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ライラックの花言葉は「初恋の香り」国によっては怖い意味も?

北国の花木として人気のモクセイ科の花木ライラック。「リラ」の名でも知られ、春になると豊かな香りと共に紫色の花を咲かせるロマンチックな木です。

日本では北海道で多く栽培され、札幌市の木にも指定されています。

庭の花木として、シンボルツリーとして世界中で愛されています。また甘く香しい香りは古くから香水としても用いられてきました。

そんなライラックの花言葉やヨーロッパに古くから伝わる言い伝え、人気の品種と基本の育て方についてまとめたので、ぜひ参考にしてください。

ライラックの色別の花言葉

ライラック全般の花言葉は「初恋の香り」「思い出」です。

ライラックの特徴である甘く優しい香り、葉の形がハートの形に似て見えることから、ロマンチックな花言葉がついています。

また香りは記憶を呼び覚ますと言われており「思い出」もやはりライラックの持つ香りにちなんでつけられた花言葉のようです。英語の花言葉は「pride」「beauty」と誇り高く美しい姿を強調したものになっています。

 

紫色のライラックの花言葉

紫色のライラックの花言葉は「初恋」です。「恋の芽生え」「愛の芽生え」という花言葉もあります。

紫はライラックの中でも基本的な色であり、全体の花言葉に最も近しいものがついています。ライラックはそのロマンチックな姿や香りからヨーロッパでは文化的に美的なものの象徴として捉えられ、青春、そして恋に結び付けて考えられることが多くあるようです。

紫色のライラックは特に優しく淡い初恋や恋のはじまりなどを連想させ、そうしたイメージにちなんだ花言葉がついています。

ピンク色のライラックの花言葉

ピンク色のライラックの花言葉は「思い出」です。

ライラックは小さな花がたくさん集まり、ふわふわとした房を作って咲いている花木です。そんな様子が女性たちが集まって思い出話などのお喋りに楽しそうに興じているさまに見えるため、この花言葉がついたという説があります。

ロマンチックなイメージに結び付けられることも多いライラックですが、一方でこうした同性同士のお喋りなど、友情・ずっと続く青春の友情といったイメージを表すことも多くあります。

  

白色のライラックの花言葉

白色のライラックの花言葉は「無邪気」「青春の喜び」です。

ヨーロッパ、特にフランスでは白いライラックは青春を象徴する花だとされています。

フランス語では「リラ」と呼ばれ、パリにも街路樹として多く植えられています。フランス中で昔から庭木としても人気です。街中で春先に優しく甘い香りをさせて咲き始めることから、若々しい春の訪れ、青春などを連想させるものになったのかもしれません。

また、文化的にヨーロッパでは白いライラック=若者の純潔を意味することもあります。

 

ライラックの花言葉に怖い意味はある?

ライラックの花言葉自体には怖い意味はありません。

ただ、イギリスではライラックにまつわる悲しい言い伝えがあります。昔、貴族の男性と身分違いの恋に落ちた女性が婚約までしたものの、男性の心変わりで破局してしまいます。彼女はショックのあまり命を落としてしまうのですが、その墓の前に薄紫色のライラックが供えられていたのが、翌朝には白いライラックになっていたという伝説があります。

白いライラックになったのは彼女にとって恋の思い出が「青春の喜び」そのものだったからだとも、一方で花の色が変わったのは移り気な心、気持ちを表しており、婚約を破棄された女性の悲しみを表しているのだとも言われています。

この言い伝えから転じて、イギリスではライラックまたはライラックの香水を婚約者に贈る=婚約破棄を意味することもあります。

 

ライラックの基本情報

科・属 モクセイ科ハシドイ属
和名 紫丁香花(ムラサキハシドイ)
英名 Lilac
学名 Syringa vulgaris
原産地 ヨーロッパ東南部

寒さに強い落葉樹で、開花時期は4~5月、樹高は地植えの場合2〜6m・鉢植えの場合は1〜2mです。庭木としてヨーロッパでとても人気です。

日本では気候が適した北海道で庭木、シンボルツリーなどとして多く植えられています。

花は花びらが4つ、または5つに分かれており、5つに分かれた花は「ラッキーライラック」と呼ばれ、幸運の象徴であり、恋のおまじないなどにも使われてきました。

 

ライラックの名前の由来

ライラックの英名Lilacはペルシア語・サンスクリット語で青色を意味するlilakから来ています。

ライラックの特徴である花の美しい青紫色がそのまま名前に転じたようです。フランスでは「Lilas」(リラ)です。日本では基本的に「ライラック」と呼ばれますが「リラの花咲く頃」という日本でも有名なシャンソンの歌もあり、フランス語の名前のまま「リラ」と呼ばれることも多くあります。和名の「ムラサキハシドイ」は同じハシドイ属の日本に自生するハシドイ(丁香花)から来ています。

ライラックの特徴

ヨーロッパ原産で、ヨーロッパでは文化的にも長い間親しまれてきました。

優しく甘い香りが特徴で香水としても利用され、詩や音楽、文学のロマンチックな題材にもなってきました。モネの絵にも「陽だまりのライラック」という有名なものがあります。

ちなみに香水として伝統的に利用される際のライラックの香りは人工的なもので、自然のライラックの香りとは異なっています。実際のライラックは枝を切落すと香りが終わってしまいます。

ライラックはいつの誕生花?

ライラック全体は6月12日の誕生花です。白いライラックは5月12日と6月26日、紫色のライラックは5月30日の誕生花です。

誕生花は元々、ギリシャ・ローマで花や植物に神秘的な力、人に霊感を授ける力が宿ると考えられていたことからはじまり、その誕生日に生まれた人の存在や人格、パーソナリティを表している花や植物をあてはめたものです。何かメッセージを伝えていると考えられることもあります。ギフトで誕生花を贈る時には、その花の特徴や花言葉を調べてから贈るとより喜ばれるかもしれません。

ライラックの園芸品種

ここからは流通しているライラックの園芸品種を紹介します。

7品種紹介しますので近所の花屋やオンラインショップでお気に入りのものを探してみてください。

センセーション

センセーションと呼ばれる園芸品種は、濃い紫色の花びらの縁に白い覆輪が入っているのが特徴です。ヒューゴ・ドゥ・フリースという種の突然変異で生まれ、ライラックでは初の複色の花を持つ種です。樹高3mまで成長し、樹幅も3mほどです。開花時期は温暖地域では4~5月、寒冷地では5~7月です。濃く深い紫色にポイントのように入っている白が際立ち、ミステリアスでエレガントな印象を与える種です。

 

プリムローズ

プリムローズはライラックの一種の園芸種ですが、青〜紫が基本のライラックでは珍しく薄黄色、または白色の花を咲かせます。淡く薄いイエローの花がたくさん集まり、ふわふわと房を作って咲いている様子は優しく甘く、より可憐で儚げな雰囲気が漂います。庭木やシンボルツリーとしても独特の珍しい魅力があります。

開花時期は他のライラックの多くの種類と同じく4〜6月、樹高・樹幅ともに3.6mまで成長します。

 

アウクバエフォリア

アウクバエフォリアは葉に網目状の斑が入っていることが特徴のライラックの園芸種です。花は八重咲で色は青紫、フランス原産で開花時期は4〜5月ごろ、樹高は2〜4mになります。花が終わった後も特徴のある模様入りの葉をカラーリーフとしても楽しめます。

フランスで発見された八重咲を特徴とするプレジデント・グレビーと呼ばれる種のひとつで、日本では手に入りにくい希少種だとされています。

 

チャールズジョリー

チャールズジョリーはライラックの園芸種の中でも八重咲を特徴とする品種で、赤みがかった紫色~濃い紫色の花を咲かせます。香りも豊かで強く、比較的手間がかからないため生育も容易です。

ライラックは涼しい気候を好み暑さが苦手ですが、チャールズジョリーは沖縄を除く日本各地で栽培が可能です。若木の内から花を咲かせるため、鉢植えでも楽しめます。樹高は2〜4m、開花時期は4〜5月です。強い西日や乾燥をさけ育てましょう。

 

リラワンダー

リラワンダーは薄い紫色〜薄い青色の花に白い覆輪の入っている一重咲きの園芸種です。樹高は1.5m〜で、大きく育てば6mまで成長します。

他のライラックの品種と同じように芳香も豊かです。薄く淡い花の色に白い縁取りのコントラストが優しく繊細な雰囲気を作ります。開花時期は4〜5月、南東ヨーロッパ原産です。他の品種と同じように冷涼で日当たりがよく、水はけのよい環境で育てましょう。

 

ミセスエドワードハーディング

ミセスエドワードハーディングは花が大きく八重咲であることが特徴です。大輪の花は濃い紫色〜濃い赤紫色をしており、その花が集まった花房は他の品種と比べてよりゴージャスな印象があるライラックです。花の色ははじめは濃い紫色~赤紫色をしており、そこから徐々に赤紅色になっていきます。他の品種と同じように甘い芳香があります。開花時期は4〜5月、樹高は鉢1m〜地植えで6mまでになります。

モンジュ

フランス産の品種であるモンジュはワイン色のような濃い赤紫色の花色が特徴の品種です。強い芳香があり、一重咲き、樹高は3m前後まで成長します。20世紀初めにフランスで生まれた品種で、花房は20cmあり、濃いワイン色の花がびっしりと咲いているドラマチックな姿から今日でも高い人気があります。「モンジュ」という名前の由来は微分幾何学を開発したことで知られるフランスの数学者、ガスパール・モンジュに因んでいるという説があります。

 

ライラックを飾ろう!水揚げ方法を紹介

ライラックは切り花として楽しむのも涼しげで華がありおすすめです。春から初夏に飾るだけでお部屋の季節感が増しますよ。少し手間をかけて水揚げしてあげると長持ちします。

ライラックの水揚げ方法は少し特殊で、アジサイと似ています。以下に手順をご紹介します。

  1.     ライラックの枝を飾る花瓶の長さに合わせてカットする
  2.     その枝の先端数センチを縦2つに割るようにカットする・皮をはぐ
  3.     枝の内側にある綿のようなものをハサミでかき出す
  4.     完成です。これでたっぷり目の水を入れた花瓶に飾りましょう

春から初夏のライラックの季節にはぜひ切り花を飾ってみましょう。繊細でロマンチックなライラックの魅力でお部屋がぐっと素敵になるでしょう。

 ライラックの育て方

ライラックは涼しい気候を好み、日本では北海道などで多く育てられています。

原産地であるヨーロッパの気候に似た冷涼な土地が最も適しており、日当たりがよく西日が当たらない場所、湿気が苦手なので水はけのよい土・風通しのよい場所で育てます。

最近の品種改良された種では耐暑性が上がり、現在は沖縄以外の日本全国で生育が可能です。

 

用土・肥料

ライラックを育てる時にポイントになるのが水はけのよさです。多湿を嫌うため、水はけがよい土を用意しましょう。

肥沃で豊かであれば土質はそれほど選ばないとされており、綺麗な花を咲かせてくれます。

酸性土壌より弱酸性からアルカリ性の方がより適しています。

鉢植えの場合は市販の花木用培養土を使用することができます。配合する場合は赤玉土6〜7:腐葉土3〜4かパーライト1の割合で混ぜ、苦土石灰や緩効性化成肥料を少量加えた土を作ります。

置き場所

ライラックは日当たりがよく風通しのよい場所に置きます。西日には非常に弱いので、庭などで地植えする場合には西日の当たらない場所をよく選んでから植えましょう。

午前中に日が当たり、午後には日陰になる場所がよいでしょう。暖かい地方の場合は夏に移動ができる鉢植えがおすすめです。

夏になったら半日陰など屋外の涼しい場所に移動しましょう。他の季節にはライラックはよく日があたることが大切なので、再度日当たりのよい場所へ移動をします。

水やり

植え付けて根付くまでは土が乾いた際に水やりをします。地植えなら、それ以降は非常に乾燥している場合を除き、自然の雨・吸水に任せておきます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いていたら鉢の底から水が流れ出るまで水やりをします。ライラックは多湿を嫌うため、水のやりすぎには注意しましょう。夏には暑さで水分が蒸発しやすいため乾燥に注意し、普段よりは多く水やりをします。水やりをする際は朝・夕の涼しい時間帯に行います。

 

植え付け・植え替え

植え付けは12月~3月に行います。落葉している休眠期のため、根を傷めないように注意します。根鉢(苗の根の周りについている土)を崩さないように植え付け・植え替えを行います。苗よりも一回り大きな鉢(素焼きやテラコッタなど通気性のよいもの)を用意します。地植えの場合も苗よりも一回り大きな穴を作ります。苗を植えた後はたっぷりと水やりをし、植え付け後は鉢の場合は明るい日陰で管理しましょう。苗が根付くまでは地植えの場合も様子を見て水やりを行います。

 

剪定

冬季の休眠期に軽く形を整える程度の剪定をします。ライラックは元々萌芽力があまり高くないので、伸びすぎた枝を剪定する程度に留めます。

5~6月ごろの花後にも混みあった枝を切る剪定を行う場合もありますが、7~8月の夏に花芽が出るので、来年の花の芽を落とさないように、剪定をする場合はそれまでに済ませておきます。 

夏の管理方法

ライラックは暑さが苦手です。鉢植えの場合は半日陰の涼しい場所、特に西日の当たらない場所に移動します。ライラックは西日に非常に弱いため、庭などで地植えする場合は最初に植える場所を注意して選ぶことが大切です。また、ライラックは乾燥には強く、普段はほとんど水やりの必要はありませんが、水分が蒸発してしまう夏には朝夕の涼しい時間帯に水やりをします。特に関東以南の温暖な地域では乾燥の具合を注意して見ておきます。植える際に鉢を素焼きの通気性のよいものにしておくことも暑さ対策として有効です。

 

増やし方

ライラックは挿し木や種からも増やすことができますが、育つまでにはかなり時間がかかります。早く確実にライラックの数を増やしたいのなら、市販の苗を購入したほうがいいでしょう。市販されているライラックの苗はイボタノキを台木にし、接ぎ木によって増やされていきます。自分でイボタの株を探してきて接ぎ木をすることもできますが、ライラックでは台木の方が育ってしまう「台勝ち」という現象も起きてしまうので上手に育てるにはそれなりの知識や技術が必要です。

注意すべき病害虫

ライラックは基本的には病害虫に強い植物です。しかし湿気などが原因で発生する害虫や病気があるため注意しましょう。ライラックの注意すべき害虫は春や秋に発生するアブラムシ、カイガラムシ、カミキリムシなどです。どれも放っておくと病気の原因となってしまうため、注意して見ておきましょう。病気ではうどんこ病、褐斑病にかかる恐れがあります。

害虫

主に春と秋にアブラムシ、カイガラムシ、カミキリムシなどが発生します。

アブラムシは風通しが悪かったり、枝が混みすぎると発生しウイルス性の病気を媒介します。カイガラムシも発生するとそれがそのままかびを広げる灰色かび病などの病気の原因となるでしょう。カイガラムシは発見次第歯ブラシなどで除去します。

その他、市販の殺虫剤も効果的です。カミキリムシ(幼虫はテッポウムシ)は幹の内部を食い荒らす害虫です。木くずが多く落ちていると発生している印です。こちらも市販の薬剤で除去します。

病気

褐斑病やうどんこ病にかかる可能性があります。特に梅雨の時期にはうどんこ病にかかる事例が多くあります。葉の表面に白い粉をまぶしたようなカビの斑点を見つけたらすぐに取り除きます。放っておくとどんどんと広がってしまうため、白いカビのできた葉・枝などはすぐに切って捨てます。切り取った葉などを地面に落としたままにしておくとそこから土を介してまた広がっていくため、必ず落とさずに素早くビニール袋に入れて廃棄するようにしましょう。

まとめ

北国の春を彩るライラックについてまとめました。地植えでは大きく育ちますが、鉢では1〜2mと小ぶりなまま育てることもできます。人気品種をご紹介しましたが、品種ごとにそれぞれ少しずつ異なった雰囲気があり、さまざまな表情で楽しませてくれます。

世界4大フローラルに選ばれる豊かな香りは昔から世界中で愛されてきました。甘く優しく、香り豊かでロマンチックなライラックをぜひ育ててみてはいかがでしょうか。長く愛せるシンボルツリーになること間違いなしです。