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シクラメンの育て方・お手入れ方法を分かりやすく解説

公園の花壇などで目にする機会も多いシクラメンは、ピンクや赤、白などの明るい可愛らしい色を咲かせるので、見ているだけで明るい気持ちにさせてくれます。そんなシクラメンは小ぶりなので育てやすく、お部屋のインテリアとしても活躍してくれる花です。

この記事では、家を華やかにするためにシクラメンを育てたい、シクラメンの綺麗に育てる方法を知りたいという方のために、シクラメンの基本情報、育て方、お手入れ方法などを詳しく解説していきます。ぜひ記事を最後までご覧ください。 

シクラメンの基本情報

シクラメンは、サクラソウ科シクラメン属に属する多年草の球根植物の総称です。赤やピンクなどの明るく鮮やかで可愛らしい色合いと、炎のように燃え盛った花姿が特徴的です。原産は地中海地方で、10月〜3月という長い期間開花します。

シクラメンには、原種シクラメン、室内栽培品種、屋外斎場品種があり、場所に応じた品種が育てられることが多いです。屋内で育てたい、庭で育てたいなど、置き場所に合わせた品種を選んで育てると良いでしょう。ここでは、それぞれの品種について解説していきます。

原種

原種シクラメンは品種改良されていない野生種のことで、20種以上が存在しています。地中海に近い、ヨーロッパ〜イラン、アフリカ北部を中心に分布している品種です。花や葉が小ぶりで、花後に実をつけると茎がクルクルとサイクル状に巻く姿から、この花の名前が付けられたとされています。品種によって咲く時期が異なり、春咲き、秋咲き、冬咲きがあります。葉の雰囲気にも個性が出るので、違いを見比べてみるのも面白いでしょう。 

室内栽培品種

名前の通り室内栽培に適した品種で、華やかで豪華な大鉢からミニシクラメンと呼ばれる小型の品種まで、バリエーションも豊富です。花の色や咲き方も花によってさまざまな上に、毎年のように新たな品種が作られています。

大型のシクラメンは、花が咲くことが少ない冬に大ぶりな花をたくさん咲かせることから、「冬の鉢花の女王」とも言われています。その豪華で美しい姿から、プレゼントの花としても選ばれることが多い人気の花です。

クリスマスの花としても人気があるため、クリスマスの飾り付けの花にお悩みの方は大型のシクラメンを飾るのもおすすめです。 

屋外斎場品種

シクラメンの中でも特に寒さに強い花を選抜し、交配して作られた品種です。耐寒性があるので、南関東などでは地植えや寄せ植えに使うこともできます。

しかし、品種にもよりますが、耐寒性は0度〜-5度くらいまでとされているため、寒冷地では冬越しに工夫が必要な場合があります。また、少しでも寒さに慣らしてから冬を迎えたほうが育ちやすいので、植え付けなどは晩秋に行ったほうが良いです。

寒いところでも育つ屋外向けのシクラメンは、庭の花が少ない冬の寂しい時期に、庭を明るい色で染め上げてくれるでしょう。 

シクラメンの育て方

品種が多く、置き場所などにも違いがあるシクラメンは、それぞれどのように育てれば良いのでしょうか。ここでは、シクラメンの育て方について解説していきます。品種によって手を加えるポイントや注意点が異なることもあるので、自分が育てたいシクラメンはどのように育てたら良いのかを知るために、ぜひ参考にしてみてください。 

置き場所

シクラメンの置き場所は、基本的に暖かく日当たりの良い場所が良いです。室内栽培品種は最低気温が10度以上の環境に置き、夜間の気温が下がるときは、温度差が下がる窓側などを避けて室内中央に置くなどの工夫をしてください。

20度程度の環境に置くことで、花持ちが良くなります。常に25度を越える暖かすぎる環境に置いていると、茎が徒長して花の寿命を短くしてしまうので注意してください。

また、屋外栽培品種は夜間凍らないような場所で管理します。開花する冬の時期には暖かい火が当たり、夏の暑い時期には落葉樹が強い直射日光を遮ってくれる場所などがあれば、最適な場所と言えるでしょう。 

水やり

球根や葉、花に水がかかると腐る原因になるので、水やりをする際は必ず地際からあげるようにしましょう。

鉢植えの場合は、土の表面が白っぽく乾いてからたっぷりと与えます。このときも、花や球根の上部、カゴや受け皿に水を溜めたままの状態にしていると、根腐れの原因になるので気を付けてください。

また、水を吸い上げる底面吸水鉢を使用している場合は、鉢の底に常に水が溜まっている状態を保つようにしましょう。水を切らさないよう、くれぐれも注意してください。 

用土・肥料

シクラメンは水はけの良い環境を好むので、培養土に1割程度赤玉土を混ぜ込んで、根腐れ防止用に軽酸白土を少々混ぜ込んだ土を使います。シクラメンは長期間にかけて開花するため、肥料が多く必要になります。 

咲くまでも大切ですが、開花中の肥料はとても重要です。特に室内で管理する場合は、肥料をやることでより葉や花が増えて、長く楽しめます。1週間~10日に1度ほどの頻度で、液体肥料を1000倍に薄めたものを水やりの際に与えると良いでしょう。  

剪定

剪定と言うと木の枝部を切って整えるイメージがありますが、シクラメンの剪定は花を摘み取って整えることを言います。咲き終わった花を摘み取って整えるのです。

剪定の際には、花だけでなく、葉も黄色く枯れてきたら株元から摘み取ってください。 そのままにしておくと新しい花が咲いてこないので、こまめに摘み取ることが大切です。また、剪定とほぼ同様の「葉組み」というものもあります。葉組みについては、後述の「シクラメンの花や葉のお手入れ方法」で詳しく紹介するので、そちらも確認してみてください。 

植え替え

シクラメンを同じ鉢に植えっぱなしにしていると、根鉢がつまり、生育が停滞してしまうことがあります。そのため、シクラメンの株をできるだけ元気に長持ちさせる方法として、植え替えが重要なのです。

シクラメンの植え替えは、夏を越した時期に一回り大きな鉢に植え替えます。少し涼しくなった9月後半から10月頃がベストシーズンです。 

増やし方

シクラメンは球根植物として広く知られています。しかし、シクラメンの球根部分は茎が肥大化して球根状になったものなので、一般的な球根植物のように、球根が分かれるタイプの球根植物とは構造や性質が異なるのです。球根が分球しないので、子球を分けて増やすことができません。

増やす際には、種から育てると良いでしょう。同じ形質のものは得られませんが、開花時に好みの株を2株用意して人工授粉を行えば、結実して3~4か月で種がとれます。採取した種は冷暗所で保管し、11月頃にまいてください。 

シクラメンの花や葉のお手入れ方法

シクラメンは、自らの力でも綺麗に咲くことができますが、手を加えることでさらに美しく花が開くようになります。シクラメンの花や葉のお手入れは、その後の開花具合や生長に大きな影響を与えるので、自分でシクラメンを育てたいという人のために、ここで詳しくご紹介させていただきます。 

花がら摘み

花を長く楽しむのに大切なのが、咲き終わった花がらをマメに摘み取る花がら摘みです。

シクラメンの花がらを摘むときは、茎の根元に近い部分をつかみ、ひねるようにして引っ張って取りましょう。土に近いところで切るため、はさみを使うと雑菌が入って病気になりやすくなるのです。病気のリスクを軽減させるために、花がら摘みをする場合は手で摘んでください。

また、花がら摘みせずにそのまま放っておくと、種をつけようとして、他の花が小さくなったり蕾が育ちにくくなったりしてしまいます。その状態がずっと続くと、シクラメンの開花時期のはずなのに花が咲か無くなってしまったり、株が弱りきって枯れてしまったりなんてこともあります。枯れた葉も同様に取ると良いでしょう。 

葉組み 

葉組みとは、文字通り葉を組み替えていく特有のお手入れ方法です。球根の頂部にある芽に日光を当てて生育を促進し、さらに花を中央に集めることで株姿を整えるという目的で行います。

シクラメンは葉組みをすると葉がドーム状になり、花が中央に集まって咲く上に、球根の頭頂部に日光が当たるので花芽が育ちやすくなります。この葉組み作業は、育ちやすく葉の増える秋に行います。また、開花中も随時行うと、形良く小さな蕾まで咲くようになるしょう。

夏や冬のシクラメンの育て方

シクラメンは、季節ごとに適したお手入れをすることでより生長しやすくなり、美しい花を咲かせるようになります。ここでは、そんなシクラメンの夏や冬の時期にする育て方をご紹介します。 

夏越し

シクラメンは夏の暑さに弱く、5月頃に葉が枯れて休眠状態になることが多いです。しかし、寒冷地や涼しい場所に置いている株は休眠せずに夏を越します。夏越しは方法によって若干管理の方法が異なりますし、開花の具合も変わってきます。夏越しで休暇させるか、休暇させずに育てるか、それぞれの方法を見ていきましょう。 

休暇させる方法

梅雨の時期になると、シクラメンの花は無くなり、葉や茎もほぼ無くなります。花後は、残っている葉っぱを根本からカットし、徐々に水を減らして最後はカラカラに乾かしましょう。

7月になったら、水も肥料も一切与えない状態のまま、風通しの良い日陰で雨が当たらない場所に移動させてください。そのまま8月も過ごしていきます。シクラメンは球根植物です。休眠期には葉や茎、花は枯れてしまっていますが、球根だけは土の中で生きています。  

休暇させない方法

休暇させずに夏越しをする場合は、花が咲き終わったら、風通しの良い半日陰の場所に置いて管理をします。シクラメンは暑さが苦手なので、できるだけ涼しいところに置きましょう。

水のやりすぎによる過湿や病気に注意しながら枯れた花や葉を摘み取って、元気な葉だけが残るようにしましょう。元気な葉が残らず、茎や葉が枯れてしまった場合は、ドライタイプでの夏越しを行いましょう。水やりは通常通り行い、肥料は薄めの液体肥料を月に1回施すのがおすすめです。 

冬越し

シクラメンは冬に咲く花ですが、耐寒性が強いわけではありません。地植えをすると、寒さに耐えられず枯れてしまうこともあります。特に、霜が降りやすい寒い地域は冬越しが少し厳しいかもしれません。そのため、基本的には鉢植えにして、真冬の間は室内に取り込むのがおすすめです。

室内管理の際に注意したいのが、暖房の設定温度です。シクラメンは暑さにも弱いため、暖かすぎる環境も苦手としています。できるだけ20℃以下を保てる日当たりの良い場所へ置いて冬越しをしましょう。 

シクラメンがかかりやすい病気・病害虫

植物を育てる中で、悩みの種になるのが病気や病害虫です。植物によってかかりやすい病気や病害虫はさまざまなので対処が大変ですが、シクラメンがかかりやすい病気・病害虫を事前に把握して対策法を頭に入れておけば、いざというときに慌てる心配もありません。ここでは、シクラメンがかかりやすい病気・病害虫と対策方法について見ていきましょう。 

病気

植物の病気にはさまざまな種類がありますが、その中でも特にシクラメンがかかりやすい病気は、灰色カビ病、軟腐病などです。これはシクラメンのみならず、植物では時折見られる病気です。ここでは、シクラメンがかかりやすい病気について、詳しく解説していきます。

灰色カビ病

灰色カビ病は、カビ(糸状菌)が原因の病気で、灰色の粉(分生子)が生じます。花びらや蕾にシミができたり、葉が黒く変色して枯れたようになったりする症状が見られます。過湿だと発病しやすいため、密植を避けて、日当たり・風通しのいい場所で管理しましょう。水やり・降雨によっても発病が広がるため、症状の出た花びらや花がら、カビの生えた葉は早めに取り除いてください。 

軟腐病

軟腐病は主に、害虫の食害痕や管理作業でできる傷口が、雨風等による土や降雨による土粒の水の跳ね上がりなどに触れることで感染します。発病すると地面に接する葉柄が水浸状に褐変し、外側の葉は水分を失ってしおれ、症状が進むと発病部分が軟化腐敗します。

この病気は、葉が黄化し、根頭部は外葉からしおれ、株全体がしおれて引き抜けやすいです。 葉身では水浸状の小病斑が拡大し、半透明・油浸状になりますが、やがて全体が軟腐します。 

病害虫

ここからは、シクラメンに付きやすい病害虫としては、アブラムシを始め、ハダニ、シクラメンホコリダニなどが挙げられます。それぞれどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう 

アブラムシ

アブラムシは、さまざまな植物で悩みの種となる害虫で、シクラメンにもつくことが多いです。特にシクラメンにつきやすいのは、モモアカアブラムシやワタアブラムシという種類のアブラムシです。

もちろん、この2種類のアブラムシしかつかないということはなく、他のアブラムシもつくことがあります。アブラムシの主な発生時期は春と秋となっていますが、先ほど例として挙げたモモアカアブラムシは低温でも発生しやすい種類です。夏の虫が多い時期だけを警戒するのではなく、年間を通して注意する必要があります。 

ハダニ

ハダニ科またはハダニ科の中で最も広く知られている一種で、一般的に害虫と見なされている植物を摂食するダニです。ハダニは梅雨明けから夏にかけて発生しやすく、葉の裏側に寄生します。

ハダニに吸われた部分は葉の葉緑素が無くなり、白いカスリ状の斑点となります。被害が進行していくと葉色が悪くなり、草花や野菜は落葉して枯れることもあるほどです。庭木などで枯れることはほとんどありませんが、生育が悪くなり葉色もさえないため、美観が損なわれます。 

シクラメンホコリダニ

シクラメンホコリダニは、シクラメンで最もよく見つかるハダニです。ホコリダニ類に属する体長0.5 mmほどの大変小さなハダニで、シクラメンにとって非常に大きな危害を加える害虫の1つとされています

生殖周期が非常に速く、特に速い夏などは温室内に蔓延して危害を及ぼす可能性が高いです。シクラメンホコリダニは、その生理学的必要性から株の湿った部分に生息します。初期には外見的な症状が現れませんが、株がまだ若い時点から急速に蔓延していきます。定期的に薬剤防除を行ってください。 

シクラメンの育て方に関するよくある疑問

シクラメンの育て方や特徴、注意点についてご紹介しましたが、シクラメンについての理解は深まったでしょうか。ここまで、さまざまな詳細をご紹介いたしましたが、最後によくある疑問とその回答について詳しく解説していきます。

花が咲き終わったら?

球根植物のシクラメンは10月から3月くらいにかけて開花をしますが、花が先終わった後は夏越しで休暇させるか、休暇させないかのどちらかの方法を選択してください。上記で解説した、休暇させる方法、休暇させない方法を元に取り組みましょう。

休暇させる場合はお水を徐々に減らしていき、最後は乾燥させて葉が出ないようにします。休暇をさせない場合は、土が乾いたら水をあげて、半日陰において、そのまま成長を見てあげると良いでしょう。 

花が開花しないときの対処法は?

シクラメンの花が開花しない原因としては、日当たり、置き場所、水やりの仕方、温度管理、土の栄養の状態などが考えられます。シクラメンの花をたくさん咲かせるには、時期に合った方法で日光を当てることが大切です。

春や秋、冬は、鉢を日向に出して、日光にたくさん当ててあげましょう。また、シクラメンは球根植物で土の栄養の吸収力も強いため、肥料をしっかりと入れて土の状態を整えてあげることで、花を咲かせるためのエネルギーがアップします。 

まとめ

秋から春先にかけて美しく咲くシクラメンの花は、長い期間、開花を楽しめます。そんなシクラメンをより美しく開花させるためには、暖かく日当たりの良い場所に置き、地際から水やりをするのがポイントです。

より綺麗に育てるためには、花がら摘みや葉組みなどのお手入れをするのが重要な点と言えます。これからシクラメンを育てようとご検討中の方は、ぜひ記事を参考に綺麗な花を咲かせてみてください。