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個性的な観葉植物のシダに注目!人気の品種もピックアップ

シダ植物には種類によって特徴的な形をしていたり、個性的な種類がたくさんいます。さらに、シダ植物は花を咲かせず胞子を飛ばして子孫を残すので、葉っぱの裏に特徴的なものが付いていたりと知れば知るほど面白い植物。

今回は、そんなシダ植物の魅力や人気の観葉植物のシダからシェードガーデンに向いている種類までご紹介します。

 

そもそもシダ植物とは

シダ植物として分類される植物は、太古からその形を変えることなく存在し続けています。その数は、全世界で約1万種類以上にも及ぶそうです。

サイズ感もさまざまで、自生するものはかなり大きくなる品種もありますが、観葉植物として楽しめるようなテーブルサイズのものもあります。

シダ植物のほとんどが高温多湿環境を好んで自生するので、森林や山地などのうっそうと緑が生い茂っており、適度に湿り気のある土地で多く目にします。

このシダ植物という呼び方は、さまざまな植物を総称している呼び名であり、固定の植物を指している名称ではありません。主なシダ植物としては、シノブ科・シノブ属の品種が挙げられますが、他に属する植物もシダ植物として多く含みます。

シダ植物にカテゴライズされる中でも、皆さんがよく聞く植物の名前を挙げるならば、調理に用いられる「ワラビ」や「ゼンマイ」などの山菜はシダ植物に分類されます。近年人気の高い観葉植物では、「アジアンタム」がポピュラーかもしれません。

 

胞子で繁殖していく

それでは、それだけさまざまな品種の植物たちを、何を基準にしてシダ植物と総称するのかについてお話ししていきましょう。

シダ植物とは、一般的な草花のように花を咲かせて種子を作らず、胞子を飛ばすことで繁殖する植物の総称です。

4億年も前に誕生したと言われているシダ植物は、漢字では「羊歯植物」と表記されます。なぜ「羊の歯」と表されるのかについては、シダ植物の葉自体が羊の歯に似ているという説や、歯形のようであるという説など諸説あります。

近年、自由度の高いインテリアレイアウトを楽しめる観葉植物として人気を博している「ビカクシダ(別名:コウモリラン)」もシダの仲間に分類される着生植物です。別名にランと付いていますが、胡蝶蘭のように花は咲かせず、胞子で繁殖していきます。

 

胞子嚢

シダ植物の葉の裏には、「胞子嚢(ほうしのう)」と呼ばれる胞子が詰まった器官があります。葉の裏側を見ると丸い小粒が密集しているので、集合体が苦手な方は覚悟して見てくださいね。

袋の外側にある「環帯」という部分は、湿度が高いと伸びて、乾燥していると縮むという性質があります。胞子嚢が熟して、この環帯が破れることで、弾け飛ぶように胞子が飛び出していくのです。

空気が乾燥していて、ある程度の風も吹いている日には胞子が飛んでいきやすくなります。胞子が地面に落ちると発芽して繁殖していきます。

 

シダの葉は繊細でユニークな形が魅力

シダ植物には愛好家が多く、シダ植物専門の植物園などもあるほどです。鳥の羽のような切れ込みのある涼しげな印象の葉や、くるくるとカールするような形、針葉樹のようなフォルムなど、バリエーションが豊富で、そのそれぞれが魅力を持っています。

滝の近くや水辺を好んで生息することも相まって、鮮やかな緑色の葉姿はみずみずしい印象を受けます。イラストの飾り枠やワンポイントなど、シダ植物の葉の形はモチーフとしても人気があります。

 

シダ植物の花言葉

シダ植物に分類されるものは、花を咲かせずに胞子で増えることが特徴であるため、花はありません。ですが花を咲かせない植物も花言葉を持っており、シダ植物にも花言葉が付けられています。

シダ植物全体で見る花言葉は、「誠実」「愛嬌」「魅力のある人」「愛らしさ」「夢」「魔力」「魅惑」です。前半は人となりを表すような、よく見られる一般的な花言葉ですね。

花言葉の「誠実」は、規則正しく整列したようにして並ぶ葉の様子からイメージされています。後半は夢や魔力、魅惑など、ちょっと不思議な雰囲気が漂いはじめます。これには、ヨーロッパで古くから伝えられてきた、シダ植物に関する言い伝えが関係しているのです。

 

シダ植物の不思議な言い伝え

古くからヨーロッパには、花を咲かせないシダ植物が「夏至の一夜のみ花を咲かせる」という不思議な言い伝えがありました。夏至に行われるお祭りでは、花を咲かせたシダ植物を探すという習わしもあったそうです。もちろん、胞子で繁殖するシダ植物ですから、花を咲かせるようなことは実際には起こりません。

しかしこの古い言い伝えから、「夢」「魔力」「魅惑」の花言葉が付けられたと言われています。

 

シダ植物の人気品種たち

シダ植物に分類されるものは多く存在します。ここからは、その中でも人気の高い品種に絞って、いくつかピックアップしてみました。

人気が高い品種には、魅力的なフォルムや育てやすさなど、人気たる理由があります。あなたのお気に入りのひとつを見つけて、ぜひ育て始めてみましょう。

また、シダ植物の花言葉は先述したものが適用されますが、品種によっては個別の花言葉を持つものもあるので、併せてご紹介していきます。

 

ビカクシダ

科・属 ウラボシ科・ビカクシダ属
和名 麇角羊歯(ビカクシダ)
英名 common staghorn fern
学名 Platycerium bifurcatum
別名 ビフルカツム、プラティケリウム、コウモリラン
原産地 インドネシア、オーストラリア
花言葉 「信頼」「助け合う」

胡蝶蘭と同じく着生植物であるビカクシダは、他の樹木や岩肌などに根を張って着生する植物です。

漢字では「麋角羊歯」と書きますが、これは葉の形が麋角(ヘラジカなどの大きな鹿の角)に見えることから名付けられました。この特徴的な葉の形がコウモリの羽にも見えることから「コウモリラン」の別名でも流通しています。ただしビカクシダはシダ植物ですので、ランのように花を咲かせることはありません。長い年月を自生して育つビカクシダは、人間の背丈を超えるほどに生長しているものもあります。

 

アジアンタム

科・属 イノモトソウ科・ホウライシダ属
和名 唐草蓬莱羊歯(からくさほうらいしだ)
英名 Maidenhair fern, Delta maidenhair
学名 Adiantum raddianum
原産地 ブラジル
花言葉 「繊細」「天真爛漫」「無垢」「上機嫌」「無邪気」

アジアンタムは、イチョウの葉先のように薄くひらひらとした葉の縁が特徴的なシダ植物です。観葉植物としての人気が高く、ビカクシダ同様にインテリアグリーンとして近年人気が高まっています。

繊細な葉がいくつも連なる様子は愛らしく、「繊細」「天真爛漫」「無垢」の花言葉にも頷けます。

日陰でも育つ耐陰性はありますが、耐寒性と乾燥にはやや弱い品種です。水分が足りなくなると葉がちりちりと縮れてきてしまいますので、葉の異変に気づいたら葉水をかけたり湿度管理に注意したり、水分を補給させましょう。

 

プテリス

科・属 イノモトソウ科・イノモトソウ属
和名 井の許草(いのもとそう)
英名 Brake fern
学名 Pteris
原産地 熱帯~亜熱帯地域
花言葉 「信頼」「愛嬌」「平凡な心」

プテリスは和名でイノモトソウといいます。こちらも先述したアジアンタムと同じくイノモトソウ科の仲間です。井戸の付近によく生息していたことから、「井の許草(いのもとそう)」の和名を持ち、湿り気を持つ石垣などを好んで自生します。

イノモトソウは葉の枚数が少なく、ひとつひとつが細長く波打ったような質感であることが特徴です。この葉の形状は種類によっても違うため、さまざまな種類を比較して細かな違いも楽しめますよ。

 

アスプレニウム

科・属 チャセンシダ科・チャセンシダ属
和名 大谷渡(おおたにわたり)、谷渡(たにわたり)
英名 Bird’s nest fern
学名 Asplenium antiquum
原産地 アジア、太平洋諸島
花言葉 「あなたは私の喜び」 

東南アジア地域を中心に分布しているのがアスプレニウムです。観葉植物としても人気が高いアスプレニウムですが、流通しているもののほとんどは「オオタニワタリ(タニワタリ)」か、近縁種である「シマオオタニワタリ」です。

シマオオタニワタリは、アスプレニウムの中でも最も大きく育つ品種で、人間の背丈を超えるほどに生長するものもあります。日本国内では、沖縄や九州地方といった温暖な地域に約30種類が自生しており、沖縄ではフィラムシルー、宮古島地方ではサムムス、八重山ではフチィビィという方言名があります。シマオオタニワタリの新芽は食用として重宝されており、揚げ物やおひたしに調理されます。

 

タマシダ

科・属 ツルシダ科・タマシダ属
和名 玉羊歯(たましだ)
英名 Swordferm
学名 Nephrolepis cordifolia
原産地 熱帯~亜熱帯地域

タマシダは、羽状の細かい葉を放射線状に広げていくシダ植物です。国内にも3種類ほどが自生しており、沖縄や九州地方などの温暖な地域では自生するタマシダを見ることができます。

春から秋にかけて、綿毛に覆われたような新芽を伸ばしていき、たくさんの細い小葉を整列させるように生やしていきます。「シダ植物らしい」とも言える、繊細な葉姿です。

花束やアレンジメントフラワーに添える葉物として使われる機会も多く、フラワーギフトシーンではたびたび見かける植物です。湿度を好むタマシダは、トイレや浴室などの水回りでも育てることができるので、風水的な良い効果を期待して、こうした水回りでタマシダを育てる方も多くいらっしゃいます。

 

ツデー

科・属 ツルシダ科・タマシダ属
和名 西洋玉羊歯(せいようたましだ)
英名 Sword Fern
学名 Nephrolepis exaltata‘Teddy Junior’
別名 ツデータマシダ、ツデージュニア、ネフロレピス
原産地 熱帯〜亜熱帯地域

先述したタマシダの中でも、観賞用として多く流通しているのが、ツデーと呼ばれている品種です。他にも、学名の「ネフロレピス」「ツデータマシダ」の名前で流通しているケースもあります。

波打つような繊細な葉を持ちながらも、鮮やかでクリアな緑色をしており、生命力が強く育てやすい人気品種です。育てていくと大ぶりになるので、インテリアのアクセントとして飾るのもおすすめです。

水分が不足すると、若々しさを感じられる鮮やかな葉色が褪せて、しわしわと茶色くなってしまいます。乾燥に注意してツデーの美しさを堪能しましょう。

 

トキワシノブ

科・属 シノブ科・キクシノブ属
和名 常盤忍(ときわしのぶ)
英名 Bear’s foot fern
学名 Humata tyermannii
別名 石化シノブ、ネコノテ
原産地 中国、インド

トキワシノブは盆栽として人気の高いシダ植物です。トキワシノブは着生植物であり、自生地では他の植物や岩肌などに根を張って生息しています。盆栽などの鉢植えで育てる際には、水分量が多く苔がたっぷりと生えている土に植え付けます。

着生植物の特徴を生かして、鉢植え以外にもヘゴ板に着生させたり、水苔を使って流木などに植え付けたりと、飾り方の自由度が高いのも人気の理由です。根付く場所を変えるだけで、だいぶ違った雰囲気を味わえます。

トキワシノブは育てていくにつれて、ヘビがとぐろを巻くように根茎が渦巻いていきます。葉の形を美しく整えていくことも盆栽としての楽しみ方の醍醐味です。

常緑性で通年美しい葉を楽しめるものがトキワシノブ、落葉性の種類がシノブとして分類されています。トキワシノブよりもシノブのほうが寒さには強いので、屋外での管理が主になる場合には耐寒性のあるシノブが冬越しをしやすくおすすめです。

 

ハートファン

科・属 イノモトソウ科・ヘミオニティス属
和名 犬網羊歯(いぬあみしだ)
英名 Valentine Fern, Heart Fern 
学名 Hemionitis arifolia
別名 ヘミオニティス
原産地 熱帯アジア

ハートファンは細長いハート型の葉がかわいらしいシダ植物です。ここまでご紹介してきたシダ植物たちは、繊細で小ぶりな葉を連ねるものが多かったのですが、ハートファンの葉は大ぶりです。大きめの葉は深みがある落ち着いたダークグリーンで、光沢を持ってつやつやとしています。部屋に飾るとおしゃれなインテリアアイテムのようです。

水切れを起こしていると、この特徴的なハート型の葉先がくるんと丸まってきてしまいます。水不足のバロメーターとして目に見えて分かりやすいので、初心者の方でも育てやすいですね。

 

イワヒバ

科・属 イワヒバ科・イワヒバ属
和名 岩檜葉(いわひば)、岩松(いわまつ)
英名 Selaginella
学名 Selaginella tamariscina
原産地 ロシア、東南アジア、日本
花言葉 「負けない心」「長寿」「稔り」

岩場を好んで自生することから名付けられたイワヒバは、一見マイタケのように枝分かれした濃い緑の葉が生い茂っているように見えますが、この葉に見える部分は枝です。根と垣根体が上手に絡み合い、幹を作ります。

およそ20センチほどまで生長すると、それ以上は伸びなくなるという性質から、盆栽として高い人気があります。岩場に自生する性質を活かして、盆栽以外にもロックガーデンなどで重宝されているシダ植物です。

イワヒバは寿命が長いため、「長寿」「負けない心」といったタフな花言葉を持っています。長寿のお祝いギフトや敬老の日の贈り物としてもおすすめですよ。

 

リュウビンタイ

科・属 リュウビンタイ科・リュウビンタイ属
和名 鱗羊歯(うろこしだ)、龍鱗(りゅううろこ)
英名 Elephant fern、Mules foot fern
学名 Angiopteris lygodiifolia
別名 アンギオプテリス
原産地 日本

日本を原産地とするリュウビンタイは、お部屋に飾るとジャングル感を演出してくれるシダ植物です。新芽がくるりと巻かれたゼンマイのようで、そのまま渦状に伸びていく様子や、ごつごつとしている幹から竜を思い浮かべたのでしょう。

学名の「アンギオプテリス」という名称も、どことなく恐竜の名前のようですよね。人間が誕生する遥か昔の地球では、のびのびと歩く恐竜たちの足元にリュウビンタイのようなシダ植物が生い茂っていたのかもしれません。

リュウビンタイは生長速度がとてもゆるやかなので、室内で育てる観葉植物としても適しています。

 

まとめ

今回は、胞子によって繁殖していくシダ植物について、その特徴や性質、人気の品種などを詳しくご紹介してきました。

大きくシダ植物として括っても、品種によって姿形はさまざまです。繊細で小ぶりな葉を持つものや、一般的な観葉植物と変わらない見た目を持っているもの、ユニークな姿がかわいらしいものなど、シダ植物には多くの魅力があります。

基本的には乾燥や水切れ、日光の当てすぎなどに注意していれば丈夫に育ってくれます。室内にシダ植物を置くことで湿度管理にも気を配るようになりますから、冷暖房などで乾燥しがちな部屋の湿度をいつも快適に保てるというメリットもあります。植物にとって過ごしやすい環境は、人間にとっても過ごしやすい環境です。シダ植物と一緒に、緑あふれる快適な暮らしを始めてみてはいかがでしょうか。