ポインセチアは水栽培できる?挿し木の方法や育て方をご紹介
クリスマスシーズンには欠かせない植物、ポインセチア。鮮やかな赤と緑が象徴的ですね。近年では、品種改良が進み「ウィンターローズ」という名の苞が重なりあってバラのように見える品種や、「ビジョン・オブ・グランデール」という淡いピンクが上品な品種など、たくさんのバリエーションが増え、人気を博しています。
そんなポインセチアですが、水栽培で育てることは可能なのでしょうか?今回は、ポインセチアが水栽培で育てられるのか、水を使った挿し木の方法や通常の管理方法を交えてお答えします。
ポインセチアは水栽培のみで育てるのは難しい
結論から申し上げますと、ポインセチアは水栽培に向いていません。
ポインセチアは、トウダイグサ科トウダイグサ属でユーフォルビアの仲間です。
元々の生息地はメキシコで、基本的には多湿を嫌います。そのため、水耕栽培には向いていません。
しかし、水挿しによって発根させて増やすことは可能です。水挿しであれば、発根を待つ間、ガラスに入れたお気に入りのポインセチアがお部屋を色付けてくれるでしょう。
ポインセチアを挿し木(水挿し)で増やしてみよう!
いくつかポイントを押さえれば、水挿しの手順は複雑ではありません。しばしの間、水につけたポインセチアをお部屋で楽しんでみてはいかがでしょうか。
それではさっそく、水挿しでポインセチアを増やす方法をみてみましょう。
準備するもの
- 挿し穂
- 透明な容器(ガラスコップや花瓶など)
- 切れ味の良い剪定バサミ
- 手袋
- 発根促進剤(無くても良い)
- 新しい土
- 発根確認後に植え替える用の鉢
挿し木に適した時期
適期は、5〜7月です。生育に最適と言われる20度程度の気温が続く頃合いを見計らって、挿し木を行いましょう。
秋ごろに行うことも可能ですが、生育期が始まる春から初夏のうちに挿し木を行うことで、発根してから根が張るまで、よりスムーズな生長が見込まれます。
5〜7月というのはあくまで目安です。例えば、九州にお住まいの場合、7月では遅い可能性があり、反対に東北にお住まいの場合には、5月では早すぎる可能性があります。
お住まいの地域の気候を確認して、ポインセチアが快適な気温になったら挿し木を行ってください。
挿し木の手順(水挿しの場合)
- 挿し穂を切り取ります。なるべくしっかりとした若い枝を選び、10cmほどの長さでカットします。この時、上の方の葉を3枚ほど残し、残りの葉は切り落としてしまいましょう。剪定時に出た枝を利用することも可能です。切り落とす場合と同様に、丈夫で若い枝を選び、葉を減らしましょう。この時の注意点ですが、ポインセチアから出る白い樹液に触れるとかぶれる可能性があります。樹液に直接触れることは避け、手袋を着用しましょう。
- 樹液を洗い流します。先ほども述べたように、ポインセチアの切り口からは白い樹液が出ます。樹液は、放置しておくと固まります。そうなると、ポインセチアは水を吸い上げることができなくなってしまい、発根の妨げとなってしまいます。そのため、白い樹液は、出なくなるまでしっかりと洗い流しましょう。水につけて、何度かその水を交換する方法でも大丈夫です。
- 透明な容器に水を張り、挿し穂を入れます。直射日光の当たらない明るい日陰に置き、発根するまで管理します。可能な限り毎日、最低でも1週間に1回は水換えを行いましょう。発根促進剤をお持ちの場合は、挿し穂をつける水に薄めて混ぜ加えます。
- 発根が確認できたら、新しい土を入れた植木鉢に植え替えましょう。くれぐれも根っこを痛めてしまわないようにご注意ください。
ポインセチアの挿し木(土に挿す場合)方法
ポインセチアの挿し木は、土に挿す方法でも行えます。
水挿しの場合のように根っこの生長を確認できないというデメリットがありますが、ポインセチアは多湿な環境が苦手なので、土に挿した方が挿し木が成功する確率が高いとも言われています。こちらもやり方をみてみましょう。
準備するもの
- 挿し穂
- 鉢
- 挿し木用の土(もしくは赤玉土やバーミキュライトなど肥料分を含まない土)
- 切れ味の良い剪定バサミ
- 細い棒(割り箸や竹串など)
- 手袋
- 発根促進剤(無くても良い)
挿し木の手順(土に挿す場合)
- 挿し穂を切り取り、樹液を洗い流します。具体的な手順は、「挿し木の手順(水挿の場合)」1〜2をご参照ください。
- 挿し木用の土の下準備をします。まずは、挿し木用の土を湿らせます。この時使用する土は、必ず新しいものを使用してください。古いものを使いまわした場合、雑菌が繁殖している可能性があり、挿し木が失敗する原因となってしまいます。続いて、細い棒を使い、挿し穂を挿すための穴を開けます。複数の枝を挿す場合には、くっつきすぎないように気をつけましょう。
- 挿し穂を用意した穴に挿します。発根促進剤をお持ちの場合は、土に挿す前に塗布しましょう。挿し終わったら、挿し穂が安定するように優しく土を集めて、固定しましょう。
- 直射日光の当たらない日陰にて発根を待ちます。2〜3週間ほど、土が乾燥しないように注意して水やりを行います。発根が確認できたら、すみやかに植え替えを行い、通常の管理に移行します。
ポインセチアを水栽培で育てる時の注意点
先にも述べた通り、ポインセチアは水栽培のみで育てることに向いていません。
しかし、発根を待つまでの間、水挿しで育てることは可能です。
ここからは、水挿しを行う時の注意点をみていきましょう。
直射日光の当たらない明るい日陰に置く
ポインセチアは直射日光に弱いです。もちろん生長のためには多少の明るさが必要となりますが、直射日光の当たらない場所を選んで置きましょう。昼間の日光対策に加え、夕方の西日にも気をつけてください。一見明るい日陰に見えても、夕方に日がかんかん照りでは、ポインセチアがダメージを受けてしまいます。必要に応じてカーテンを閉めるなどの対策を取りましょう。
水の量に注意する
水挿しを行う場合、発根までの間、挿し穂が常に水に浸っている必要があります。
水に浸かっていない部分からは発根しません。十分な量の清潔な水をキープするように心がけましょう。
水挿しで育てるポインセチアのお手入れの方法
水挿しで育てているポインセチアのお世話は、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
続いて、ポインセチアを水挿しで育てている間の管理方法についてポイントを解説していきます。
水は毎日替えて清潔に
水挿しのように流れがない状態の水は雑菌が増えやすく、腐りやすいです。
腐ったり細菌が繁殖したりした状態の水は、ポインセチアの健康を害してしまいます。そのため、水はなるべく毎日取り替えるのが理想的です。日々の水換えで清潔な水の状態を保ちましょう。
根が成長したら鉢植えに移動させる
冒頭でも述べた通り、ポインセチアは高い湿度が苦手な植物です。よって、長期間水挿しを続けていると、段々と弱ってきてしまいます。
せっかく根が生えてきても、そのあと生長を続けることができないほど弱ってしまっては、元も子もありません。
そうなる前に、発根を確認したら、できる限りすみやかに新しい土を入れた鉢に植え替えると良いでしょう。
土が乾いたらお水をたっぷり与える
土に植え替えた後は、これまで行っていた日々の水換えの手間がなくなります。水やりも毎日は必要ありません。ただし、根がしっかりと張るまでは土が乾燥しないように注意しましょう。
夏場は土の表面が乾いたらお水をたっぷりと与えてください。冬場は、夏場よりも水やりの頻度を落とし、土がしっかり乾いたことを確認してからたっぷりとお水を与えましょう。
水挿しのポインセチアの根が出ない原因は?
水挿しをやってみたけど、なかなか根が出ない!その場合に考えられる原因は複数あります。ここからは、それぞれの原因について解説します。
白い液体をしっかり洗い流していない
まずは、挿し穂の樹液を十分に洗い流しきれていなかった可能性が考えられます。
ポインセチアを切ると、白い樹液が出ます。これは、フォイボールエステルと呼ばれる物質で、ポインセチアが属するユーフォルビアの仲間が分泌する、毒性のある樹液です。この物質は、切り口、いわばポインセチアにとっての傷口を塞ぐために分泌されます。樹液をよく洗い流さないと切り口が樹液によって固まってしまい、水を吸えなくなってしまうのです。そうなると発根を妨げる原因となります。挿し穂の切り口は、樹液が出なくなるまでしっかりと洗い流しましょう。
切れ味の悪いハサミで剪定している
切れ味の悪いハサミでカットした場合、ポインセチアの道管を潰してしまった可能性が考えられます。道管は水の通り道であり、植物が水を吸うストローのようなものだと考えてください。これが潰れてしまった場合、水をうまく吸えなくなってしまい、発根できないことがあります。
挿し穂を切り取る時は、切れ味の良い剪定バサミでスパッと切ることを意識しましょう。
水が清潔でない
他には、水が汚れていた可能性も考えられます。
水の中では、時間が経過するにつれて雑菌が繁殖します。特に、流れがない水、少量の水は細菌が繁殖しやすく、腐りやすいです。このような清潔ではない水は発根の妨げとなります。最悪の場合、挿し穂を枯らしてしまう可能性もありえます。
ポインセチアが発根するためには清潔な水が欠かせないので、日々の水換えを怠らないように注意しましょう。
ポインセチアの育て方
挿し木によって発根が上手くいき、植木鉢に植え替えたポインセチアは、その後どのように育てれば良いのでしょうか。
ここからは、ポインセチアの通常管理についてみていきましょう。
用土・肥料
ポインセチアには、通気性の良い土が向いており、市販の観葉植物用の土で栽培することが可能です。
自分で土の配合をする場合には、赤玉土と腐葉土を6対4の割合で混ぜ合わせると良いでしょう。
肥料は、生育期である春から秋(4〜10月)に与えます。液体肥料を薄めて与える方法のほか、植え替え時などに与える遅効性肥料の効き目が薄れたタイミングで追肥をする方法があります。
置き場所
ポインセチアは直射日光が苦手です。
しかし、生長には日光が不足すると葉っぱが下の方から変色してしまうこともあります。最も適した置き場所は、午前中に日光が当たり、午後には日陰になる半日陰だと言えるでしょう。明るい日陰でも大丈夫ですが、西日が当たらないようくれぐれも注意してください。西日が当たる場合でも、カーテンを閉めるなどの対策を行えば大丈夫です。
水やり
生育期、特に5〜9月は水ぎれに注意し、たっぷりと水を与えましょう。
土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで十分に水を与えてください。
気温が下がり始める10月ごろからは、徐々に水やりの頻度を減らしましょう。
冬場は、土がしっかりと乾いていることを確認してから、夏場同様にたっぷりと水を与えてください。しっかりと根付いた後のポインセチアでは、常に水がある状態だと根腐れを起こす可能性もあります。乾燥して空気が通る状態と、水が十分にある状態のメリハリを意識してみてください。
植え付け・植え替え
植え替えは、年に1回、4〜5月に行いましょう。剪定と合わせて行うのがおすすめです。
一回り大きめの鉢を用意したら、株を取り出し、3分の1ほど土を落とし、根をほぐして植え替えましょう。肥料を混ぜる場合は、遅効性の肥料を使用してください。
剪定
植え替えの項目でも述べた通り、剪定の適期は4〜5月。
樹形を保つためにも年に1度行うことが望ましいです。手順は簡単で、苞(一般的なポインセチアの赤い部分)の下、3分の1ぐらいで枝を切り落とすだけで大丈夫です。
また、風通しが悪化する原因となるので、葉が密集している部分の枝も切り落としましょう。作業時、切り口から分泌される樹液に触れると、かぶれる恐れがあるので、手袋を着用すると良いです。
夏の管理方法
夏はポインセチアの生育期にあたるので、液体肥料を1週間に1回ほど与えましょう。
この時期、水切れにも注意が必要です。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えてください。
自然での生息地はメキシコなので、夏場は外で管理することも可能です。ただし、置き場所は午前中に日があたり、午後には日陰になる場所が良いです。直射日光が長時間当たる場所は絶対に避けましょう。
また、熱々のコンクリートに直置きをしてしまうと、ポインセチアへのダメージとなってしまうので避けてください。鉢の下にすのこやレンガなどを置いて対策を取ると良いですよ。
冬の管理方法
ポインセチアの適正温度は10度から25度なので、気温が10度を下回る可能性があれば室内に取り込んで育てる必要があります。
生長が鈍る冬季の肥料やりは不要です。水やりの頻度は、夏期より減らしましょう。乾燥には強いので、土がしっかり乾いたことを確認してからの水やりで大丈夫です。
注意すべき病害虫
ポインセチアを育てるにあたり、注意すべき害虫や病気にはどのようなものがあるのでしょうか。以下に、代表的な病害虫をご紹介します。
病害虫が発生しないように、日々の観察を怠らないようにしましょう。
害虫
ポインセチにつきやすい害虫として挙げられるのが、カイガラムシ、アブラムシ、ルイスアゲハダニです。
害虫が病原菌を運ぶ可能性もあるので、見つけ次第駆除しましょう。
また、剪定を行ったり、風通しの良い環境を整えることも重要な予防策です。土にあらかじめ殺虫剤を塗布するのも良いでしょう。
病気
ポインセチアが罹りやすい病気には、灰色カビ病、炭疽病、斑点病があります。
いずれもカビによって引き起こされる病気です。
感染した葉が他の葉に触れることで感染が拡大するおそれがあるので、感染した葉はすみやかに切り落としましょう。
事前の対策としては、水はけの良い土を使い、通気性を高く保つことが重要です。他にも、ポインセチア特有の病気として、苞枯病があり、ポインセチア農家を困らせています。こちらも通気性を高く保つことが対策になります。
まとめ
今回は、ポインセチアは水栽培が可能かどうかお話しました。ポインセチアは多湿が苦手なために水栽培には向きませんが、水挿しで育てて増やすことが可能だということがわかりましたね。
そのほかにも、挿し木の方法や注意点、通常管理のポイントもご紹介しました。
メキシコが原産のクリスマスに欠かせない植物、ポインセチア。この記事を参考に、是非ポインセチアを水挿しで育ててみてください。