元気がないモンステラを回復させるには。トラブル別の対処法
飾るだけでトロピカルな雰囲気を演出できるモンステラは、つやつやとした大きな切れ込みの葉が魅力的で、大変人気の高い観葉植物です。
丈夫な性質を持ち、初心者にも育てやすいお世話の簡単さが嬉しいポイントでもあります。
そんな強いモンステラに元気がないときは、いったい何が原因なのでしょうか?
今回は、モンステラの特徴や性質をおさらいしつつ、基本的な育て方などをご紹介していきたいと思います。トラブルの対処法についてもまとめているので、管理で困ったときの参考になれば幸いです。
モンステラの基本情報
まずはモンステラの基本情報を見ていきましょう。
科・属 | サトイモ科・モンステラ属 |
和名 | 鳳莱蕉(ほうらいしょう)、電信蘭(でんしんらん) |
英名 | Monstera |
学名 | Monstera |
原産地 | 熱帯アメリカ、メキシコ |
モンステラの特徴
モンステラは本来、熱帯地域のジャングルなどに自生しています。
うっそうと木々が生い茂っているので、強すぎる日光や直射日光などは苦手です。
対陰性があるため、室内の明るい半日陰で管理するとちょうど良く、インドアグリーン向きの観葉植物となっています。
丈夫で生長速度も早く、観葉植物を育てる初心者の方でもチャレンジしやすい品種です。
深く切れ込みの入っている大きな葉からは南国ムードが漂い、お部屋に飾るとゆったりとした空間を演出してくれるモンステラですが、最大の特徴とも呼べる葉は、株が小さいうちはハート型をしています。
生長につれて、だんだん穴や切れ込みが生まれてくるので、幼葉からの変化を楽しむのもおすすめですよ。
自生するモンステラは、「気根(きこん)」という器官を伸ばしていき、他の木などに着生するつる性の植物ですが、他の植物から栄養を奪ってしまう寄生植物ではありません。
この気根は、空気中から水分を吸収する役割を果たしています。ガジュマルなどにも見られる特徴的な器官です。
見栄えを気にされる方や、邪魔だと感じる場合には切っても問題ありません。そのままにして育てていくのも動きが生まれて楽しいのでおすすめです。
観葉植物として人気のあるモンステラの分類は多年草で、同じく観葉植物として人気のあるパキラなどと異なり幹がありません。
木肌のように木質化している、ゴツゴツとした質感の茎を伸ばしていくのが特徴です。
耐寒性はそこまで高くはなく、日本の寒さには弱いのですが、室内での温度は5度以上を保つようにすると冬越しができるでしょう。
モンステラには、葉の縁に水孔(すいこう)という排水器官が付いています。そのため、朝起きてモンステラを見ると、葉に水滴が付いていて不思議に思われるかもしれませんが、病気などではありませんので安心してください。
名前の由来
学名の「Monsutera(モンステラ)」は、ラテン語で「怪物」の意味を表す「monstrum(モンストゥルム)」が語源で、特徴でもある大きな葉から名付けられました。
和名である「鳳莱蕉(ほうらいしょう)」は、パイナップルの和名である「鳳梨」と、バナナの和名である「香蕉」から由来していると考えられますが、その詳細ははっきりと分かっていません。
花が終わってからたっぷりと時間を掛けてつける実は青々としていて、うろこのような表面を削っていくと、中からバナナのような白い実が姿を現します。包丁などで切ってみると、断面がバナナのようにもパイナップルのようにも見えますので、和名はそこから由来しているのかもしれませんね。
ちなみにその味は、酸味がありつつもみずみずしさがあり、食感はパイナップルのようでありながらも、味はややバナナに似ていて、人によってはガムの味にも例えられるようです。
モンステラの花言葉
モンステラは、サトイモ科に特徴的な、仏炎苞が付いている花を咲かせます。棒状の花は乳白色やクリーム色をしていて、とてもやさしい色合いです。
花が咲き終わると、約1年ほどの時間を掛けて、バナナに似たような味の実を付けます。
そんなモンステラですが、「嬉しい便り」「深い関係」「壮大な計画」といった明るい花言葉が付いています。英語の花言葉には「 dedication(献身)」があります。
この明るい未来を連想させる素敵な花言葉は、ハワイにおいてモンステラの切れ込みの入った葉が、希望の光を導くと考えられているためです。
モンステラに元気がないときは
それでは、モンステラに元気がない場合の原因について見ていきましょう。
観葉植物がある日突然枯れてしまうということはありませんから、日頃からモンステラの様子をよく観察しておくことをおすすめします。
こまめに観察することで、モンステラの元気がない異変にいち早く気付き、早急に対処すれば被害は最小限で済みますよ。
まずは葉をよく観察しよう
モンステラに元気がない場合は、まず葉にそのサインが現れます。
つやつやの葉にハリがなくなっていたり、光沢を失っていたり、黄色や茶色に変色しているような症状が見られたら、株が元気をなくしています。
変色していると枯れてしまっているように見えますが、諦めずに早く対処すれば、元気に回復してくれますよ。
モンステラが元気をなくしている原因にはいくつかの理由が考えられますが、主に以下の2点が原因であることが多いです。
- 水やりの量が足りていない
- 鉢の中で根が生長しすぎて根詰まりを起こしている
根詰まりを放置しておくと、根腐れに繋がって株が枯れてしまうので注意が必要です。
他にも、管理している温度がモンステラにとって適切ではなかったり、日光が不足しているために光合成で作るエネルギーが足りていなかったりすることも考えられるでしょう。
ここからは、モンステラが元気がなくしている症状別に、まずはその症状の原因を探っていきましょう。
元気がないから焦って検討外れな応急処置をしてしまうと、解決から遠ざかってしまうこともあります。あわせて対処方法もご紹介していきますので、早めに対処してモンステラの元気を取り戻しましょう。
水切れを起こしている
高温多湿な環境のジャングルに生息しているモンステラですが、意外と乾燥には強い性質を持っています。
その丈夫さについつい甘えてしまい、ついつい土の観察や水やりがおろそかになっていないでしょうか。
モンステラの大きな葉がつやつやしていないときや垂れ下がっているとき、触ってみてもハリがなくて柔らかくなっているとき、下のほうの葉が変色しているときなどには、水不足が主な原因でしょう。
この場合は、適切な量の水をたっぷりと与えてあげれば回復しますので安心してくださいね。
モンステラに水を与える際には、茎周りだけに水を与えるのではなく、鉢内に張り巡らされている根っこ全体に水が行き渡るようにイメージしながら、水を与えることを意識してみてください。
一か所に重点的に水を注ぐよりも、全体的に注いだほうが乾きも早くなるというメリットもあります。
水不足を起こしていそうなときには、霧吹きなどで葉に水を与える「葉水」もあわせて行なうと効果的です。
この葉水をすることで、葉の表面についた埃などを洗い流し、葉を清潔に保ちつつ光合成をしやすくするというメリットがあります。さらに、葉からも水分を吸収してくれるので、水やりの効率が上がりますよ。
乾燥を防ぐため、害虫や病気の予防対策としても有効なので、こまめに行なってみてください。
根詰まり・根腐れしている
観葉植物が枯れる原因に多いものは、根詰まり・根腐れが挙げられます。
根詰まりとは、鉢内で根が生長しすぎて窮屈になっており、根から水分や養分を上手く吸収できなくなってしまう状態です。
根腐れは、根詰まりを放置したままにしたり水を与え過ぎたりして、根が腐っている状態のことです。
根詰まりであれば、早く新しい鉢と土に植え替えることで回復してくれますが、根腐れの場合は急いで対処しなければ株が枯れてしまうのでかなり深刻です。
日頃からモンステラを注意深く観察して、根腐れのサインを見逃さないようにしましょう。
根腐れの症状には、目に見えて分かりやすいものでは葉の変色や、茎が柔らかくなって触るとブヨブヨしているといった様子が見受けられます。
実際に根を見てみると黒く変色していたり、土から腐ったような異臭がしたりもするので、よく観察していれば気付けるはずです。
根腐れを起こしたら、植え替えの手順で腐っている根を取り除きましょう。
日光が不足している
半日陰を好むモンステラですが、日光が不足し過ぎるとすると、葉に元気がなくなったり、茎が細くなりひょろひょろと伸びる「徒長」を起こします。
日光を使って光合成する植物ですから、適度な日光は必要です。
徒長した観葉植物は、葉と葉の間隔が長くなり、頼りなさげで元気がないように見えるので分かりやすいですね。健康な株と比較すると、病気や害虫に対しての抵抗力や、温度変化への抵抗力も落ちてしまいます。
肥料の与えすぎによっても徒長は起きるので、与え方も見直してみてください。
徒長したモンステラは、茎を切り戻して仕立て直します。
日陰で管理している場合でも、1日のうち4〜5時間ほど日光浴をさせれば、葉が健康的になり健やかに育ってくれるでしょう。
ずっと日陰で管理していた場合には、いきなり明るい場所に鉢を出すと、モンステラがその変化に慣れず、大きく負荷が掛かります。葉焼けを起こしてしまう場合もありますので、徐々に日差しに慣らしていくようにしましょう。
温度管理が適切ではない
熱帯雨林などのジャングルに自生するモンステラは、温暖な場所が好きな植物です。
高温多湿の環境を好むので、低温で乾燥しがちな日本の冬は大の苦手です。
耐寒性もある程度はありますが、冬季の温度管理としては5度以上を確保できるようにしてください。
葉水で葉からも水分を補給させて乾燥を防ぐことや、加湿器などで室内の湿度を調整するのも効果的です。モンステラが過ごしやすい環境を整えることは、人間が過ごしやすい環境を作ることでもありますので、植物のためだけではなく自分のためにも、湿度管理を心がけてみてくださいね。
寒暖差も株の負荷になりますので、日中と夜間の温度差が開く冬季には、特に注意が必要です。冬の間は、暖かい日中になるべく窓辺に置いて、日光浴をさせておきましょう。
そして夜になったら、鉢を室内の奥のほうへ移動させます。冷え込む夜間に窓際に鉢を置いたままにしていると、株が凍結したり根がダメージを受けたりしてしまうためです。
また、急な環境変化なども嫌いますので、頻繁に置き場所を変えていると葉が変色したり落葉したり、株が元気をなくすことも考えられます。鉢を管理する場所はなるべく一定に決めておくと良いでしょう。
モンステラの基本の育て方をおさらいしよう
今回はインテリア性も高いモンステラにはどんな特徴があるのか、自生地はどんな環境なのか、そして元気がない場合の対処法についてご紹介しました。
観葉植物を育てるうえでは、植物本来の自生環境を知るのはとても大切なことです。
日本で育てるため、その環境を完璧に再現することはできませんが、植物が過ごしやすいように少しでも近づける努力はできます。
これらを踏まえて、続いてはモンステラの基本的な育て方をおさらいしていきましょう。
置き場所
ジャングルの中で木漏れ日の光を受けて育つモンステラには、そこまで強い日光は必要ありません。木漏れ日のような柔らかさを意識して、明るい半日陰の場所に置きましょう。
窓際近くで管理するのであれば、レースカーテン越しやブラインド越しになるように日光を調整してください。
葉が直射日光に当たりすぎると「葉焼け」を起こして変色してしまいます。
変色部分は元には戻らないだけでなく光合成を行なえなくなってしまうため、日光の加減には注意しましょう。
日本の寒さは苦手ですから、冬季は必ず室内で管理してください。
水やり
一般的な観葉植物の水やりの基本としては、「土が乾いてからたっぷりと」が鉄則です。
モンステラも同様で、土が乾いたことを確認してから水を与えるようにすると、根腐れのリスクをぐっと下げることができますよ。
水やりの際には、鉢底から水が流れ出てくるほどにたっぷりと与えて、メリハリのある水やりをしましょう。
受け皿に溜まった水は、放置しておくと雑菌が繁殖する原因になりますし、鉢内が蒸れてしまい根がダメージを受けます。こまめに捨てることを忘れずに行ってくださいね。
葉水はあまり与えすぎないよう注意し、水滴にならない程度の量を目安に行いましょう。
冬季にはモンステラが休眠期を迎えます。春から秋の間よりも、さらに乾燥気味に管理するよう意識しましょう。
冬季の間の水やりは、土が乾燥したのを確認してから2〜3日後くらいに与えるのがベストです。乾燥に強いモンステラは、水を与え過ぎると枯れる原因になりますので、冬は乾燥気味に育てるというのをお忘れなく。
肥料
生命力の強いモンステラは、水だけでも充分に生長してくれるのですが、もっと大きく育てていきたいときには肥料で生長を促進させましょう。
時期は、生育期の5〜9月頃に与えるようにして、緩効性肥料を2ヶ月に1回ほどのペースで与えてください。
冬季は休眠期ですから、肥料は不要です。かえって肥料の与え過ぎによるトラブルが考えられますので、与えないようにしてください。
また、根腐れを起こしているときに肥料を与えるのも逆効果ですので、元気がないからといってむやみやたらに肥料を与えないよう注意しましょう。
植え替え
モンステラは、株の生長速度にあわせて2〜3年おきに新しい鉢へと植え替えましょう。
植え替えの適期は、生育期である5〜9月頃です。
一定の年数が経っていなくても、鉢底から根が見えていたり、下のほうの葉が枯れていたりする場合には、根詰まりによって上手に水分が行き渡っていないということが考えられます。このような植え替えのサインが見られたときにも、すみやかに株を植え替えましょう。
【植え替えの手順】
- 鉢から株を取り出し、根に付いている古い土をやさしく取り除きましょう。
- 傷んだ根や黒ずんだ根があれば、切れ味の良い清潔なハサミでカットします。
- 根を整理したら、新しい鉢に3分の1ほど土を入れて、株を置きます。
- 隙間を埋めるように土を足していき、株を安定させましょう。
- 水をたっぷりと与えたら、2週間ほど風通しの良い日陰で株を回復させます。
植え替えは株にとってとても体力を使う行為なので、植え替え後は必ず風通しの良い日陰で休ませてあげましょう。
まとめ
今回は、人気の観葉植物であるモンステラの特徴や基本情報、育て方などのおさらいをしつつ、トラブル時の原因と対処法をご紹介してきました。
比較的丈夫なモンステラですが、生きている以上はトラブルが起きてしまうことは避けられません。気を付けてお世話をしていても、異変が起きてしまうことがあります。
ただし、日頃からモンステラをよく観察して、そのサインに早く気付ければ、被害は少なく済みますよ。
異変に気付いたら基本的な育て方を見直してみて、足りない部分やおろそかになっている部分がないか、振り返ってみるのも大切です。