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スイセン(水仙)の花言葉を色別で紹介|花言葉の由来や人気種類も解説

春に良い香りのする花を咲かせるすらりとした立ち姿のスイセンは、古くから親しまれている花です。現在でも初春を感じさせる正月のアレンジメント、春の花壇やブーケなどに幅広く活用され、春を告げる花として人々を楽しませています。

また、スイセンは一口にスイセンと言っても多くの品種があり、基本的な花言葉の他に、品種や色ごとにも花言葉が存在します。ここでは、スイセンの色や品種ごとの花言葉やスイセンの名前の由来、人気の品種や育て方についてご紹介します。

スイセンの色別・種類の花言葉

スイセン全般の花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」です。

この花言葉はギリシャ神話のナルキッソスの伝説から来ています。美少年ナルキッソスが他者に高慢な態度を取り、最後には自分だけを見つめ続けていた物語から、精神分析の用語の「ナルシシズム」の語源になりました。

また、欧米ではスイセンのことを「ナルシス」と呼んでいます。スイセンは全般の花言葉の他に、色別、品種別に花言葉があるので、次の項からは代表的な色・種類ごとの花言葉を紹介します。

ピンク色のスイセン 

スイセンは白や黄色の花が代表的ですが、ピンク色の花も存在します。ピンクパラソルというラッパのような形をした桃色の副花冠にフリルがついた品種や、ピンクチャームというラージカップスイセン系で筒状のサーモンピンクの副花冠と、星のように広がる白い花被片が特徴の品種が特に人気です。

ピンク色のスイセンの花言葉は「上品な」です。貴婦人のようなエレガントさ、高貴さを連想させるピンク色のスイセンにピッタリの花言葉ですよね。

黄色のスイセン 

黄色いスイセンは人気の定番カラーで、八重咲きや房咲き、ペチコート咲きなど、さまざま種類があります。

黄色いスイセンの花言葉は「私のもとへ帰って」「もう一度愛してほしい」「愛に応えて」です。

これはギリシャ神話が由来となっています。「私のもとへ帰って」という花言葉は、冥王ハデスに嫁いだベルセポネを想い、母親である大地の女神デメテルの気持ちが由来になっているといわれています。

また、「もう一度愛してほしい」「愛に応えて」という花言葉は、ベルセポネの愛を掴むことができなかったハデスの想いが由来になっているとされています。

白色のスイセン 

白色のスイセンはスイセンの定番カラーとも呼べる色で、ラッパスイセンを代表として多くの種類があります。白色スイセンには、マウントフットという黄色みがかった副花冠が開花するにつれて白く変化し、最終的に純白の綺麗な花を咲かせるという色の変化を楽しめる品種もあります。

白色のスイセンの花言葉は「尊敬」「神秘」です。スイセンは冬の寒い時期に芽を出し、まだ春が本格的に訪れる前の厳しい季節の中でも美しく咲くことから、スイセンに神秘性や尊敬の念を抱いたことが由来となっています。

ラッパスイセン 

ラッパスイセンは中央部がラッパのように突き出ている品種です。西ヨーロッパに自生し、世界中で広く栽培されており、さまざまな種類が存在します。英国のウェールズの国花でもあります。

ラッパスイセンの花言葉は「報われぬ愛」「尊敬」です。「報われぬ恋」はギリシャ神話のナルキッソスの悲しい物語から来ています。一方で「尊敬」という花言葉もありますので、年上の人や恩人に贈るのにもおすすめです。

クチベニズイセン 

クチベニズイセンは、花の中央部の副花冠の縁部分が赤く、口紅のように見えることからその名がつけられています。花には強い芳香があり、香水の精油にも使われています。一方で、毒性がほかのスイセンよりも強いため、注意が必要です。

クチベニズイセンの花言葉は「素敵な装い」「詩人の心」です。「素敵な装い」は、花の中心部の口紅を付けたような赤い色から付けられたと考えられています。「詩人の心」はスイセンが多くの詩人に歌われてきたことに通じます。

花言葉の由来となった神話とは

スイセンの花言葉「うぬぼれ」「自己愛」は、ギリシャ神話のナルキッソスの物語から来ています。

お喋り好きが災いして女神ヘラの怒りを買い、他人の言葉を繰り返すことしかできなくなってしまった森の妖精エコーは、美少年のナルキッソスに夢中になってしまいます。自分から話しかけることができないエコーをナルキッソスははねつけてしまいます。

さらにナルキッソスが森の妖精たちを次々に冷淡にあしらったため、復讐の女神ネメシスはナルキッソスが報われない恋に苦しむように罰します。

あるとき、狩りの途中に喉が渇いたナルキッソスは泉の水を飲もうとかがんだところ、水面に映し出された自分の姿を泉に棲む水の精だと思い込み、目が離せなくなってしまいます。口づけしようとして水面に近づいたり、手を伸ばしますが、相手に触れることはできません。

恋焦がれる水面の中の自分を寝食を忘れて見つめ続け、やがてナルキッソスは衰弱して姿を消し、そこにはスイセンの花が咲いていたと言われています。

スイセンの花言葉に怖い意味はある? 

スイセンの花言葉は怖いと言われることがありますが、実際には上でも紹介した通り、それほど怖い意味は付けられていません。花言葉の「自己愛」「うぬぼれ」と、ナルキッソスの伝説が怖いと言われる理由ではありますが、特に怖いというほどのものではないでしょう。

日本では、安土桃山時代の華道において、スイセンはマツ、ハス、カキツバタ、キクとともに格調高い花として珍重されていました。現在でも新春を彩るおめでたいイメージがあるので、特に怖い意味はないと言えるのではないでしょうか。

スイセンの基本情報 

ヒガンバナ科
スイセン属
和名 水仙、雪中花
英名 Narcissus
学名 Narcissus
原産地 地中海沿岸地域(スペイン、ポルトガル、北アフリカ)
開花期 11~4月
生態 多年草

スイセンの名前の由来 

スイセンの花名は、中国名の「水仙」を音読みして、スイセンとなったと言われています。中国の古典では「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という言葉があり、スイセンは「水の仙人」という意味です。

水の豊かな土壌を好み、清らかで芳香があり生命力が強いさまが仙人に例えて名付けられたと考えられています。

また、スイセン属の学名は「Narcissus」で、これはギリシャ神話のナルキッソスに由来しており、このナルキッソスは「麻痺させる」という意味のギリシャ語「Narce(ナルケ)」に由来するとされています。

スイセンの特徴 

スイセンの花は独特な形をしています。6枚の花弁に見える部分は2段構造になっており、上の3枚が花弁、下の3枚は萼片(がくへん)です。中央の筒のようなものは「副花冠(ふくかかん)」と呼ばれ、これがラッパのような形に突き出したり、縁が赤く染まるなど、バリエーションが豊富です。

水仙は、植物全体にリコリン、ガランタミン、タゼチン、シュウ酸カルシウムなどの有毒成分が含まれています。食べると30分以内に下痢、嘔吐、頭痛などの症状が現れ、重篤な場合には死に至る可能性があります。

春先はスイセンの葉をニラやノビルと間違えて食べてしまう、球根を玉ねぎと間違えて食べてしまうなど、食中毒を起こすケースが発生しやすいため植える場所には十分注意が必要です。

スイセンはいつの誕生花? 

スイセンが誕生花となっている日は1~4月に集中しています。下記で紹介する日に誕生日が該当する方にはスイセンの花を贈ってあげるのがおすすめです。

 

1月2日
1月3日
1月4日 白・黄
1月13日
1月16日 ラッパスイセン
2月9日 ラッパスイセン
2月16日 ラッパスイセン
3月1日 ラッパスイセン
4月3日

 

スイセンの人気の種類

スイセンは歴史も古く、その人気の高さから品種改良も各地で盛んに行われてきました。原産地は地中海沿岸で、ヨーロッパに自生するスイセンのなかには自然交雑種も存在し、実に多くの種類がありますが、ここでは特に人気の園芸品種をご紹介します。

種類によって見た目や花期などに違いがありますので、自分にぴったりの品種を見つけてみてください。 

ニホンズイセン 

ニホンズイセンはスイセンの中では特に花期が早い品種で、12~3月頃に花期を迎える種類です。冬の厳しい寒さの中で咲く姿から、室町時代の書物には「雪中花」の文字が確認できます。

日本におけるスイセンは、この品種が古くに中国を経由して渡来したと考えられており、室町時代以前に中国から持ち込まれた説のほか、海流によって漂着したという説もあります。

直径2.5~4cmの花を1つの茎にたくさんつけ、強い芳香を持つのが特徴です。比較的暖かい沿岸部で野生化しており、日本各地に群生地もあります。八重咲きや緑花などの珍しい花もあります。

ラッパスイセン

ラッパスイセンは副花冠がラッパのように突き出しており、色がやや濃くなっている品種です。茎の根元から30~40cmの細長い葉が立ち上がり、灰色がかった緑色をしています。スペイン、ポルトガルからドイツ、イギリスまで分布しており、日本でも野生化しているものが確認されているようです。早いものは12月頃から開花し、4月頃にかけて開花していきます。

クチベニズイセン

クチベニズイセンは副花冠の縁が赤く、口紅のように見えることからその和名が付けられています。欧州南部から地中海沿岸地域原産で、純白のガクと薄黄色で縁が赤色の短い副花冠があります。

スイセンの中では遅咲き種で、3~4月頃に30cm程の花茎を立ち上げ、茎頂に直径4~5cm程の花を1~2個付けます。

ピンクチャーム

ピンクチャームはラージカップスイセン系の品種で、筒状のサーモンピンクの副花冠と、星のように広がる白い花被片が特徴です。鮮やかな色でありながら、スイセンらしい神秘的で清楚な雰囲気も併せ持っている点で高い人気を得ています。草丈20~40cm程までに成長し、3~5月頃に茎の頂部に1個の花を咲かせます。

スイセンの育て方

スイセンは栽培が簡単で、植えっぱなしでも高確率で翌年に花を付けます。初心者さんにも簡単に栽培できますので、ぜひチャレンジしてみてください。ここでは、スイセンの栽培のポイントを紹介します。

用土・肥料

鉢植えの場合、市販の草花用培養土6:腐葉土3:牛糞堆肥1の割合で混ぜた用土を使用します。小粒の赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜた用土でもかまいません。鉢底石を敷いた上に用土を入れ、6号鉢なら3~5球を目安に球根の高さの2倍程度土をかけます。

地植えの場合は水はけの良い土壌に植えます。粘土質な場合は、植え込む場所に腐葉土を混ぜるのがおすすめです。球根2つ分ほど(深さ10cm程度)の穴を掘り、株間15~20cmの間隔で植えていきます。

スイセンは肥料を施さなくても旺盛に生育します。肥料の与えすぎは病気発生のリスクもあるため十分注意が必要です。肥料を与える場合は、芽が出たら2週間に1回のペースで液体肥料を与えると効果的です。

置き場所

日光を好む植物ですので、開花期までは日当たりの良い場所が最適です。開花後は強い日差しと西日が当たると土の温度が上がり、球根の肥大に悪影響を及ぼすため、枝の粗い落葉樹の下の木漏れ日の当たる場所などが植え付け場所として理想的です。

水やり

冬から春の生育期には土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。花後も光合成のために葉を伸ばすので、極端に乾かさない程度に水やりをしてください。葉がすべて枯れたら水やりを中止しましょう。

 庭植えの場合は水やりはほぼ不要です。ひどく土が乾いている場合のみ水やりを行います。

植え付け・植え替え

秋に球根を植え付けます。ニホンズイセンは開花期が早いため、あまり遅くならないように8月下旬~10月上旬までには植え付けるようにしましょう。大きな球根の場合は20cm間隔、中~小サイズの場合は10~15cm間隔で植え付けます。地植えの場合、1度植えたら3年程度は植えっぱなしでも毎年綺麗に咲きます。

剪定

スイセンは花が終わったら剪定をしておくとエネルギーが無駄に消費されずに翌年もキレイな花を咲かせることができます。花が終わったら花の付いている茎が枝分かれしている部分まで下にたどります。そこが花茎の根元になるので、根元から剪定します。

葉は枯れるまで剪定せず残しておくのが基本ですが、あまりにも見苦しい場合は紐でまとめておくとすっきりします。

夏の管理方法

スイセンの花後は、葉が光合成をして球根に栄養を蓄えるため、自然に枯れるまでそのままにしておきます。6月頃に葉が黄色く枯れますので、枯れきったら根元からカットします。梅雨に入りじめじめすると病害虫の温床となりやすいため、できれば梅雨入り前までにはカットしておきましょう。

葉が枯れたら球根を掘り上げ、葉や根、土を取り除き、風通しの良い涼しい場所で管理します。ただし、スイセンは3年程度は植えっぱなしでも問題ないので、3年おきに球根を掘り上げる作業を行うと良いでしょう。

植えっぱなしの場合、葉が枯れた後は球根が休眠期に入るので、鉢植え、地植えともに水やりを控えます。気温が15度を下回るようになり始めた時期から水やりを再開しましょう。

冬の管理方法

9~11月に球根を植えて、芽が出るまでには3~4カ月かかります。品種にもよりますが、多くの場合は翌年の2~3月ごろに芽が出るでしょう。芽が出ていなくても水やりが必要なので、日当たりの良い場所で管理して土が乾いたらたっぷりと水をやります。

また、冬の時期は午前中に水やりを行うようにします。夕方以降に水を与えると夜間に水が凍って球根を傷める原因となりますので控えましょう。

増やし方

スイセンは分球で増やすことが可能です。7月に球根を掘り起こすと子株が付いているので、分球して増やします。子株を丁寧に手で割って取り、大きくて重みのあるものはその年に植え付けましょう。小さくて軽いものは1年間風通しの良い場所で保管し、翌年に植え付けるのがおすすめです。

注意すべき病害虫

スイセンは比較的丈夫ですが、いくつか注意したい病害虫を紹介します。見つけたら早めに対処することが大切です。

害虫

スイセンにはアブラムシ、ナメクジなどの害虫が発生することがあります。食害されると株が弱ってしまうため、見つけたら取り除き、薬剤散布で防除するようにしましょう。アブラムシはエアゾール系のスプレーの他、水やりのときに水流で虫を飛ばす、木酢液や石鹸水などの手作り農薬でも対策が可能です。ナメクジにはナメクジ用の誘因殺虫剤が有効です。

病気

スイセンで最も注意したいのが軟腐病(なんぷびょう)です。軟腐病は細菌による病害で、病原菌が土壌に残り土壌伝染します。土寄せ時に生ずる傷口などから侵入し、組織を軟化腐敗させます。基本的に発病してしまうと薬剤による防除は不可能なため注意が必要です。

軟腐病は高温のときに発生し、朝は緑色だった葉が昼には灰緑色に変化し、翌日には葉が倒れて1週間ほどで枯れてしまいます。

他にも、ウィルスによるモザイク病により葉に黄色い筋状の斑が現れることがあります。モザイク病のウィルス病治療はできませんが、このウィルスは主にアブラムシが媒介しているので、アブラムシの防除を徹底しておくと防げます。

まとめ

春に良い香りの花を咲かせるスイセンは、「うぬぼれ」「自己愛」という全般の花言葉の他に、色別、種類別にもさまざまな花言葉が存在します。プレゼントとして贈る際には、花言葉に応じてスイセンの種類を選ぶと、より相手にふさわしい素敵なギフトになるでしょう。

栽培も簡単で初心者の方にも挑戦しやすい植物なので、ぜひ鉢植えでの栽培にもチャレンジしてみてください。スイセンの購入を検討している方は、ぜひフラワーギフトラボをご利用ください。