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秋色アジサイとは?秋色を楽しむコツや秋色になりやすい品種を一挙に紹介

アジサイは品種改良をされたものを含めると、約2000種類以上もあると言われています。日本から生まれたアジサイですが、「秋色アジサイ」という名前は、あまり聞いたことがないですよね。秋色アジサイは、少しくすんだようなシックなカラーが魅力です。

本記事では秋色アジサイの色の変化や楽しみ方について、たっぷりと解説しますので、最後までチェックしてくださいね。

秋色アジサイとは?

元々「秋色アジサイ」という品種はありません。秋色アジサイとは、夏〜秋にかけてアジサイの色が移り変わっていく姿をシンボライズしたものをさします。その秀抜なニュアンスカラーは、シックな秋の花との相性が良く、アレンジメントやブーケをより魅力的に演出してくれるでしょう。ここでは秋色アジサイの基本情報をご紹介します。

秋色アジサイの基本データ

 

学名 Hydrangea macrophylla(ハイドレンジア マクロフィラ)
英名 Hydrangea(ハイドレンジア)
和名 紫陽花(アジサイ)
科/属 アジサイ科/アジサイ属
原産地 日本
開花期 5~10月くらい

英名の「ハイドレンジア」は、日本のアジサイを改良して作った品種の名前になります。

花の時期は5〜7月で本来のアジサイと変わりませんが、一重咲きの他にも八重咲きがあり、色も鮮やかなのが印象的です。日本では「西洋アジサイ」と呼ばれることもあります。

アジサイの花の秘密

どんよりとした梅雨の時期に咲く美しいアジサイの花は、独特な風情があり、見ているだけで元気をもらえますよね。実はこのアジサイには、秘密があることをご存知でしょうか。

1つ目の秘密は、土壌の性質によって花の色が変化することです。

酸性に傾いている土の場合はブルーになり、アルカリ性~中性だと赤っぽくなります。

また日本には各地に「アジサイ寺」と呼ばれる寺院があり、それぞれの場所で素敵なアジサイを咲かせています。

例えば茨城県の「雨引観音(あまびきかんのん)」、鎌倉の「明月院」、京都の「三室戸寺(みむろとじ)」などが有名です。

お寺はその昔修行の場所であったため、山に建てられていることがほとんどでした。

山地では雨によるスロープの土砂崩れなどを防ぐために、アジサイが植えられていたという考え方があります。アジサイは根の張り方に特徴があり、横に伸びていく性質を持っているため、土砂崩れ防止にふさわしいのです。

どうして秋色になるの?

秋色アジサイとは、花の色がレトロな雰囲気に変化したものを指しています。例えば、美しいブルーや鮮やかなピンク色の花びらが、退色してくすんだような色味になるのです。通常アジサイは、萼片(ガクヘン)/花びら/めしべ/おしべで構成されています。

私たちが鑑賞しているのは「飾り花(装飾花)」と言われている部分で、本当の花はその中に隠れるように咲いているのです。この飾り花は、花が枯れても残り少しずつ色調を変えていきます。これは老化現象の一つで、色素が抜けることが原因です。

花言葉

秋色アジサイの花言葉は通常のアジサイと同じですが、アジサイの花言葉は国や文化によっても異なるのです。日本のアジサイのブルーには「移り気」「冷淡」ホワイトには「一途な愛情」パープルには「神秘的」ピンクには「元気な女性」の花言葉が秘められています。

ちなみにフランスではアジサイの花は日本のバラと呼ばれているらしく、花言葉は「辛抱強い愛情」「クールな美」です。

アメリカでは「冷淡」などのネガティブなものもありますが「感謝」「思いやり」などと言った明るい花言葉も付けられています。

秋色アジサイを楽しむポイントとは?

秋色アジサイは、自分でも育てることができるのでしょうか。一般的には、アジサイは見頃の時期が過ぎると剪定してしまうことが多いと思いますが、剪定せずにそのままの状態にしておくことで、段々と色を変えていきます。

しかし、一般的なアジサイを美しい秋色にするためにはコツが必要です。ここでは秋色アジサイを楽しむポイントを解説していきます。

剪定のタイミングに注意する

翌年以降たくさんの花を咲かせるためには、7月までに剪定すると良いと言われています。

もしも寒くなってから剪定した場合、翌年は花が咲かない可能性もあるのです。したがって秋色アジサイを楽しみたい場合は、半分剪定して、半分残しておくなど工夫するようにしてください。

アナベルやミナヅキなどの品種は、春に伸びた枝に花芽が付く「新枝咲き」なので、した花が終わってから3月までの間に行うようにしましょう。

鉢植えで育てる

秋色アジサイを自分で作るためには、花が咲いた後の手入れが大切です。咲くまでは光に当てることが大切ですが、咲いてからはむしろ日陰の方がアンティークな色合いが出ます。

したがって、どうしてもきれいな秋色にしたいのであれば、鉢植えで育成して管理するのもおすすめです。地植えにする場合は、一日を通じて日光の当たるエリアは避けて、半日陰になる場所に植えると良いでしょう。

秋色アジサイになる品種を選ぶ

剪定をせずに放置しておけば、知らないうちに秋色に色づくこともあります。

しかし、失敗すると枯れて、見映えが悪くなってしまうでしょう。アジサイをきれいな秋色にするのは手間がかかるので、はじめから秋色になりやすい品種を選ぶと安心です。

秋色アジサイ人気の品種6選

秋色アジサイはその年の気温や降水量に大きく作用するので、地植えでは美しく色づくのは難しいです。また、翌年まったく違う色に変化してしまったということもあります。そのため、秋色に変色しやすく改良された品種を選ぶ方も多いです。ここでは人気の品種を紹介していきます。

マジカルシリーズ

マジカルシリーズはアジサイを見映えを重視し品種改良したもので、元々はオランダで切り花用に作られた品種です。屋内で育成することも視野に入れて作られているので、明るい室内でも観賞することができます。

また、マジカルという名前の通り、花色が少しずつ魔法のように変化していくのが特徴です。この花は切り花としても楽しめますが、ドライフラワーにもおすすめです。

マジカルシリーズの栽培

日当りが良い場所に植えると花付きは良くなります。しかし暑くなるにしたがって水を多量に必要とするので、半日陰の方が育成しやすいでしょう。

また、乾燥予防として、株元にウッドチップなどを使用しマルチングをしておくと安心です。鉢植えの場合は鉢土が乾燥したらたっぷりと水を与えてください。寒さには弱いので、冬場の管理には注意しましょう。

シーアン(西安)

シーアンは北アメリカ原産の西洋アジサイの仲間です。美しく秋色になるように品種改良されているので、グリーン→パープル→ピンクと色の絶妙な変化が楽しめるでしょう。天候によって色の変化に違いがあるので、その変化の違いも魅力です。

花はやや平面的で丸く詰まって咲きます。茎がしっかりと丈夫なので、大きく生長しても、しっかりと自立するのが魅力です。

シーアンの栽培

シーアンを秋色になるまで楽しむには、半日陰の場所で育てるのがベストです。直射日光に長く当てると、急速に花が茶色に変色してしまうことがあるので気をつけてください。

日当りの良いエリアに植えてしまった場合は、真夏の間は遮光ネットを使用して光をカットするのもおすすめです。地植えの場合は土にこだわる必要はありませんが、鉢植えの場合は保水性のある土をチョイスすると安心です。

フェアリーアイ

フェアリーアイは、日本で「フラワー・オブ・ザ・イヤー」の最優秀賞に輝いた品種でガクアジサイの仲間です。この花も花色の移り変わりが楽しめる品種として人気があります。土の性質によって花の色が変化するのも同じです。花のフォルムとカラーを同時に楽しめるのが魅力で、秋になると黄緑から赤に変化します。飾り花は八重咲きですが、ソフトな色合いなので派手なイメージはありません。

フェアリーアイの栽培

この花は水切れにとても弱いので、夏の水管理には注意が必要です。万が一水切れを起こして弱ると、元通りにはならないので気をつけましょう。冬場は生長のスピードが遅くなるので、水やりも控えめにして構いません。生育期である春~夏に緩効性肥料を与えると、より美しい花が楽しめます。

アナベル

アナベルはアメリカ原産のアジサイで、初夏に大輪の花を咲かせます。咲いたばかりの頃はグリーンですが、徐々にホワイトに移ろっていくのが魅力です。やがて秋の風が吹く頃になると、またグリーンに戻ります。

こちらは耐寒性や耐暑性にも優れているので、大変人気がある品種です。切り花として花屋さんに並ぶのは夏から秋にかけてになります。一本だけでも存在感があるので、花束に入れるとボリュームが出ますよ。

アナベルの栽培

日光が不足すると花付きが悪くはなりますが、どんな環境でもたくましく育ちます。ただし、夏の暑い時期に直射日光を浴び続けると弱ることがあるため注意しましょう。夏はなるべく半日陰になるようなエリアに植えてあげてください。園芸用の遮光シートを活用して、日陰を作ってあげても良いです。

カシワバアジサイ

カシワバアジサイはアメリカ原産で、葉っぱの形が現地のカシワに似ていることから名前が付けられました。ピラミッドのようなフォルムが魅力的で、一輪だけでもパッと人目を引く豪華さがあります。

秋になると葉っぱが紅葉するのも、この品種のセールスポイントです。花期は5~7月で咲き始めたばかりの段階では、緑がかった白ですが、少しずつ純白に変化していきます。アナベルと間違われることが多いですが、独特な花の形に注目すれば見分けることができるでしょう。変わったアジサイを育ててみたい方におすすめです。

カシワバアジサイの栽培

他のアジサイと同じで地植えにする場合は、通気性が良く半日陰の場所が向いています。あまり日差しが強い場所に植えると、葉焼けを起こすので注意してください。丈夫な品種なので、北向きの光のない場所でも育ちますが花付きは悪くなります。

プリンセスシャーロット

サクラの花のように柔らかいトーンと星形のフォルムがかわいいプリンセスシャーロットは、日本原産のアジサイです。飾り花の中心部分の色が濃く、外側に向かって少しずつシックな色合いに変化します。

その中でもユーミーシリーズの「パーフェクション」は、花色が淡いグリーン~クリーム~ピンクのパステルカラーに変化するのが魅力です。こちらは花房にボリュームがあるので開花期になると本当に美しいです。ゆっくりと退化していくため、長い間花を楽しめます。

プリンセスシャーロットの栽培

鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりと水をあげてください。また風通しが良く、半日陰の場所に置くと丈夫に育てることができます。病害虫の被害は少ないですが、夏のジメジメした時期にはアブラムシが発生することがあるので、葉の裏側をよく観察しましょう。耐寒性はあまりないので、地植えの場合は防寒対策も必要です。

秋色アジサイを購入するには?

秋色アジサイは、とても人気があるので最近では通年出回っています。しかし、一番多く流通するのは9月以降です。秋は秋色アジサイが旬の時期になるので、リーズナブルな価格で購入することができます。

では花屋さんで秋色アジサイを購入する際に注意するポイントはあるのでしょうか。

切花の出回る時期

切花で流通する秋色アジサイには、いくつかの種類があり、輸入物を含めると7月頃~秋まで花屋さんに出回ります。一般的によく見かける品種は、アナベルやカシワバアジサイ・ミナヅキなどです。ミナヅキは「ピラミッドアジサイ」とも呼ばれており、夏に咲くホワイトの花が秋色に染まったものが9月後半~1か月ほど店頭に並びます。

鉢物の秋色アジサイはいつ出回るの?

鉢植えの秋色アジサイは、4月頃から出回ることが多いようです。よく見るとネームタグに「アンティークカラーも楽しめる」などの言葉が書いてあるはずなので確認してみましょう。シーアン(西安)やマジカルシリーズは、秋色アジサイを鑑賞できる品種です。もし分からないことがあれば、店員さんに相談してみましょう

秋色アジサイを活用する方法

秋色アジサイは鉢植えや地植えとしてだけではなく、ドライフラワーやリースにしても楽しめますし、切り花にして部屋に飾るのも素敵です。ここでは秋色に染まったアジサイを満喫する方法を紹介しましょう。

プレゼント

シックな色合いが魅力的な秋色アジサイは、プレゼントにも人気があります。色のグラデーションを楽しめる品種や、魔法のように色が移り変わっていくものまで種類も豊富です。昔は梅雨の時期しか鑑賞できなかったアジサイが、秋になっても楽しめるのはうれしいポイントと言えます。アジサイが好きな方へ贈ればきっと喜ばれるでしょう。

ドライフラワー

秋色アジサイは元々が渋い色をしていますが、ドライフラワーにすることで、また違った風情を味わえます。ドライフラワーにする際は、茶色に変色した花・葉をきれいに取り除いておくのがポイントです。

しっかりと水揚げしてから乾燥させた方が花の形がきれいに出ます。後は茎を紐で縛り、逆さまにして吊るして置いてください。なるべく通気性のある場所に置き、サーキュレーターなどを使用して湿気がこもらないようにしましょう。約1週間前後で、完全に乾燥します。

切り取った花をそのまま花器に入れて置くだけでも、簡単にドライフラワーになるので試してみましょう。鮮やかな色を残したい場合は、シリカゲルを使って乾燥させる方法がおすすめです。

リース

アジサイの花びらを小分けにして使えば、リースとして楽しむことが可能です。作り方には2種類あり、生花をそのまま利用する方法とドライフラワーになったものを使う方法があります。生花から作った場合は、乾燥していく過程で多少収縮しますので、細部まで密に飾りつけていくと美しい仕上がりになるでしょう。

シックな色調が魅力的な秋色アジサイをプレゼントしよう

秋色アジサイとは品種名ではなく、初夏に咲いたアジサイが秋になり色褪せることで深みのあるニュアンスカラーになることです。その年の気候により色合いが変わるので、毎年必ず同じ色にならないことも魅力ではないでしょうか。

絶妙なアンティークな色彩は、よく見ると一枚ずつトーンが違います。新鮮なうちにドライフラワーにすれば、長い間楽しむことができるでしょう。あなたもぜひ、好みの秋色アジサイを見つけてみてください。