胡蝶蘭は定番の花のプレゼント。人気の理由や種類は?
お祝い事のギフトとして定番のお花である胡蝶蘭の花。鉢植えとしての流通がメインですが、切り花としても人気です。
胡蝶蘭の花は、冠婚葬祭やビジネスシーンなどの贈答品としても多く選ばれ、プライベートシーンでも人気のフラワーギフトです。
しかし、なぜ胡蝶蘭の花がお祝いでのプレゼントとして選ばれているのでしょうか。
今回は、胡蝶蘭がプレゼントの定番となった人気の理由や、花言葉や品種などについて詳しくご紹介していきます。
胡蝶蘭の基本情報
科・属 | ラン科・ファレノプシス属 |
和名 | 胡蝶蘭(こちょうらん) |
英名 | Phalaenopsis, Moth Orchid |
学名 | Phalaenopsis aphrodite |
原産地 | 東南アジア |
胡蝶蘭は、日本には明治時代から持ち込まれ、栽培がスタートしました。
今では純白の花びらの美しさからブライダルシーンなどでも使われている胡蝶蘭ですが、原種となった胡蝶蘭の花は茶色く、とても今のような美しい花とは言えなかったようです。
しかし、品種改良が多く重ねられた結果、現在のような定番の純白の花びらや、白と赤のめでたい紅白カラーを持つリップ、黄色やピンク色などのさまざまな色合いの胡蝶蘭が生み出され、流通していくようになりました。
胡蝶蘭の本来の開花期は春先なのですが、フラワーギフトとしての需要の高さから、温室栽培が盛んに行われており、どの季節でも美しく開花した状態の立派な胡蝶蘭の鉢植えを買い求めることができます。
胡蝶蘭の原産地は熱帯地域なので、ある程度の耐暑性は持っているものの、日本の寒さには弱いです。普段は屋外で胡蝶蘭の鉢植えを管理している場合でも、冬の間は室内に入れて管理しましょう。
胡蝶蘭は着生植物
鉢植えの姿がなじみ深い胡蝶蘭ですが、この鉢の中には土は入っていません。
鉢内に入っているのは、水苔やバーク材などの植え込み材です。
自生地での胡蝶蘭は、土壌に根を生やさず、樹木の上や岩肌などに根を絡ませて育つ「着生植物」です。しかし、他の植物から養分を奪い取って生きる「寄生植物」ではありません。あくまで生きるスペースを借りているだけで、生長に必要な養分や水分などは、発達した根や器官などから自分の力で調達します。
胡蝶蘭の名前の由来
胡蝶蘭の「胡蝶」とは、古来の蝶を指している呼び方で、「蝶が舞うような美しい姿を持つランの花」が和名の胡蝶蘭の由来です。
英名では「Phalaenopsis(ファレノプレシス)」「Moth Orchid(モスオーキッド)」と呼ばれていますが、この「ファレノプレシス」とは、「蛾に似た」という意味のギリシャ語です。
「モスオーキッド」も、「Moth=蛾」「Orchid=蘭」という意味ですので、英名のどちらもが胡蝶蘭を蛾に例えていることがわかります。
フラワーギフトに欠かせない胡蝶蘭
胡蝶蘭の鉢植えは、いまやフラワーギフトシーンにおいてはなくてはならない存在です。
フォーマルな場面でも失礼に当たらない高級さと華やかさを持ち、お悔やみの場面においてもその蝶のような純白の花びらで、人々の悲しみにそっと寄り添ってくれます。
胡蝶蘭のきれいに花が整列している落ち着いた佇まいからは、きちんとした印象や礼儀正しさも感じられるため、ビジネスシーンでの贈り物としても大活躍です。
お祝いの贈答品=胡蝶蘭と思い浮かべるほど、すっかりギフトのひとつとして定着している胡蝶蘭は、なぜここまで人気のお花になったのでしょうか。
その理由について詳しくご紹介していきます。
高級感や豪華さ
もっとも大きな理由のひとつが、胡蝶蘭の花が持つ見た目のゴージャスさや高級感です。
胡開店のお祝いなどで店先に飾られている胡蝶蘭を見かけると、どんなお店が開いたのか気になって、つい足を止めて中を除いてしまいますよね。
胡蝶蘭の花は、大輪であればあるほど存在感があり、見る者の視線を惹き付けます。
また、世間一般的に胡蝶蘭は、「上品」「高級」「フォーマル」「特別」といった印象が強く根付いており、贈った相手が好い印象を持つということもポイントです。
花もちが良い
胡蝶蘭の花は、適度な温度管理と水やりを行っていれば、そこまで神経質にお世話をしなくても1ヶ月以上、長くて2ヶ月以上開花を楽しめることもあります。
花束やアレンジメントフラワーでいただいたお花は、切り花だと長くても1~2週間ほど、アレンジメントフラワーの場合はそれよりもさらに短い期間で枯れてしまいます。
しかし胡蝶蘭を鉢植えで贈ることによって、切り花のようにすぐに枯れることはありませんし、鉢植えで育てていくことで、美しい開花状態を長く観賞できるのです。
お世話が簡単
胡蝶蘭の花は、繊細そうな見た目に反してとても生命力の強い植物です。
ちょっとやそっと水やりを忘れてしまったくらいでは枯れませんし、ケロッとした様子で花を咲かせ続けていたりします。適した環境下で育てていけば、胡蝶蘭の寿命は50年にもなると言われているほどです。
したがって、植物のお世話に不慣れな方や育てたことがない方でも、基本的な育て方のコツさえ頭に入れてしまえば、特に苦労することなく簡単に育てられる植物となっています。
お店や会社などにお祝いのギフトとして贈っても、お世話が大きな負担になってしまうということはあまりないという点も、胡蝶蘭が贈答品に選ばれやすいポイントです。
縁起の良い花言葉
お花をプレゼントする際に気になるのが花言葉です。感謝の思いや愛情など、自分が相手へ花を贈る際にどんな気持ちを込めているのかを花言葉にして託せば、さらに心がこもった喜ばれやすいギフトになるでしょう。
そして胡蝶蘭には、「幸福が飛んでくる」という素敵な花言葉があります。蝶のような花姿から連想された、幸せが舞い込むイメージが由来している花言葉ですが、縁起がとても良い言葉なので縁起物のギフトとしても選ばれるようになったのです。
他にも、鉢植えの植物を贈るのは、贈る用途によってはさらに縁起が良い意味合いになります。お店の開店祝いなどには、新しいお店が地域に「根付く」ようにという願いを込めて、鉢植えのギフトを縁起物として贈ると喜ばれるでしょう。
通年入手できる
贈答品として高い人気を誇る胡蝶蘭は、とても需要が高いお花なので、温室栽培が盛んに行われている品種です。したがって、本来の開花期である春以外にも、春夏秋冬で美しく開花している状態の立派な胡蝶蘭を買い求めることができます。
胡蝶蘭の花言葉
贈答品として人気の胡蝶蘭には素敵な花言葉があります。
続いては、胡蝶蘭の持っている花言葉について、色別の花言葉も含めてご紹介していきたいと思います。
「幸福が飛んでくる」
胡蝶蘭の代表格ともいえる縁起の良い花言葉が、「幸福が飛んでくる」です。
古くから、蝶は神様のメッセンジャーとして神聖な生き物だと考えられていました。そのため、幸せを運ぶイメージや春を告げるイメージなどがあり、蝶に花姿がよく似ている胡蝶蘭にも蝶の神秘的なイメージやポジティブな雰囲気が投影されたのでしょう。
「純粋な愛」
「純粋な愛」の花言葉は、胡蝶蘭の学名に由来しています。
学名である「ファノレプシス アフロディーテ」とは、ファレノプシスは、先述したように「蛾に似ている」という意味を持つギリシャ語ですが、アフロディーテとはギリシャ神話に登場する愛と豊穣の女神・アフロディーテが由来です。
アフロディーテの呼び名よりも、ヴィーナスの呼び名のほうがぴんとくる方も多いかもしれません。
胡蝶蘭の英語の花言葉
花言葉はもともとは、西洋で生まれた文化のひとつです。
それが日本にも伝わり、日本語での花言葉が付けられるようになりました。
したがって、お花にはもちろん英語圏での英語の花言葉もあります。胡蝶蘭の英語圏の花言葉では、「Love(愛)」「Beauty(美しさ)」「Luxury(高貴、豪華)」「Refinement(上品、優雅)」「Gaiety(陽気な)」の花言葉が付けられています。
いずれも日本での花言葉と共通する部分が多く、花の美しさを表しているポジティブな言葉ばかりですね。
胡蝶蘭の色の選び方
胡蝶蘭には品種改良によって豊富な種類が存在しています。
色のバリエーションもありますから、色による雰囲気の違いを楽しむこともできますよ。
定番の人気カラーは白色ですが、紅白カラー、ピンク、黄色などの親しみやすい色合いが並び、珍しい色としては青や紫系の胡蝶蘭も存在します。
定番の白
胡蝶蘭の色選びに迷ったときは、白を選べば間違いありません。
白い胡蝶蘭をもらって不快な思いをされる方はあまりいらっしゃらないからです。
礼儀正しい雰囲気を持つ白色の胡蝶蘭は、ビジネスシーンからプライベートなフラワーギフト、冠婚葬祭のシーンでも幅広い場面で贈答品として使われています。
紅白のリップカラー
胡蝶蘭特有の肉厚の純白の花びらに、うっすらと赤みが入っている、まるで唇に紅を差したかのようなリップカラーは、赤と白の紅白カラーで縁起が良いと考えられています。
特にお祝い事のシーンでは多く選ばれている品種です。
フレッシュな黄色
黄色い胡蝶蘭は、大輪サイズのものではなかなか種類が少ないのですが、ミディサイズくら
いになると黄色い胡蝶蘭が一般的なカラーだとされています。
扱いやすいサイズ感に黄色い花びらとカジュアルな雰囲気を持っている品種は、気軽にプレゼントできるプライベートシーンでのフラワーギフトとして多く選ばれています。
可愛らしいピンク
ピンク色の可愛らしさ満点の胡蝶蘭は、どことなく華やかで美しい女性の姿を思い浮かべる花姿でもあります。
ピンク色を好む女性は多いので、女性向けのプレゼントとしてピンク色の胡蝶蘭を選ばれる方が多く、最近では母の日や敬老の日のフラワーギフトとしても人気がありますよ。
胡蝶蘭のピンク色には、濃い発色のピンク色以外にも、白色に近いような淡いピンクの品種も存在します。
珍しい青・紫系の胡蝶蘭
比較的最近出回り始めた種類ですが、青や紫系の胡蝶蘭も誕生しています。
希少性が高いので入手する難易度は高いのですが、青系の胡蝶蘭を贈ることで、さらに特別感を出したい場面などにはインパクトが強くふさわしいギフトでしょう。
【染色されたブルーエレガンス】
まずひとつめの青系胡蝶蘭ですが、「ブルーエレガンス」という品種があります。
このブルーエレガンスは、もともとは定番カラーの白色だった胡蝶蘭を、特殊な染料によって青く染色することで青色の花びらに仕上げられています。この染色はとても高度な染色技術が必要であり、特許を取得している技術です。世界各国でも生産者がかなり少数に限られてしまうので、ブルーエレガンスは希少な品種です。
ちなみにその染色技術ですが、染色されたお花の品質や健康状態に影響することはなく無害なので、染色していない普通の胡蝶蘭よりも寿命が短くなる、といった心配はありません。
ただし、色づいているのはあくまで染色による効果なので、ブルーエレガンスの花が二度咲きした場合には、本来の持ち色である白色の花が咲き出します。
【品種改良による天然色】
一方で、染色技術に頼らず、地道な品種改良と研究によって2013年に遺伝子組み換えで生まれた、染色不要の「青い胡蝶蘭」もあります。
染色による色ではなく、遺伝子研究による品種改良なので、二度目以降に咲くのも青色の花びらになります。
品種改良で誕生した青い胡蝶蘭は、深みのある瑠璃色のような花びらを持っています。
胡蝶蘭の本数
胡蝶蘭の鉢植えは、基本的にいくつかの株を寄せ植えして販売されています。
古くから日本では、奇数が縁起が良い数字だと考えられているため、お祝い事の場面では、奇数である3本立て・5本立て・7本立てが定番です。
株を立てる数によって呼ばれ方やグレードが異なり、その数は1本立てから、時には10本立て以上まで、贈るシーンに合うようにとさまざまなボリュームで販売されています。
寄せ植えする株の数が増えれば、当然ながら花の数も比例して増えていきますので、本数が多いほど絢爛豪華な鉢植えになります。
3本立て胡蝶蘭
プレミアガーデン:かわいらしい印象の紅白の胡蝶蘭・大輪3本立て
胡蝶蘭のフラワーギフトの中で最も多く選ばれているのが、どんなシーンでも使いやすいサイズ感を持っている3本立ての胡蝶蘭になります。
3本立ての胡蝶蘭は、ほどよい大きさであり小さすぎることもなく、大変見栄えが良いボリュームです。受け取った方が置き場所に困ることもない、ご迷惑になりにくいサイズ感でもあります。
花径や品種によっても価格は異なってきますが、3本立て胡蝶蘭の一般的な相場価格は、15,000円〜20,000円ほどです。
5本立て胡蝶蘭
立派な5本立ての胡蝶蘭の鉢植えは、ビジネスシーンなどでの贈答品として多く選ばれています。
5本立ての胡蝶蘭の一般的な相場は40,000〜50,000円ほどです。3本立ての胡蝶蘭よりもさらにゴージャスさが増し、人を惹きつける存在感があります。
7本立て胡蝶蘭
7本立ての胡蝶蘭の鉢植えは、先ほどご紹介した5本立てよりも、さらにゴージャスさが増しており、存在感たっぷりの鉢植えです。
7本立て胡蝶蘭ともなるとサイズ的にかなり大きいので、贈る相手には贈った7本立て胡蝶蘭を飾るスペースがあるかどうかなど、事前に確認しておくことがマナーになります。
7本立て以上の胡蝶蘭
7本立て以上の胡蝶蘭の鉢植えでは日常的にほとんど見る機会はありませんが、10本立ての胡蝶蘭、20本立ての胡蝶蘭などになります。
しかし、7本立て以上の株を寄せ植えする胡蝶蘭の鉢植えは、店頭などに並ぶことはほとんどなく、オーダーメイドで注文を受けてからの制作となることが主流です。
7本立て以上の胡蝶蘭は必要になった場合には、花屋さんが仕入れる都合などもありますので、なるべく早期の予約や確認を忘れずにしましょう。
胡蝶蘭の花のサイズ
胡蝶蘭の花のサイズによって、以下の名称に分けられます。
大輪 | 約10~15cm以上 |
ミディ | 約6~9cm |
ミニ | 約5cm以下 |
大輪サイズの胡蝶蘭は豪華に演出できますが、広いスペースが必要となるのが難点です。
ミディサイズの手頃なサイズ感であれば、花色の選択肢もかなり増えるので、カジュアルシーンの贈り物としておすすめです。価格帯も5,000円ほどからと買い求めやすく、贈った相手の方にも負担となりにくい金額となります。
まとめ
今回は、おめでたいお祝いシーンの彩りに欠かせない胡蝶蘭について、お祝いの定番となった理由や、選び方などをご紹介しました。
高級なフラワーギフトとして定着している胡蝶蘭は、特別なシーン以外にも気軽に贈って良いお花です。
ただし値段もそれなりにしますから、気軽なプレゼントにしたいときはギフトの定番である大輪の白い胡蝶蘭ではなく、可愛らしい紅白のリップカラーや、扱いやすいサイズ感のミディサイズの鉢植え、黄色やピンク色の胡蝶蘭など、贈るシーンに似合うカジュアルさを持っている胡蝶蘭をチョイスすることをおすすめします。