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蝋梅(ロウバイ)とは?特徴や種類、育て方まで詳しく解説

蝋梅(ロウバイ)は、寒い冬の時期に、梅に似た黄色い花を咲かせるのが特徴の落葉樹です。香りが良く、風に乗ってふんわりと香る匂いは心を和ませてくれます。名前の由来や花言葉なども奥深く、蝋梅のことを詳しく知るほどより花を見る楽しさが増すでしょう。

今回は、そんな蝋梅の特徴や種類、育て方などを詳しく解説していきます。蝋梅について興味がある、蝋梅を育ててみたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

蝋梅の基本情報

蝋梅は、クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属に属する中国原産の落葉樹です。原産は中国で、日本に伝来したのは江戸時代とされています。

蝋梅は12月頃から咲き始め、最も遅いもので2月に咲きます。梅に似た黄色い花を咲かせるのが特徴で、花の美しさだけでなく香りも特徴的です。甘い果物のような香りを放ち、蝋梅の開花と香りがすると春が近づいている知らせとも言われています。 

名前の由来 

厳寒期に半透明の黄色い花を咲かせる蝋梅は、光沢のある花びらがまるで蝋で作られた梅の花のように見えることから、蝋梅(ロウバイ)と名付けられました。

和名のロウバイの語源は、漢名の蠟梅の音読みとされています。その由来は、一説では、陰暦の12月にあたる朧月(ろうげつ)にウメの香りの花を咲かせるためだと言われています。また、蝋梅は別名唐梅(カラウメ)とも呼ばれ、その名の通り中国が原産です。 中国原産の植物ということもあり、蝋梅の種類ごとに漢字で意味を示す名前が付けられています。

花言葉 

蝋梅の花言葉には、「先導」「先見」「優しい心」「愛情」「慈愛」「慈しみ」「ゆかしさ」などがあります。それぞれ由来がありますが、ここでは数種類ある中から一部を見ていきましょう。

寒い時期に開花している植物は少なく春に咲く花が多いため、12月〜2月に開花する蝋梅は、他の植物よりも一足早く開花するという印象になります。このことから、先導や先見を意味する花言葉になっているのです。

また、寒い時期に咲く花と甘い香りが人々を癒すことから、慈愛や愛情を意味します。最後にゆかしさは、蝋梅の下向きの花の奥ゆかしい表情から名付けられたとされています。 

蝋梅(ロウバイ)の特徴

蝋梅は梅に似ていますが、蝋のような光沢感と明るい黄色が特徴的です。遠目に見ると明るい黄色が目立ちますが、実は中心は濃い紫色をしています。花が咲き終わった後に葉が芽吹き、また9月頃に実をつけ、長い間その実を木に付けているのも蝋梅の特徴の1つです。

また、原産国の中国では、蝋梅の花や蕾を薬として使用しているとされています。

蝋梅(ロウバイ)の実 

蝋梅は9月頃に実をつけます。実を長く付ける特徴があり、冬の花期になって葉が落ちても、実だけ付いていることもあるようです。

9月ごろ蝋梅の実は緑色の梅のような見た目をしていますが、その後は茶褐色に変色します。蝋梅の身の中にある種子には、アルカロイドという強い毒素が含まれているため、無闇に触れないようにしましょう。誤って摂取すると、最悪の場合心臓麻痺で死に至ることもあるので、間違っても食べたりしないようにしてください。

蝋梅(ロウバイ)の葉 

蝋梅の葉は、長さは約5cm〜29cm、幅は約2cm〜12cm程の長楕円形で、先は尖っており、基のほうはくさび型をしています。葉序は対生になっており、先が次第に細くなります。

全縁で質感は新葉の頃はやや薄い紙のようですが、成長した葉は表面にざらつきがあり、大きな葉なら研磨用に使うことができるほどです。普段は鮮やかな緑色の葉をしていますが、晩秋には黄色に紅葉し、その眺めはとても美しく、秋の紅葉を楽しませてくれます。 

蝋梅(ロウバイ)の香り 

蝋梅は甘い香りが特徴です。スイセン、ヒヤシンスに似た香りと言われることが多いですが、果物やイランイランの香りにも似ていると言われています。

蝋梅の香りの成分は、シネオール、リナロール、ボルネオールが主です。シネオールはハッカのようなさっぱりとした香りをしています。リナノールはラベンダーやスズランの精油に含まれる成分です。香りは脳を刺激し、神経をリラックスさせる作用があります。このことから、蝋梅も私達人間にさまざまな作用を与えてくれると考えられているのです。 

蝋梅(ロウバイ)と梅との違い 

蝋梅は名前に「梅」が付くことから、梅と同じ種類と思われる人も少なくありませんが、梅とは別の植物です。蝋梅はクスノキ目ロウバイ科ロウバイ属の落葉広葉樹の花木ですが、梅はバラ科サクラ属の落葉高木です。

見た目からしても、梅は桃色や紅色、白色の花を2月〜3月の間に開花しますが、蝋梅は黄色の蝋でコーティングした艶やかな花を12月〜2月の間に咲かせます。花の形は似ていますが、実際は全く異なる植物です。 

蝋梅(ロウバイ)の種類

蝋梅にはさまざまな品種があります。花の特徴が異なるだけでなく、名前にもそれぞれ意味や由来があるため、由来からチェックしてみるととても興味深いです。ここでは、主な種類として、下記の5種類について見ていきましょう。

  • 素心蝋梅
  • 満月蝋梅
  • 福寿蝋梅
  • 実生蝋梅
  • 和蝋梅

種類ごとに特徴をご紹介いたします。順番に見ていきましょう。

素心蝋梅

素心蝋梅(ソシンロウバイ)は、通常の蝋梅のように花の中心に紫褐色が入っておらず、透き通るような黄色一色です。その紫褐色の斑が入らない姿から、素心の名前が付けられました。

1月より花が咲き、満月蝋梅に続いて開花します。花弁が剣弁で、花の大きさは他に比べるとやや大きめです。香りも他の品種に比べると主張が強く、はっきりとした香りを放ちます。見た目や香りからしても華やかな蝋梅の品種です。 

満月蝋梅

満月蝋梅(マンゲツロウバイ)は、花の中心に紫褐色の輪が入り、その輪が満月に見えることから満月蝋梅と名付けられました。早咲きが特徴的で、12月末頃から開花しており、お正月頃にも咲いています。

花弁が丸弁で花色が濃く、香りが良いのが特徴です。最近は紫褐色の輪がなくても、丸弁で色の濃いものを満月蝋梅として市場で置かれていることも多くなっています。また、満月蝋梅は素心蝋梅の実生から選別されたと言われています。 

福寿蝋梅

福寿蝋梅(フクジュロウバイ)は、福寿草のような鮮やかな黄色の花をした蝋梅です。花弁の重なりにボリュームがあり、小さな花でも豪華さがあります。香りはそれほど強くありませんが、蘭に似た香りがするのが特徴です。

全体的にほぼ黄色の花を咲かせるので、満月蝋梅とも似ていますが、花びらの形が満月蝋梅に比べて細く花の中心に輪がないので、そういった点から見分けると良いでしょう。名前からして縁起の良い蝋梅です。 

実生蝋梅

実生蝋梅(ミショウロウバイ)は、一般的な読み方としては「ミショウ」ですが、「ミセイ」と読まれることもあります。種を蒔いて育てる繁殖法で育てられた蝋梅であることが名前の由来です。挿し木や接ぎ木などで育てるのは実生とは呼びません。

種蒔きの時期は花が終わった3月の間です。ただ、蝋梅は落葉樹広葉樹なので、芽が出て花が咲くまでに5〜10年ほどはかかるでしょう。 

和蝋梅

和蝋梅(ワロウバイ)は基本種のことです。蝋梅が日本に渡って来たのは江戸時代1600年代頃で、その後から日本でも盛んに広がり、「和蝋梅」として名付けられています。花の中心が暗い赤紫色で、花弁が細めの形をしているのが特徴的です。素心蝋梅や満月蝋梅とはまた違った独特の花の形を持っています。

少し枝垂れるように花を咲かせる和蝋梅は日本の風情が感じられて、日本の和の美しさを伝えてくれる花です。 和の雰囲気を感じたい人におすすめできます。

蝋梅の育て方

蝋梅は育つ環境や土壌をあまり選ばないので、土地に悩むことなく育てられるでしょう。そのため、初心者でも育てやすく、昔から庭木として人気の花木となっています。庭木として育てて庭を華やかにするだけでなく、盆栽などの苗木を鉢で育てることも可能です。ここでは、蝋梅の育て方について詳しく解説していくので、自分に合った育て方や正しい育て方を知るための参考にしてみてください。 

水やり

水やりは、表土が乾いてからたっぷりと与えます。蝋梅自体が強いので、常日頃から水やりをしないといけないわけではありません。しかし、庭植えの蝋梅が根付くまでの間は、こまめに水やりをするようにしてください。根付いた後は自然の降雨に任せて良いでしょう。

夏などの高温が続くような時期は、様子を見て水やりを行います。蝋梅を鉢植えで育てている場合は、鉢底から水が流れ出るくらいにたっぷりと水やりをしてください。夏場は水やりの回数が少し多くなりますが、冬場はあまり水やりをしなくても良いので、手間が少なくなります。

日当たり 

蝋梅は半日陰でも育てられますが、日当たりが良く水はけも良いところのほうが花付きが良くなります。 蝋梅はとても強健なので、日が良く当たり、水はけの良い場所であれば、自然の恵みの雨水で十分に育つでしょう。

地植えをする際には、日当たりの良い場所を選んで植えると良いです。また、鉢で育てる場合は、時期や時間帯などに応じて場所を移動できるので、日当たりなどを考慮して場所を変えてあげるのもおすすめできます。

用土・肥料

蝋梅は、土が肥えていて水はけの良い土壌を好みます。多湿に弱く、根腐れを起こして枯れてしまうことも珍しくないので、水はけが良い用土を選ぶと良いです。 鉢で育てる場合は、ホームセンターや園芸店で販売されている普通の培養土で育てられます。

地植えをする際などに用土を作る場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜた基本の用土が適していて、肥料も特に必要ありません。土が痩せてきたと思ったら腐葉土をたっぷりと漉き込むか、緩効性肥料を与えてください。 

剪定

蝋梅の剪定は、花後に混みあった枝やヒコバエを整理するように行っていきます。 蝋梅は自然樹形の綺麗な庭木なので、実はほとんど剪定をする必要がありません。植えている場所に応じてサイズを整える程度がおすすめです。盆栽用に育てている蝋梅であれば、好みのサイズ感に揃えると良いでしょう。

また、蝋梅は横に枝を広げるため、暴れた枝や込み合った枝を整理するような感覚で選定をするのがコツです。蝋梅の剪定は、花後の3月に行われることが多い傾向にあります。

植え替え・植え付け

鉢植えで蝋梅を育てている場合は、2〜3年に1度鉢底から根が見えてきたら、1〜2回り大きな鉢に植え替えてください。植え替えは冬の厳寒期を避けた、落葉期に行います。

植え替えは、暖地では冬の間いつでも行えますが、寒さが厳しいと枝枯れする場合があるので、厳寒期は避けたほうが安心です。 植え替えは、冬の厳寒期を避けた落葉期である11〜12月、または2月中旬〜3月頃に行うのが良いでしょう。

半日陰~日向の場所に植えて、特に春~夏の間は日に良く当てると健康に育ちやすいです。

挿し木

挿し木で蝋梅を増やしたいという方は、6月頃に柔らかい枝を選んで15cmほどのところを切ります。その際、切り口には必ず癒合剤を塗って蝋梅を保護しましょう。 挿し木用に切った枝は、新しく用意した土に刺し、新たに根が生えて安定するまでこまめに水やりをします。挿し木のときに用意する土は、赤玉土の小粒がおすすめです。

しかし、蝋梅は挿し木では根付きにくいとされているため、あまりおすすめできる方法ではありません。蝋梅を増やしたい場合は、少し時間はかかりますが、接ぎ木か種まきで増やす方法が良いでしょう。

夏越し・冬越し

蝋梅にとって、夏は生長期です。高温と乾燥が続くようであれば、様子を見て水やりを行ってください。しかし、日中の水やりは土中の温度を上げてしまい、根を傷める原因となります。そのため、夏の水やりは午前中に行うようにしましょう。

また、蝋梅を増やすために種まきや挿し木をしたいという方は、夏場の生長期の時期に行うのがおすすめです。

蝋梅は落葉して越冬するので、冬場は特に冬越しの作業をする必要はありません。12月から2月の時期に花を咲かせ、花後は種が出てきます。冬場は蝋梅の花を楽しむと良いでしょう。

蝋梅(ロウバイ)の調子が悪いときは? 

蝋梅の調子が悪いときは、葉が黄色くなったり、黒い斑点が見られたりします。蝋梅はとても病害虫に強い植物なので、このような状態になっているときは病気以外の原因であることがほとんどです。

蝋梅の調子が良くないときは、水はけが悪くて根腐れしていないか、土が硬くなってしまっていないかなどを確認するようにしましょう。まずは、いつもとは違う状態の葉を取ってから、土壌や水はけ具合を確認してみてください。蝋梅を育てる場合は、水はけが良い弱酸性の土壌が最適とされているので、そのような状態になっているかチェックすると良いです。

蝋梅(ロウバイ)に関するよくある質問

記事を読んで、蝋梅について詳しく理解できたかと思います。しかし、ここまで読んでもまだ疑問が残るという方もいるでしょう。ここでは、そんな方のために、蝋梅を育てていく上でよくある質問をまとめました。種から育てるにはどうすれば良いのかなどを解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

種から育てるには? 

蝋梅は種から育てやすい植物なので、挿し木をするよりも種から育てたほうが蝋梅を増やしやすいでしょう。蝋梅の種まきは、秋に種をまいて春に発芽します。種から育てる際の流れとしては、まず育苗ポットに土を入れて、芽が出るまで育てます。その後、苗がしっかりしてきたら鉢へ移して育てていくという流れです。

発芽から開花までは数年かかるので、成長を楽しみながらゆっくりと育てていきましょう。

鉢植えで育てられる?

上記で少し解説しましたが、蝋梅は鉢植えで育てることも可能です。鉢のサイズによって蝋梅の成長する大きさも調整できるので、小ぶりに育てたい人は小さめの鉢、大きく育てたい人は大きめの鉢に植えてあげましょう。

鉢植えで育てると持ち運びができるため、日当たりの良い場所をその都度選んで置けます。地植えができる場所があまり日当たりや水はけが良くない、地植えをするスペースがない、小さめの鉢に植えて玄関や自宅の中で楽しみたいといった方は、鉢植えで育てるのがおすすめです。

盆栽にすることはできる?

蝋梅は盆栽にすることも可能です。初心者でも楽しみやすい小さい盆栽から、大きくて存在感のある盆栽まで、個人の好みに応じてさまざまな蝋梅を楽しめるので、自分が盆栽にしたい大きさの蝋梅を選びましょう。

盆栽にした場合も育て方はほとんど一緒です。土が乾いたらたっぷりの水をあげましょう。土が乾くごとに水やりをするだけで十分です。 

病害虫はつきやすい?

蝋梅は病害虫がつきにくいので、蝋梅を育てるときに注意したい害虫や病気は特にありません。原産地が寒さで厳しい高地だったことが、蝋梅が害虫や病気に強い要因とも言われています。蝋梅の調子が悪いときは、病害虫よりも水はけや土の状態が原因の可能性が高いので、まずはそちらから確認するようにしてください。 

まとめ

この記事では、蝋梅の特徴や種類、育て方をご紹介しました。蝋梅は梅に似た黄色い花を咲かせるのが特徴で、甘い果物のような香りを放っています。光沢のある花びらが蝋で作られたように見えることから蝋梅(ロウバイ)と名付けられており、花言葉には「先導」「先見」「優しい心」「愛情」などがあります。

そんな蝋梅は、育つ環境や土壌をあまり選ばないので、初心者でも育てやすいです。日当たりが良く水はけも良いところに植えて、表土が乾いてからたっぷりと水を与えるようにすれば、綺麗に育つでしょう。

寒さが厳しい冬の時期に、美しく可憐に咲く蝋梅の花が見られるのは心和みますよね。記事を参考に蝋梅を育てて、冬に咲く花を楽しんでみてください。