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切り花を長持ちさせる方法は?美しい状態を長く楽しむためにできること

お花屋さんで選んだお気に入りの花や、誕生日などのギフトでもらった花をできるだけ長い間楽しみたいものではないでしょうか。

しかし、花瓶に水を入れて生けているのに、なぜか枯れてしまったという経験がある人は少なくありません。

そこでこの記事では、花が枯れてしまう理由や切り花を長持ちさせるコツなどについて解説します。

 

そもそも花はなぜ枯れてしまうのか

切り花が枯れてしまう一番の原因として、花が水を吸いあげられなくなってしまうことが挙げられます。

根っこ部分を切り落とした切り花は、茎から花瓶のなかの水分を吸いあげて生きていますが、何らかの原因で水を吸いあげられなくなってしまって枯れてしまいます。

土から離してしまった切り花には寿命がありますが、枯れてしまう原因を知って対策をしておくことで、より花を長く楽しむことができるでしょう。

ここでは、花が水を吸いあげられなくなってしまう主な2つの原因について解説します。

 

バクテリアが増加する

切り花の切り口にある有機物質からは、バクテリアと呼ばれる細菌が発生します。

放っておくと花瓶のなかでバクテリアはどんどん増殖し、花が水を吸いあげるための導管部分を詰まらせる原因になります。

導管は花が水を吸いあげるストローのような役割を果たしているため、ここが詰まってしまうと水を吸いあげることができなくなり、枯れてしまう原因になりかねません。

花は花瓶のなかの水分しか吸いあげることができないため、こまめに水を取り替え、常に清潔な水で満たしておくことが必要です。

 

養分が不足してしまう

場合によっては水をこまめに取り替えていても枯れてしまうことがあります。

花が咲き続けるためには栄養となる糖分が必要不可欠です。

土から離れてしまった切り花は、自分で咲き続けるパワーとなる糖分を作り出すことができません。

そのため、蕾の多い切り花などの場合は水に糖分の入った栄養剤を混ぜ、エネルギーを補給できるようにする必要があります。

 

切り花を長持ちさせるためにできること

切り花を長持ちさせるためには、水を清潔に保ち、栄養と水分を花が吸いあげやすい環境を整えることがとても大切です。

 

切り花を長持ちさせる主な方法として、以下の4つが挙げられます。

  • 茎を水切りする
  • 水替えを定期的に行う
  • 余分な葉や蕾は取り除く
  • 栄養剤を使う

 

下記にて、切り花を長持ちさせるために実践できる方法を具体的に見ていきましょう。

 

茎を水切りする

花を持ち帰ったら、まず行いたいのが水切りと呼ばれる作業です。

水切りとは、茎の根元を1~2cmほど切り、新しい導管を出す作業であり、これによって花は水を吸いあげやすい状態になります。

水切りをする際には切れ味の良いハサミを使用し、導管をつぶさないように気をつけるようにしてください。

また、空中で切ってしまうと導管のなかに空気が入ったり、切り口が乾燥して水を吸いあげづらい状態になったりすることがあるため、水中で行うのがベストです。

切り口を斜めにカットするイメージを持つ人も多いですが、導管をつぶさないように切れば真横に切っても問題ありません。

 

水替えを定期的に行う

花瓶のなかの水は、季節に合わせた頻度で新鮮な水に水替えを行います。

 

水替えを行う最適なタイミングは以下の通りです。

  • 春・秋 2~3日に1回
  • 夏 毎日
  • 冬 3~4日に1回

 

水替えをする際には、花瓶の内部にあるぬめりも洗剤をつけたスポンジなどでしっかりと洗い流し、清潔にしてから水を入れ替えることがポイントです。

水を入れる量の目安は、花瓶の底から5cmから花瓶の1/3程度が良いでしょう。

花の種類によって水の量を調整するとさらに長持ち効果が期待できます。

また、水替えと同時に再度水切りも行うと、より水を吸いあげやすくなるのでおすすめです。

 

余分な葉や蕾は取り除く

葉が水に浸かってしまうと水が腐りやすくなるので、半分から下の葉は取り除きます。

また、蕾の開花には多くのエネルギーが必要ですが、切り花が使えるエネルギーは限られているため、多すぎる蕾は選別して取り除いたほうが良いでしょう。

1本の枝にいくつも花をつけるものは、枯れた花を取り除くことで残りの花や蕾にエネルギーを集中させることができます。

 

栄養剤を使う

お花屋さんで購入した花やギフトの花束と一緒に小さな小袋がついてきたことがあるのではないでしょうか。

あの小袋は花を長持ちさせてくれる栄養剤です。

その栄養剤には、花が美しく咲き続けるために必要な糖や水中のバクテリアの増殖を抑えるための殺菌成分、花の色を美しく保つための成分などが含まれています。

水に対して入れる量が決まっているので、正しい分量で使用すると良いでしょう。

ただし、付属の小さな小袋を使用する際に適量を量るのが難しいため、ペットボトルなどにまとめて希釈するのがおすすめです。

そうすることで、水替えの際に小分けにして使用することができます。

 

水が下がった花の水揚げ方法

元気だった花が急に頭を下げてぐったりしてしまったら、枯れてしまったのではないかと心配する人も多いでしょう。

しかし、実際には枯れているのではなく、水が下がってしまっているだけかもしれません。

草花などの茎の細い花や茎に対して頭の大きな花、紫陽花やハーブ類などの花は、特に水が下がりやすい植物です。

それ以外にも、バラやひまわりなども水が下がるとぐったりしてしまうことがよくあります。

水が下がったときには、以下の方法で給水を手助けすることで元気な状態を取り戻してくれる可能性があります。

 

1.水の下がった花を新聞で包む

ぐったりした花を新聞でつぶさない程度にきつめに包みます。

このとき、ぐったりしている頭の部分をまっすぐに伸ばして新聞紙に巻くのがポイントです。

茎の根元まで巻く必要はないので、茎の1/3くらいは残したまま新聞を巻きましょう。

 

2.水をたっぷり張った容器に浸水させる

バケツなどの大きめの容器にたっぷりの水を準備します。

そこに先ほど巻いた花を浸し、そのまま半日から1日放置してください。

ただし、花の頭の部分は水に入れると花びらが痛んでしまう可能性があるため、水に直接浸からないように注意します。

そうすることで水圧によって給水が助けられ、ぐったりしていた頭がピンと元に戻ってきます。

1で巻いた新聞紙を外すときは、濡れてくっつきやすくなっているのでそっと外すようにしてください。

花瓶に飾り直し、再び水切りと水替えのお手入れを続けていくと花は元気を取り戻すでしょう。

 

花に合った花瓶を選ぶことが大切

花のサイズや量に対して、小さすぎる花瓶を使用してしまうと花や葉っぱが花瓶のなかで蒸れて腐りやすくなってしまいます。

そのため、花を束ねたときの茎のボリュームに対して、少し余裕がある口径の花瓶を選ぶことが大切です。

また、大きな花束をもらって1つの花瓶だとボリュームがありすぎるという場合は、色や種類でいくつかの花瓶に分けて飾るのがおすすめです。

数種類の花瓶に分けることでリビングや寝室、玄関など、お部屋のさまざまなシーンで花を楽しむことができます。

 

花や葉っぱが蒸れてしまうとどうなる?

花瓶のなかで花が窮屈になり、十分に水分を吸いあげることができなくなるだけでなく、花瓶のなかが蒸れてしまって痛んで枯れてしまうということがあります。

また、蒸れた花や葉っぱは花瓶のなかの水を濁らせ、バクテリアが増殖する原因にもなりかねません。

デザインで選びがちな花瓶ですが、花とのバランスを見ながら適切なサイズの花瓶を使用することが大切です。

 

花の種類や季節に合わせて花瓶の水の量を調節する

花瓶の水は花瓶の底から5cm程度が目安ですが、花の種類や季節によって水の量を調整するとより長持ち効果が期待できます。

花は茎の切り口部分から給水するので、茎の上部まで水に浸ける必要はありません。

水に浸かっている茎や葉は腐りやすくなるため、水切れを起こさない程度に水分量を調整することが大切です。

下記では、2つの水量で生けたい花と複数の花を飾りたい際の水量について解説します。

 

たっぷりの水に生けたい花

たっぷりの水に生けたい花として、バラや紫陽花、シャクヤク、ライラック、枝ものなどが挙げられます。

これらの花を生けるときには、花瓶の半分くらい水を入れて生けるのが長持ちのコツです。

バラや紫陽花の茎は比較的固いので腐りにくく、たっぷり水を入れるとその分の水圧で水揚げが良くなります。

特に紫陽花は水の下がりやすい花であるため、茎の内部に詰まっている綿を取り除き、茎を縦に割って給水面を増やすようにしましょう。

また、枝ものの水の吸いあげを助けるためも枝の先端を縦に割り、断面積を増やすと水揚げが良くなって長持ちします。

 

少なめの水で生けたい花

少なめの水で生けたい花として、ガーベラやチューリップ、ひまわり、カラー、キク、球根系などが挙げられます。

茎にふわふわの細い毛が生えていたり茎が柔らかかったりする花は、水に浸かった部分が腐りやすいため、水は少なめにするのが長持ちのコツです。

ただし、チューリップやひまわりなどは水をよく吸う花であり、暑い時期に浅めの水で生けていると1日で花瓶の水が空っぽになってしまうことがあります。

そのため、こまめに花瓶をチェックし、水を替えるようにすると良いでしょう。

また、茎が柔らかい花はぬめりも出やすいので、水替えの際にはしっかり枝と花瓶についたぬめりも洗い流してください。

 

いろんな種類を混ぜて飾りたいとき

1つの種類の花を飾るときは、その花に合わせて水の量を調整すれば良いですが、花束などのいろんな種類が混ざっている花を飾りたいと考える人もいるでしょう。

その場合は、花瓶の1/3程度を目安に水を入れておくことがおすすめです。

花束は本数があり、花の頭のほうが重くなる傾向があるので、少ない水の量の場合だと不安定で倒れやすくなってしまいます。

枝ものやシャクヤクといった重さのある花が入っている場合は、安定感を出すために水を半分くらいまで足しても問題ありません。

また、さまざまな種類が混ざっているとぬめりが出るタイミングや茎の先が腐るタイミングが異なってくるため、1輪1輪よく観察しながら水替えを行うようにしましょう。

 

花を飾る際のポイントと注意点

花を飾る際、気をつけるべきポイントや注意点が存在します。

 

主に気をつけたいポイントと注意点は、以下の5つです。

  • 風通しの良い場所に飾る
  • 切り花に日光は必要ない
  • 電化製品の近くは注意
  • 枯れた花はすぐに捨てる
  • エチレンガスを放出する食べ物の近くは避ける

 

それぞれ具体的に解説します。

 

風通しの良い場所に飾る

花は飾る場所によって日持ちに差が出ます。

夏場は気温が高いため、クーラーの効いた涼しい部屋のほうが長持ちします。

しかし、クーラーの風が直接当たると葉や花びらから水分がどんどん蒸発してしまうので、風が直に当たらない場所を選びましょう。

 

一方で冬場は、暖房の効いた部屋に置いておくと成長がどんどん進み、枯れるのが早くなってしまいます。

そのため、冬の場合は暖房の届かない玄関などに置くのがおすすめです。

 

エアコンをそれほど使用しない春や秋の時期は、風通しが良く直射日光が当たらない場所が花にとって過ごしやすい環境といえます。

 

切り花に日光は必要ない

切り花は観葉植物とは違い、日光による光合成をすることはできません。

基本的に植物は光合成によって糖を作り出して成長していますが、根っこをなくした切り花では自分自身で糖を作り出すことは不可能です。

花を蕾から開花させたり、美しい状態を長く保ったりするためには糖が必要ですが、その際は栄養剤を使用すると良いでしょう。

また、切り花に直射日光が当たってしまうと葉や花びらが焼けてしまうため、直射日光の当たる窓際などは避けたほうが安心です。

 

電化製品の近くは注意

飾ることが多い電化製品ですが、花にとっては良い環境とはいえません。

使用中に熱くなる電化製品は熱を放出しており、その熱が花にとってストレスになってしまいます。

 

また、花は暗くなると葉の裏にある気功を閉じて休息する習性があります。

そのため、常に明るい照明が当たり続けるような場所に飾ってしまうと、花は休息することができません。

日中は明るく、夜は暗くなるような場所に置くことを意識しましょう。

 

枯れた花はすぐに捨てる

花瓶のなかで枯れた花や葉っぱを見つけたら、早めに摘み取ったり捨てたりするようにしましょう。

枯れた花からは、老化を促進するエチレンガスという物質が放出されます。

このエチレンガスは果物などを色付かせたり甘みを増したり、成熟させてくれるホルモンですが、別名老化ホルモンとも呼ばれており、花が枯れるのを早めてしまいます。

 

エチレンガスを放出する食べ物の近くは避ける

食べ物のなかにはエチレンガスを放出するものがあり、主にりんごやアボカド、桃、メロン、あんず、パパイヤなどが挙げられます。

これらの食べ物の近くに花を飾ると老化が促進されてしまい、あっという間に花が開ききって枯れてしまいます。

特にりんごは発生するエチレンガスが多いため、近くに花を飾るのは避けましょう。

 

また、キッチンの三角コーナー(生ごみ)もエチレンガスが発生することがあるため、その近くに飾るのもおすすめできません。

花のなかでも、カーネーションやバラ、スイートピー、カスミソウなどはエチレンガスの影響を受けやすいため、注意してください。

 

新鮮な花の選び方

どうせ選ぶなら新鮮な花を選びたいと考える人は多いのではないでしょうか。

 

新鮮で鮮度の良い花を見極める方法として、以下の4つが挙げられます。

  • 葉っぱがしゃきっとしてハリがある
  • 茎の切り口が新鮮
  • 蕾が少しふっくらした状態を選ぶ
  • 花のがく部分や裏側をチェックする

 

これらを意識することで、自身が求めている品質の花を手に入れられるようになるでしょう。

 

葉っぱがしゃきっとしてハリがある

野菜と同じように葉っぱがしゃきっとしていてハリがあり、青々としていれば花の鮮度が良いといえます。

一方で葉っぱに元気がなく、しんなりしているような花は鮮度が悪く、古くなった花の可能性があります。

 

茎の切り口が新鮮

花の切り口は、水を吸いあげるために大切な部分です。

その切り口を見て、黒く変色したりスカスカになっていたりするものは古い可能性が高いです。

導管がしっかり詰まって変色のないものを選びましょう。

 

蕾が少しふっくらした状態を選ぶ

開いた状態の花は美しいですが、蕾に比べると寿命は短くなってしまいます。

そのため、自宅で楽しむなら蕾がふっくらしてもうすぐ咲きそうになっているものを選びましょう。

一方、蕾が硬すぎるものは開かない可能性があり、できるだけ避けたほうが無難です。

 

花のがく部分や裏側をチェックする

がくとは、花びらを支えている部分のことであり、古いと黒ずんだり反り返ったりすることがあります。

古い花の場合、花の裏側の花びらから抜け落ちていく傾向にあり、正面から見たら元気そうに感じても、花の裏側の花びらはしんなりしている可能性があります。

そういった花は避け、がく部分も元気のある花を選ぶようにしましょう。

 

長持ちのコツを知って美しい状態を長く楽しもう

花は生き物であるため、お世話した分だけ日持ちが長くなります。

最初はお世話が難しく感じるかもしれませんが、飾った花をよく観察していると必要なケアが見えてきます。

正しい花のお世話方法やケア方法を知り、せっかく選んだとっておきの1輪やプレゼントでもらった大切な花束をより長く楽しめるようにしましょう。