プリザーブドフラワーの保存方法は?保存期間や長持ちさせるコツを紹介
鮮やかな色合いや生花の質感・形を長期間に渡って楽しむことができるプリザーブドフラワー。家での観賞用に購入したことがある、またプレゼントとして贈ったり贈られたりしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
しかし、プリザーブドフラワーの正しい保存方法について知らないという方も少なくありません。この記事では、プリザーブドフラワーとは何か、プリザーブドフラワーの保存方法、プリザーブドフラワーを長く保存するコツなどを解説します。
プリザーブドフラワーとは
プリザーブドフラワーとは、花の色や形を保ったまま、観賞用として長期間楽しめるようにした保存方法です。切り花の生き生きとした見た目をそのままに、3~5年、保存方法によってはそれ以上長い間、花を楽しむことができます。
生花がもっとも生き生きとして美しいときに色素を抜き取り、特殊な加工をして長期間の保存に耐えるようにします。そして着色して、生花そのもの、または独自の色味を付けたものがプリザーブドフラワーです。
生花そのものの形や質感を保ち、色はカラフルで鮮やかなものが多いです。ブーケとして花器に入った状態であったり、フラワーアレンジメントのようにまとめられ、透明ケース内に飾った状態で販売されているものが主流です。
ドライフラワーとの違い
ドライフラワーは花を自然に乾燥させ、花や茎、葉を枯れた(乾燥した)状態にして、長期間保存できるようにしたものです。生花を束にし、逆さに吊り、風などにあてて水分を自然に抜き乾燥させます。
生花のときとは色や質感なども変化しますが、その褪せた色合いや手触り、趣などに独自の魅力があり、世界中で愛好され広く利用されています。
インテリアで人気のジャンルであるシャビーシックな内装でも多様される花です。古びた歴史がある雰囲気、ナチュラルな雰囲気の演出にも使われます。ドライフラワーは、保存方法によっては10年前後楽しむことも可能です。
プリザーブドフラワーの保存期間
プリザーブドフラワーの基本的な寿命は大体5年前後とされています。しかし、湿気が少なく乾燥した地域ではなんと10年以上、もしくは半永久的に持つこともあるようです。
湿度が高く、夏にはかなり高温になることもある日本では、基本的に鮮やかな色を保ってくれるのは3,4年、長くて5年が美しく楽しめる目安となっています。しかし、日本でも温度・湿度・日当たりや場所、こまめなケアなど保存状態に気を付ければ5年以上持ってくれることもあるのです。
一方、保存方法を間違えるとあっという間に駄目にしてしまうこともあります。美しく華やかなプリザーブドフラワーを長く楽しむためにも、注意点、基本的なポイントを学んでおきましょう。
プリザーブドフラワーの保存方法
ここからは、プリザーブドフラワーの保存方法、飾り方をご紹介します。空間やインテリアを美しく引き立ててくれるプリザーブドフラワーは、花自体を繊細なアート作品のように飾ることもできます。見ているだけで華やかな気持ちになるおしゃれなデザインのものも多く出回っているプリザーブドフラワーは、どのように保存しながら飾るのが良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
ケースに入れる
特に一般的で簡単なのが、プリザーブドフラワーをケースに入れる方法です。お店で買った状態や贈り物としてもらった状態では、ラッピングとしてプラスチック製のクリアケースに入っているのが一般的なので、そのまま飾る方が多い傾向にあります。
プリザーブドフラワーは繊細で、なおかつ長期間飾るためホコリがつきやすい、そして価格もそれなりにするものが多いため、やはりケースに入れて飾るのは安心です。
最近ではガラス製のおしゃれなケースに最初からコーディネートされているプリザーブドフラワーも出回っていて、そのままインテリアにもなるため人気になっています。
壁に飾る
プリザーブドフラワーは、リース型のものが多く流通しており、壁に飾ってあるだけで空間を華やかに演出してくれます。人の目にも入りやすく、プリザーブドフラワーの魅力を十分に発揮させられますし、壁に飾ればインテリアとしても華やかになるでしょう。
リース型や壁掛けタイプのものをそのまま飾って質感や風合いを楽しむのも良いですが、やはりホコリや保存耐性が気になるという方は壁にかける額タイプのケースに入っているものを選ぶこともできます。壁に飾る場合は直射日光の当たる場所を避ける、エアコンの風が直接吹き付ける壁には飾らないなどの注意が必要です。
スワッグにする際の注意点
また、壁に飾る方法としては、スワッグも挙げられますが、スワッグにする際は優しく丁寧に扱うように注意しなければいけません。プリザーブドフラワーは非常に繊細で脆いため、乱暴に扱うと花がかけたりひび割れたりしてしまいます。くれぐれも慎重に扱いましょう。
スワッグにして飾る場合、高温多湿、直射日光が当たる環境は避けて飾りましょう。プリザーブドフラワーは湿度の高い環境や強い日光には弱く、色移り・液ダレ・退色などの原因となります。
プリザーブドフラワーを長く保存するコツ
美しさに惹かれて購入したもの、ギフトとしてもらったもの、オリジナルで作ったものなど、愛着のあるプリザーブドフラワーは長く楽しみたいものですよね。具体的にどのようにすれば長く保つことができるのでしょうか。ここでは、プリザーブドフラワーを長く保存するコツを紹介します。
高温多湿を避ける
基本的に、プリザーブドフラワーは高温多湿が苦手です。温度が上がりすぎたり湿度が高すぎたりすると、液ダレ、色移り、カビ、ひび割れなどのさまざまなトラブル発生の原因になります。
プリザーブドフラワーを長く保つのに理想的な状態は、置いてある部屋や空間を湿度65%以下、室温25度以下です。エアコンなどで温度、湿度管理をしっかりとすることが大切です。日本の夏はプリザーブドフラワーには少々厳しい季節であり、また梅雨の時期、急な台風の場合などは特に注意しましょう。
直射日光を避ける
高温多湿の次にプリザーブドフラワーの大敵になるのは直射日光です。プリザーブドフラワーの持ち味である生花そのものの鮮やかな色、もしくは自然の花には出せない華やかな色合いなどが、強い日光により退色し色褪せしてしまいます。一度色が褪せてしまうと、それを回復させることはできません。
壁やリビングなどに飾り、ついつい一日のうち強い日光が当たる時間帯もある場所などに置いてしまっているということはないでしょうか。明るい場所、みんなの目に入る場所などに美しいプリザーブドフラワーを置きたくなりますが、長く楽しむためにも、そこは日差しがどれくらい当たる場所なのかは注意して考えてみましょう。
急激な温度変化を避ける
もう一つプリザーブドフラワーにダメージを与えてしまうのが、急激な温度の変化です。急激に寒くなったり暑くなったりする環境に置いていると、プリザーブドフラワーはその鮮やかな色を変色させてしまいます。理想的な室温は18度~22度です。
リビングなど人が常にいる場所、集まる場所に置いてあげると急激な温度変化を避けられます。瑞々しく生き生きとした色、購入したときの色合いを保つために、また常に目に入るところで楽しむためにも人がたくさん出入りする、生活の中心の場に置いてあげると良いかもしれません。
プリザーブドフラワーにトラブルが起きた場合の対処法
高温多湿、日光、温度変化など、どんなに気を付けていても長期間保存しているとトラブルが起きてしまうこともあります。ここでは、さまざまなトラブルの予防・対処法を一つずつご紹介していきます。
ホコリが付いてしまった
プリザーブドフラワーは非常に繊細で、ホコリがついてしまったとしても極力触れないことが推奨されます。一度ついてしまったホコリを取り除きたい場合は、メイク用ブラシや絵画用の筆などの柔らかい筆状のもので優しくはらうか、ドライヤーの冷風を弱モードで当てて風で飛ばして取り除きましょう。
ホコリがつくのを防ぐためのもっとも簡単な方法は、やはりケースを利用することです。ただ、どうしてもケースなしで花の質感や存在感そのものを楽しみたいという場合もあると思います。その場合は、様子を見ながら優しく丁寧なホコリ取りを試してみましょう。
花びらが透明になってしまった
プリザーブドフラワーの花びらが透明・または半透明になっている場合は、置いている空間、部屋の湿度が高すぎることが考えられます。花が吸湿して湿ってくるとプリザーブドフラワーは透明や半透明の状態になります。
部屋の湿度の状態を確認し、除湿器を置くか風通しを良くするなどして湿度を下げましょう。半透明になっている場合、その範囲が小規模の場合は、これで数日置いて改善することがあります。もしくはドライヤーの弱の温風を優しく・花から離して・十秒程度そっとあてる、ケースに入っている場合はシリカゲル(乾燥剤)を入れて湿気を取り除きます。
花びらがひび割れてしまった
プリザーブドフラワーがひび割れたり、もしくは一部が欠けて破損してしまったりした場合は、残念ながらそのひび割れ自体を元のように修復することはできません。しかし、工夫次第でまだまだ可愛く美しく飾ることができます。
もしもひび割れ、欠けてしまった箇所を発見したら、きれいにカットしてあげましょう。前髪用バサミや眉切バサミなど丸みがあり小さなハサミがおすすめです。それぞれの花の形、花びらのカーブに合うように丁寧にカットします。直線のラインが出るとカットしたことが目立ってしまうので、カーブや丸みを付けることがポイントです。一部をきれいにカットすると、元のように素敵に飾ることができますよ。
衣服やカーテンに色移りしてしまった
プリザーブドフラワーの色が衣服やカーテンなどに一度移ってしまった場合、落とすのは難しいでしょう。プリザーブドフラワーに使用されている着色料は、除去をするのが難しい材料でできています。万が一ついてしまった場合は、即座にクリーニングに出しましょう。こうした厄介な事態を避けるためにも、予防が何よりも大切です。気温が上がって湿度が高まるとプリザーブドフラワーの着色料が流れ出て色移りしてしまうため、高温多湿の環境は避けるように注意しましょう。また、カーテンなど色移りしやすい布の上に飾らないようにすることも大切です。
カビが生えてしまった
プリザーブドフラワーに一度カビが生えてしまった場合、花びらや葉などカビがついてしまった部分を即座に摘み取り、廃棄します。カビも一度できてしまうとその部分を捨てるという方法しかなく、また放っておくと周囲にもカビが発生し花全体を駄目にしてしまいます。見つけた場合はその場で取り除くことが重要です。
温度・湿度に気を付ける、風通しを良くするといった基本のケアの他、ケース入りの場合はシリカゲルを入れる、全体や隠れている部分をこまめにチェックして多湿になっていないかどうかを調べるなどして、大敵・カビの発生を防ぎましょう。
水をあげてしまった
プリザーブドフラワーに水をあげるのは厳禁です。生花を特殊加工し着色しているため、水をあげると花にダメージを与えてしまいます。多くの場合はしわしわになってしぼむ・小さくなって固くなるといった状態になり、一度そうなってしまうと元には戻せません。
水やりをせずに長く楽しめるのが利点のプリザーブドフラワーなので、誤って水をあげてしまいわないように、プレゼントなどで贈る際には「これはプリザーブドフラワーである」こと、「水やりはしなくて良い・してはいけない」ことを相手に伝えてあげると親切かもしれません。
プリザーブドフラワーを購入するときのポイント
工夫次第でかなり保存期間・状態に差が出るのがプリザーブドフラワーです。購入する際にはやはり高温多湿・直射日光を避けるなど理想的に置ける・保存できる環境があるかイメージしてみましょう。
またケースについて考えておくことも大切です。もちろんケースに入れずにそのまま飾るのも素敵ですが、「ホコリの心配をしたくない」「少しでも長く楽しみたい」という希望があるのなら、最初から素敵なケースつきのものを選ぶとインテリアを邪魔せずに、ケース自体も一つの作品として楽しめます。
プレゼントで贈る際には、置く場所の条件や水をあげないなどの基本的な管理方法について、ぜひ相手に伝えてあげましょう。
プリザーブドフラワーを使ったさまざまなアレンジ
おしゃれなプリザーブドフラワーのアレンジ法はたくさんあります。もっともスタンダードなのはブーケ型ですが、花器にバスケットを使ってナチュラルな雰囲気を出したバスケット型、リース型、スワッグタイプ、木箱などのボックスに入れたものやフォトフレームや額縁に入れたものなど、種類はさまざまです。
他にも、色味も生花には出せないブラウンなどの色を強調したアレンジや、パールやぬいぐるみ、そしてドライフラワーと組み合わせたものなどもあります。100均などで簡易的な花材や材料などが手に入ることもあり、オリジナルでアレンジする方も多いようです。
プリザーブドフラワーはプレゼントにも最適
見た目の華やかさや高級感から、プリザーブドフラワーはプレゼント、オケージョンの贈り物としても贈りやすく、相手にも喜ばれます。水やりの必要がないため、貰った側はうれしいですよね。お祝い事などでも多く贈られるようです。また花びらや葉が落ちて掃除をする必要もなく、花粉の心配もないことから、近年ではお見舞いや仏壇へのお供えに使われることも多いようです。
お祝いのイベント
誕生日プレゼントにぴったりのプリザーブドフラワーが、祖母や母親などへの誕生日への贈り物にも喜ばれます。花好きの男性にあげるのも良いでしょう。お祝いの会や場を彩り、終わった後も長く楽しむことができます。
また、店舗などの開店祝い、結婚・出産祝いにもぴったりです。贈った相手が飾る場所(家やお店など)の雰囲気にあったカラーや花の種類のものを選ぶと、一層喜ばれるかもしれません。
花束を多く貰う機会があり、切り花・生花の管理に困っているという相手へのギフトとしても、ちょっと気の利いたものになるでしょう。
お見舞い
病院によっては生花持ち込み不可となっているところもあり、プリザーブドフラワーはかえってお見舞いに適した花といえるでしょう。水やりなどの世話をする必要がない点は、お見舞いの品としては大きなポイントです。病人・怪我人である本人や家族や世話をしている人の手間を省くことができます。加えてプリザーブドフラワーには花粉もなく、香りもありません。花粉アレルギーなどを発症する心配
がなく、入院している方が香りによって不快感を感じる・体調が悪くなるといった懸念もありません。安心して贈れるお見舞いの品です。少数ですが中にはプリザーブドフラワーの持ち込みを禁止している病院もあるため、念のため持ち込む前に病院・施設に確認をしましょう。
仏壇へのお供え
最近ではプリザーブドフラワーを仏壇へのお供え花として利用することもあります。日持ちがするため長い間供物として美しい姿を保ってくれ、その点ではプリザーブドフラワーはうってつけです。
花や葉が散らばることがなく、掃除の手間も省け、仏壇をきれいに保つことができます。お供えに生花ではなく造花を贈るなんて良いのか、生花でないといけない決まりがあるんじゃないのかと疑問に思われる方もいるかもしれません。
しかし供物として造花を捧げてはいけないという決まりはなく、大切なのは美しいもの、快いものを捧げ、手を合わせて祈る気持ちだとされています。
プリザーブドフラワーを適切に保存して長く楽しもう
工夫次第でいくらでも長く楽しめるのがプリザーブドフラワーの良いところです。美しいもの、気に入ったデザインや魅力のあるものを見つけたら、長く楽しみたくなるのが自然な気持ちですよね。気を付けるべきポイントは何点かありますが、気温や湿度などの環境条件は、プリザーブドフラワーにとって快適な環境と人間にとって快適な環境は近しいものがあるので、環境条件に気を付けるのはあまり難しいことではありません。
いくつかポイントを押さえていたら、生活の中で自然とケアできるようになりますよ。花と一緒に暮らす、生活するといった姿勢で、ぜひプリザーブドフラワーを長く楽しんでみましょう。