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ラ・メールコラム > 豆知識 > 冬の枝ものコットンフラワー|花言葉や飾り方

日ごとに寒さが深まり、冬の訪れを強く感じ出す頃、ふわふわとした綿の実がかわいらしい枝もののコットンフラワーが登場します。作り物のようにも見えるコットンフラワーですが、綿素材の材料として古くから栽培されてきた、人間の暮らしに密接に関わっている植物です。

今回は、ボール状の綿毛姿が冬らしさを感じる、コットンフラワーの花言葉や、飾り方のコツやアレンジのアイディアをご紹介していきます。

コットンフラワーの基本情報

科・属 アオイ科・ワタ属
和名 綿(めん・わた)、綿花(めんか)、綿の木(わたのき)
英名 cotton flower
学名 Gossypium
原産地 熱帯アフリカ

コットンフラワーの特徴

綿状の姿でお馴染みのコットンフラワーは、コットンツリーの名前でも呼ばれています。実が弾けた頃のコットンフラワーは茎がとても固く、太い枝のような形状です。そのため、「綿の木」とも呼ばれますが、コットンフラワーは草花に分類される植物です。

夏に花を咲かせるコットンフラワーは、開花後に作った果実がはじけて、中からふわふわしたコットンが顔を見せます。このコットンボールが見える秋から冬にかけて、ドライフラワーにしたコットンフラワーが店頭に並んでいます。コットンボールの中には種が隠れているので、種を採取して植え付けることもできます。

綿素材の材料

コットンフラワーはコットン、つまり綿の材料となる素材です。実からはじけた綿毛を採取して、糸状に加工してから織り上げたものが、普段使っているタオルや衣類といった綿素材として使われています。

そもそもコットンフラワーは、アフリカやインドといった熱帯地域を原産地としており、遥か紀元前の時代から人々に栽培されていた植物です。実から作られる綿は綿素材に加工し、綿に包まれている種からは油を抽出していました。

コットンフラワーの種から取れる油は、コットンシードオイルや綿実油(めんじつゆ)と呼ばれ、食用油に使われます。綿毛は布地に、種は食用になるコットンフラワーは、人類の発展を支えてきた身近な植物なのですね。

国産のコットンはまだ少ない

アフリカからインドへと伝わったコットンフラワーは、中国を経て奈良時代の日本にやってきました。現在コットンフラワーの生産は、ほとんどがアメリカやインド、中国などで行われています。

日本国内での生産数は少ないものの、ナチュラル思考やサスティナブルな取り組みが盛んな近年、純国産のオーガニックコットンは高い人気を持っています。

白色以外のコットンフラワー

コットンフラワーといえば白色が定番ですが、茶色や緑色のコットンフラワーがあることをご存じでしょうか。そもそもコットンフラワーの原種となるものは、茶色い綿毛が取れるものでした。

繊維を染める都合上、茶色よりも白色のほうが扱いやすいため、品種改良が重ねられた結果、現在の定番である白いコットンボールが主流となりました。

今では茶色のコットンフラワーは珍しく感じてしまうほど、白色の流通数が増えています。ちなみに茶色いコットンボールの繊維には、人体に有害な紫外線を遮る効果があるのだそうです。

なかなか見かける機会がない緑色のコットンフラワーですが、「グリーンコットン」の名称で出回っています。グリーンコットンは葉や茎のようにはっきりとした緑色ではなく、くすみがかったモスグリーンのやわらかい緑色です。もちろん、人工的に染めたものではなく、自然な色合いです。

コットンフラワーの名前の由来

英名での「cotton flower(コットンフラワー)」から、そのまま和名としても馴染んでいます。熟した実からはじける綿毛が、花が咲いているようにも見えるので付けられた名前です。同じ由来で、和名では「綿花(めんか)」と呼ばれています。

コットンフラワーの花

アオイ科のコットンフラワーは、暑い夏の時期に花を咲かせる植物です。同じアオイ科の仲間であるムクゲやオクラ、ハイビスカスに似た、南国の雰囲気を感じさせる花が咲きます。

一日花のコットンフラワーは、薄い5枚の花びらを華やかに開花させますが、夕方頃にはしぼんでしまう儚さも持っています。しぼんだ花びらは少し赤みを帯びていて、開花後にやや尖った丸い実を作っていきます。作られた果実は1ヶ月ほどで熟し、実がはじけると中からお馴染みのコットンボールが現れるのです。

コットンフラワーの花言葉

コットンフラワーの花言葉には、「私を包んで」「有用」「優秀」「繊細」「偉大」「崇高」などがあります。綿花が綿素材の材料となり、種子からは食用の油が抽出できることから、「有用」や「優秀」「偉大」の花言葉が付けられています。また、コットンボールで種子を包み、中で守っていることから、「私を包んで」「繊細」の花言葉も持っています。

いずれも、アオイ科らしいハイビスカスに似た花を咲かせる、コットンフラワーの花にまつわるものより、果実がはじけた後の綿花や種子にちなんで花言葉が付けられています。

コットンフラワーの育て方

育て方が難しそうに感じられるコットンフラワーですが、コツさえ抑えてしまえば栽培は意外と簡単です。自宅でコットンフラワーを育てて、開花から実がはじけるまでを観察してみるのも楽しいでしょう。

続いては、コットンフラワーの基本的な育て方について解説していきます。

種まき

切り花やドライフラワーとして売られているコットンフラワーは、綿花から種子を収穫できます。種まき用の種も販売されているので、どちらかの方法で入手してみましょう。種まきをする前日に、種の周りに付いた綿を取り除いて、一晩たっぷりと水に浸しておくと、発芽率が上がります。

コットンフラワーの発芽適温は25度以上だとされているので、暖かくなった5月初旬から中旬までに種まきを済ませましょう。草花の種まきでは、発芽後にポットから鉢へ移すことも多いですが、コットンフラワーは土壌の変化が苦手なので、鉢植えの場合は直播きで育てていくようにしてください。

本来は多年草であるコットンフラワーは、日本の気候では一年草として扱われるので、植え替えは行われません。鉢植えと地植えのどちらでも栽培できますが、鉢植えのほうが管理しやすいのでおすすめです。鉢のサイズは、8〜10号以上の大きな鉢を用意します。どんどん大きく生長していくので、あらかじめ大きな鉢を準備してください。土に指などで穴を作り、3~5粒ほどまきます。

水やり

種まき後は、発芽するまで土を乾燥させないように、水を切らさずにたっぷりと与えていきます。芽が若いうちは水分が多すぎると加湿によって枯れてしまうので、発芽後は日当たりと風通しの良い場所で、やや乾燥気味になるよう意識して管理しましょう。

熱帯地域に自生するコットンフラワーは、高温環境を好み、湿度の高い日本の梅雨は苦手です。梅雨の時期は、通気性に気を配って管理してください。

そして夏を迎えると、いよいよコットンフラワーの開花期です。たっぷりと水やりをして、開花を促していきましょう。夏場の水やりでは、水が高温にならないよう、早朝や夕方などの涼しい時間帯に水を与えます。

支柱立て

コットンフラワーの生長スピードは、根をしっかりと張っているうちはのんびりとしています。なかなか草丈が伸びずに不安になってしまいますが大丈夫ですよ。夏に入ると急に生長スピードが上がるので、茎が折れやすくなる前に支柱を立てましょう。

草丈が20cmまで育ったら、1メートル〜1.2メートルほどの支柱で株を支えます。麻紐などで茎をゆるく結いて、花が咲くまで上手に支えていきましょう。

剪定

コットンフラワーには、こまめな葉の剪定作業は必要ありませんが、生長していくにつれて上へ上へと伸びていく性質があります。草丈が伸びすぎると花が付きにくくなるので、葉が6枚ほどになった開花を迎える前の7月頃に、茎の頂点を摘み取っておきましょう。

新芽をカットする摘心を行うことによって、茎が横へと伸びていくようになります。花数が増えて、秋に収穫できる実の数もぐんと増えますよ。

コットンボール

コットンフラワーは開花してから約1ヶ月経つと、花の後に実を作ります。時期的には9~11月頃です。徐々に秋が深まるにつれて実がはじけていき、綿花が顔を覗かせます。市場で見かける、お馴染みのコットンフラワーの姿ですね。

雨に濡れるときれいな綿が汚れてしまうばかりか、手触りの良いふわふわの仕上がりにならないので、コットンボールができてからは雨水に濡らさないよう気を配ってください。実がはじけ出してから早めに枝を切っても、切った後に実がはじけていきます。

収穫後は切り花としてしばらく楽しんだり、ドライフラワーにして観賞用やハンドメイド品の材料に使ったりできます。日光が当たりにくく、コットンボールの収穫が難しかったときは、上手に冬越しをさせて翌年に持ち越す方法もあります。鉢植えの場合に限る方法ですが、翌年の夏にもう一度花を咲かせて、収穫に再チャレンジすることが可能です。

綿と種の収穫

コットンフラワーの綿花を上手に取るコツは、綿殻の間からそっとつまむようにして綿を抜くことです。上手に引き抜いた後は、綿をやさしくほぐしておくと、きれいに乾燥してくれます。収穫したばかりのコットンボールは、まだ湿度が高いのでカビが発生しやすい環境です。綿に守られた種子を取り出したら、風通しが良い場所でふわふわの綿に仕上がるよう乾燥させておきます。

収穫した種は、コットンボールと同様に風通しの良い場所でしばらく乾燥させてから、シリカゲルなどの乾燥剤を入れた密閉容器や密閉袋に保存します。

注意したい害虫

コットンフラワーには、ハダニやハマキムシといった害虫が付きやすいです。ハダニは一般的な観葉植物などにも付きやすい害虫で、乾燥を好む害虫です。ハダニは水に弱い害虫なので、対策として適度な葉水が欠かせません。葉の裏も好んで寄生するので、日頃からこまめにコットンフラワーの様子を観察して、葉の表と裏に霧吹きなどで葉水を行うよう心がけましょう。

もうひとつの注意したい害虫であるハマキムシは、ハマキガ科に属する蛾の幼虫です。吐き出した糸を上手に使って、葉を丸めたり2枚の葉をくっつけ合わせたりして、葉の中に姿を隠して棲みついています。ミノムシのように葉に丸まっている様子が葉巻に似ているので、ハマキムシと名付けられました。

丸められた葉は、傷付き丸まることで光合成を行えず、株の生育が悪くなってしまうのです。ハマキムシは、特に若い新芽や新葉を好み、果実まで食べてしまいます。もしハマキムシを見つけたら、棲みついている葉の根元から切り落としましょう。開花前の時期がいちばん増殖する時期ですので、園芸用の殺虫剤を塗布するのもおすすめです。

コットンフラワーをドライにして楽しもう

すでにドライフラワーの状態で市場に出回っているコットンフラワー。種まきから育てたり、ドライになる前の切り花の状態で入手したりした場合は、どのように乾燥させていけば良いのでしょうか。

最後に、コットンフラワーを上手にドライフラワーにする方法や、ドライにしたコットンフラワーを楽しむ飾り方や使い道などのアイディアをご紹介します。

収穫のタイミングは綿花が見えたら

自分で育ててきたコットンフラワーは、実からふわふわの綿が見えはじめた頃がベストな収穫時期です。好きな長さで枝を切って麻紐などで括ったら、風通しが良く直射日光の当たらない部屋に、しばらく逆さにして吊るしておきましょう。枝が固くなって、綿の外側の皮がパリパリとした手触りになっていれば完成です。コットンフラワーはだいたい3週間以上かけてドライフラワーになっていきます。

ふわふわした綿花はホコリを溜めやすいので、ドライヤーの風でときどきホコリを飛ばしてあげるのが、きれいに飾るお手入れのコツです。枝のまま飾る以外にも、綿花の部分だけを短く切って、瓶やボトルの中にころんと入れておくのもインテリアグッズとしてかわいく仕上がります。コットンフラワーの色ごとにまとめた瓶を並べてみたり、あえて複数の色を混ぜて入れてみたりと、自分の好みに飾ってみてください。

リースやツリー飾りに使う

雪に見立てられることも多いコットンフラワーの綿花は、クリスマス用の飾り物としても人気のドライフラワーです。リース飾りやクリスマスツリーに添えるアクセントとして使うのもおすすめの方法ですよ。

リースにコットンフラワーを使う場合は、実の部分を短く切ったコットンフラワーを使いましょう。グルーガンやボンドなどの接着剤で固定させれば、ふんわりと雪が積もった冬らしい素敵な仕上がりになります。雨に濡れるとせっかくのコットンボールがだめになってしまうので、ドア飾り用のリースではなく、室内用のリースに使うことをおすすめします。

綿殻を除いて、白い綿だけ取り出せば、クリスマスツリーに積もった雪のデコレーションに早変わりします。綿を少し細長く伸ばして、ツリーに上手に飾り付けて、クリスマスシーズンを存分に楽しみましょう。

コットンボールにアロマを垂らす

コットンボールにアロマオイルを垂らして、ポプリとして楽しむのもおすすめです。瓶やボトルなどの容器に、コットンボールをふんわりと盛り付けるように入れたら、お手持ちのアロマオイルを数滴垂らしてみてください。

ガラス瓶などにコットンボールを入れると、ふわふわの綿を眺められてかわいいですよ。蓋付きのキャニスターなどを使えば、使わないときにはホコリの付着を防いでくれるので、きれいな綿を長く楽しめます。

綿殻も捨てずに使ってみる

綿殻(わたがら)とは、コットンフラワーの実がはじけたときにできた、綿の外側に付いている茶色い皮の部分を指します。ふわふわの綿を収穫した後には綿殻が残りますが、この綿柄も捨てずに取っておきましょう。花や星のような形をしているので、綿殻だけを使ったドライフラワーアイテムとしても再利用できます。

まとめ

今回は、秋冬の枝もので人気が高いコットンフラワーについて、花言葉や育て方、飾り方のアイディアなどをご紹介してきました。

雪のような綿毛が顔を覗かせるコットンフラワー。綿花は衣類の材料として、種は食用油として用いられることから、「有用」「優秀」「偉大」の花言葉を持っています。ふわふわのコットンボールは種子を包んでいることから、「私を包んで」「繊細」の花言葉も託されています。人間の生活を古くから支えてきた植物です。国内生産は少ないながらも、国産のオーガニックコットンは近年注目されている素材です。

ナチュラルな雰囲気のコットンフラワーはインテリアにも馴染みやすいアイテムです。ドライにすれば扱いやすく使い道も増えるので、お好きな方法で楽しんでみてください。