アグラオネマの上手な育て方・美しい葉っぱを保つコツも紹介
昨今インテリアの一部として人気を集めている観葉植物は、樹形や葉っぱを楽しむアイテムです。今回ご紹介する「アグラオネマ」は、1994年に公開されたフランス映画「LEON(レオン)」で主人公が大切に育てていた植物としても知られています。
東南アジア発祥のアグラオネマは品種改良されたものを含めるとたくさんの種類がありますが、どれも葉が美しくて幸運を運んでくれる植物としても人気です。
ここでは、話題のアグラオネマの上手な育て方や、葉の美しさを維持するコツなどを紹介しますので、最後までチェックしてみてください。
アグラオネマの基礎知識
アグラオネマは品種改良されたものを含めると50種類以上あり、それぞれ葉の色合いやフォルムが違うのが面白い植物です。葉っぱの模様にも特徴があり、カモフラージュ柄のような渋いニュアンスのアイテムは男性にも人気があります。
では今人気を集めているアグラオネマは、具体的にどんな観葉植物なのでしょうか。ここではその特徴や花言葉に込められた意味などを紹介します。
アグラオネマはどんな植物?
アグラオネマは熱帯アジア原産のサトイモ科・アグラオネマ属の植物です。草丈は最大で1mほどで、耐陰性が高いため室内で育てるのに向いているでしょう。
また、寒さに弱く高温多湿を好む傾向があります。比較的育てやすい植物ですが、冬の管理には少し注意してください。サトイモ科のアグラオネマの樹液にはシュウ酸カルシウムが含有されているため、肌が敏感な方はかぶれることがあるという点を頭に入れておきましょう。気になる方は、お手入れの際にゴム手袋などを使用してください。
どんな特徴があるの?
アグラオネマは生長速度が遅いので、植物を育てるのが初めての方にもおすすめです。ただし、インドから東南アジアなどの熱帯地方に分布している植物なので、寒さにはやや弱い特徴があります。
アグラオネマは葉っぱがツヤツヤしていることから、タイでは幸福や富を運んでくる植物として、富裕族が好んで飾っているようです。特に葉の中にピンク色やレッド系が入っているカラフルな品種は、人気が高く入手が困難となっている地域もあります。
また、さまざまな研究の結果によって、有害物質を吸収してくれる空気清浄効果があることでも広く知られているでしょう。
アグラオネマの花言葉は?
見た目が華やかなアグラオネマには「青春の輝き」と「スマート」と言う花言葉があります。
「スマート」に込められた意味は、部屋をファッショナブルにデコレートするインテリア性の高さからつけられました。
また「青春の輝き」の花言葉は、ルックスの美しさ・艶やかさからつけられたと言う説が多いようです。
ちなみにアグラオネマの花は5月~8月にかけて咲くことが多いです。花の色は白色で細長い房のようなフォルムをしており、地味で葉に比べてインパクトが薄いという特徴があります。花が咲くとそちらにエネルギーを奪われてしまうので、早めに摘み取るようにしましょう。
アグラオネマで人気の種類
たくさんの種類があるアグラオネマは、見た目の印象もそれぞれ異なります。品種によって育て方の難易度も変わるので、初心者の方はなるべく栽培しやすいアイテムを選ぶようにしましょう。ここでは代表的な種類や人気の種類を紹介します。
シルバークイーン
スタイリッシュな見た目のシルバークイーンは、お洒落なカフェなどで見かけることが多い品種です。日本では最も流通量が多いので、一度は園芸ショップで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
シルバークイーンは他の品種と比較すると、葉っぱが細長くてやや大きいのが特徴です。葉は美しいグリーンを基調として、落ち着きのあるシルバーグリーンの斑が入っています。
シンプルな見た目ではありますが、存在感があり人気があります。耐陰性が強いので、育てやすい点も魅力です。
マリア
次に紹介する「マリア」も流通量が多いので、比較的手に入りやすい品種になります。マリアの特長は何と言っても葉っぱの美しさです。まるで造花のようにツヤツヤしており、透明感が抜群なのです。草丈も50cmほどで、お部屋に置くのにちょうどいいサイズ感になります。葉は上向きにまっすぐ生えて、濃いグリーンと淡いグリーンのコントラストが見ごたえのある植物です。
ジュエリー(レッドバレンタイン)
タイでは「アジアの宝石」と呼ばれて人気を集めている「ジュエリー」は、アグラオネマの中では最も鮮やかな葉っぱが特徴です。色彩のない部屋でも、これ一つ置けば華が生まれるほどの風格を持っており、特に女性に好まれています。
美しいダークグリーンの中にマゼンダ色の絵の具を混ぜ込んだような葉がチャーミングで、いつまでも見ていたくなるほどです。他のアグラオネマと同じように耐陰性はありますが、できるだけ明るい日陰で育てるようにしましょう。
カーティシー
次に紹介するのは、映画「レオン」で有名になったカーティシーです。淡いシルバーの斑が特徴ですが、アグラオネマの中では大人しい印象を与える品種になります。
こちらは比較的強い品種なので、きちんとお手入れすれば丈夫に育ってくれる点もセールスポイントです。
寒さには弱いですが10℃以下にならない限り枯れることはありません。ただし、寒くなると一時的に生育が止まりますので、水やりを控えるのが上手な栽培のコツです。
ピクタムシリーズ
美しく少し不思議な斑点が魅力的なアグラオネマの中で、男性に人気があるのがピクタムシリーズです。艶を消したようなマットなテクスチャーと渋い迷彩柄の葉っぱが個性的で、育て方によって斑の入り方が違うところも魅力です。
「ピクタム」は、入る斑のカラーの数で呼び名が変わります。2種類のものが「バイカラー」で、最もポピュラーなアイテムです。続いて、3種のカラーで構成されている「トリカラー」、4色以上の「マルチカラー」があります。
中でもその美しさで群を抜いているのが、アンダマン諸島原産の「アンダマン」ではないでしょうか。こちらはオークションサイトでも高値で取引されているほど、希少価値が高いアイテムになります。
アグラオネマの置き場所や温度管理について
アグラオネマはユニークな葉の模様が華やかで、インテリアとしても高く評価されている植物です。
しかし、熱帯地方で自生している植物なので、置き場所や温度管理には少し注意が必要になります。特に冬の寒さには弱いので、室外で育てる場合には、ある程度寒さに耐えられる品種を選ぶようにすると良いでしょう。
ここではアグラオネマを丈夫に育てる秘訣や注意点を紹介します。
室外で育てる場合
室外でアグラオネマを育てたい場合は、置き場所に注意しましょう。直射日光に弱いので、夏の強い日差しに当たると葉が傷んでしまうことがあります。
園芸ショップで販売されているときに、専用のガラスゲージに入っていた品種の場合は、室外で管理するには向いていないので注意してください。逆に、常温で管理されていたアグラオネマは、室外で育てることも可能です。
ただし、耐寒性は低いため、肌寒さを感じたら室内に入れて管理するのがおすすめです。
室内で育てる場合
アグラオネマはジャングルの中に自生している植物です。したがって耐陰性には優れているのですが、やや明るいエリアに置くと丈夫に育ちます。耐寒性はあまりないので、冬は部屋の中の暖かい場所で管理してください。
品種にもよりますが、本格的に育てたい場合にはガラスケージなどを用意して、こまめに葉水を行って湿度を保つようにすると良いでしょう。
温度管理で注意したいこと
アグラオネマの生長に適している温度は20℃~30℃になります。暑さには強い反面、寒さには弱いので15℃以下になると枯れてしまう品種もあるため、注意が必要です。
夏越し
暑さには強いアグラオネマですが、気温が35℃以上になると生育が鈍る可能性があります。また、蒸れると葉っぱが丸まったり、変色することがあるので、なるべく風通しが良い場所で管理するようにしましょう。
春から秋にかけては生長期になるので、ときどき外の光(直射日光は避けてください)に当ててあげてください。ひと手間かけることで、より一層丈夫に育ってくれます。
冬越し
寒さには非常にもろいため、冬場の室内温度は15℃以上を保つようにするのが望ましいでしょう。初心者の方は、比較的寒さに強い品種を選ぶようにすると安心です。本格的な冷えが襲ってくる12月以降は、窓際や床の上に直接置くのは避けたほうが良いでしょう。
また、エアコンが効いている部屋に置く際には、乾燥を防ぐため加湿器などを使用して湿度を維持してください。
小さなアグラオネマなら、水槽を使って湿度を保つ方法もあります。1日1回程度、葉の表面と裏側に霧吹きで葉水してあげると良いです。
アグラオネマの育て方の秘訣
アグラオネマには2種類あり、ツタのように地表を這い生長する種類と、茎を立ち上げて生長するものがあります。バラエティーが豊富なので、好みに合わせて選ぶようにしましょう。
アグラオネマは、高温多湿な環境で育っているため暑さには強く水が大好きな植物です。ここでは育て方のコツを具体的にチェックしていきます。
日頃の手入れの注意点
アグラオネマは育て方によって模様の入り方が変わるユニークな植物です。美しい葉を維持するためには、日頃の手入れが重要になります。ではどのような点に気をつけて栽培すれば良いのでしょうか。ここで詳しく解説していきます。
水やりの方法
- 生長期(4月~10月くらい)の水やり方法
暖かくなったら、水をたっぷりと与えてください。アグラオネマは乾燥が続くと枯れてしまうので、鉢の表面の土が乾いてきたら水やりのタイミングです。しかし、真夏に限っては鉢土が乾く前でも水を与えて構いません。とにかく高温多湿の状態を保つのがポイントです。
- 休眠期(11月~3月くらい)の水やり方法
休眠期に入ったら、少しずつ水やりを控えていきます。
真冬は生育が止まるので、鉢土が完全に乾燥してから3日ほど間を空けて水を与えてください。水を与え過ぎると根腐れしてしまうので注意しましょう。もし葉の表面にホコリが溜まってしまったときには、霧吹きなどで葉水をすると効果的です。
肥料の与え方
- 生長期(4月~10月くらい)の肥料
春から夏にかけてはアグラオネマの生長期になるので、2か月に1度くらい緩効性の肥料を与えると良いです。自然由来の原材料を使用している有機肥料の場合、虫などが寄って来る可能性があるので室内向きではありません。
また、液体肥料を使うのなら週に1度くらいの割合で与えてください。どちらも園芸店などで販売されている観葉植物用の肥料で構いません。特にハイポネックスの錠剤肥料は、チッソ・リンサン・カリなどの成分をバランス良く含んでいるのでおすすめです。
- 休眠期(11月~3月くらい)の肥料
休眠期は株の生育が衰えるので、肥料はお休みします。寒い時期に入ってから土の中に肥料が残っていると、根が傷む原因になることがあるので気をつけましょう。したがって10月に入って肥料を与える時は、普段よりやや少なめに与えておくのがおすすめです。
植え替えの時期・方法
アグラオネマを植え替えする時期は、春が向いているでしょう。葉が丸まってきたりなかなか水あげをしない場合、根詰まりを起こしている可能性があります。
根がギュッと詰まっていたら植え替えのサインと考えましょう。植え替えをする際は、古い根をある程度カットして、新しい根が生えるスペースを確保するようにします。アグラオネマは根が非常に太いので剪定バサミなどを使用してください。しっかりと根付くまでの間は、通気性が良い日陰で管理するのがおすすめです。
剪定の方法
剪定は、必ず生長期である春~秋に行うようにしましょう。まず葉が密集している箇所を剪定バサミを使ってカットしていきます。次に枯れた葉っぱや傷んでいる葉なども、ていねいに切り取って行ってください。
このように風通しを良くすることで、アグラオネマはより元気に育ってくれます。前の項でも書きましたが、樹液でかぶれる方もいるので皮膚が弱い方は手袋をして作業してください。
ただし、アグラオネマは生長が遅いので、すぐには新しい葉が出ません。切り過ぎるとさびしい姿になってしまうこともあるので注意しましょう。
もしも葉っぱの色が薄くなってきたらどうする?
アグラオネマは葉の美しさを楽しむ植物です。もし葉っぱの色が褪せて来てしまったら、どのように対処すれば良いでしょうか。葉の色が薄くなる時、真っ先に考えられるのは肥料不足です。次に可能性があるのは根詰まりになります。
このような状態の株を日差しに当てると、葉の色が黄ばんでしまうことがあるのです。このような場合には、風通しが良い半日陰の場所に置き、しばらく様子を見てください。
アグラオネマ・こんな病気や害虫に注意
最後に、アグラオネマに発生することがあるトラブルについて解説します。病気や害虫からしっかりと守って、いつまでも美しいアグラオネマを楽しみましょう。
灰色カビ病
灰色カビ病は菌が原因で出現する病気で、あらゆる植物がかかる可能性があります。1度この病気にかかると葉や茎がグレーのカビに覆われて、やがて枯れてしまうこともあるでしょう。
この病気は主に多湿な環境下で発生することが多いので、なるべく風通しが良い場所に置くことで防ぐことが可能です。灰色かび病が怖いのは空気感染で他の葉に病気が移ってしまうこと。
したがって、見つけたらすぐにその部分の葉を切り取るようにしてください。
ハダニ
アグラオネマに集まりやすい害虫はハダニになります。ハダニはとても小さくて葉の裏側に潜んでいることが多いため、見つけにくい害虫です。このことから、予防することが大切になるでしょう。
まだ初期の段階なら葉水をたっぷり与えることで、駆除できる可能性があります。それが難しい場合は、専用の薬剤などを使って駆除してください。
アグラオネマの育て方は意外に簡単!
アグラオネマは、マニアの間では絶大なる人気を誇る観葉植物です。特に男性に人気があるカモフラージュ柄のピクタムシリーズは、なかなか手に入りにくい品種となっています。熱帯地方が原産のアグラオネマは冬の寒さにはやや弱い傾向がありますが、冬さえ乗り切れれば長い間楽しめる植物です。
育て方も意外に簡単なので、気になる方はチェックしてみてください。置くだけでお洒落な雰囲気になるので、インテリア性も抜群。プレゼントにも向いています。