの細い棒で押し込みながら、水苔やバークを詰めていきます。

水苔を使用する場合は、水に浸して戻し、水分を含んだ状態で植え替えを行いましょう。

この時、根の間を埋めるように敷き詰めるのがポイントです。

 

  1. 【流木やコルクに着生させる場合】

  流木やコルクに着生させる場合は、根を処理したら、株の根元が流木やコルクに触れる状態で、ワイヤーなどを使って固定します。あまりきついと根が折れてしまうので、少し余裕を持たせ、間に水苔やバークを詰めていきましょう。

 

  1. 根を流木やコルクにうまく着生させるためには、間に挟む素材を少なめに仕立てるのがポイントです。

最後にバランスを見ながら、麻ひもやテグスを使い、更に安定するように固定して完成です。基本的には霧吹きで、株が湿るまでしっかりと水を与えます。

空気が乾燥していると、根からの給水ができないので、霧吹きの回数を増やすなどこまめな管理が枯らさずに育てるコツです。

胡蝶蘭の元気がない…チェックしたいポイントは?

毎日胡蝶蘭の姿をチェックしていると、なんだか胡蝶蘭の様子がいつもとは違う、元気がないということに気が付くこともあるかもしれません。

早いタイミングで気が付くことができ、症状に合わせて適切なお手入れをすれば、再び元気な様子を取り戻してくれるはずです。

最後の項目では、胡蝶蘭の元気がない時にチェックしたいポイントを押さえておきましょう。

葉がしわしわになり、花にも元気がない

葉がしわしわになり、花にも元気がないという時は、まずは植え込み材がカビていないか確認しましょう。

カビが発生しているようであれば、水のあげすぎで根腐れを起こしているかもしれません。

カビが発生していなければ、水やり頻度を抑え風通しの良い場所に移すだけで改善するケースもあります。

カビが発生している場合は早急に植え替えを行います。腐っている根は取り除き、新しい植え込み材を用意して、植え替えるようにしましょう。

葉が黄色くなっている

下の方の葉が黄色くなった場合は、葉の寿命なので優しく取り除きましょう。

葉の全体が黄色くなっている場合は葉焼けが考えられます。葉焼けは直射日光が原因で起こります。一部であれば取り除くか、枚数が多い場合は自然と枯れ落ちるまで待ちます。葉焼けした葉は元に戻すことはできないため、カーテン越しのやわらかい日差しが当たる場所など、置き場所を見直してみましょう。

二度咲きの新芽が出てこない時は?

胡蝶蘭が新芽を出すためには光合成が欠かせません。二度咲きの新芽が出てこない時、まずは残した葉がしっかり光合成できているか確認してみましょう。

直射日光は避けますが、カーテン越しの日差しは必要です。また気温が20度以上あるかどうかも発芽に欠かせない条件になります。

合わせて、葉の裏などに虫がついていないか、株が病気にかかっていないかもチェックしてみましょう。

それらをクリアしているにもかかわらず新芽が出てこない場合は、胡蝶蘭の株がまだ育成不足であることが考えられます。3ヵ月以上待っても二度咲きしない場合は、胡蝶蘭を根元から切り、株と葉だけの状態にして、次の年の開花まで株を休ませてみましょう。

適切なお手入れを知って、胡蝶蘭を長く楽しもう

胡蝶蘭は、上手に管理すれば何年も、場合によっては何十年も同じ株からお花を咲かせ続けることのできるお花です。

水やりを控えめにし、置き場所に気を付ければ、初心者でも安心して育てられますよ。胡蝶蘭が生息している場所を知り、なるべく近い環境を作ってあげることが上手に育てるポイントです。

美しさを鑑賞するだけではなく、お花が終わった後も、再びお花を咲かせることができるところも魅力的な胡蝶蘭。

自分で育てた株から再びお花が開いた時の感動は素晴らしいものです。あなたもぜひこの記事を参考に、美しい胡蝶蘭のお花を長く楽しんでくださいね。