初心者必見の胡蝶蘭の育て方のポイントとは|育てる際のコツも解説
華やかで美しい花を咲かせる胡蝶蘭ですが、育てるのが難しそうと敬遠している方も多いのではないでしょうか。
実は初心者でも正しい育て方を知っていればきれいに花を咲かせることができるんです。
そこで今回は、初心者必見の胡蝶蘭の育て方のポイントを解説していきます。
コツを押さえて美しい胡蝶蘭を咲かせましょう。
初心者が知っておくべき胡蝶蘭の特徴
名前 | 胡蝶蘭 |
園芸分類/形態 | ラン/多年草 |
原産地 | 台湾・フィリピン・マレーシアなどの熱帯雨林 |
開花時期 | 不定期 |
花色 | 白・ピンク・黄色・青など |
耐寒性/耐暑性 | 低い/高い |
胡蝶蘭は一見育てていくのに難しそうなイメージがありますが、胡蝶蘭の特徴をしっかりと覚えておけば、初心者でも問題なく育てることができる植物です。
ここでは胡蝶蘭を育てるにあたって押さえておきたい大切な特徴2つを分かりやすく解説しています。
熱帯地方の植物
日本では幾重にも重なる白い花びらが優雅なイメージのある胡蝶蘭ですが、実はピンクや黄色、紫や青色といったカラフルな色の花弁を咲かせる植物です。
胡蝶蘭とは和名で、学名を「ファレノプシス」と言い、花弁がまるで蛾が止まっているように見えることから名づけられました。
ラン科の植物で、最初に発見されたのが東南アジアであり、高温多湿の熱帯・亜熱帯地域に多く自生しています。そのため、暑さには比較的強いですが、寒さや乾燥には弱いです。
また、直射日光に弱く、すぐに葉焼けをおこしてしまうので気を付けましょう。
半日蔭で風通しのいい温かな場所を好む植物です。
土に根を下ろさない着生植物
着生植物とは、土に直接根を下ろさず周囲の木や岩肌に根を下ろすタイプの植物のことをいいます。野生の胡蝶蘭は、ジャングルの木漏れ日の差す木のふもとに自生するものが多いです。
そのため、胡蝶蘭が植えてある鉢の中には、土ではなく水苔やバークと言った植え込み材を使用します。
分からないまま土に植え替えてしまうと、根っこが空気を取り入れることができずに、根腐れを起こし枯れてしまうので、注意しましょう。
胡蝶蘭を育てる際のコツ
胡蝶蘭の寿命は50年とも言われ、大変生命力の高い植物です。
育てるコツさえつかめば、自宅でも美しい姿を長く見せてくれるでしょう。
ここでは初心者が胡蝶蘭を選ぶ際に気を付けたいポイントや、元気な状態を保つために必要なことを2つ紹介します。
胡蝶蘭は葉に注目して選ぶ
胡蝶蘭の健康状態は、葉で知ることができます。そのため、胡蝶蘭の状態を知りたい場合は、以下の3点に着目してください。
- 葉っぱに艶があり、光沢が見られるか
- 厚みを帯びていてシワがないか
- 葉の枚数は多いか
胡蝶蘭の葉に、色の変化や異常がみられる場合は何らかの病気にかかっている場合が多いため、初心者が育てるには難しいです。必ず購入前に確認をするのはもちろん、育てている間も意識して観察するようにしましょう。
ラッピングは外しておく
胡蝶蘭はプレゼントや贈り物としてもよく選ばれるので、もらう機会も多いでしょう。
美しいラッピングが施されている場合が多く、そのまま飾っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、胡蝶蘭の生育にとってラッピングがされた状態が続くのはあまりよくありません。
ラッピングは一見美しいですが、鉢の中の様子が分からないですし、鉢の中が蒸れやすい環境に陥ってしまいまうためです。
鉢の中が蒸れた状態が続くと、根腐れを起こしてしまう可能性が高いので、頂いたらできるだけ早めにラッピングは取り外しましょう。
初心者必見!胡蝶蘭の育て方
ここでは初心者も怖がらずに胡蝶蘭を育てられるように、育て方のポイントを8つに分けてご紹介します。
- 置き場所
- 湿度・温度
- 水やり
- 用土・肥料
- 植え付け
- 剪定
- 増やし方
- 冬越し・夏越し
どれも育てる際に知っておきたい大切なことばかりですので、しっかりとチェックしておきましょう。それぞれの項目を詳しく解説していきます。
置き場所
胡蝶蘭を育てるには、まず置き場所を考えましょう。
胡蝶蘭は、熱帯地方で生育する植物のため、温かな気候を好みます。しかし、直射日光が当たる場所は、葉焼けの原因になるため好ましくないです。
また、胡蝶蘭の水分を調節する根が直射日光に当たると、根腐れになるおそれもあります。
このようなことから、胡蝶蘭は適度な暖かさと風通しのよい場所で育てるのがいいでしょう。直射日光を避ける場所が見当たらない場合は、明るい日陰でも問題ありません。
湿度・温度
高温多湿の熱帯地方で育つ胡蝶蘭は、寒さに弱いため、温度管理が大変重要です。
あまりに高い温度だとしおれてしまいますし、逆に低い温度では枯れてしまう原因になります。そのため室内では18℃から25℃に保つのが理想です。
また、湿度は60%〜80%に保つのがいいでしょう。
ただし、エアコンの風が直接当たると、乾燥して花が傷んでしまうので、置き場所には気を付けましょう。
水やり
胡蝶蘭の水やりの頻度は少なくて構いません。
季節や環境によっても異なりますが、一般的には1週間〜10日に1度程度で十分です。
特に次の3つのポイントに気を付けてください。
- 水苔が乾いてから水やりを行う
- 水やりのあと鉢皿に水が残っていないか確認をする
- 冬は冷たい水を使用しない
お花の多くは、毎日お水をあげる習慣があるので、胡蝶蘭にも心配でこまめに水やりをやる人も多いです。 しかし、根がずっと湿った状態は根腐れを起こす要因になるため、しっかりと植え込み材が乾いたのを確認したら水やりをしましょう。水やりは常温のお水が好ましいです。水やりのあとに受け皿に溜まったお水は、必ず捨てるようにしてください。
用土・肥料
胡蝶蘭には肥料は必要ありません。
しかし、花の付き方をもっとよくしたい、成長を促進させたいとお考えの方や花を二度咲きさせたいという方は、成長期の5〜9月の間に肥料を与えると良いでしょう。
肥料は市販されているラン用の液体肥料がおすすめです。規定量よりも薄めにして、1週間〜10日に1度水やりのかわりに行います。
与えすぎてしまうと、栄養が多すぎて健康を損ねる場合がありますので、注意しましょう。
植え付け
胡蝶蘭の植え付けは、2年に1度のペースで行うのがいいでしょう。
植え込み材として使用している水苔やバークは、最初に入れたままほったらかしていると古くなってカビが発生してしまう恐れがあります。
そのままにしておくと根腐れや病気の原因にもなりますので、定期的に新しいものに植え付けてあげましょう。
植え付けの時期は春から初夏にかけての暖かい時期が最適です。花が終わり、茎になってからの状態になってから行うようにします。また、作業は茎や根っこに傷を付けないようにできるだけ優しく行いましょう。
剪定
胡蝶蘭のお花を長く楽しみたいのであれば、剪定を行うことも必要です。剪用意するものは、清潔にした剪定用のハサミのみです。
剪定を行う時期は2回あります。
1回目は、咲き終わった花を摘む時です。
咲き終わって古くなった花をそのままにしておくと傷む原因になるため、早めに摘んでおきましょう。花首の位置で摘む必要がありますが、手では難しい場合にハサミを使用します。
2回目は花が半分以上咲き終わった時です。
1本の花茎に咲いている花が半分以上咲き終えたら行います。
この際、花茎を余計に傷つけないようにハサミで根元からスパッと切り落としましょう。
増やし方
胡蝶蘭は株分けで増やすことが可能です。
初心者にはやや難しい作業となりますが、ポイントを押さえておけばできないこともありません。ポイントは、植え替えと一緒に行うことです。
植え替えの際に、株分けを行う分の鉢や植え込み材を用意しておけば問題なく行えるでしょう。植え替え方法については後ほど詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。
冬越し・夏越し
胡蝶蘭は温かい地域に自生する植物なので、夏場の高温と冬場の寒さは大敵です。
そのため、以下の4つのポイントを押さえてしっかりと冬越し・夏越しをさせましょう。
- 温度管理を徹底する~20℃前後の場所で過ごさせる
- 冬場の冷える夜間は、ダンボールやビニール袋などを使って寒さや乾燥から守る
- 乾燥時期は、加湿器や葉水を与えて湿度を保つ
- 肥料や過度な水やりに気を付ける
冬場は思わぬところで冷えを与えてしまう場合があります。日光の光を集めたくて窓際に置いて管理をすると、朝晩の気温差で胡蝶蘭が駄目になってしまうことも多いです。
胡蝶蘭の植え替え方法
胡蝶蘭は1株に1茎の花を咲かせる植物です。
しかし生育がうまくいった場合や、親株が弱ってきた場合などに子株が発生することがあります。
この子株を株分けすることで胡蝶蘭を増やすことができます。
子株の株分けには植え替え作業が必要です。
初心者には難しい場合もありますが、手順をしっかり押さえておけばやれないこともありません。
子株を見つけたらぜひ植え替えにチャレンジしてみてください。
ここでは、
- 時期
- 必要な道具
- 手順
- アフターケア
の4点を順に解説していますので、ご覧ください。
時期
胡蝶蘭の植え替え時期は、主に4~6月です。
胡蝶蘭が元気に育っている時期なので、植え替え作業を安心して行えます。
また、胡蝶蘭の花が終わる7~9月の時期を植え替え時期として選ぶのもいいでしょう。
気温は胡蝶蘭の生育に適した20℃が目安です。
しかし、胡蝶蘭に病気が見つかった時や、根腐れを起こしているなどのトラブルが発生した場合は、早急に対応が必要となります。
その場合はできるだけ温かい環境で行いましょう。
また、病気やトラブル、子株の有無に関わらず、基本的には植え替えは定期的に行う必要があります。
植え込み材の劣化などが原因で、胡蝶蘭の生育がうまくいかなくなることもあるため、2〜3年に1度は植え替えを行うようにしましょう。
必要な道具
胡蝶蘭の植え替えに必要な道具は以下の6つです。
- 植え替え用の鉢(通気性のいいもの)
- 植え込み材(水苔やバーク)
- ハサミ
- ピンセット
- 植え替え用のスプーンやスコップ(移植ごて)
- 消毒用アルコール
植え替え用の鉢は、通気性のいい素焼きのものがおすすめです。
サイズは株に対して小さめのものを選びましょう。
ハサミやピンセット、植え替えに使用するスプーンやスコップはあらかじめ消毒用アルコールなどで清潔にしておきます。
胡蝶蘭の植え替えの際に雑菌によって病気が発生するのを防ぐためです。
植え込み材は使いやすいものを選びましょう。
手順
胡蝶蘭の植え替えは以下の手順で行います。
- 鉢から株を抜いて、植え込み材をすべて取り除く
- 根っこをチェックし、傷んでいるものはハサミでカットして取り除く
- 子株がある場合は、親株から子株を切り落とし、別の鉢に植え替える
- 病気や根腐れを起こしている部分をハサミでカットして取り除く
- 植え込み材が水苔の場合、根っこを水苔に巻き付けて鉢に入れる
- 植え込み材がバークの場合、鉢の2分目までバークを入れたら、株を入れ、その後、根っこや茎をバークで覆うように敷き詰める
アフターケア
胡蝶蘭は植え替えた後、10日〜2週間程度を目安にして、風通しのいい半日蔭の場所に置いて様子を見ましょう。
その間は水やりや肥料を与えることはしません。
やりすぎてしまうと根っこがねつかなくなってしまったり、株を弱らせてしまう恐れがあるからです。
また、胡蝶蘭は植え替えを行った際、一時的に弱くなります
そのため害虫や病気などにかかりやすい状態になってしまうので、しっかりと様子を見てあげましょう。2週間経ったら、通常の生育に戻して育ててください。
胡蝶蘭に異常があるときは注意
胡蝶蘭を生育していると、さまざまなトラブルに見舞われる場合があります。
そんな時に慌てずに適切な対処法を知っていれば、美しい胡蝶蘭の花を長く楽しむことができるでしょう。
そこでここでは、胡蝶蘭に異常がある時の注意点やその対処法についてまとめています。
胡蝶蘭に起こりうる異常は以下の4つです。
- 葉や花が変色している
- 葉に斑点ができている
- 花がすぐ枯れてしまう
- 鉢の周りに虫がいる
それぞれの対処法を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
葉や花が変色している
葉に元気がなくしおれている場合は根腐れを疑いましょう。
根腐れした部分をハサミで取り除けば問題ありません。
また、葉が黒ずんでいたり、白くなっている部分を見つけたら葉焼けを起こしています。
葉焼けした部分は元に戻らず病気の元になるので、ハサミで剪定しましょう。
葉が黄色くなったり、無色透明の部分が現れた場合は、細菌性軟腐病と言われる病気です。見つけたらすぐに薬を塗ることで治ることもありますが、進行が早いため間に合わない場合も多いです。
葉に斑点ができている
葉に黒や褐色の斑点が現れたら、真菌性軟腐病にかかっています。
この病気は進行性が比較的遅いので、見つけ次第、斑点が現れた部分の葉が出ている株をカットし、薬を塗布して対処します。
病気が進行すると、葉に栄養がいきわたらなくなるため、鉢全体が枯れてしまうこともありますので、早めの対処が必要です。
また、感染力が高く他の鉢にも病気がうつる可能性があるため、別の場所へ移す必要があります。
花がすぐ枯れてしまう
胡蝶蘭の花が枯れてしまうのは、水のやりすぎが原因です。
水のやりすぎによって、根腐れが起こるため、花がすぐに枯れてしまいます。
水やりの際は、表面の水苔が乾いているかどうかだけではなく、鉢やポットの中の水苔の状態もしっかりとチェックしましょう。
また、鉢受け皿に水が残ったままの場合も、根腐れを起こしやすいので注意が必要です。
鉢の周りに虫がいる
胡蝶蘭を屋外に置いている場合によく見かけるのがナメクジです。
ナメクジはほうっておくと胡蝶蘭を食べつくしてしまうので、見つけ次第駆除する必要があります。
また、コバエが発生している場合は、根腐れを起こしている可能性が高いです。
胡蝶蘭の状態をチェックし、根腐れを起こしていたら早めに対処しましょう。
他にもアリやアブラムシ、ダニやカイガラムシなどが代表的な害虫です。
それぞれに合った薬剤がありますので、適切な処理方法で迅速に対応しましょう。
胡蝶蘭の育て方に関する初心者からのよくある質問
ここでは胡蝶蘭の育て方に関する初心者からのよくある質問を2つ紹介します。
胡蝶蘭の生育がうまくいき、慣れてきたら挑戦したい二度咲きの方法の解説と、残念ながら生育がうまくいかず枯れてしまった場合の処分方法についてです。
どちらも胡蝶蘭を生育する上で必要となる知識ですので、しっかりチェックしておきましょう。
胡蝶蘭を二度咲きさせる方法は?
実は胡蝶蘭は大変生命力のある植物なので、生育方法が間違ってなければ二度咲きを楽しむことができます。
やり方は、開花を終えた花茎の茎下2節目を残した少し上部分をカットします。
花茎を残すことで、再び花芽が伸び、二度目の開花を楽しむことができるのです。
ただし、胡蝶蘭の二度咲きは難易度が高いと言われています。
湿度や温度を徹底的に管理し、ぜひ二度咲きに挑戦してみてください。
枯れた胡蝶蘭の処分方法は?
せっかくお世話をしていても、うまくいかずに枯れてしまう場合もあります。
枯れてしまった胡蝶蘭はどのように処分すればいいのでしょうか。
まず根っこや茎が本当に枯れてしまったかどうかをチェックしましょう。
1枚でも元気な葉っぱが出ていれば、完全に枯れてしまったわけではないので、その部分だけ切り取って植え替えてあげれば、またきれいな花を咲かせてくれる可能性もあります。
しかし根っこや茎が黒く干からびているような状態なら、もう枯れてしまっているでしょう。
その場合は、株から根っこや茎を切り落とし、土や鉢、支柱などに分けて、地域のゴミの分別ルールに従ってゴミとして出しましょう。
胡蝶蘭は初心者でも育てられる!
胡蝶蘭は育て方をしっかり把握しておけば、初心者でも育てることができます。
美しい外見や特殊な鉢植え方法から、初心者には難しいと感じがちな胡蝶蘭ですが、正しい生育方法を知り、実践することが大切です。
あとは胡蝶蘭に合った環境を作ってあげることができれば、長い間きれいな花を楽しむことができますよ。
上手に育てて株分けできれば、大切な人にプレゼントすることも可能です。ぜひ胡蝶蘭の生育にチャレンジしてみてください。